ドル高を容認せざるを得ない“米国独り勝ち”
先週末の米1月雇用統計の結果数値は市場にポジティブサプライズとして受け止められ、景気減速懸念に苦しむ他の国々とは一線を画し、まさに“向かうところ敵なし”の様相。
となれば、マーケットの関心の的は米国の「利上げ開始時期」になるのは当然。最短シナリオとしては<6月>とのコンセンサスが固まりつつある中、株価にとってはあまり芳しくない利上げではあるものの、ドルにとってはまさに“追い風”となり、【ドル1強時代】の幕開けと言っても過言ではありません。
一方では、ドル高基調は米国内の製造業にとって死活問題となるかのような議論もかつてなされましたが、現在の雇用情勢やその他経済指標とともに、国内経済環境の特異性を見る限り“ドル高によって米産業が被害を受けることは微小”と結論付けてもよさそうです。
その「国内経済環境の特異性」についてですが、米国はいわば“偉大なるドメスティック・カントリー”。直言すると、外部経済環境がどうであろうと、またドル高だろうがドル安だろうが大した問題ではなく、大西洋から太平洋にかけての広大な国土に3億人以上のマーケットが存在するという“強みこそがその特異性であり優位性。しかも、米国は為替相場の影響を大きく受ける製造業の就業者比率が全就業者に対して10%程度に過ぎず(先進国平均:約18.7%)、その製造業もアップルに代表されるような付加価値の高い高度サービス産業については製造過程を海外にアウトソースしている企業も増えていることから、むしろドル高の恩恵を受けていると捉えるべき。
こういった側面を理解した上で、FRBが今後の金融政策の舵取りを行う上での至上命題は何かと言うと「バブルの延命」、つまりは株価の急落を防ぐこと。そのためにはある程度のドル高は“容認”せざるを得ないと考えるのが一般的と言えそうです。