豪ドル
RBA(豪中銀)は11月4日の政策会合で政策金利を3.60%に据え置くことを決定しました。政策金利の据え置きは2会合連続です。
11月26日に発表された豪州の10月CPI(消費者物価指数)は強い結果でした。CPI総合は前年比3.8%、CPIトリム平均値は同3.3%と、上昇率はいずれも前月(3.6%と3.2%)から高まり、RBAのインフレ目標である2~3%から一段とかい離しました。
OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場では25年2月に開始されたRBAによる利下げサイクルは打ち止めとの見方が有力となっており、26年終盤に利上げが行われる確率を市場は織り込みつつあります。今後発表される豪州の経済指標の結果を受けてその観測が強まる場合、豪ドルは堅調に推移しそうです。
日銀は早ければ25年12月の会合で利上げを行う可能性があります。ただ、実際に追加利上げが実施されたとしても、その次の利上げ観測が市場で高まらなければ、豪ドル/円はそれほど下落しないかもしれません。
豪ドルには投資家のリスク意識を反映しやすいという特徴があります。日米など主要国の株価が堅調に推移するなどしてリスクオン(リスク選好)が強まる場合、豪ドルのサポート要因になりそうです。
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【豪ドル/NZドル】
25年8月以降の豪ドル/NZドル上昇の主な要因として、RBNZ(NZ中銀)による利下げ観測が市場で高まったことが挙げられます。RBNZは11月の会合で0.25%の追加利下げを行ったものの、それをもって利下げは打ち止めになる可能性を示しました(*RBNZの金融政策の詳細はNZドルの項をご参照ください)。RBAとRBNZの金融政策面からみれば、豪ドル/NZドルの上昇基調は変化する可能性があります。
NZドル
RBNZ(NZ中銀)は11月26日に政策会合を開き、0.25%の利下げを行うことを決定。政策金利を2.50%から2.25%へと引き下げました。RBNZによる利下げは3会合連続、24年8月以降9回目です。
RBNZは11月の会合で3カ月ごとの政策金利予測を公表。現局面の利下げサイクルの最終到達水準は2.20%との予測を示しました。RBNZの政策金利は11月の利下げによって2.25%になったため、それよりもわずか0.05%下の水準です。また、ホークスビー総裁は会合後の会見で「われわれはリスクを軽減するうえで絶好のポジションにある」と述べました。RBNZによる利下げは打ち止めになる可能性が高そうです。
今後発表されるNZの経済指標が強い結果になれば、市場ではRBNZの利下げ打ち止め観測が補強されるとともに、先行きの利上げ観測が浮上するかもしれません。その場合、NZドルは対米ドルや対円で堅調に推移しそうです。
RBNZでは、12月1日付でブレマン氏が総裁に就任。ブレマン氏は25年10月上旬までリクスバンク(スウェーデン中銀)の第1副総裁を務めていました。ブレマン新総裁のもとで初めて行われる定例会合は、26年2月18日です。
カナダドル
BOC(カナダ中銀)は10月29日の政策会合で0.25%の利下げを行うことを決定。政策金利を2.50%から2.25%へと引き下げました。
BOCは10月会合の声明で「現在(2.25%)の政策金利は、経済を支援しつつインフレ率を2%近辺に維持するうえで、ほぼ適切な水準」と表明。24年6月に開始されたBOCによる利下げが打ち止めとなる可能性を示しました。
OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、BOCの政策金利は少なくとも26年末まで据え置かれるとの見方が優勢です。今後発表されるカナダの経済指標でその観測が一段と高まる場合、金融政策面からカナダドルはサポートされやすくなりそう。FRBが利下げを続ける場合、米ドル/カナダドルには下押し圧力が加わる可能性があります。
原油価格の動向も材料になるかもしれません。OPECプラス構成国のうち有志8カ国は11月30日に会合を開き、26年1-3月は原油の増産を見送ることを決定しました。有志8カ国は23年からOPECプラス全体の協調減産に加えて自主的に減産を実施し、25年4月以降は増産に転じて減産量を段階的に縮小してきました。OPECプラスが原油の増産を見送ったことは原油価格の下支え要因になると考えられます。原油価格が堅調に推移する場合、カナダドルのサポート要因になりそうです。
メキシコペソ
BOM(メキシコ中銀)は24年3月に利下げを開始し、25年11月まで合計4.00%の利下げを行いました。11月28日時点で政策金利は7.25%です。
25年11月会合のBOM声明では「政策金利の引き下げを検討する」と表明され、今後さらに利下げする可能性が示されました。一方で、メキシコではコアインフレ率が高止まりしています。同国の11月前半のCPIコアは前年比4.32%と、上昇率は10月前半の4.24%から高まり、24年4月以来の高い伸びを記録。BOMのインフレ目標(3%)の許容レンジ上限の4%を6カ月連続で上回りました。利下げサイクルは比較的早い時期に停止される可能性があり、実際に停止されればメキシコペソにとってのプラス材料になりそうです。
カナダドルと同様、原油価格の動向にも注目です。原油価格が反発局面になれば、メキシコペソのサポート要因になると考えられます。
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