日本システム技術、「誰もが知る課題解決企業」への転換を目指す 事業資産のシナジー・他社共創により市場と認知拡大へ
目次

平林卓氏(以下、平林):日本システム技術株式会社代表取締役社長執行役員の平林です。本日はお休みの方が大勢いらっしゃるかと思います。また、ご多用の中のところ、当社のIRセミナーにご出席いただき、ありがとうございます。
本日のご説明は、6部構成となっています。資料のボリュームがかなり多くなっているため、最後の6部目にAppendixとして詳細な資料を添付しています。お時間のある際にご確認いただければ幸いです。
本日の説明を通じて、当社に興味を持っていただき、投資判断の一助としていただければ幸いです。
企業情報

平林:会社概要です。当社は日本システム技術株式会社といい、お客さまやパートナーからは略称で「JAST(ジャスト)」と呼ばれています。
1973年3月に大阪で創業し、今年で創業53年目を迎える、完全独立系のソフトウェア開発会社です。
大阪で創業したため本店登記は大阪ですが、拠点としては大阪の中之島、東京の品川の2本社制を敷いています。
また、今年7月に品川にある東京本社を高輪ゲートウェイシティの「THE LINK PILLAR 2」というビルに拡張移転し、東京では高輪と品川の2拠点で運営する予定です。
従業員数については、昨年4月に新卒社員が東京と大阪を合わせて85名入社しました。単体では約1,200名、連結グループ全体では約1,700名を超える従業員数となっています。今年4月には、東京と大阪を合わせて103名の新卒社員が入社する予定です。
沿革

平林:沿革についてです。当社は、1973年に大阪で創業しました。
マーケット展開としては、2001年にジャスダック市場へ上場し店頭公開しました。2003年に東証二部上場、2017年には東証一部へ指定替え、そして2022年には計画より1年前倒しで東証プライム市場へ移行しました。
PURPOSE

平林:当社のパーパスについてです。創業当初は、まだハードウェアが主流で、姿・形の見えないソフトウェアの価値が十分に認識されていない時代でした。
「ソフトウェアがこれからの時代に大きな変革を起こす」という熱い思いを胸に、「情報化を創造し、提供することにより、社会に貢献する」という企業理念を軸に据えながら、社会やお客さまの課題解決に取り組んできました。
この53年の歴史を通じて、あらゆる業種や業界にソリューションを展開してきましたが、特に教育・医療・金融といった分野においては、現場に深く入り込み、ITを活用して課題を解決するという姿勢を貫いてきました。
その結果、当社は自社ブランド製品を開発し、現在では業界基盤を支える存在へと成長しています。
MISSION・VISION・VALUES(1/2)

平林:ミッションとビジョンについてです。ミッションについては「社会の課題解決にひたむきに取り組む」を掲げています。
「ひたむき」という言葉についてですが、1つ目はお客さまへの真摯な対応、2つ目は技術進歩への絶え間ない取り組みを表しており、この「ひたむき」という言葉が当社のカラーを最もよく表すものとして使用しています。
ビジョンについては「誰もが知る課題解決企業へ」です。これまで当社はあらゆる業界にシステムを提供してきましたが、BtoBの世界ということもあり、陰ながら社会を支える縁の下の力持ちとして捉えられることが多く、「知る人ぞ知る」という企業でした。
しかし、「誰もが知る」という言葉に私たちの思いが込められています。今後は活躍の場をさらに広げ、フロントサイドに立ちながら社会とコミュニケーションをとることで、課題解決に必要不可欠な会社としてお客さまや社会に認知されたいと考えています。
MISSION・VISION・VALUES(2/2)

平林:バリューについてです。1つ目は「経営理念」です。創業者であり現会長の平林武昭は石川島播磨重工業(現IHI)の出身です。約60年前の話になりますが、平林は当時の社長で「昭和の傑物」とも呼ばれた、メザシで有名な土光敏夫さんの最後の門下生として、質素倹約・質実剛健の教えを受けました。そのため、この考えが当社の経営理念の基盤となっています。
この経営理念が社員一人ひとりに浸透しているからこそ、当社は最も力を発揮し、お客さまからの信頼を得ていると考えています。
2つ目は「JAST DNA」です。社員に共通する性質を抽出することを意識し、「困ったお客さまを見過ごせない思い」「感謝に対する喜び」「ソフトウェア開発・技術革新そのものへの楽しさ」というモチベーションや、「様々な挑戦をいとわない姿勢」「良心にもとづく行動」という態度を貫いていきたいと考えています。
3つ目は「不易流行」です。これも当社が長い間受け継いできた日本の伝統的な思想です。
変えてはならない原理(不易)を守ることと、時代に応じた新しい変化(流行)を追求していくことを両軸におく重要性を述べた言葉です。
事業内容

平林:事業概要と強みについてです。当社は4つの事業セグメントを展開しています。
DX&SI事業は、お客さまの仕様や要求・要望に応じて、イチからシステムを受託開発する事業です。また、最近のメガソリューションと言われる「SAP」や「Salesforce」などのソリューションを活用しながら、お客さまの課題解決に結びつける事業となっています。
パッケージ事業は、DX&SI事業で長年にわたり開発を進める中で蓄積された知見やノウハウを駆使し、当社の自社ブランド製品としてオリジナルパッケージを展開している事業です。
具体的には、大学向けの統合パッケージシステム「GAKUEN」シリーズ、そして金融機関向けの情報系統合パッケージ「BankNeo」の開発・販売および導入サポートを行っています。
医療ビッグデータ事業は、医療情報データの点検や分析、およびそれに伴う関連サービスの提供を行っています。
最後にグローバル事業についてです。こちらは、アジア太平洋地域を中心としたグローバルDXビジネスを推進する事業です。DX&SI事業の海外版と捉えていただければよいかと思います。
スライド中央の円グラフは売上構成を示しています。DX&SI事業が主力で、全体の約60パーセントを占めています。パッケージ事業が20パーセント、医療ビッグデータ事業およびグローバル事業がそれぞれ10パーセント近くを占めており、これらは毎年このような割合で推移しています。
当社の強み

平林:当社の強みとして3点挙げています。1つ目は「人間力」です。当社はソフトウェア開発を行う企業として、姿・形がないものを作っています。そのため、土地や工場、大きな機械設備などを保有していません。すなわち、社員、つまり「人」が当社の資産であり財産です。
社員の人間力の研鑽と向上を最優先とするという信念に基づき、「人づくり」経営を創業時から実践しています。
その結果、経営理念が社員一人ひとりに理解され、浸透し、心の指針となっています。これにより、企業成長の原動力である情報技術への情熱や、お客さまに対する誠心誠意のサービス提供につながっていると考えています。
2つ目は「自社ブランド」です。これは先ほどご説明したパッケージ事業と医療ビッグデータ事業になります。こちらは、お客さま主体のDX&SI事業に加え、教育・医療・金融を中心とした領域で、自社ブランド製品の開発・展開を進めるものです。
同じSIerとして、DX&SI事業と自社ブランド製品をあわせ持っている会社はなかなかないため、これを当社の強みの1つと捉えています。
3つ目は「顧客基盤」です。当社は完全独立系の立場を堅持しており、一切の制約を受けず、自由な立場であらゆる業種・業界、技術分野に挑戦してきました。このような挑戦によって蓄積された成果と知見こそが、当社の技術力となり、強みにつながっています。
人間力

平林:「人間力」について少し詳しくお話しします。道経一体思想に基づき、創業時から理念先行経営を徹底しています。また、「人づくり」経営と「四方良し」の理念を掲げています。
1つ目のポイントは「プロジェクト完遂率100パーセント」です。こちらは獲得した信用を最大の財産と捉え、開発で請負ったシステムは、必ず最後まで納入することを心がけています。
2つ目は「高い顧客リピート率」です。この信頼により、技術力だけでなくシステム開発に対する誠実な対応がお客さまから非常に高く評価されています。その結果、90パーセント以上が継続取引となっており、近年この比率を維持しています。
3つ目は「従業員エンゲージメント」です。これは、社員やお客さまを含む他者への尊重を文化として浸透させている点です。社員同士の信頼関係も非常に強く、上司や役職に関係なく、チームとして仕事を支える体制が整っています。
これらの要因から、当社の離職率は業界平均である2桁パーセントを大きく下回り、毎年約6パーセント前後で推移しています。
DX & SI事業の概要(1/2)

平林:DX&SI事業の概要についてです。この事業は、完全独立系で地域や業種・業界に特化することなく、すべてのお客さまに多種多様なソリューションを展開してきました。
スライドに記載されているように、通信や製造などさまざまな業界に対して、さまざまなアプリケーションやお客さまの要望に応じたシステムを展開してきました。
DX & SI事業の概要(2/2)

平林:スライドにはシステム開発における大まかなプロセスを記載しています。上流工程の企画、設計から始まり、プログラミングや開発、テスト、運用へと進む流れで進めています。
当社ではこれまで、システム開発の最初の段階として、下流工程である開発、テスト、運用から取り組んでいました。しかし、昨今ではメガソリューションを含むサービス領域にも目を向けて、上流工程である企画、設計にも注力するようになっています。
このように、いわゆるコンサルテーションの領域にも新たに展開していることが、収益性の向上に寄与していると認識しています。
自社ブランド

平林:自社ブランドについてです。少し掘り下げてご説明すると、自社ブランドは先ほどご説明した4つのセグメントのうち、パッケージ事業と医療ビッグデータ事業の2つに該当します。
GAKUEN事業(1/2)-強み①「ワンストップサービスを提供」

平林:パッケージ事業の1つである「GAKUEN」シリーズは、大学向けに展開しており、大学事務業務や学生生活を総合的にサポートしています。
スライド中段に示されている「GAKUEN」シリーズでは、入試、教務、就職といった各コンポーネントが用意されています。
このシリーズは、学内の入試課や就職課といったセクションごとに対応するコンポーネントを用意しています。また、近年では奨学金の需要が増加していることを踏まえ、奨学金関連や、成績証明書、卒業証明書などの証明書を発行するためのコンポーネントも用意しています。
スライド上段に記載の「UNIVERSAL PASSPORT」は、大学生生活の4年間、あるいは6年間のキャンパスライフを充実させるためのコンポーネント群です。
学生向けのポータルシステムとして、学生へ情報発信を行います。例えば、休校情報や履修登録情報、あるいは学生一人ひとりの就職目標に応じてどのように授業を履修すればよいかといったアドバイスを提供します。そのような学生カルテ的な機能や、学生自身がインターネットを介して証明書を発行する機能も備えています。
これらは学内の事務効率化、そして学生に対してはキャンパスライフに焦点を当てていました。一方で、スライド右上に示されている卒業後の取り組みとして、学校と学生の関係が卒業を機に希薄になってしまうことへの対策として、アルムナイサービスである「ALUPA」を一昨年8月にリリースしました。
このシステムを通じて、卒業生と学校がコミュニティを築き、生涯学習にもつなげていくという、卒業後のコミュニケーションを支える仕組みとなっています。
GAKUEN事業(2/2)-強み②「業界トップシェア」

平林:「GAKUEN」事業の強みについてです。業界トップシェアを持つ事業であり、スライドの円グラフでシェアの比率を示しています。
日本の大学数は、4年制と短大を合わせて全国に約1,200校ありますが、その中で当社の「GAKUEN」シリーズを導入していただいている学校は累計で477校となります。
アクティブシェアは約27パーセントと、一定のシェアを獲得しています。ただし、首都圏を中心にまだホワイトスペースが残されていると認識しています。
円グラフにはA社、B社、C社、D社と記載していますが、社名については控えます。このような企業から、今後もシェア獲得を目指していきます。
直近では、旧帝国大学の東北大学にも導入していただき、後期にあたる一昨年の10月から本稼働しています。こちらに関しては、サブスクリプション形式で導入され、ノンカスタマイズかつノートラブルで運用に踏み切っていただきました。このことは、他の大学からも非常に大きな反響をいただいています。
この結果、他の旧帝国大学や地方の国立大学、関東・関西の大手私立大学からも非常に多くの引き合いをいただいています。
これまでのパッケージ導入では、各大学が当社のパッケージと現行の運用を比較する「Fit and Gap」を利用し、パッケージの機能が学校業務に合わない場合は外付けの機能でカバーする方法が主流でした。
しかし、東北大学では、職員が3,000名近くいるような大規模な大学でありながら、一切カスタマイズすることなく、いわゆる「Fit to Standard」でパッケージに運用を合わせました。その結果、「GAKUEN」自体がデファクト・スタンダード的な位置づけとして認識され、大きな流れを生み出したと考えています。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):こちらの「GAKUEN」事業の今後の成長戦略について簡単に教えていただけますか?
平林:業界トップシェアとはいえ、まだ約30パーセント弱というところで推移しています。他社が運用している部分、いわゆるホワイトスペースが当社にとっての成長余地として存在していますので、まずはそこを狙っていきたいと考えています。
それに加え、4年間のキャンパスライフだけでなく、卒業生をつなぐアルムナイサービスも展開しています。
また、昨年プレスリリースでも発表しましたが、学費納入に関して、従来は納入書を用いて銀行ATMから振り込む方法が一般的でしたが、キャッシュレス化を進め、カードでの振り込みやPayPayを利用した支払いが可能となるキャッシュレスサービスを開始しました。
さらに、各大学はさまざまなデータを持っているにもかかわらず、「このデータをどのように活用すればよいのか」といったことが課題となっていることもあり、多くの相談をいただいています。これに対応するため、昨年、データ分析においての第一人者である愛媛大学と協業を開始しました。
具体的には、「アーリーアラートシステム」という学生の休学や卒業不可などを察知し、ケアする仕組みについても、協業による分析で進めています。そして、このような機能を「GAKUEN」のパッケージに取り込み、事前に学生をサポートできるような施策を開始しています。
BankNeo事業(1/2)-強み①「業務に応じた多様な商品群」

平林:パッケージ事業の「BankNeo」についてご説明します。この事業は、地方銀行や信用組合、信用金庫を主要ターゲットとし、ニッチなサービスを展開しています。
提供しているサービスについてです。銀行取引に紐づく勘定系システムについては、すでに各金融機関で確立されています。そのため、それ以外の情報系や営業の生産性向上、業務効率化といった側面に重点を置いています。当社は、これらを補完するニッチな製品を開発し、提供しています。
BankNeo事業(2/2)-強み②「豊富な導入実績」

平林:その結果、現在ではメガバンク2行を含む計64行の銀行から採用いただいています。今後もメガバンクを含めた広いフィールドで、これまでどおりのコンセプトで成長を目指したいと考えています。
医療ビッグデータ事業(1/2)-強み①「多様なサービスメニュー」

平林:医療ビッグデータ事業の強みについてご説明します。こちらは当社の中で最も新しい事業で、2010年3月期にスタートしました。
内容としては、病院で診察を受けた際に、診療報酬明細書、いわゆるレセプトを受け取りますが、このレセプトには点数が記載されています。
これまで全国の点検業者が目検でチェックしていたレセプトを、当社はコンピューターで自動点検するサービスから事業を始めました。
その点検データが蓄積されることで、ビッグデータとしての価値を持つようになります。現在では、このビッグデータを活用し、さまざまなデータの分析や利活用といった新しいサービスが次々と派生しています。
当社も事業を開始した当初は、これほどまでに広がるとは想定していませんでしたが、結果的に、より高収益なサービスへと発展してきました。
医療ビッグデータ事業の源泉は、当社がIT企業であることの強み、データサイエンティストを含むデータ活用の専門人材、そして月間1,000万枚近くのレセプトから得られる医療ビッグデータを保有していることです。これらが当社の大きな強みとなっています。
医療ビッグデータ事業(2/2)-強み②「全保険者種別との取引実績」

平林:医療ビッグデータ事業のお客さまは、健康保険組合、共済組合、協会けんぽ、自治体、国民健康保険といった、いわゆる保険者と呼ばれる方々です。
取引実績としては、保険者の種別を問わず、業界トップクラスの500団体以上の保険者と取引きしています。
顧客基盤(1/2)

平林:顧客基盤についてです。スライドには、7年間の売上推移を棒グラフで示しています。当社は業種にこだわらず、多様な分野へ展開することで、好調な業績につながっています。
この要因の1つとして、当社は完全独立系であり、地域や業種・業界に特化せず、さまざまなお客さまに対してソリューションを提供してきたことが挙げられます。その結果、好不調の波に左右されることなくリスクをヘッジしてきました。
IT業界では「選択と集中」という方針のもと、特定の業界に絞ってソリューションを展開する企業が多く見られます。対象とする業界が好調であれば良いのですが、不調に陥った際には同様に業績が不調に陥る可能性があり、安定性に懸念が生じるかと思います。
顧客基盤(2/2)

平林:当社には、長期にわたりお付き合いいただいている大手の優良顧客基盤があります。
スライド左側の表では、プライム取引について示しています。当業界の特性として、ゼネコン業界と同様に多重下請け構造が存在します。当社も創業当初は3次請けや4次請けからスタートしました。
しかし、上場を契機にお客さまと直取引、いわゆるプライム契約が大幅に増加しました。直近では、プライム契約の比率が60パーセント近くまで上昇しています。
加えて、プライム契約の案件についてですが、以前は赤字工事が多い時期もありました。しかし、現在では成熟度が増し、手戻りなどのトラブルが減少しました。これが業績改善に非常に大きく影響していると考えています。
2025年3月期 前期実績(主要財務指標)

平林:業績推移についてです。直近期の業績は、売上高が約293億円、営業利益が約31億円、経常利益が約32億円となっています。
売上高は14期連続の増収および12期連続の最高値更新、営業利益は10期連続の増益および6期連続の最高値更新で着地しています。
2026年3月期 第3四半期実績(主要財務指標)

平林:2月13日に第3四半期の決算を発表しました。売上高は約228億円、営業利益は約26億円、経常利益は約27億円で着地しています。
売上高は前年同期比11パーセント増、営業利益は前年同期比28.5パーセント増、経常利益は前年同期比28パーセント増となり、増収増益で折り返しています。
坂本:売上高は14期連続増収、営業利益は10期連続増益という実績を積み上げられていますが、この継続的な成長の要因について教えてください。
平林:繰り返しになりますが、当社は完全独立系であり、さまざまな業種・業界にシステムを展開してきました。
これにより業界の好不調に影響されることなく、相互にヘッジしながら安定的な業績を構築してきたことが1つの要因です。
また、プライム取引が大きく増加し、その成熟度も高まっています。さらに、コロナ禍以降、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関わる案件が増加しました。
DX&SI事業のプロセスにおける、下流工程から上流工程へ結びつく案件も増加しており、これが高収益の体系につながっています。
加えて、自社ブランド製品のパッケージ事業と医療ビッグデータ事業においても、それぞれ収益を生み出せる安定した基盤が整備されました。これらが重なり合い、現在の業績につながっていると考えています。
2026年3月期 第3四半期実績(セグメント別)

平林:セグメント別の状況です。DX&SI事業、パッケージ事業、医療ビッグデータ事業の3事業は非常に堅調に推移しており、前年同期比で2桁、またはそれに近い水準で増収増益を続けています。
一方、グローバル事業は、業績を牽引していたマレーシアのVirtual Calibre社が、顧客の業績低迷による情報化投資の抑制や単価低減による受注減少の影響で、減収減益の状況となっています。
2026年3月期業績予想

平林:進行期も残り1ヶ月ですが、売上高320億円、営業利益、経常利益ともに約36億円の計画で、増収増益および過去最高益の更新を見込んでいます。
第3四半期時点でも堅調に推移しており、最後の1ヶ月でさらなる追い込みをかけ、業績につなげる努力をしています。
目次

平林:全社の今後の戦略として昨年3月末にリリースした「JAST VISION 2035」 についてです。
当社は創業から53年になりますが、このような長期ビジョンの策定とリリースは初めての試みです。今回リリースしたビジョンは、あくまでも概要部分になります。
このビジョンに基づく中期経営計画は、次年度である2026年4月からスタートする予定です。現在、計画の最終段階にあり、ほぼ完成に近い状態です。対外的にリリース可能な準備が整い次第、あらためてご説明の場を設けたいと考えています。
自社の置かれている環境

平林:自社を取り巻く環境についてです。外部環境としては、少子高齢化や地方創生といった社会課題の先進国という立場で、日本を捉えています。
また、生成AIなどの技術革新も、今後当社にとってポジティブに働く見込みです。さまざまなAIがSaaSを取り込むことでこの業界に大きな影響を与えるという話もありますが、当社としてはシステム開発の効率化に焦点を当てながら、事業を進めていきたいと考えています。
内部環境については、創業から50年で培った企業文化や人材、技術力といった経営資源を最大限に活用することが非常に重要だと考えています。
財務基盤も非常に堅調に推移しており、これをうまく活用することが、これまでとは異なる成長速度を実現するポイントになると認識しています。
めざすポジショニングと変革の方向性

平林:めざすポジショニングと変革の方向性についてご説明します。「誰もが知る課題解決企業になる」ということで、当社は、多くのお客さまから信頼を頂戴してきました。
しかしながら、BtoBという特性上、「知る人ぞ知る」といった点で認知度が広がらず、世界が非常に限定された状況にありました。
これからはBtoB市場だけでなく、BtoCも視野に入れて、より一層コンシューマーを意識し、対話の機会を設けていきたいと考えています。
ソフトウェア業界やIT業界では、認知度向上のために最近テレビCMなど、さまざまなメディアに出稿する企業も多く見られますが、私たちが目指すのは、単にメディアを通じて会社の名前を知ってもらうことではありません。
当社がどのような社会課題に向き合い、お客さまや社会に対して貢献し、解決策を提供しているのかを正しく発信し、認知度を高めていきたいと考えています。
そのような思いを込めて、「誰もが知る課題解決企業になる」を、あるべき姿として設定しました。
戦略ドメインの定義

平林:戦略ドメインの定義についてです。スライドの表は、縦軸に市場・顧客、横軸に製品・サービスを配置し、それぞれを既存と新規に区分けしてカテゴライズしています。
これまで培ってきた製品やサービスに関する知見を最大限に活用し、新しい市場としての多角化を目指します。また、他社との共創を含め、BtoC市場を含むサプライチェーン全体でのサービス提供を進めていきたいと考えています。
これらの新しい市場や産業分野に対し、垂直的にサービスを展開することで、多岐にわたるサービスを提供できると考えています。
昨今よく取り上げられる農業の課題や地方の過疎化なども、この枠組みに含まれると捉えています。それらの課題を当社が解決していくため、「戦略ドメイン」という新しい枠組みの定義を進めていきたいと思います。
目標とする事業規模

平林:数値目標についてお話しします。2035年の最終到達点として、グループ全体で売上高1,000億円を目指していきます。
スライドの棒グラフの青色部分には「700億円から800億円」と記載されています。これは現業領域の延長線上で達成可能ではないかと考えています。
しかし、目標である1,000億円に到達するためには、あと200億円から300億円が不足すると予測しています。そのため、戦略ドメインという新たな領域を構築し、これから成長させていく必要があると考えています。
現業において、今期の着地見込みとしては約320億円の売上高を狙っています。これと同等の規模の売上が見込めるドメインを新たに作ることで、社会から認知される存在を目指していきたいと思っています。
坂本:こちらの長期ビジョン「JAST VISION 2035」をこのタイミングで発表された背景や狙いについて、一部触れていただきましたが、さらに詳しく教えていただければと思います。
平林:当社は、今年で創業53年目を迎えます。3年前の50周年記念では「第二の創業」というテーマを掲げました。その時点から、新しい体制と取り組みを意識していかなければならないと考えてきました。
ただ、正直なところ、当社は長期ビジョンをこれまで作成したことがありませんでした。そこで、まずは大きな目標を掲げ、それを中期経営計画や単年度予算に落とし込む流れを整備することから始めました。
これまでも中期経営計画は策定していましたが、それは各事業体がまとめた数字を単に合算し、最終的に予算を達成するかたちでした。
新しいビジョンでは、大まかな数字となりますが、まず1,000億円の売上を目標に掲げました。この目標を達成するために、どのような事業体であるべきか、あるいはどのように事業体を再編すべきかを意識しながら、3ヶ年の中期計画を含め、進めていきたいと考えています。
50周年を機に掲げた「第二の創業」と新しい体制も含め、そのようなタイミングでこのような新たな発信を行っていきたいと思っています。
株主還元策

平林:株主還元についてです。みなさまが最も注目している点ではないかと思います。
配当政策については、配当性向30パーセント、または株主資本配当率(DOE)4パーセントを目安とした数値目標を設定し、累進配当を目指しています。
今期の1株当たりの配当金は35円を予定しています。また、今期から、個人投資家の方々から多くの要望をいただいていた中間配当を初めて導入しました。
中間配当は11円を実施しており、期末配当は24円を予定していましたが、昨日の取締役会にて、今期の期末配当を10円増配することを決議し、リリースしました。この結果、期末配当は34円を予定しています。
中間配当に併せて中間優待も実施しており、すでに「QUOカード」1,000円分を配布しています。
キャッシュアロケーション

平林:キャッシュアロケーションについてです。
当社は無借金経営を続けており、財政状態は盤石です。一方で、手元資金がかなり積み上がってきていることから、有効な配分計画を策定していく必要があると考えています。
適正水準の必要運転資金を確保しつつ、株主のみなさまへの還元を差し引いた分を成長投資枠として、M&A、研究開発、人材開発に配分したいと考えています。
キャッシュフローアロケーションについては、2026年度から始まる中期経営計画の中で、配当政策を含めた施策を検討している段階です。これにより、株主のみなさまへの還元をさらに充実させられるよう進めています。
中期計画が固まり次第、あらためてご説明する場を設けたいと考えています。
資料のボリュームが多く、駆け足の説明となり、理解しづらい点もあったかと思いますが、以上でご説明を終了します。ありがとうございました。
質疑応答:成長投資におけるM&Aの視野と展望について

坂本:成長投資の中にM&Aがありますが、お話できる範囲でかまいませんので、M&Aが視野に入っているのかも含めて教えていただけたらと思います。
平林:長期ビジョンの売上高1,000億円を達成するために、現業領域で700億円から800億円、残りの戦略ドメインで200億円から300億円ほどを目指しているとお伝えしましたが、当然、それらを達成するためには、M&Aは必要不可欠であると捉えています。
中期経営計画も含めて検討段階にあるため、詳しいことは控えます。ただし、教育・医療・金融といった分野において、当社はすでにかなり踏み込んだ展開を行っています。
そのため、より深く制度産業にアプローチしていくためには、当該分野においてもM&Aを意識して取り組む必要があると考えています。
もちろん、手元からゼロベースで開発し、それらの事業・サービスを展開することも選択肢の1つですが、現在のようなスピードが求められる時代では、ゼロベースでの開発には相応の時間や人手が必要です。
このような理由から、M&Aを活用して補完しつつ、各制度産業により深く切り込んだかたちでのM&Aを検討していきたいと考えています。
平林氏からのご挨拶
平林:本日は説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。経営理念などについて長々とお話ししてしまいましたが、当社は経営理念を非常に大切にしています。
IT業界は華やかに見られがちな業界ではありますが、当社は昭和的ともいえる経営理念を重視しています。しかしながら、最先端の技術に先行投資し、取り組むことで、不易流行の精神を持ち、さらなるDXをリードしながら、両利きの経営を目指していきたいと考えています。
先ほどもお伝えしましたが、AIの台頭によりこの業界が飲み込まれてしまうのではないかという懸念から、第3四半期の決算発表後に株価が2,570円前後で推移していたものの、現在では700円から800円ほど低下しています。
その点について、みなさまはご不安を抱かれているかと思います。しかし、当社はAIをこれからうまく活用していきます。したがって、当社の事業がAIに飲み込まれてしまうことはありません。
効率化を進めながら、AIを含め、お客さまに適切なソリューションやサービスを展開していくことを目指していきます。
本日のご説明を通じてご理解いただいた点を引き継ぎながら、これからも当社にご興味を持ち、ご支援いただければ幸いです。本日はどうもありがとうございました。
追加質問への回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:社員の年齢構成について教えてください。
回答:単体ベースの内訳は、20代が約40パーセント、30代が約25パーセント、40代が約20パーセント、50代が約10パーセント、残りが60代となっています(3月1日時点)。
<質問2>
質問:新たな社員教育を模索しているまたは決定事項は何かありますか?
回答:新たなものとしては、サクセッション・プランの一環として執行役員、事業本部長および事業部長を対象として行うアセスメントがあります。他には、管理職向けの教育パッケージです。当社では、管理職のことを組織支援職と呼んでいるのですが、「組織を支援し、成果を創出する」役割を担う組織支援職が身に付けるべきマネジメントの体系知識と、当社DNAを受継ぐ理念教育の内容をひとまとめにしたものです。
<質問3>
質問:21ページにある顧客基盤の中で、国外企業の数字が前期比3パーセント減となっています。あえて国外を減らし国内企業のほうを取りに行ったのでしょうか? 背景をうかがえればありがたいです。
回答:意図して国外を減少させた訳ではありませんが、グローバル事業の減収により国外企業の比率が減少しました。
<質問4>
質問:BankNeo事業に関して、採用金融機関は今後どのくらい増加するとみているのでしょうか?
回答:今月末時点で68社となる見込みです。その後は、毎年5社程度のペースで増やしていきたいと考えています。
<質問5>
質問:富士通とはどんな取引きがメインなのでしょうか?
回答:富士通グループとの取引きは、DX&SI事業と医療ビッグデータ事業です。DX&SI事業では、いくつかの異なる業種・分野で取引関係がありますが、金融業界向けの情報システムの基盤移行やSAP関連の案件などが多いです。医療ビッグデータ事業では、自治体向けの生活保護版レセプト管理システムの提供で協業関係にあり、自動点検システムであるRezeptPlusを当社が開発しています。
<質問6>
質問:自己資本比率が上昇してきていますが、どこまで高めていくのでしょうか?
回答:目標値は定めていません。これまでは余剰資金が積み上がり自己資本比率が上昇していましたが、今後は効率性やキャッシュ・アロケーションをもっと配慮する考えです。次年度の早い時期に中期経営計画を公表する予定ですので、その中で方針をお示しできればと思います。
関連銘柄
| 銘柄 | 株価 | 前日比 |
|---|---|---|
|
4323
|
2,073.0
(15:30)
|
+65.0
(+3.23%)
|
関連銘柄の最新ニュース
-
03/05 11:04
-
03/03 05:30
-
03/02 09:38
-
02/27 17:00
新着ニュース
新着ニュース一覧-
今日 22:50
-
今日 22:20
-
今日 22:13
-
今日 22:12
