―短期テンバガー達成銘柄の出発点は200円台、3ケタ株のパフォーマンスに刮目―
東京株式市場は再び気迷いムードが漂っている。週末と月末が重なった31日は日経平均株価が3日続伸したものの伸び切れず、3万9000円台半ばで強弱観を対立させる地合いとなった。今週は週明け早々に中国のAIスタートアップであるDeepSeek(ディープシーク)が開発したAI新モデルを巡り思惑が錯綜、半導体セクターにおいてはアドバンテスト <6857> [東証P]やディスコ <6146> [東証P]が急落するなど、横殴りの突風にあおられバランスを崩す銘柄が相次いだ。
日経平均寄与度の大きい値がさ株は先物主導のインデックス売買に振り回されるケースが多く、個別にピンポイントで保有してもなかなか報われる地合いではない。仮に決算プレーで首尾よく「吉」を引き当てても油断はできない。
●最強決算アドテスト、気迷い相場の真相
たとえばアドテストの場合は29日に決算発表を行い、25年3月期通期見通しの大幅上方修正と今年のテスター市場についても強気の見通しを開示し、市場関係者からも「文句をつけようのない最強決算」(ネット証券マーケットアナリスト)という称賛の声が聞かれた。しかし実際は、翌30日に一時600円近い上昇をみせる場面があったものの、大引けは274円高にとどまった。決算発表前の週前半2日間で計1900円近い下落をみせていたことを考えると、百点満点の決算発表も結果的に焼け石に水だったことが分かる。あくまで株価的な判断として、アドテストはAI用半導体テスターの納入先である米エヌビディア
AI全盛時代の申し子といえるエヌビディアだが、その成長とともに期待のハードルも高くなり、減益ではなく利益成長のスピードが鈍化してきた時点で、今回の大相場にいったんピリオドが打たれる可能性を念頭に置いておく必要がある。
●強靱なボックス相場における個別株戦略
日経平均は昨年9月下旬を起点に3万8000円~4万円のゾーンで往来を繰り返す典型的なボックス相場の様相をみせている。株価が上値指向にある時はポジティブ材料があとからついてくるが、下値模索局面では不思議とネガティブな話題で持ち切りとなる。しかし、下げても3万8000円台攻防となると、自然と霧が晴れ上昇に転じる。また、強気が醸成されるなかで4万円大台に手が届くと、今度は図ったように悪材料が取り沙汰されトレンド転換を余儀なくされる。この繰り返しである。今回でいうなら「ディープシーク・ショック」が下方向への波動転換をもたらすカタリストとなった。
昨年秋口から続く“アイアンボックス相場”で、日経平均でいえば3万8000円近辺まで下押す場面があれば、そこは絶好の買い場ということができる。いかんせん現状でそれを持ち出すのは気が早過ぎるが、日経平均と連動性の高い半導体値がさ株は、ここから上値を買い進んでも先物で振られ裁定解消売りが刺さりまくる可能性があり、深追いしにくいのは事実だ。日経平均がここから4万円を一気に突き抜けていく相場はなかなかイメージしづらく、とすれば逆張りのタイミングを待つよりない。
●株価3ケタ銘柄に好パフォーマンス相次ぐ
ところが、こうしたボックス相場の呪縛に捉われない銘柄群がここ最近目を引くようになっている。株価1000円未満の中低位材料株に物色人気を博す銘柄が多い。中には大化けを演じる銘柄も輩出されている。最たる例を挙げると、バイオ関連のレナサイエンス <4889> [東証G]。直近は大天井を打ち急反落を余儀なくされているが、その天井をつけるまでのパフォーマンスが凄まじかった。記録的なストップ高連発で30日のザラ場に2474円の高値を形成したのだが、同社株は約1カ月前の昨年12月下旬まで200円台でもみ合っていた銘柄である。“瞬速テンバガー銘柄”は200円台を出発点とする低位株ならではのパフォーマンスであった。
これは特異な例としても、株価3ケタ台の銘柄が値上がり率上位にランクインするケースが増えている。短期で需給先行の上昇ではあるが、中身をみると思ったよりも好実態株で見直すケースもある。クチコミ美容関連サイトを展開するアイスタイル <3660> [東証P]や外観検査装置を手掛けるインスペック <6656> [東証S]などは業績の高変化を好感され、株価の居どころを大きく変えた例である。こうした銘柄群は今の東京市場にまだ数多く眠っている。
今後はスケジュール的に企業の決算発表が本格化することで、2月中旬までは決算プレーによる鉄火場相場となりやすい。だが、たとえ好業績が半ば担保された銘柄であっても、基本的に決算跨ぎの銘柄で値幅取りを狙うのは期待値の低い戦略である。日経平均がボックス圏中段で漂うなか、ここは中低位材料株という括りで業績内容が良く成長期待の強い銘柄に照準を合わせたい。今回のトップ特集では、株価が3ケタ台に位置する銘柄の中から、材料性に富む好実態株を6銘柄厳選し紹介する。
●ここから要注目の中低位材料株6銘柄選抜
◎エディア <3935> [東証S]
エディアは総合エンターテインメント企業として、ゲーム系コンテンツ開発や電子書籍・コミック分野などを主戦場にIP(知的所有権)活用の電子メディア戦略を推進する。「位置情報」を活用したサービスの開発・運営を祖業としていたが、家庭用ゲームやスマートフォンゲーム、声優とナビゲーションを融合させたエンタメなど、幅広い領域でコンテンツを提供する業態へと進化を遂げている。「ニンテンドースイッチ」向けでもレトロゲーム復刻版で実力をいかんなく発揮する。業績も飛躍期に突入している。25年2月期は営業利益が前期比55%増の2億5000万円とピーク利益更新を見込むが、26年2月期以降もIP事業で好採算商品が寄与し、大幅増益路線をまい進する公算が大きい。株価は1月24日に490円の昨年来高値を形成した後一服局面にあるが時価近辺は絶好の買い場と判断される。17年7月に修正後株価で2895円の最高値をつけたが、その時と現在のトップラインを比べれば圧倒的な成長を果たしている。株価は中勢4ケタ台への復帰が濃厚だ。
◎農業総合研究所 <3541> [東証G]
農業総研は産地直送野菜・果物の委託販売を手掛ける。全国の登録生産者から農産物を集荷し、スーパーや小売店舗などの直売所で販売するビジネスモデルだ。登録生産者数は24年8月末現在で1万人を超え、店舗数は2100店舗あまりに達している。直売所事業のほか、同社が生産者から直接農産物を買い取り、ブランディングを行いスーパーなどに卸す産直卸事業も展開している。昨年12月には月間流通額が15億円と過去最高を記録するなど業績は順調な伸びを示している。現在配当は行っていないが、株主還元に前向きに取り組んでおり、1月10日には30万株の自社株買いを発表し、これが好感され株価を急動意させた経緯がある。25年8月期営業利益は前期比18%増の1億1000万円を見込む。株価は14日にマド開け急伸をみせた後も、売り物をこなしながら下値を徐々に切り上げており、出来高流動性も高く人気化素地に富んでいる。昨年9月に一気に420円台まで駆け上がり昨年来高値を形成したが、早晩ここを視界に入れる強調相場が期待できそうだ。
◎テクノホライゾン <6629> [東証S]
TホライゾンはFA機器や光学機器など映像・IT分野に特化した製品やサービスで高い競争力を有し、ロボティクス分野でも実績を積み重ねている。M&A戦略に力を入れ業容拡大に積極的だ。PER10倍未満でPBR0.5倍台と指標面からの割安さが際立つ一方、成長力も高い。トップラインの伸びが著しく、20年3月期から前期までの5期で年平均増収率は20%に達する。25年3月期については前期比3%増と伸び率こそ鈍化するものの、同社として初の500億円台乗せを見込んでいる。海外でサイバーセキュリティー事業が伸びているほか、国内ではGIGAスクール構想で導入したIT機器の入れ替え需要などが収益機会を創出している。政府は文教IT環境の一段の充実を図る方向で支援を進める方針にあり、同社には中期的にも追い風が強い。株価は1月27日にマドを開けて大幅高に買われた後400円台前半で強調展開を維持しているが、大勢2段上げから昨年1月下旬につけた昨年来高値603円を目標とする中期上昇トレンドが想定される。
◎三光合成 <7888> [東証P]
三光合成は工業用の樹脂成形部品の大手メーカーであり、主要顧客は自動車業界で車両向け部品が売上高の7割以上を占めている。また技術の高さに定評があり、樹脂成形用金型の設計・製作でもその実力は折り紙付きだ。足もとの業績は好調を堅持しており、25年5月期第2四半期(24年6~11月)は売上高が前年同期比微減ながら、製品価格の引き上げや生産体制強化による効果が発現し、営業利益は同45%増の29億5300万円と好調だ。なお、通期の営業利益は前期比16%増の48億円と過去最高を見込むが、上振れする公算が大きい。今期の予想一株利益は100円台まで浮上する可能性があり、7倍前後のPERは見直しが濃厚。更にPBRが0.6倍台と際立って低いことで、株主還元策などへの期待も募る。配当利回りは現状でも3%近い。株価は1月10日にマドを開けて買われた後、いったん利益確定売りで調整を入れたが、その後は再浮上に転じており、早晩昨年来高値785円が意識されそうだ。中長期的には4ケタ大台を地相場としても全く不思議はない。
◎北の達人コーポレーション <2930> [東証P]
北の達人は自社ブランドの化粧品や美容家電、健康食品などのネット通販(総合サイトの「北の快適工房」などで販売)を手掛けている。便通改善成分を含む「カイテキオリゴ」やヒアルロン酸ニードルを使った美容パッチ「ヒアロディープパッチ」などをはじめ37品目を取り扱い消費者ニーズを捉えている。24年2月期は売上高が前の期比で5割増となる146億6500万円と過去最高を記録し、営業利益も同2.8倍と急回復を果たした。25年2月期については減収予想ながら、営業利益は広告コスト低減効果などで前期比15%増の16億7200万円と2ケタ成長を見込んでいる。26年2月期についても新商品投入効果などから2ケタ成長トレンドを維持する公算が大きい。株価は200円未満と低位に位置しており、長期トレンドでみても大底圏にあるが、年明けから動兆著しい。1月16日に185円の高値をつけた後調整しているが、売り物がこなれ、切り返しの動きに転じてきた。株式需給面では東証信用残、日証金残ともに売り買いガップリ四つで需給妙味も。
◎ラクーンホールディングス <3031> [東証P]
ラクーンHDはアパレルや雑貨の企業間ECサイト(業者向け仕入れサイト)である「スーパーデリバリー」の運営を主力に、掛け売り決済代行や売掛債権保証などのフィナンシャル事業も手掛ける。「スーパーデリバリー」は流通額、会員数いずれも高水準の伸びが続いており、米国やアジアなど海外でも需要開拓が進んでいる。フィナンシャル事業では売掛債権保証残高が順調に拡大し、収益押し上げに寄与している。25年4月期は営業利益が前期比2.2倍の12億5000万円と急拡大し4期ぶりに過去最高を更新する見通しで、続く26年4月期も増収増益基調に陰りは見られない。25年10月末時点の株主からデジタルギフトの株主優待制度を導入すると発表したことを受け、株価は1月17日にマドを開けて急伸をみせたが、その後も継続的な実需買いが観測される。21年4月に3320円の上場来高値をつけた実績があるが、今期は当時の営業利益水準を上回る状況が予想されるだけに、時価1000円未満は水準訂正余地が大きい。
株探ニュース
関連銘柄
銘柄 | 株価 | 前日比 |
---|---|---|
2930
|
162.0
(01/31)
|
-1.0
(-0.61%)
|
3031
|
907.0
(01/31)
|
+19.0
(+2.13%)
|
3541
|
314.0
(01/31)
|
-9.0
(-2.78%)
|
3660
|
524.0
(01/31)
|
-11.0
(-2.05%)
|
3935
|
469.0
(01/31)
|
-2.0
(-0.42%)
|
4889
|
1,125.0
(01/31)
|
-400.0
(-26.22%)
|
6146
|
44,740.0
(01/31)
|
-1,140.0
(-2.48%)
|
6629
|
421.0
(01/31)
|
+15.0
(+3.69%)
|
6656
|
742.0
(01/31)
|
-14.0
(-1.85%)
|
6857
|
8,659.0
(01/31)
|
-133.0
(-1.51%)
|
7888
|
692.0
(01/31)
|
0.0
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