【QAあり】京都機械工具、一貫生産方式と幅広い製品ラインナップが競争力の源泉 航空機市場や北米展開に注力し企業価値向上を狙う

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最新投稿日時:2024/12/23 08:00 - 「【QAあり】京都機械工具、一貫生産方式と幅広い製品ラインナップが競争力の源泉 航空機市場や北米展開に注力し企業価値向上を狙う」(ログミーファイナンス)

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【QAあり】京都機械工具、一貫生産方式と幅広い製品ラインナップが競争力の源泉 航空機市場や北米展開に注力し企業価値向上を狙う

投稿:2024/12/23 08:00

CONTENTS

片岡実氏(以下、片岡):代表取締役副社長の片岡実です。本日は、アジェンダに沿って、会社概要、事業概要、今後の成長戦略、株主還元の、4つの項目についてご説明します。

Company overview _会社概要

会社概要です。当社は京都機械工具株式会社、作業工具のメーカーです。KYOTO TOOL CO., LTD.という英文名称の頭文字を取って「KTC」としており、これがブランド名であり、また、東京証券取引所でも「KTC」が使われています。

設立は1950年8月で、2025年8月でちょうど75周年になります。資本金は10億3,208万円で、京都市の南に接している京都府久世郡久御山町に本社を構えています。登記上の住所は、京都市伏見区となります。

Company overview _会社概要

営業拠点についてです。支店営業所は、札幌から福岡まで9拠点あり、日本全国をカバーしています。

また、生産拠点は、当社久御山工場に加え、グループ会社の北陸ケーティシーツール、HI-TOOLの3社に構えています。

KTCの強み1_技術力(一貫生産体制)

KTCは、我が国を代表する工具メーカーの1社です。我々の強みであるいくつかの特徴をご説明します。

1つ目が、技術力です。日本国内で一貫生産体制を有している、唯一の総合工具メーカーです。工具の製造に必要な、主要な技術と設備を保有しています。スライドはスパナの工程の模式図です。左端に「材料切断」とありますが、棒材や鉄鋼などの資材が工場に入ってくると、それを切断するところからスタートし、最終的には梱包・出荷まで自社の工場の中で行えます。

その過程にも、いろいろな要素技術があります。スライドの図の3番目の「鍛造」や、5番目と7番目の「研磨」、8番目の「熱処理」、そして9番目の「めっき」といったような技術と設備を、すべて自社内で有しています。

多くの小学生や工業高校生などが工場見学に訪れるのですが、鋼材が工場に入ってきて、それが最後にはスパナなどのかたちで出ていくすべての工程をつぶさに見ることができるため、非常におもしろい工場だと評価いただいています。

KTCの強み2_豊富な製品ラインナップ

2つ目の強みは、豊富な製品ラインナップです。一口に工具といっても、いろいろな工具があります。

スライドの左から2列目の一番上のツールセット、みなさまよくご存知の汎用ツール、ケース類や、圧縮空気を動力にして動く工具や電動工具など、さらには自動車整備の専用工具や歯科用工具、センサーを取り付けた計測機器など、多種多様な製品をラインナップしており、約1万2,000種類の工具を取り扱っています。

本社の中にあるKTCものづくり技術館では、常時約3,000点の工具を展示しています。当社に見学に来ていただければ、壮観な光景が見られます。

KTCの強み3_活躍範囲

3つ目の強みは、活動範囲、つまりテリトリーです。車を中心とするモビリティから、公共交通機関向け、プラント、ファクトリーなどでも使われています。

また、医療・福祉の分野などを含め、非常に幅広いユーザーに利用されています。

KTCの強み4_ブランド力

4つ目の強みは、ブランド力です。活動範囲の中でも、当社は特に、モータースポーツやパラスポーツなどをサポートしています。自動車・二輪車の世界では、「工具といえばKTC」と言われるほどです。

スライドの右上に記載のとおり、ある調査会社の調べによると、整備士・カーディーラー等の整備業界における、KTCのブランド認知度は90パーセント以上です。圧倒的に業界トップと自負しています。

当社が委託した調査や、さまざまな雑誌に掲載される資料においても、日本のモータースポーツ分野では、KTCはおそらくトップの認知度を持つブランドだと言えると思います。

KTCの強み5_強固な財務基盤

5つ目の強みは、財務基盤が強固なことです。製造業の自己資本比率は最近、どの企業もかなり高くなってきていますが、当社も自己資本比率は75.9パーセントです。

財務体質としては健全と言えます。特に、最近はROEが注目されているため、資本効率を比較的重視するケースがあります。一方で、当社は一貫生産方式であることと、幅広い製品ラインナップが、ある意味で競争力の源泉です。

つまり、そのための設備投資や、さまざまな分野への投資が必要になります。ある程度の資産を保有したり、安全性を確保したりしていくことが、競争力を維持していくための源泉となるため、自己資本比率が高くなっています。

いたずらに自己資本比率を高めているわけではなく、理由があって、このようなかたちになっています。

Service _事業概要

次に、事業の概要についてご説明します。有価証券報告書などでは2つの事業分野を記載していますが、ほぼ工具事業と思っていただいて構いません。

ただし、工具の中身は非常に幅広く、ユーザーも幅広いです。そのため、どこかに偏っていて、その業種が不振になった時に困ることはありません。

事業の比率としては、工具事業が97パーセントです。それ以外は、スライドの左上に記載しているファシリティマネジメント事業です。ファシリティマネジメント事業では、保有不動産の賃貸、太陽光発電による電気の販売を行っています。

Spirit _KTCの精神

KTCのスピリット、社是として定めている「お互いに誠実で、たゆまず前進し、軽くて、強くて、使いよい工具を創り、社会に貢献しよう」が、当社の創業の精神です。

スライドに大きな文字で記載しているとおり、「軽くて、強くて、使いよい工具」を創り、社会に貢献することが当社のスピリットです。

History _沿革

沿革について簡単にご説明します。1950年に創立し、2025年8月2日で75周年となります。創立時から品質が認められ、トヨタ自動車さまの車載工具に採用されました。その後、1980年に当時の大阪証券取引所2部と京都証券取引所に株式上場しました。

History _沿革

2000年には、創立50周年を迎え、今の本社社屋である、KTCものづくり技術館を2003年にオープンしました。情報を受発信していくために作った社屋であり、たくさんの方々に来ていただいています。

そして2022年には「長期ビジョン2030」を制定し、現在進行中です。2030年に向けた9年間の長期ビジョンで、ESGの目標設定の公開も同時に行いました。およそ3四半世紀、75年間の歴史を持つ会社です。

コーポレートミッション_KTCの使命

先ほどの精神をさらに深掘りした、KTCの使命についてです。「安全、快適、能率・効率」を社会に、人に、提供することが、ミッションであり、パーパスであると考えています。

順番も重要であり、この中でも特に重要と考えているのが、最初にくる「安全」です。例えば、製品開発では、「製品がどれだけ価値を生むものであっても、安全性が損なわれるのであれば、その製品は提供しない」という考え方で製品を展開しています。

コーポレートミッション_2つの柱

当社は、工具事業において、製品戦略上の2つの柱を掲げており、それについてご説明します。1つ目の柱は「TOKOTON(トコトン)」です。とことんその工具にこだわっていこうと考えています。

スライドには、「ハンドツールを極限まで究める」と記載していますが、手で動かすものだけに限りません。動力源にはこだわらず、ツールの性能、品質、安全性に、とことんこだわっていきます。

その典型的な事例が、ハンドツールブランド「nepros(ネプロス)」です。プロの整備士の方々に提供する工具として、世界一のハンドツールを目指しました。そして、材質、設計、構造、加工法などのすべてを見直して、最高の機能と性能を追求した工具を1995年に発売しました。

機能・性能をとことん追求することで削ぎ落された美しさが誕生します。世界各国から「機能美」を評価されています。このような工具に代表されるように、手を抜かずにハンドツールを極限まで究めていきます。

コーポレートミッション_2つの柱

2つ目の柱は、「TRASAS(トレサス)」です。こちらは、新しい柱です。既存の工具、コンベンショナルな工具にさまざまな機能をつけて、作業の仕方だけではなく、ビジネスそのものを変えていこうと考えています。

あらためて、戦略のお話をする際に詳しくご説明しますので、ここでは簡単にお伝えします。

ツールや工具だけではなく、ソフトウェアやサービスなどを組み合わせて提供することで、工具を使用した記録を残し、跡をたどることができ、状況を分析・確認し、次の行動につなげることができるシステムをTRASASと呼んでいます。

作業者の安全や安心はもちろん、それを管理する人、ひいてはその企業の経営にまで、効率化をもたらすために取り組んでいます。

業績推移_連結売上高・営業利益推移

スライドの棒グラフは、業績の推移を表しています。棒グラフの右から4番目、2021年3月期は、新型コロナウイルス感染症などの影響もあり、業績が落ち込みました。

しかしながら、直近の数年間は基本的には右肩上がりで推移しています。

業績推移_株価推移(5年)

株価は2023年以降、若干上昇しています。2024年11月19日の終値は、2,670円でした。

成⻑戦略 _⻑期ビジョン2030

成長戦略についてです。「長期ビジョン2030」の中で、「社会の期待を超えたツールで、人の能力を拡張し、世の中の安全を創り出す。」をスローガンとして、現在取り組んでいます。

みなさまが考えていることだけではなく、みなさまの期待を上回るようなツールを開発し、作業者一人ひとりの能力を拡張します。人ではなかなかできないことを、そのツールを使うことで、できるようにします。そのようなことを、さまざまな分野で具体的に実現していこうと取り組んでいます。

成⻑戦略_⻑期ビジョン2030達成へのステップ

スライドでは、長期ビジョンを概念的に示しています。もともとは、工具が作業者の安全を守るところから始まりました。それを、デジタル化やセンシング技術で、作業の精度を高めていくことが、今の長期ビジョンを発表した頃のステージだったと考えています。

そこから、工具を使うことで作業者の危険を予防的に察知したり、防いだり、さらにはそのツールで人の作業を補助しようとしています。最終的にはツールの能力が、人の能力を拡張していきます。このような概念的な目標を持って、経営にあたっています。

成⻑戦略_成⻑のステージ

成長戦略では、今の長期ビジョンの前である2022年3月期には79億円だった売上高を、今期2025年3月期では98億円にまで高めようと計画しています。

⻑期ビジョンを3クールに分けて実施しており、2023年3月期から2025年3月期を第1次中期経営計画として、業績目標を設定しています。

最終的に、2031年3月期は売上高140億円、利益率は10パーセント以上を目指します。ある程度の投資が必要になるため、利益率については具体的な数値は定めずに、10パーセント以上としています。

成⻑戦略_目指す方向性

安全のレベルを高めるためのツールを世界へと広げていくために、ご覧のような「製品戦略」、「市場戦略」を進めていこうと考えています。

成⻑戦略_4大戦略

今取り組んでいる「KTC vision 2030」の第1フェーズでは、4つの重点戦略を掲げています。

1つ目は、RFID(Radio Frequency Identification)です。今、衣料チェーンなどでは商品に電子タグが付いており、レジへ持っていくだけですべての金額が計算されるようになっています。それを工具に組み込むものです。

2つ目は、プロフェッショナル向けの「nepros」という当社の最高品質の工具を、北米に展開していきます。

3つ目に、「TRASAS」分野のウェイトを拡充していきます。

4つ目は、これらの売上・マーケット戦略を支えるため、当社のサプライチェーンを再構築していきます。これらの4つの重点戦略に取り組んでいます。

RFID

それぞれの重点戦略についてご説明します。重点戦略の1つ目は、RFIDの工具への応用です。

RFIDは、衣料小売チェーン店など、いろいろなところで使われています。当社ではこれを工具に応用しようと考えています。

MROとは?

主なターゲットとして、航空機の「MRO(Maintenance Repair Overhaul)」分野に進出していこうと考えています。

我々が一番強いのは、自動車・二輪車を整備する、いわゆるアフターマーケットであり、非常に大きなシェアを持っています。

これにRFIDの技術を利用して、航空機整備の分野で使っていただくことを考えています。

市場別戦略(MROの市場規模)

MROの市場規模は、2023年で939億ドル、日本円にして約13兆円と言われています。

これが2033年には、日本円で17兆円くらいまで成長すると見込まれています。我々はこの分野で使われる工具を作っていこうと考えています。

なぜ航空機市場へ?

なぜ航空機市場に進出するのか、理由についてご説明します。航空機の整備は、日常的に、そして運行のたびに、定期的に行われています。

航空機の寿命は非常に長く、機体やエンジンをはじめ、いろいろなパーツが長い期間使われています。

そのような中で、1つ工具を置き忘れるだけで、飛行機の墜落にもつながりかねない大事故になってしまいます。石が1つエンジンに入っただけでも非常に危ないと言われており、工具の管理が非常に重要になっています。

なぜ航空機市場へ?

そのような中、RFIDを装着した工具を提供することで、作業後に工具が揃っているか管理することができます。仮に工具を置き忘れた場合でも、どこにあるかがすぐにわかります。このようにトレーサビリティを担保した工具の需要が非常に強いのではないかと考え、この分野に進出しました。

実際にいろいろな技術で、他国の工具メーカーもこの分野に進出していますが、我々のRFIDを付けた工具は、高い耐久性や、360度いろいろな方向から認知できるといった、非常に優れた技術を使っています。

具体的な事例としては、今年シンガポールで開かれたAviation Week Network主催の「MRO Asia Pacific 2024」において、当社の工具が、世界の優れた技術の分野として「MRO Technology Achievement of the Year(MROテクノロジー年間最優秀賞)」にノミネートされました。最終的に大賞は逃しましたが、日本のメーカーでは唯一、賞にノミネートされました。

こちらは実際に技術的に認められており、今、世界各国の航空機メーカーや、整備を手掛ける会社、そして航空会社に、製品のサンプルを納入しています。

RFID工具の市場

RFID工具の市場としては、航空機に限らず、原子力プラントや化学プラント、鉄道・船舶、高層ビルのエレベーターなどがあり、非常にニーズの強い製品です。こちらを今後、1つの柱にしていこうと考えています。

nepros北米展開

重点戦略の2つ目は、「nepros」の北米展開です。プロ用の工具を北米市場で販売していきます。

日本の作業工具のマーケットは、約800億円と言われています。一方、世界のマーケットは約3兆1,200億円と言われています。中でも特に、北米は大きなマーケットです。

そのような中で、どのように「nepros」を売っていくかについてご説明します。もともとアメリカや欧州にも、我々の「nepros」と同様に、最高品質の工具を販売しているメーカーはあります。

ただし、各社いろいろな戦略があり、多くのユーザーの方に使用してもらうために大量生産による低価格戦略に軸足を置き、品質や美観を追い求めたハンドツールを製造しないメーカーが増えています。結果的に、我々の「nepros」のような最高品質の工具の価値が非常に高まっている現状があります。

また、昨今の為替の変動、いわゆる円安によってコスト競争力が非常に高まってきています。このような状況を利用し、北米に進出していこうと考えています。

米国自動車アフターマーケットへバンセールスを使いネプロスを展開

実際にアメリカのマーケットがどのようになっているか、日本からは想像しにくいところもあるでしょうが、実際にはスライド右下の画像のような大きなトラックに載せて、販売業者が全米を回って、工具を販売しています。

アメリカでは日本とは桁違いに大きなガレージを持っておられる方が多く、日本でいうカーディーラーに置いてあるような大きな工具ケースを持っていて、トラクターから自動車まですべてのものを整備します。

逆に言えば、特にカントリーサイドでは、このように自分で整備ができないと命取りになってしまうということであり、このようなトラックが全米で約1万2,000台走っています。このトラックに積んでいただき、「nepros」を北米で展開しようと考えています。

TRASASおさらい

重点戦略の3つ目は、「TRASAS」です。こちらは取り組み始めて10年くらいになります。

例えば、スパナでネジを締めることを想像してください。まず、締める際に、締めすぎ、締め忘れなどの作業ミスのリスクがあります。それを「締めました」という記録を付けます。手書きで記録する段階で、記録ミスのリスクがあります。

それをPCで管理します。今度はPCに入力する際に、入力ミスのリスクがあります。最後に、作業記録を書類で管理します。その記録検索のコストがかかりますし、これもミスをするということがあり得ます。

「それならば全部自動化してしまえばよいのではないか」というのが、「TRASAS」の考え方です。

まず、ネジを締める時に、「どれくらいの力で締められたか」というトルク値が、すべてデジタルで表示されて記録されます。場合によっては、トルク値を最初に設定しておけば、そのトルク値になったら音が鳴って「それ以上締めるな」とか「このトルク値で正解です」と知らせてくれます。

さらに言えば、今はVRやタブレットなどで設定値を指示できるようになっています。その指示に従って作業者がネジを締めると、すべての記録がパソコンに記録されます。途中でチェックリストにレ点でチェックしたり、キーボードを打ったりといったことが、一切不要になります。

現在は大手の自動車や二輪の用品メーカー、あるいは整備業者、ディーラーなどで利用されているだけでなく、新幹線の車両の組み付けや工作機械など、さまざまなアセンブリラインで機械を組み立てている工場でも利用されています。

この「TRASAS」のマーケットは、非常に大きいと考えており、この10年間でこの分野にかなり力を注いできてきています。

サプライチェーン再構築 (SCM)

重点戦略の4つ目は、サプライチェーン再構築です。1つ目から3つ目までの成長戦略を支え、さらに既存の工具を作っていくために、工場のサプライチェーンを見直しています。

サプライチェーン再構築 (SCM)

例えば、もともと我々は中国等にも生産工場を持っていましたが、昨今のいろいろな経済情勢などを勘案して、いったん国内に回帰しました。

そして、国内から、さらにこの拠点ネットワークをどのように広げるかも含め、生産拠点戦略の見直しを行っている状況です。

業績推移 _連結売上高・営業利益推移

これらの成長戦略により、2030年度には売上高140億円、利益率10パーセント以上を目指して取り組んでいきます。

株主還元 _基本方針

株主還元・PR情報についてご説明します。株主還元は、安定的かつ継続的な配当を基本とし、配当性向30パーセントを目安にさらに高い水準を目指していきたいと考えています。

基本方針として、株主のみなさまへの利益還元は、継続的な企業価値の増⼤及び配当を通じて実施していくことを基本と考えています。

みなさまご承知のとおり、資本コストや株価を意識した経営について、東京証券取引所からも投げかけられています。

このテーマに沿って、我々もこの株主還元のあり方をどのようにより高めていくかを検討し、実際に取締役会・経営会議で議論している最中です。こちらについては、新しい方針を定め次第開示していきたいと考えています。

1株あたり配当金の推移

1株あたり配当金の推移です。30パーセントの配当性向を目処として、この10年以上は右肩上がりとなっています。

2021年3月期には記念配当を5円乗せていますが、基本的に基本配当は右肩上がりになっています。

PR情報_コンテンツ情報

PR情報です。テレビではNHKをはじめとした全国放送、あるいはローカル放送で取り上げられました。雑誌でも、例えば『MONOマガジン』の4-16号では、KTCの工具の特集号を出していただきました。

さらに、SNSにおいても、「YouTube」や「X(旧Twitter)」等を中心に、かなり早くから発信しています。

PR情報_コンテンツ情報

公式ホームページには、投資家情報サイトを設けています。ぜひご覧いただければと思います。

また、「TORIKOツアー」という工場見学も開催しています。日本全国、また世界各地から、多い時には年間約6,000名が来館します。観光バスが、朝も昼も来る日もあります。

実際に仕事で工具をお使いの方々から、工具をお使いになる予備軍の工業高校の生徒、あるいは地域の小学生のみなさまに来館いただき、私たちのものづくりへの思いを知っていただき、KTCの虜になっていただくための活動を行っています。

人の能力や感覚を拡張するツールへ。

「人の能力や感覚を拡張するツールへ。」を掲げて取り組んでいるKTCについて、少しでも理解を深めていただければと思います。本日はご清聴ありがとうございました。

質疑応答:「TORIKOツアー」という名称の由来について

質問者:「TORIKOツアー」は、どこから来た名称なのでしょうか?

片岡:工具や、KTCの虜になってもらおう、という意味です。

質疑応答:競合他社と最も差別化できている点について

質問者:御社が競合他社と最も差別化できていると考えているのは、どのようなところでしょうか?

片岡:1つ目は、安全に対するこだわりです。当社は、安全性を一番重視しています。例えば、工具が壊れる時も、どこで壊れたら一番人に危害を加えないかまで考えて設計しています。

2つ目は、先端的な技術に対して非常に積極的に取り組んでいることです。「TRASAS」やRFIDのほか、最近では、例えばトポロジー(topology)や構造力学を用い、普通の工具と比べて耐久性が劣るわけではまったくない上に、より軽量に設計された工具を京都大学の先生と一緒に作りました。スケルトンのようなフォームで、グッドデザイン賞を受賞しています。

このようなものも含めて、非常に先端的な技術に取り組んでいる結果、ブランド力や品質に対する信頼性などが各界で認められている点も、他社と差別化できているかと考えています。

質疑応答:一般産業向けで強みのある業界について

質問者:自動車業界向けの事業が主力かと思いますが、一般産業向けではどのような業界に強いのでしょうか? もしくは、足元で伸びている業界があれば教えてください。

片岡:自動車業界といっても、本当に強いのは自動車整備の部分です。アフターマーケットが強いのですが、それ以外にはいわゆる自動車の工場を含めたファクトリーの部分で、非常に利用されているのではないかと考えています。

実際に、自動車整備用の工具と、工場などに向けた工具の割合は、5対5程度です。このような意味で、もちろん自動車だけではないと言えます。さらに、工具の種類によっては、例えば、水道や空調などの配管用の工具なども非常に強いと考えています。

もちろん、いわゆるモビリティが強いと言えるかと思いますが、どこが一番強いというよりは、比較的幅広く、まんべんなく利用されているのではないかと思っています。

質疑応答:海外展開に向けた拡販戦略について

質問者:海外展開について、地域と製品でどのような拡販戦略を立てられているのでしょうか? 御社の製品にはモビリティやインフラ、医療機器向けなどがあるかと思いますが、そのあたりについて教えてください。

片岡:これまでは、東南アジアや東アジアなどで自動車向け工具が強い状況でした。アジアでは汎用工具が多いのですが、現在は北米のいわゆる個人や整備のプロなどに、あえて最上級工具を持っていって勝負していこうと考えています。

質疑応答:航空機MRO業界向けIoT対応工具について

質問者:航空機MRO業界向けの、IoT対応工具の投入について質問です。「2024年中に製品化」とニュースでも発表されていましたが、いつ頃売上に反映される感触でしょうか?

片岡:実際の製品化は、すでに行っています。現在数十種類のRFID工具を多くのユーザー様にテスト用として出荷しています。航空機は、安全性を最重要視されており、現在さまざまなところで多くの検査やテストが行われているところです。

したがって、当初我々は、2024年度にはある程度の売上が見えるかたちで売りたいと目論んでいましたが、今期はおそらくサンプル出荷の売上程度になってしまうかと思っています。来期後半以降に本採用が決まれば、ある程度の売上になるだろうと思います。

また、航空機にはさまざまな使われ方があります。そのため、商用機だけでなく、もう少し小さな分野である自家用機などさまざまな分野を含め、我々が売上を上げていくのに最適な領域はどこかについて、ターゲティングを進めていきたいと思っています。

もちろん、今期の売上がまったくないわけではありませんが、来期以降、つまり2025年度にはもう少し売上として出てくるかと期待しています。次の中期経営計画が来年度から始まるため、そこでは間違いなく主力になっているかと思います。

質疑応答:売上の季節性について

質問者:売上について、季節性などはありますか?

片岡:若干の季節性があります。ユーザーである企業の予算や、工具をお使いになる整備工場の新入社員向け工具のようなものもあるため、そのような意味では、我々にとっての第4四半期となる、1月から3月の売上が比較的多いです。

上期と下期で比べた場合、45パーセントから47パーセント対53パーセントから55パーセント程度の比率になるかと思います。

質疑応答:付加価値の高いソリューション案件について

質問者:有価証券報告書等では、付加価値の高いソリューション案件を中心に売上が堅調だとされていますが、具体的にどのような案件でしょうか?

片岡:「ユーザーのお困りごとを解決する」ことが我々の考え方のため、工場の現場に入り込み、実際に作業している方、あるいは現場を管理している方々にお話をうかがい、どのような工具を提供していくかが、我々の原点です。

つまり、例えば自動車1台をとっても汎用の工具ではなく、「このパーツをこのように作業したいので、これを極力楽にするにはどうしたらよいか?」という視点から、工具の軸の角度や長さを調節するようなことにもともと取り組んできたメーカーです。

加えて、先ほど挙げた「TRASAS」が代表的な例かと思いますが、管理するために、いわゆるセンサをつけたり、記録してコントロールするソフトをつけたりと、システム化していきます。こちらは我々が工場全体で組む場合もありますし、お客さまのシステムに入れる場合もあります。

このように、一体化するようなかたちでご提供することが、一番付加価値の高いソリューション案件ではないかと考えています。

新幹線の車両などを整備する、または組み立てる際、締結箇所が1輌あたり何百ヶ所もあります。16輌の場合は何千ヶ所や何万ヶ所かもしれません。そのようなところで作業の漏れがないように管理する際、どのような順番で締めていけばよいのか、という課題は当然あると思います。そのようなことを、少しでも一緒に解決できればという思いで提供してきています。

質疑応答:各営業部門の強みや特徴について

質問者:営業部門には市販部門とソリューション部門がありますが、それぞれの強みや特徴について教えてください。

片岡:市販部門は、これまでブランドも含めて非常に認知度が高く、さまざまな代理店や販売店に支えられて売っている部門であり、我々は非常に良いチャネルを持っています。したがって、安定して工具を売っていけるかと考えています。

ソリューション部門では、「安全、快適、能率・効率」を切り口に、1件ずつ直接法人さまに対して営業を行うということになります。既存のお客さまからのリピートはもちろん、さまざまなところへ出ていき、技術的にさまざまな取り組みを行っていることは、3つ目の強みとしてお伝えしたかと思います。

ここを柱に攻め込んでいるため、認知度を高めていただきながら提供しており、やはりここは技術力の勝負になるのではないかと思っています。

質疑応答:採用活動の進捗状況について

質問者:採用の取り組みや進捗状況はいかがでしょうか?

片岡:ここ数年間の採用市場は厳しい状況ではあるものの、おかげさまで、さまざまな学生が集まり、新卒の採用活動はほぼ計画どおり進捗しています。

また、最近ではキャリア採用も、以前より継続的に行っています。こちらもやはりなかなか難しくなっていますが、さまざまな方に入社いただいています。

給料等も、今年は6パーセント以上のベースアップを実施しました。育児や介護などの面でも、同業他社と比べて見劣りしないどころかむしろ進んでいるかたちで、もともとさまざまな制度を導入しています。

さらには、「健康経営優良法人」も5年連続で受賞しています。人的資本経営を重視しながら、今後も積極的に採用活動に取り組んでいきます。

質疑応答:M&A活用の可能性について

質問者:今後の成長戦略において、M&Aの活用は選択肢としてありますか?

片岡:もちろんあると思います。我々だけではできないことはたくさんありますし、実際に2023年1月にはHI-TOOLを買収するかたちで、久しぶりにM&Aしました。

こちら以外にも、検討している案件は年間に数件程度あります。これからも、我々の目標をどのように達成していくかという観点で、社内のリソースだけでなく、社外のリソースともぜひコラボしていきたいと思っています。

質疑応答:資本の使い道について

質問者:資本コストの面について質問です。資本の使い道はどのように考えていますか?

片岡:通り一遍の回答になってしまうかもしれませんが、我々には非常に幅広い品揃えと一貫生産体制があります。そのため、ある程度は設備投資を中心に備えていかなければならないだろうと考えています。

どの企業も同じですが、昨今では人的資本投資が非常に重要になってきているため、こちらへの投資の源泉は確保していきます。

ただし、柱は事業の継続性です。そのためにも、株主のみなさまに支えていただくことは非常に大事だと思っています。株主還元についてはさらに拡充する方向で現在も検討しているため、これらの両輪となっていくかと考えています。

質疑応答:今後のIRの方向性と現在の課題について

質問者:今後のIRの方向性と現在の課題について教えてください。

片岡:正直に言えば、我々はこれまで、IR領域に積極的に取り組んでいた企業とは言えなかったと思います。実は、今年8月に初めて日経IRフェアに出展した際も、「えっ、KTCが出てくるのか」という声をいくつか頂戴しました。

今後は積極的にIRに取り組んでいきたいと考えています。実際に、すでに証券会社とのIR活動等を行っていますし、今年は株主総会の終了後には株主ミーティング、いわゆる株主懇談会等も実施しました。

現在は、さまざまな媒体も含めて、IRの機会を増加させていきたいという方向で取り組んでいるところです。

質疑応答:ESGの取り組みについて

質問者:ESGについては、どのように取り組んでいますか?

片岡:長期ビジョン「KTC vision 2030」を発表した際、ESGについても、合わせて9年間の取り組みについて発表しました。

Social(社会)とGovernance(ガバナンス)にも取り組んでいますが、特にEnvironment(環境)について、我々は以前からかなり積極的に取り組んでいる企業であると自負しています。

環境と社会と企業統治についてはそれぞれ、具体的な目標を当社ホームページにも大きく公開しているため、ぜひご覧いただければと思います。

温室効果ガスの排出量を削減するため、2030年には基準年比50パーセント削減という目標を掲げており、具体的に何をすると言っているのかをはじめとして、具体的なさまざまな事例も掲載しています。

それらの開示をご覧いただければ、KTCがかなり本気で取り組んでいることがおわかりいただけるかと思います。

配信元: ログミーファイナンス

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