*11:46JST サクシード Research Memo(6):前年同期(単体)比で増収増益と非常に順調な決算
■サクシード<9256>の業績動向
1. 2026年3月期中間期の業績動向
2026年3月期中間期の業績は、売上高が1,988百万円(前年同期比11.1%増)、営業利益が253百万円(同7.6%減)、経常利益が254百万円(同7.4%減)、親会社株主に帰属する中間純利益が172百万円(同7.4%減)となった。みんがくのM&A費用が連結業績のマイナス要因となったが、自治体向けが想定以上、その他は想定通りの進捗だったため、単体ベースの比較では想定をやや上回り増収増益となった模様である。
教員不足や教員の長時間労働といった課題改善に向け様々な改革が行われており、部活動改革では、部活動の地域移行や外部人材の活用など進められるようになった。特に2025年度までを改革推進期間と位置付けていることから、足元で私立学校や地方自治体による運営委託が増加の一途にある。教育現場のDXでは、2024年度から2028年度までAIを活用して個別に最適化された学習を提供する「NEXT GIGA」計画を展開している。加えて、学校現場における生成AIの適切な利活用のため、2024年12月に「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」が文部科学省から公表され、2025年6月には教員の業務負担の軽減とAIを活用した個別最適化学習を実現するため、教育現場のデジタル化を推進する道筋となる「教育DXロードマップ」が4省庁から公表された。
文部科学省によると公立学校に在籍する外国人児童の生徒数が10年で6万人以上増加して約14万人となった模様で、これに伴い日本語学習の支援を必要とする児童生徒も増加、外国人児童向け学習塾運営委託など日本語学習の教育体制の強化が求められている。学習塾業界においては、少子化による市場縮小のなか、大学入試改革などの教育制度改革が進んでおり、高質な教育サービスなど顧客ニーズが多様化している。このため、優秀な人材による高質なサービスを提供できる個別指導塾へのニーズが増している。福祉業界においては、保育士不足や「小1の壁」問題の深刻さが増しており、学童保育の需要が高まっている。このため、保育士や学童支援員の確保が急務であり、学童施設の強化も求められている。
このように同社の事業領域では高い水準で人手不足が続いており、売上面では、部活動指導員や学内塾をはじめとした教員の労務環境改善の需要が旺盛だった。自治体の動きも活発化しており、同社の事業領域に該当する案件のプロポーザルや入札が増えている。また、自治体案件は通常1月〜3月に翌年度開始案件が決定することが多いが、今期については年度が変わってから急遽受注するなど、想定以上の速さで動き出した。一方、利益面では、成長戦略に即して、個別指導教室の設備投資や人的投資、家庭教師の教師募集費用、人材サービスの営業規模拡大に伴う広告費や人材募集費用などを強化、必要な先行投資を積極的に進めた。この結果、単体業績は増収増益となった模様である。なお、連結では、M&A関連費用などみんがくのコストがマイナス要因となった。
人材サービスが自治体向けに拡大
2. 事業セグメント別業績動向
2026年3月期中間期の事業セグメント別業績は、教育人材支援事業が売上高713百万円(前年同期比18.6%増)、セグメント利益165百万円(同19.5%増)、福祉人材支援事業が売上高313百万円(同12.2%増)、セグメント利益95百万円(同34.7%増)、個別指導教室事業が売上高721百万円(同8.0%増)、セグメント利益164百万円(同4.9%減)、家庭教師事業が売上高217百万円(同9.3%減)、セグメント損失5百万円(前年同期は4百万円の利益)となった。また、その他(大半がみんがく)は、売上高が21百万円、セグメント損失が34百万円となった。
教育人材支援事業において、自治体から受注した学習支援、部活動の運営受託、塾講師の紹介・派遣などのサービスが拡大した。特に学習支援事業は、1件あたりの受注規模が拡大したうえ、複数の自治体から期中の追加受注も含めて獲得した。部活動の運営受託サービスでは、私立学校だけでなく、比較的大きな自治体からまとまった受注も獲得した。学習塾への塾講師の紹介・派遣事業では、人材不足を背景に大手学習塾を中心に需要が高水準で推移した。福祉人材サービスにおいては、学校介助員の派遣サービスが大都市圏以外の地域でも順調に伸びた。また、手数料率の改定を積極的に進めたほか取引先の賃上げもあって、1件当たりの手数料収入が伸びて収益性が向上した。需要拡大に伴い、営業人員確保に向けた採用活動を強化した。
個別指導教室事業においては、2025年6月には「相模原校」を開講し、順調に校舎数を増やした。夏期講習や定期テスト対策、夏期集中講座の受講者が増加したことに加え、受験生中心に2024年夏季から始めた集団授業型夏季講習が生徒のマンネリ打破や収益性改善に効果があった。また、関西や中京など新規エリアを含めて個別指導教室のニーズ調査分析を開始した。「ペンタスキッズ」については、集客時期が入学前に限られるため、需要の強い首都圏ベッドタウンで新たな立地を精査しているところである。家庭教師事業は、前期の受験生割合が高く卒業による退会が多くなったため期首会員数は前期末を下回った。対面型の業況は厳しかったもののオンライン型が好調で、会員の増加人数は前年同期を上回った。一方、教師の募集費用や東海支社開業に伴う費用など先行投資が発生した。
新たにM&Aしたみんがくは、第2四半期3ヶ月だけの業績寄与になるが、「スクールAI」利用者数(無料トライアル期間中ID含む)が12万人を超えるなど大幅に増加した。一方、立ち上げ費用やのれん償却の発生、先行的なシステム開発による業務委託費などが増加し、営業損失となった。トピックとしては、「スクールAI」が「e-Learning大賞最高賞(総務大臣賞)」を受賞したほか、「赤本」の教学社と提携して生成AIで小論文の指導をする「赤本AI」の実証実験を開始した。今後、個別対応と相性のよいAI技術を、赤本と相性のよいオンライン家庭教師に生かしていく方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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1. 2026年3月期中間期の業績動向
2026年3月期中間期の業績は、売上高が1,988百万円(前年同期比11.1%増)、営業利益が253百万円(同7.6%減)、経常利益が254百万円(同7.4%減)、親会社株主に帰属する中間純利益が172百万円(同7.4%減)となった。みんがくのM&A費用が連結業績のマイナス要因となったが、自治体向けが想定以上、その他は想定通りの進捗だったため、単体ベースの比較では想定をやや上回り増収増益となった模様である。
教員不足や教員の長時間労働といった課題改善に向け様々な改革が行われており、部活動改革では、部活動の地域移行や外部人材の活用など進められるようになった。特に2025年度までを改革推進期間と位置付けていることから、足元で私立学校や地方自治体による運営委託が増加の一途にある。教育現場のDXでは、2024年度から2028年度までAIを活用して個別に最適化された学習を提供する「NEXT GIGA」計画を展開している。加えて、学校現場における生成AIの適切な利活用のため、2024年12月に「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」が文部科学省から公表され、2025年6月には教員の業務負担の軽減とAIを活用した個別最適化学習を実現するため、教育現場のデジタル化を推進する道筋となる「教育DXロードマップ」が4省庁から公表された。
文部科学省によると公立学校に在籍する外国人児童の生徒数が10年で6万人以上増加して約14万人となった模様で、これに伴い日本語学習の支援を必要とする児童生徒も増加、外国人児童向け学習塾運営委託など日本語学習の教育体制の強化が求められている。学習塾業界においては、少子化による市場縮小のなか、大学入試改革などの教育制度改革が進んでおり、高質な教育サービスなど顧客ニーズが多様化している。このため、優秀な人材による高質なサービスを提供できる個別指導塾へのニーズが増している。福祉業界においては、保育士不足や「小1の壁」問題の深刻さが増しており、学童保育の需要が高まっている。このため、保育士や学童支援員の確保が急務であり、学童施設の強化も求められている。
このように同社の事業領域では高い水準で人手不足が続いており、売上面では、部活動指導員や学内塾をはじめとした教員の労務環境改善の需要が旺盛だった。自治体の動きも活発化しており、同社の事業領域に該当する案件のプロポーザルや入札が増えている。また、自治体案件は通常1月〜3月に翌年度開始案件が決定することが多いが、今期については年度が変わってから急遽受注するなど、想定以上の速さで動き出した。一方、利益面では、成長戦略に即して、個別指導教室の設備投資や人的投資、家庭教師の教師募集費用、人材サービスの営業規模拡大に伴う広告費や人材募集費用などを強化、必要な先行投資を積極的に進めた。この結果、単体業績は増収増益となった模様である。なお、連結では、M&A関連費用などみんがくのコストがマイナス要因となった。
人材サービスが自治体向けに拡大
2. 事業セグメント別業績動向
2026年3月期中間期の事業セグメント別業績は、教育人材支援事業が売上高713百万円(前年同期比18.6%増)、セグメント利益165百万円(同19.5%増)、福祉人材支援事業が売上高313百万円(同12.2%増)、セグメント利益95百万円(同34.7%増)、個別指導教室事業が売上高721百万円(同8.0%増)、セグメント利益164百万円(同4.9%減)、家庭教師事業が売上高217百万円(同9.3%減)、セグメント損失5百万円(前年同期は4百万円の利益)となった。また、その他(大半がみんがく)は、売上高が21百万円、セグメント損失が34百万円となった。
教育人材支援事業において、自治体から受注した学習支援、部活動の運営受託、塾講師の紹介・派遣などのサービスが拡大した。特に学習支援事業は、1件あたりの受注規模が拡大したうえ、複数の自治体から期中の追加受注も含めて獲得した。部活動の運営受託サービスでは、私立学校だけでなく、比較的大きな自治体からまとまった受注も獲得した。学習塾への塾講師の紹介・派遣事業では、人材不足を背景に大手学習塾を中心に需要が高水準で推移した。福祉人材サービスにおいては、学校介助員の派遣サービスが大都市圏以外の地域でも順調に伸びた。また、手数料率の改定を積極的に進めたほか取引先の賃上げもあって、1件当たりの手数料収入が伸びて収益性が向上した。需要拡大に伴い、営業人員確保に向けた採用活動を強化した。
個別指導教室事業においては、2025年6月には「相模原校」を開講し、順調に校舎数を増やした。夏期講習や定期テスト対策、夏期集中講座の受講者が増加したことに加え、受験生中心に2024年夏季から始めた集団授業型夏季講習が生徒のマンネリ打破や収益性改善に効果があった。また、関西や中京など新規エリアを含めて個別指導教室のニーズ調査分析を開始した。「ペンタスキッズ」については、集客時期が入学前に限られるため、需要の強い首都圏ベッドタウンで新たな立地を精査しているところである。家庭教師事業は、前期の受験生割合が高く卒業による退会が多くなったため期首会員数は前期末を下回った。対面型の業況は厳しかったもののオンライン型が好調で、会員の増加人数は前年同期を上回った。一方、教師の募集費用や東海支社開業に伴う費用など先行投資が発生した。
新たにM&Aしたみんがくは、第2四半期3ヶ月だけの業績寄与になるが、「スクールAI」利用者数(無料トライアル期間中ID含む)が12万人を超えるなど大幅に増加した。一方、立ち上げ費用やのれん償却の発生、先行的なシステム開発による業務委託費などが増加し、営業損失となった。トピックとしては、「スクールAI」が「e-Learning大賞最高賞(総務大臣賞)」を受賞したほか、「赤本」の教学社と提携して生成AIで小論文の指導をする「赤本AI」の実証実験を開始した。今後、個別対応と相性のよいAI技術を、赤本と相性のよいオンライン家庭教師に生かしていく方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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