西武HDに関心集まる
直前のIPO銘柄は、2社が初値割れとなったほか、直近で値を大きく下げた銘柄も少なくない。こうしたなか、23日には西武ホールディングス<9024>が東証1部に上場する。上場に際して、売り出し株数を大幅に削減、公開価格も当初想定から大きく引き下げた。市場の話題を集める西武HDとIPO市場の行方とは――。
西武HDの株式上場は、前身の西武鉄道が2004年12月に上場廃止になって以来、約9年ぶりのこと。大株主の米投資会社、サーベラスとの経営方針を巡る対立を乗り越え、株式上場にこぎつけた。西武HDには念願の株式市場への復帰だが、上場に際しての“異例の展開”は市場関係者の関心を集めている。
上場決議時の公開価格の想定価格は2300円とされていた。しかし、国内外の機関投資家からは「想定価格は高め」との声が寄せられたもようで、業績下方修正もあり、仮条件は1600~1800円に引き下げられた。
同時に当初、全体の35.5%の株式を保有する筆頭株主のサーベラスは約15%の株式を売却する方針を示していたが、保有株売却の中止を決定。このため、全体の売り出し株数も当初の8085万株から2782万株に削減された。
結局、公開価格は仮条件の下限の1600円で決定した。上場時の時価総額も当初見込みの約7800億円から5400億円前後に縮小する。
西武ホールディングス<9024.T>は、IPOにより保有株を売却し利益を確定するサーベラスの出口(エグジット)案件と見られている。しかし「サーベラスは、2000円以上の株価を求めていた様子。公開価格が想定より低くなったため売却を取り止めたのだろう」(市場関係者)との見方は多い。サーベラスは筆頭株主のままIPOを迎えることになったが、株式売却を計画していた投資ファンドが居残り、株式上場を迎えるのはかなりのレアケースだ。
こうしたなか「上場後に株価が上昇すれば、サーベラスは売り姿勢を強めるだろう」(市場関係者)との見方は少なくない。あるアナリストは「鉄道に限らずホテル事業なども考慮すれば、2000円の価値はあると思う。しかし需給面は悪く、上場時の初値も値を下げて寄るのでは」とみている。投資顧問のファンドマネジャーも「経緯をみれば機関投資家は手を出しにくい」という。