トピー工業、ホイール・自動車部品事業が収益牽引 構造改革と持続可能な販売価格形成を進行

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最新投稿日時:2025/12/12 15:00 - 「トピー工業、ホイール・自動車部品事業が収益牽引 構造改革と持続可能な販売価格形成を進行」(ログミーファイナンス)

トピー工業、ホイール・自動車部品事業が収益牽引 構造改革と持続可能な販売価格形成を進行

投稿:2025/12/12 15:00

ログミー IR Meet 2025 出展企業対談

1UP投資部屋Ken氏(以下、Ken):個人投資家のKenです。ログミーIRMeet2025を始めます。本日は、トピー工業株式会社の河村さまにご登壇いただいています。

まず、御社の事業やビジネスモデルについて教えてください。

会社概要・事業の全体像

河村美保氏(以下、河村):トピー工業株式会社総務部広報・IR室長の河村美保です。まず、会社の概要についてお話しします。当社は、東証プライム市場と名証プレミア市場に輸送用機器カテゴリーで上場しているメーカーです。

事業内容としては、鉄鋼事業、ホイール・自動車部品事業、建設機械用足回り部品事業と、大きく3つに分かれています。従業員数は連結で約5,300名です。

Ken:非常に多いですね。

河村:そうですね。当社はグローバルに展開しており、グループ会社は30社以上あります。売上規模は連結で約3,000億円です。創業は1921年で、今年で104年目を迎える100年企業です。

本社は東京都の大崎に所在しています。売上の構成としては、ホイール・自動車部品事業が約半分、鉄鋼事業が30パーセント強、建設機械用足回り部品事業が約15パーセント、残りはその他の事業となっています。

Ken:商流としては、民間から一度購入する流れになるのでしょうか? 

河村:材料を調達するという部分ですね? 

Ken:はい。

河村:まず、スチールホイールについては、製品の多くは購入した鋼材を使って製造しています。ただし、一部は自社製鋼材を使用しています。例えば、建設機械用足回り部品や、鉱山で使用される超大型ホイールなどがそうです。

Ken:非常に大きいホイールですよね。 

河村:はい。大人の背丈ほどの直径のとても大きなホイールです。こちらも自社製鋼材を使用して製造している製品です。

Ken:承知しました。利益や売上の構成についてもう少しうかがいます。ホイール・自動車部品事業が主力という認識でよろしいでしょうか? 

河村:そうです。

ホイール・自動車部品事業:足元の好調要因

Ken:どのような環境で売上が伸びたり利益が改善したりするのか、現在の状況も含めて教えていただけますか?

河村: ホイール・自動車部品事業については、一昨年頃から、「持続可能な販売価格の形成」といって、製品の価値を認めていただいて適正な価格で販売する取り組みを進めています。この活動によってしっかりと利益を確保できる体質になっています。

また、2024年度第1四半期は自動車メーカーの認証不正問題の影響で販売数量が大きく落ち込みましたが、2025年度についてはその反動増もあり、販売数量は回復しています。このような点が現在のプラス要因となっています。

Ken:メーカーについては、どこ向けが多いか公表していますか? 

河村:顧客別売上高は公表していませんが、有価証券報告書で公表しているとおりトヨタ自動車向けが一番多いです。

Ken:わかりました。利益率もかなり改善しているということでしょうか? 

河村:そうですね。

Ken:これまでは「かなり厳しいものの、相手は大手企業なので多少利益が少なくてもがんばろう」という状況もあったということでしょうか?

河村:業界の慣習として、部品メーカーから値上げを求めるのはこれまで非常に難しかったのですが、パートナーシップ構築宣言などの後押しもあり、最近は業界全体の流れがかわってきています。

なお、先ほどトヨタ自動車向けが多いとお話ししましたが、当社は独立系のメーカーであるため、国内の主要自動車メーカーすべてと取引しており、リスク分散ができている点も強みだと考えています。

利益水準とROE目標/中計の位置づけ

Ken:現在の利益水準については、全社で見ると、2026年3月期第2四半期の粗利は15パーセント程度かと思います。今後、利益率はどのような推移となりそうでしょうか? また「このぐらいの水準は守っていきたい」という具体的な見通しはありますか? 

河村:利益率ではないのですが、本年5月に発表した新中期経営計画において、2027年度にROE6.0パーセント以上という目標を掲げています。その水準に達するためには、営業利益130億円の確保が必要であるため、こちらが1つの目安となると考えています。

Ken:ありがとうございます。また、今後の成長戦略について教えてください。

河村:新中期経営計画は、1年前倒しで今年度からスタートしました。この中期経営計画は、次期中期経営計画に向けた構造改革と成長への種まきフェーズと位置づけています。

ROE6.0パーセントはまだそれほど高い水準ではありませんが、まずは構造改革と持続可能な販売価格の形成を通じ、足元をしっかりと固める3年間と考えています。

また、海外事業の再構築にも取り組んでいます。特にアメリカの事業はしばらく苦戦してきましたが、少しずつ改善の傾向が見えてきています。このような面でも利益をしっかりと確保するための取り組みを進めています。

Ken:わかりました。また、御社はフリーキャッシュフローを十分に出している印象があります。もちろん多少は投資されていると思いますが、御社は投資をあまり必要としないビジネスモデルなのでしょうか?

河村:成長のために投資は必要だと思っています。しかし、これまでは構造改革にリソースが必要だったため、成長投資が十分に行えていなかったという認識です。

Ken:もちろん借り入れなどもある程度あるとは思いますが、現金がかなり貯まっていくという感じでしょうか?

河村:成長投資については、前中期経営計画ではあまり行えなかった部分もあるため、新中期経営計画では計画していることをしっかりと実行していく予定です。

また、人への投資という面では、福利厚生などに力を入れていこうと考えています。これまでなかなか実行できていませんでしたが、例えば寮・社宅制度の見直しや製造所の厚生施設の更新など、福利厚生面をしっかりと整備しようとしています。

Ken:使いづらいと、なかなか活用が進まないというのはありますよね。

ひとまずここまででいただいているイメージに沿ってお聞きします。社長や社内について「うちの社長や社内はここがおもしろい」「ここが他の会社と違う」と感じる点はありますか?

投資家視点で見た場合に、例えば安定しているなど、いろいろあるかと思います。

例えば、もともとROEは4パーセント台だったと思いますが、そこから改善してきている点について、小さいながらも変化が見られるのでしょうか? 

河村:今期から始めた新中期経営計画においてもさまざまな取り組みを計画しており、その成果が少しずつ着実に出てきていると思います。

Ken:足元の利益率もかなり改善しており、計画より上振れているように感じます。

河村:2025年度第2四半期については、計画に対して上振れの結果となりました。ただし、下期はまだ見通せない部分があり、通期の計画は据え置いています。

Ken:現時点では、社内計画よりも良い水準ですね。

河村:そのとおりです。

鉄鋼事業:市況・需給と課題

Ken:次にうかがいたい点として、鉄鋼事業は現在どのような状況でしょうか? 他の鉄鋼会社の方々に取材したところ、今年の前半は中国との価格競争が厳しかったとうかがいました。その後、中国の規制などの影響で中国からの供給が減り、状況が少し改善したように思っています。

河村:中国材流入の影響については、現時点では限定的であると考えています。当社の場合、国内鋼材需要の低迷が大きく影響しています。人手不足により国内の建設案件が停滞している状況です。

建物を取り壊したり新たに建設したりという需要は多くあると思いますが、人手が不足しているためになかなか進まない状況があり、鋼材需要そのものがかなり落ち込んでいます。

Ken:ゼネコン各社でも工期の遅れがありますよね。その結果、P/Lに反映されないケースも多いと思います。

河村:おっしゃるとおりです。おそらく今後も早期の改善は難しい状況なのではないかと思っています。当社としては、原材料である鉄スクラップとの価格と販売価格との値差をしっかりと確保することが非常に重要となるため、その取り組みを徹底して行っています。

また、昨年は設備トラブルにより、出荷したいものが出せていない状況もありました。現在は、修繕などを通じて改善を進めており、今後は生産性を高めていきます。

株主還元とキャピタルアロケーション

Ken:次に、株主還元やキャピタルアロケーションについて教えてください。ROE6.0パーセントを掲げ、自社株買いも含めて進めていくとお聞きしています。この点に関する考え方について教えてください。

河村:新中期経営計画では、DOE2.5パーセントを意識した累進配当を新たに導入しています。また、自社株買いについては機動的に行っていく考えです。

Ken:DOEを導入された背景としては、配当が安定していたほうが株主にとっても好ましく、株価のボラティリティも抑えられるという狙いがあるのでしょうか?

河村:おっしゃるとおりです。過去には事業環境によって利益が変動し、それによって配当額も変動してしまうケースが生じていました。安定した還元を実施することで、投資家のみなさまに安心して投資いただける環境を整えることを考えました。

外部環境リスク:関税・半導体需要

Ken:事業環境に関連しておうかがいします。「今後このような状況になると御社は厳しい」という状況はありますか? もちろん、日本の自動車メーカーの販売が低迷すると厳しい状況になると思いますが、その点はいかがでしょうか?

河村:直近では、関税の影響を大きく懸念していました。日本の自動車メーカーの輸出台数が減少するなどの影響が出た場合、当然ホイールの需要にも影響を及ぼします。ただし、今後については不透明な部分はあるものの、現時点ではそれほど深刻な状況ではないと考えています。

また、建設機械用の足回り部品に関しては、7年周期ぐらいで需要の波があると言われており、昨年あたりが需要の底とされていました。

Ken:昨年が底で、一番需要が少ない時期だったのでしょうか? 

河村:そうです。ただし、7年周期で動くのであれば、そろそろ回復してもよい頃だと思っていますが、この低迷が予想以上に長引いている状況です。

回復の兆しが見えつつありますが、引き続き環境を注視していく必要があると思っています。

Ken:底が長引いているのは、部品がまだ使えるから使い続けているというケースが多いからでしょうか?

河村:買い替えサイクルの影響もありますが、景気動向にも左右されます。アメリカやインドネシアなどで建設機械の需要が減少しています。

Ken:わかりました。投資家としては、業績としても利益率が改善してきている中、現在はROEの改善にも取り組んでいらっしゃって、利益面とバランスシート面の両方でがんばっていこうとしている状況と理解しています。足元の状況もそれほど悪くないという感じでしょうか? 

河村:ご理解のとおりです。

Ken:ありがとうございます。承知しました。配当利回りもけっこう高いですよね。現状としては、PBR1倍割れをどうするかという点がROEと結びついていて、2030年を目途に改善に取り組まれているという理解でよろしいでしょうか? 

河村:おっしゃるとおりです。まずはROE6.0パーセント、次にROE8.0パーセントを目指して進めていきます。そのために、現在は足元での構造改革や成長のための種まきを行っています。また、市場理解を醸成するために、このようなIR活動による情報発信の強化も重要だと考えています。

Ken:機関投資家からの質問で多いものはありますか? 特に投資家の方が気にされていることや、取材時に毎回聞かれることなどはありますか? 

河村:関税の影響についてはほぼ毎回聞かれる内容だと思います。下期のリスクとして関税や半導体に関するご質問をいただいたりすることもあります。

Ken:半導体不足に関しては、本田技研工業向けビジネスなどが厳しい状況にありますか?

河村:すでに一部解消に向かっており、回復しつつあるという話を聞いており、現時点では大きな影響は想定していません。

Ken:御社のホイールは、新車向けがメインなのでしょうか?

河村:はい。当社が手がけているのはOEM向けの新車用ホイールです。ただし、鉱山機械用ホイールについてはアフターマーケットにも注力しており、この分野では一部市販にも取り組んでいます。

また、グループ内には市販品を扱っている商社もありますが、基本的にはOEMが中心と理解していただければと思います。

Ken:最後に、投資家のみなさまへのメッセージやお伝えしたいことがあればお願いします。

河村氏からのご挨拶

河村:現在、新しい中期経営計画がスタートし、着実に実績が出てきていることをお話ししました。新中期経営計画期間は構造改革と種まきフェーズとして、しっかりと足元を固め、次の中期経営計画の時期に芽が出てくることを楽しみにしていただければと思います。

2030年度にROE8.0パーセント以上という姿を見据えて、2027年度経営目標であるROE6.0パーセント以上達成に向けて取り組んでいきたいと考えています。

配信元: ログミーファイナンス

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