今週のポイント
トランプ米大統領が4日に発動するとしていた対カナダ関税と対メキシコ関税は、3月4日まで1カ月間発動が延期されました。このことは、カナダドルやメキシコペソにとって目先的にはプラスと考えられます。
ただ、トランプ大統領は7日に「相互関税(※)」を導入する考えを示し、10日には「米国に輸入する全ての鉄鋼・アルミニウムに25%の関税を課す」と述べました。トランプ大統領による関税をめぐる報道には引き続き注意が必要です。トランプ大統領によって関税を課される対象となる国・地域の通貨には下落圧力が加わる可能性があります。
(※)貿易相手国が米国製品に課している関税と同じ税率の関税を課すもの。トランプ大統領は11日か12日に相互関税の詳細を発表するとしました。
米ドル/カナダドルや豪ドル/米ドル、NZドル/米ドルについては、12日発表の米国の1月CPI(消費者物価指数)や11日と12日に行われるパウエルFRB議長の議会証言にも反応しそうです。パウエル議長の発言などによってFRBの利下げ観測が一段と後退する場合、米ドルが全般的に堅調に推移する可能性があります。
主要国の株価動向にも目を向ける必要がありそうです。世界的な貿易戦争に発展するとの懸念が強まれば、主要国の株価には下落圧力が加わる可能性があります。株価が下落するなどしてリスクオフ(リスク回避)の動きが強まる場合、豪ドル/円やNZドル/円などのクロス円が軟調に推移しそうです。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.10000NZドル~1.11000NZドル>
豪ドル/NZドルは24年12月中旬からおよそ2カ月間にわたって1.10000NZドル~1.11000NZドルのレンジを中心に推移しており、目先の方向感が失われている感があります。
今週(2/10- )は豪州とNZの主要な経済指標の発表は少なく、また来週にはRBA(豪中銀)とRBNZ(NZ中銀)の政策会合が開かれます。新たな手掛かり材料が乏しいことや、両中銀の会合が市場で意識されて、豪ドル/NZドルは引き続き方向感に欠ける展開になりそうです。
今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.42500カナダドル~1.45000カナダドル>
米ドル/カナダドルは3日午前(日本時間)に一時1.47883カナダドルへと上昇し、03年4月以来およそ22年ぶりの高値をつけました。トランプ米大統領が1日にカナダに対して25%の関税を4日から課す大統領令に署名したためです。
その後、発動時刻の数時間前に対カナダ関税の発動が延期されると報じられると、米ドル/カナダドルは下落傾向となりました。トランプ大統領は米東部時間3日、対カナダ関税の発動を3月4日まで延期するとの大統領令を発令しました。
米ドル/カナダドルについては、関税をめぐる報道には引き続き注意が必要です。トランプ大統領による対カナダ関税への懸念が再び強まる場合、米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わりそうです。
パウエルFRB議長の議会証言や米国の1月CPIも材料になりそうです。パウエル議長の議会証言などでは、FRBの先行きの金融政策について市場の見方がどう変化するかに注目です。FRBの利下げ観測が一段と後退する場合、米ドル高が全般的に進む可能性があります。
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