ドル保有を増やし、ユーロ保有を減らす各国中央銀行
IMFが3月31日に公表した、2014年10-12月期の公的外貨準備の通貨別構成(COFER)報告書によると、ドル換算の世界の外貨準備高は2014年12月末時点で11兆6005億ドル(約1400兆円)に。
通貨別では、各国の中央銀行におけるドル外貨準備比率は62.9%(前期比+0.5%)となった一方で、ユーロは22.2%(同-0.4%)に。(円は4.0%で前期比同水準)
昨今の為替相場は、FRBがリフトオフ(利上げ)するタイミングのスライド観測により足下はやや揺れ動いているものの、先般のサンフランシスコ地区連銀におけるイエレンFRB議長の講演では「(政策金利を)年内に引き上げ始めるのは正当化される」とのスタンスもあり、焦点はその時期。
“相場は極めてシンプルなロジックによって動く”というルールに従えば、利上げ方向に進むドルの保有を増やし、QE(量的緩和)を実施するユーロ(もしくは円)の保有を減らすのは極めて合理的で、その意味でもドル買い・ユーロ売り(円売り)のスタンスはシンプルなロジックに則っていると言えます。
外為市場でも群を抜く“ビッグ・プレーヤー”である中央銀行。
“Don’t fight the FED”、“Don’t fight the ECB”、そして“Don’t fight the BOJ”の言葉通り、「中央銀行(の意向)には逆らうな!」という姿勢こそが、最終的に自身の資産を守る上で重要な“不文律”であり“しきたり”とあると考えます。
「4月30日」だと“バズーカ砲”ではなく“明治の大砲”になる可能性も?
そんな中、昨日(4月1日)自民党“リフレ派”の代表的論客である山本幸三議員が、「追加緩和のタイミングとして4月30日の会合が“良いタイミング”」と述べたインタビュー記事が出たことで、一時ドル/円相場も120円台を突破。朝方に発表された日銀短観が予想を下回る結果だったこともあり、昨日でちょうど一年を迎えた消費増税がいまだに日本経済の重石となっていることが改めて認識される中、展望リポートが発表される30日が“バズーカ第3弾”のXデーとして取り沙汰されていますが、はたしてそのタイミングや効果のほどはどうなのでしょうか?
個人的には、米利上げ観測が“ビハインド・ザ・カーブ”(後ズレ)する中、先手を打つタイミングとしては中途半端であること、またGWの中日にバズーカ砲を撃ったとしても、その効果が休み明けの7日まで効くかどうかが疑問であることから、凡そ“明治の大砲”になってしまう可能性が大と考えます。
ただし、基本路線は“Don’t fight the BOJ”。
要は、懐に追加緩和という“伝家の宝刀”を忍ばせている日銀を侮ってはいけないということ。
明日(日本時間21時30分)発表される米雇用統計数値にも十分留意しつつ、くれぐれも中央銀行の意向に逆らうトレードだけはしないように心掛けたいものです。