*14:04JST Pウォーター Research Memo(4):自社物流網の構築や工場稼働率向上などにより営業利益率で15%超え
■プレミアムウォーターホールディングス<2588>の業績動向
1. 2025年3月期中間期の業績動向
2025年3月期中間期の売上収益は38,911百万円(前年同期比6.3%減)、営業利益5,999百万円(同55.4%増)、税引前中間利益5,038百万円(同55.1%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益3,128百万円(同52.5%増)となり、各利益が大幅に増加した。
売上収益は、前期に売却した連結子会社のモバイル事業に係る売上分による影響があったが、主力のウォーターサーバー事業の売上高は堅調に推移した。2024年9月末の保有顧客数は167万件と、前期末から5万件の純増となった。新規獲得に加えて、継続率の向上に向けた施策も強化しており、過去8年以上にわたり保有顧客が安定して増え続けていることが安定成長の基盤となっている。新規顧客獲得チャネルでは、同社の強みであるデモンストレーション販売において、コロナ禍での制限が解消し、大規模な家電量販店やショッピングモール等での活動が十分に行える環境が整った。第二のチャネルであるテレマーケティングでは、パートナー企業との連携も増え顧客獲得が順調に進んだ。2024年6月にはビックカメラグループのビックライフソリューションからウォーターサーバー事業を承継したことも顧客基盤の拡大につながった。既存顧客の継続率向上に関しては、お得な長期契約の推進、契約者限定のショッピングサイト、アプリからの簡単手続き、顧客からの問合せサービスの対応強化など様々な施策を進めている。
売上総利益は、売上原価において原材料や資源の価格の高騰の圧力もあったものの、工場設備の稼働率を向上させ原価低減に努めたことで前年同期比3.8%減、売上総利益率では同2.2ポイント増の84.9%と向上した。販管費は、物流費の安定化につながる自社物流網の構築等による各種費用の低減を行い、同11.3%減と大きく低減した。売上高販管費率では、69.5%(前年同期は73.4%)と3.9ポイント低下した。結果として、営業利益額で2016年7月企業統合以降の過去最高を更新した。営業利益率は15.4%(同9.3%)と収益性が大幅に向上した。全体として、当期間の業績は、モバイル事業の売却の影響が反映されており、前期比で減収となったものの、費用も大きく削減されたため、収益性の高いウォーターサーバー事業の実態がより可視化された側面がある。
収益性が向上し財務基盤の強化が進む
2. 財務状況
2024年9月末の資産合計は前期末比3,700百万円増の103,106百万円となった。そのうち流動資産は1,710百万円減となり、営業債権及びその他の債権が増加(1,106百万円増)した一方で、現金及び現金同等物が減少(2,892百万円減)したことが主な要因となった。非流動資産は5,410百万円増加の60,015百万円となり、その他の金融資産、有形固定資産、契約コストの増加が主な要因となった。
負債合計は前期末比2,197百万円増の78,834百万円となった。そのうち流動負債は1,957百万円増となり、営業債務及びその他の債務が増加(1,424百万円増)及び有利子負債の増加(568百万円増)が主な要因である。非流動負債は240百万円増となり、有利子負債の増加(175百万円増)が主な要因である。資本合計は1,502百万円増加の24,272百万円となった。主な増加要因は、親会社の所有者に帰属する中間利益の計上により利益剰余金が増加したことである。有利子負債合計では743百万円増となったが、新規顧客獲得に伴うウォーターサーバー調達が使途であり、好調な営業活動を反映したものである。
経営指標では、流動比率が142.6%(前期末は158.5%)と一定の短期的な安全性を維持する。親会社所有者帰属持分比率は23.5%と前期末の22.9%からの改善傾向が続く。現在は利益が拡大するフェーズに入っており、内部留保が蓄積し続けていることから、中期的な目標であった親会社所有者帰属持分比率20%以上を維持しており、今後は成長しながら、親会社所有者帰属持分比率30%を目指す。
営業・製造・物流面の先行投資が結実し、営業利益は過去最高の1,100百万円と予想
3. 2025年3月期通期の業績見通し
2025年3月期通期の連結業績予想は、売上収益で前期比4.4%減の77,000百万円、営業利益は同16.6%増の11,000百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同4.8%減の5,500百万円と、上半期を終えて各利益の予想が上方修正された。
売上収益は前期比4.4%減の予想だが、前期に売却した連結子会社のモバイル事業に係る売上分の影響が残るためであり、本業の水事業自体は順調な成長を計画する。本業の成長率は過去の実績よりはペースダウンするが、保有顧客が多くなれば、一定割合で発生する解約の絶対数も増えるため、保有顧客数(売上収益)の伸びが鈍化するのは事業特性上の必然と考えられる。新規顧客の獲得を継続しつつ、既存顧客の満足度を維持・向上策を強化する。宅配水サービス市場の事業環境としては、ウォーターサーバーの認知度の高まりやコロナ禍を契機とした生活様式の変化などにより、市場全体は伸びている。その中でもトップシェアである「プレミアムウォーター」は、ブランドとしての知名度が高いため、消費者の信頼度が高く、代販(取次)のパートナー企業からも選ばれる存在である。また、前期までに取り組んだM&A・資本業務提携(ラストワンマイル、INESTへ資本参加)による代理販売体制の強化の成果が進行期には顕在化することが期待できる。通期の売上高予想に対する、2Q進捗率は50.5%(前期は51.5%)と前期並みである。
利益面では、営業利益で前期比16.6%増、売上高営業利益率では14.3%が上方修正後の値である。売上高営業利益率では前期実績が11.7%、期初予想が12.6%であり収益性の向上が加速する。同社のビジネスモデルは、保有顧客数が積み上がり、そこからの継続的な収益が営業活動に伴う費用を上回ると急激に利益が増加するストック型となっている。2019年3月期に損益分岐点を超えたため、現在は収益性が高まるフェーズにある。また一般的には懸念材料である原材料費や物流費等の上昇に関しては、自社工場への投資や容器の内製化、自社専用物流の導入などを先行して行ってきたため、むしろ強みとなっている。業容拡大が順調に進めば、仕入れ・精算・物流などの点でスケール効果が顕在化し、コスト低減が実現できる。通期の営業利益予想に対する、2Q進捗率は54.5%(前期は40.9%)と前期を大きく上回る進捗である。
弊社では、営業面(取次店との連携強化など)、製造面(岐阜北方工場)、物流面(自社物流)の先行投資の成果が刈り取ることができる局面を迎えていること、さらにはモバイル事業の売却、ビックカメラグループからの事業承継などの要因も加わり、筋肉質なビジネスモデルがより磨かれていることから、売上・利益の修正後の予想は妥当性が高いと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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1. 2025年3月期中間期の業績動向
2025年3月期中間期の売上収益は38,911百万円(前年同期比6.3%減)、営業利益5,999百万円(同55.4%増)、税引前中間利益5,038百万円(同55.1%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益3,128百万円(同52.5%増)となり、各利益が大幅に増加した。
売上収益は、前期に売却した連結子会社のモバイル事業に係る売上分による影響があったが、主力のウォーターサーバー事業の売上高は堅調に推移した。2024年9月末の保有顧客数は167万件と、前期末から5万件の純増となった。新規獲得に加えて、継続率の向上に向けた施策も強化しており、過去8年以上にわたり保有顧客が安定して増え続けていることが安定成長の基盤となっている。新規顧客獲得チャネルでは、同社の強みであるデモンストレーション販売において、コロナ禍での制限が解消し、大規模な家電量販店やショッピングモール等での活動が十分に行える環境が整った。第二のチャネルであるテレマーケティングでは、パートナー企業との連携も増え顧客獲得が順調に進んだ。2024年6月にはビックカメラグループのビックライフソリューションからウォーターサーバー事業を承継したことも顧客基盤の拡大につながった。既存顧客の継続率向上に関しては、お得な長期契約の推進、契約者限定のショッピングサイト、アプリからの簡単手続き、顧客からの問合せサービスの対応強化など様々な施策を進めている。
売上総利益は、売上原価において原材料や資源の価格の高騰の圧力もあったものの、工場設備の稼働率を向上させ原価低減に努めたことで前年同期比3.8%減、売上総利益率では同2.2ポイント増の84.9%と向上した。販管費は、物流費の安定化につながる自社物流網の構築等による各種費用の低減を行い、同11.3%減と大きく低減した。売上高販管費率では、69.5%(前年同期は73.4%)と3.9ポイント低下した。結果として、営業利益額で2016年7月企業統合以降の過去最高を更新した。営業利益率は15.4%(同9.3%)と収益性が大幅に向上した。全体として、当期間の業績は、モバイル事業の売却の影響が反映されており、前期比で減収となったものの、費用も大きく削減されたため、収益性の高いウォーターサーバー事業の実態がより可視化された側面がある。
収益性が向上し財務基盤の強化が進む
2. 財務状況
2024年9月末の資産合計は前期末比3,700百万円増の103,106百万円となった。そのうち流動資産は1,710百万円減となり、営業債権及びその他の債権が増加(1,106百万円増)した一方で、現金及び現金同等物が減少(2,892百万円減)したことが主な要因となった。非流動資産は5,410百万円増加の60,015百万円となり、その他の金融資産、有形固定資産、契約コストの増加が主な要因となった。
負債合計は前期末比2,197百万円増の78,834百万円となった。そのうち流動負債は1,957百万円増となり、営業債務及びその他の債務が増加(1,424百万円増)及び有利子負債の増加(568百万円増)が主な要因である。非流動負債は240百万円増となり、有利子負債の増加(175百万円増)が主な要因である。資本合計は1,502百万円増加の24,272百万円となった。主な増加要因は、親会社の所有者に帰属する中間利益の計上により利益剰余金が増加したことである。有利子負債合計では743百万円増となったが、新規顧客獲得に伴うウォーターサーバー調達が使途であり、好調な営業活動を反映したものである。
経営指標では、流動比率が142.6%(前期末は158.5%)と一定の短期的な安全性を維持する。親会社所有者帰属持分比率は23.5%と前期末の22.9%からの改善傾向が続く。現在は利益が拡大するフェーズに入っており、内部留保が蓄積し続けていることから、中期的な目標であった親会社所有者帰属持分比率20%以上を維持しており、今後は成長しながら、親会社所有者帰属持分比率30%を目指す。
営業・製造・物流面の先行投資が結実し、営業利益は過去最高の1,100百万円と予想
3. 2025年3月期通期の業績見通し
2025年3月期通期の連結業績予想は、売上収益で前期比4.4%減の77,000百万円、営業利益は同16.6%増の11,000百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同4.8%減の5,500百万円と、上半期を終えて各利益の予想が上方修正された。
売上収益は前期比4.4%減の予想だが、前期に売却した連結子会社のモバイル事業に係る売上分の影響が残るためであり、本業の水事業自体は順調な成長を計画する。本業の成長率は過去の実績よりはペースダウンするが、保有顧客が多くなれば、一定割合で発生する解約の絶対数も増えるため、保有顧客数(売上収益)の伸びが鈍化するのは事業特性上の必然と考えられる。新規顧客の獲得を継続しつつ、既存顧客の満足度を維持・向上策を強化する。宅配水サービス市場の事業環境としては、ウォーターサーバーの認知度の高まりやコロナ禍を契機とした生活様式の変化などにより、市場全体は伸びている。その中でもトップシェアである「プレミアムウォーター」は、ブランドとしての知名度が高いため、消費者の信頼度が高く、代販(取次)のパートナー企業からも選ばれる存在である。また、前期までに取り組んだM&A・資本業務提携(ラストワンマイル、INESTへ資本参加)による代理販売体制の強化の成果が進行期には顕在化することが期待できる。通期の売上高予想に対する、2Q進捗率は50.5%(前期は51.5%)と前期並みである。
利益面では、営業利益で前期比16.6%増、売上高営業利益率では14.3%が上方修正後の値である。売上高営業利益率では前期実績が11.7%、期初予想が12.6%であり収益性の向上が加速する。同社のビジネスモデルは、保有顧客数が積み上がり、そこからの継続的な収益が営業活動に伴う費用を上回ると急激に利益が増加するストック型となっている。2019年3月期に損益分岐点を超えたため、現在は収益性が高まるフェーズにある。また一般的には懸念材料である原材料費や物流費等の上昇に関しては、自社工場への投資や容器の内製化、自社専用物流の導入などを先行して行ってきたため、むしろ強みとなっている。業容拡大が順調に進めば、仕入れ・精算・物流などの点でスケール効果が顕在化し、コスト低減が実現できる。通期の営業利益予想に対する、2Q進捗率は54.5%(前期は40.9%)と前期を大きく上回る進捗である。
弊社では、営業面(取次店との連携強化など)、製造面(岐阜北方工場)、物流面(自社物流)の先行投資の成果が刈り取ることができる局面を迎えていること、さらにはモバイル事業の売却、ビックカメラグループからの事業承継などの要因も加わり、筋肉質なビジネスモデルがより磨かれていることから、売上・利益の修正後の予想は妥当性が高いと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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