22日(木)の債券市場で異変、長期金利が急上昇
22日(木)の債券市場で、国債先物が急落(金利は上昇)し、長期金利が一時0.325%に急上昇しました。
長期金利は昨年10月31日の日銀による量的金融緩和(QE)の拡大以降、ほぼ右肩下がりで下落を続けており、新発10年国債利回りは1月20日に一時、0.195%とついに0.2%割れ。史上最安値を更新したばかりでした。
しかし、22日に欧州中央銀行(ECB)によるQEの拡大が予想される中、債券買いポジションを解消する手じまい売りが出て、長期金利は上昇に転じました。
■長期金利上昇での恩恵は「保険株」へ
23日(金)の東京株式市場では、長期金利の上昇で運用利回りの改善を期待した買いが入り、(8750)第一生命保険、(8766)東京海上ホールディングスがそろって5%超の上昇幅となるなど、保険株の値上がりが目立ちました。
長引く金利低下で、生保各社は運用利回りを得られにくくなっており、明治安田生命や第一生命が、年金保険の一部商品販売を停止したほか、日本生命も2月から終身保険の保険料を上げを表明するなど影響が深刻化していました。
■昨年不調だった「銀行株」も、今年は巻き返しが期待できる?
また、金利低下で銀行のおよそ1割で「総資金利ざや」の逆ざやが生じています。総資金利ざやは、調達コストと貸出金利の差で、銀行の収益性を示す代表的な指標です。
メガバンクの中でもみずほ銀行、三菱東京UFJ銀行の2行は、14年9月時点で逆ざやが生じており、いわば本業で損が出ている状態にあるといえます。
ただ、長期金利が2日間で0.1%も急上昇し、債券市場では金利低下の流れに大きな変化が見られています。
国内企業の資金需要は弱いものの、円安を受けて製造業の国内移転の動きがみられていますし、2014年の企業倒産の件数は、前年比11.1%減の9180件と8年ぶりに1万件を割り込むなど、銀行を取り巻くファンダメンタルズが好転しているように思います。
昨年1年間に3%下落した銀行株(東証銀行業指数)、2015年は銀行株の巻き返しが期待されます。
小野山 功