思惑買いから現実買いの局面入り、2000円台乗せも十分可能か?
※3月19日 追記
予想通り5日線の下値サポートが続き、昨日は終値920円で引け新値更新とチャート妙味が一段と増し、目先直近高値940円抜けもそう時間が掛からないとみる。 ニッピ(7932)は今回のテーマである「iPS細胞の足場材」だけで無く、東京都足立区の再開発地区の土地を貸している「土地持ち企業」であるなど、多くの好材料を内包しているのも非常に魅力的といえよう。 本村
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■今回の注目銘柄■
・ニッピ(7932)
日経平均株価がついに1万9000円の大台を突破し、日米欧が行った金融緩和によって溢れたマネーが日本の株式市場に流入する動きが鮮明になってきた。2000年4月以来の高値という事ではあるが、一方では中小型株は著しく出遅れており、その中から割安な好材料株としてニッピ(7932)に注目したい。
同社は1907年、旧大倉財閥グループで革製品を扱う日本皮革としてスタートし、リーガルコーポレーション(7938)、大成建設(1801)、東京建物(8804)、そして、前回予想で出した特種東海製紙(3708)などが大株主となっているのはその名残りで、歴史ある名門企業といえよう。
筆頭株主であるリーガルコーポレーション向けに、現在も靴向けの革製品を供給するなどの事業を継続しているが、主力事業は牛から摂れるコラーゲンの製造で、健康食品・化粧品・機能性素材へと展開し、その中でもソーセージ向けの原料を詰めるための「袋(ケーシング)」の伸びが著しい。
これは従来では羊・豚・牛などの小腸を使う天然ものが一般的であるが、このところ円安や需要増加のために価格が高止まりしている問題から、コラーゲンで作られた同社製のケーシング事業は、需要が供給を上回る状況が続き「フル生産状況」となっており、その為、に一昨年末に公募増資で資金調達を行い、48億円をかけて設備投資を行う予定で今年末には稼働予定であり、生産能力は2割高まると「今後の業績向上に大きく貢献」しよう。
そして、今回最も注目するのは3月10日に同社が「iPS細胞を培養するのに必要不可欠で画期的な足場材を開発した」という発表である。
細胞が増殖するにあたっては細胞が接着する足場を確保しなければならず、その足場となる物質を足場材と呼ばれている。その足場材の製造方法を大阪大学蛋白質研究所と共同で確立し、「従来よりも200倍のスピードでiPS細胞を増殖させる」事ができるようになった。
今年6月から販売開始する予定であり、5年後には10億円の売上を目指すと同社は発表をしているが、5年後は未だ再生医療の本格的な普及期ではない時期である事から考えると、本格的な普及期に入る「2020年台の売上高は計り知れない」規模となろう。
売上高を想定するにあたり、手掛かりとなるのが味の素(2802)が昨年2月13日に発表したiPS細胞の増殖用培地の開発のプレスリリースで、2025年に再生医療用培地のグローバルでの売上を「400億円を目指す」とした事だろう。
培地とはニッピが提供する足場とは異なり、iPS細胞の増殖するのに必要であるいわば「餌」の事で、足場材とセットで使われる。要するにニッピと味の素が競合するのではなく、むしろ共存し再生医療の発展において両社が重要な役割を担う事が想定される。
今回、同社に注目したのは「培地よりも足場材の方が単価が高い」という点である。すなわち味の素が培地で400億円を達成するのであれば、それ以上の売上高規模となる可能性が高いと想定するのは至極当然だろう。
同社の今期の売上高見通しは413億円程度。つまり、10年後には「売上高がこの足場材だけでまるまる2倍」に膨らむ計算となり、競合がない分、利益率も非常に高いと推測できるため、将来的に同社の業績が一変する日が訪れるといっても決して過言ではないだろう。
株価は10日の発表後から急騰し、その後は陰線を2日続けて引いたものの、週末は5日線で止まり反転上昇の体勢が整ったとみている。足元の業績は先述のように非常に好調で、来期も続伸が期待さる中、PERは12倍台、PBRも1倍割れと割安感も高く、下値不安は乏しいといえよう。
今回は1週間という短い期間で注目株として取り上げるが、長期投資で臨むべき銘柄とも言える。
その理由として、足場材に絡んだ思惑で2013年3月に「600円台から1999円」まで急騰する場面があったが、今回は実際に販売と「前回の思惑買いから現実買いの」局面入りとなろう。
世界の再生医療の発展においてまさに「足場」としての存在感を見せてくれる『夢のある決して目の離せない銘柄』として今度の動向を追っていきたい。
本村