ロート製薬、アジア、アメリカで大幅な増収 日本も主力品やインバウンドの好調により、通期は全地域で増収増益の見通し
2025年3月期中間期の概況
斉藤雅也氏:代表取締役副社長兼CFOの斉藤です。私から、2025年3月期中間期決算の概要についてご説明します。
当中間期の国内経済は、雇用や所得環境の改善によって、個人消費を中心に、緩やかな回復基調が継続しました。インバウンド需要の増加に加え、当社はお客さまのニーズに合った商品提案が奏功し、円安の影響もあり、売上は増収となりました。
一方で利益面では、原価率の上昇に加え、研究開発費の計画的な増加により、販売費および一般管理費が増加した結果、減益となりました。
国内では、新製品が好調なリップクリーム、サプリメントの「ロートV5」「メラノCC」「肌ラボ」や、高額目薬等が引き続き好調です。
さらに子会社のロートニッテンやクオリテックファーマが売上・利益に貢献しました。
海外事業については、アメリカ、アジア地域が大幅な増収増益となりました。ヨーロッパは大幅な増収になったものの、主力の中東向け商品の出荷時期がずれた影響が大きく、減益となりました。通期業績予想および配当予想に関しては、変更ありません。
連結損益
連結の損益計算書です。売上高は1,390億8,200万円で、前年同期比8.8パーセントの増収となりました。売上原価率は43.6パーセントで、前年同期比で1.4ポイント上昇しました。これは、日本で労務費や減価償却費が増加したことと、工場のリノベーションにより稼働率が低下したことに加え、ヨーロッパで主要製品の減収により工場の稼働率が低下したこと等によるものです。
営業利益については、売上は増収となったものの、売上原価率の上昇や広告費および研究開発費の計画的な増加により、177億9,100万円で、前年同期比15.1パーセントの減益となりました。
経常利益は、前期と比べ為替差益が減少したことなどから、185億9,000万円と前年同期比18.0パーセントの減益となりました。親会社株主に帰属する中間純利益は、129億2,100万円で、前年同期比22.1パーセントの減益となりました。
為替レートは前期1USドル138.69円に対し、当期は153.65円と10.8パーセントの円安になっています。このUSドル円を含む為替変動により、売上高が約50億円、営業利益が約5億7,000万円増加する影響がありました。
連結営業利益の変動の構成(前年比較)
こちらのグラフは、営業利益への寄与を表したものです。アジアの売上原価率は改善したものの、日本やヨーロッパでの売上原価の上昇によるインパクトがマイナス約19億4,000万円、増収効果がプラス64億9,000万円となり、売上総利益は45億5,000万円増加しました。
しかしながら、広告費や研究開発費などの販管費が77億2,000万円増加し、売上総利益の増加を上回ったことから、結果的に減益に着地しました。
報告セグメント別売上
報告セグメントのエリア別売上です。各地域とも引き続き好調で、スライドのとおりすべての地域で増収となりました。
報告セグメント別営業利益
報告セグメントのエリア別営業利益です。アメリカとアジア地域で増益となった一方で、日本とヨーロッパ地域では減益となっています。
日本 増収減益
報告セグメント別にご説明します。日本においては、売上高は814億4,200万円で、前年同期比6.6パーセントの増収となりました。個人消費の緩やかな回復とインバウンド需要の増加に加え、お客さまのニーズをいち早くキャッチした商品提案と効果的なマーケティングにより、アイケア、スキンケア、内服、その他とすべてのカテゴリで増収となりました。
商品別では、「リップフォンデュ」シリーズから、唇をぽってりツヤツヤにする今流行りのプランパーリップを7月に新発売したところ、大人気となっています。このほか、前期に引き続きサプリメントの「ロートV5」や「メラノCC」が好調です。「メラノCC」では人気の酵素洗顔に加えて新発売のマスクが好評で、垂直立上げとなっています。さらに、美白タイプが好評な「肌ラボ」や、高額目薬なども好調を持続しました。
ロート製薬単体だけでなく、子会社のロートニッテンが主力品目の販売を拡大したことにより、増収増益となりました。同様にクオリテックファーマも、売上増により売上・利益で貢献しました。
営業利益は、ロート製薬単体で人件費や減価償却費が増加したことと、工場のリノベーションにより稼働率が低下したこと、また子会社で薬価下落により原価率が上昇したことに加え、研究開発費など販管費が予算の範囲内であっても増加したことにより、98億7,200万円となり、前年同期比25.4パーセントの減益となりました。
インバウンド需要
2024年7月から9月の第2四半期は、地震など自然災害の影響もあり、海外からの渡航者が減少しました。特に当社製品を好む東アジアからの訪日客が減少したこともあり、当社のインバウンド売上は前年同期比7パーセント程度の増収にとどまりました。
商品別では従前から変わりなく、目薬や「肌ラボ」「メラノCC」、メンソレータムの皮膚用薬などが好調に推移しています。
アジア 大幅な増収、増益
海外事業で最大の市場であるアジアは、売上高が379億600万円で、前年同期比10.8パーセントの大幅な増収となりました。中国および香港では引き続き厳しい市場環境が続いていますが、競合の外資系大手メーカーと比べると、その影響を最小限に抑えていると考えています。
一方で、ベトナム、インドネシアなどの東南アジアが、現地通貨建てで2桁成長という好調を持続しています。マレーシアも第2四半期からは回復傾向にあります。
特にインドネシアでは、日やけ止めや「セルサン」「肌ラボ」、目薬などの主要ブランドが好調に推移しました。外資系大手メーカーが軒並み、現地企業や中国勢、韓国勢との厳しい競争で苦戦を強いられる中、ロート製薬は早くから現地小売チャネルやeコマースの開発を進めたことで、堅調に売上を拡大することができています。
ベトナムも輸出の伸びや外国人旅行者の増加が経済を下支えし、「肌ラボ」、日やけ止め、「アクネス」、リップクリーム、「メラノCC」などが2桁成長を維持しています。
一方でミャンマーでは、輸入規制の厳格化の影響を受け、原材料や製品の輸入が困難になったため、大幅な減収となりました。
商品別では、需要が拡大している日やけ止めのほか、東南アジアや中国、香港で好調な「セルサン」、新規ユーザーの獲得が続いている「肌ラボ」などの主力ブランドが好調に推移しました。
利益面については、メンソレータム社創業135周年のキャンペーンなど、期初計画どおり広告販促費が増加しました。ミャンマーの減収、およびEu Yan Sang社取得にあたり一時的に費用が発生するなどの利益減がありましたが、原価率の改善などにより、営業利益は60億3,700万円で、前年同期比3.2パーセントの増益となりました。
アメリカ 大幅な増収増益
アメリカでは、売上高が100億4,300万円で、前年同期比14.6パーセントの大幅な増収となりました。米国の目薬が引き続き順調に推移するとともに、医療用消毒薬等を製造販売するハイドロックス・ラボラトリーズ社や、「肌ラボ」などのスキンケアと眼科事業が伸びているブラジルも好調に推移し、増収に貢献しました。
営業利益に関しても、ハイドロックス・ラボラトリーズ社やブラジルの子会社の増収効果により、6億5,900万円、前年同期比16.8パーセントの大幅な増益となりました。
ヨーロッパ 大幅な増収、減益
ヨーロッパでは、売上高は80億3,000万円で、前年同期比13.9パーセントの大幅な増収となりました。主力の外用消炎鎮痛剤は、引き続き中東向けの出荷時期のずれの影響などで減少しましたが、ポーランドのダクス・コスメティクス社で「Perfecta」「Hadalabo Tokyo」などの自社ブランドの化粧品事業が順調に推移しました。
さらに、点眼剤「ロートドライエイド」を2021年より欧州で展開を進めていますが、2024年にはオーストリアで新発売するなど、販路を拡大しています。
ただし利益面では、外用消炎鎮痛剤の減収と原価率の上昇により、営業利益は5億3,800万円となり、前年同期比38.9パーセントの減益となりました。
私からのご説明は以上です。
ポイント
杉本雅史氏:代表取締役社長の杉本です。平素は各方面から大変お世話になっております。本日は大変お忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただきありがとうございます。
私より、通期の業績見通しと、持続的成長への取り組みについてご説明したいと思います。
通期の業績予想および配当については、中間期の実績がほぼ想定内にとどまったため、修正はしていません。第3四半期以降国内では、内需が牽引するかたちで底堅い伸びになると見込まれるものの、為替は不安定なまま、原材料価格や燃料価格の高騰および物価の上昇が継続すると予想され、余談を許さない状況が続いています。
グローバルにおいても、中国、香港の経済は減速を続けており、厳しい環境が続くことを想定しています。そのような情勢下、当社としては、2025年3月期はメンソレータム135周年に当たるため、さらなるブランド力の向上を目指し、グローバルでさまざまな施策を行ってきています。
成長の牽引役となっているアジアにおいては、中国市場の停滞を補填するかたちで、東南アジアが引き続き、高いブランド力で成長を牽引する予定です。
また、2024年には新たな成長投資策を進めており、今期6月に買収したシンガポールのEu Yan Sang社、およびオーストリアのMono chem-pharm社が下期より連結します。
日本国内では、新領域としてヘアケア分野に本格参入し、お客さまから高いご支持をいただいています。当社は中長期的な成長を目指し、お客さまに「Well-being」をお届けすることで、業績を伸ばしていきたいと考えています。
業績見通し(変更なし)
通期業績は第1四半期で修正したものから変更ありません。売上高は3,200億円で、前年同期比18.2パーセント増となりました。
営業利益は432億円で、前年同期比7.9パーセント増、経常利益は442億円で、前年同期比4.2パーセント増、当期純利益は322億円で、前年同期比4.1パーセント増と、いずれも増益を見込んでいます。大幅な増収、利益面でも増益というかたちで、全項目で過去最高益を更新する見込みです。
なお、通期の連結業績に用いた為替レートは1ドル148円、中国元は1元20円で、こちらも変更していません。
報告セグメント別売上予想(変更なし)
報告セグメントの地域別の売上予想です。こちらについても、前回から変更はありません。日本では、下期も主要ブランドの好調が持続する見込みで、インバウンド需要の増加傾向を織り込み、売上高は1,728億円で、前年同期比10.2パーセント増の2桁成長となる見込みです。
アジアでは、Eu Yan Sang社の連結と足元状況を加味し、売上高は1,047億円で、前年同期比32.9パーセント増となる計画です。
アメリカでは、売上高が208億円で、前年同期比2パーセント増、ヨーロッパでは、Mono chem-pharm社の利益率を踏まえ、売上高が185億円で、前年同期比33.2パーセント増となる予定です。
報告セグメント別営業利益予想(変更なし)
報告セグメント別の地域別の営業利益予想です。こちらも変更はありません。日本では255億円で、前年同期比4.3パーセント増、アジアは134億円で、前年同期比11.4パーセント増、アメリカは15億円で、前年同期比24.4パーセント増、ヨーロッパは17億円で、前年同期比22.7パーセント増と、いずれも増益を見込んでいます。
Well-being経営について
今年は当社創業125周年という節目の年です。100周年となった1999年以降、この25年の間に事業分野の幅を広げ、売上規模においては5.2倍、時価総額においては14.4倍になるなど、飛躍的成長を遂げることができました。
これも商品やサービスをご支持くださった生活者のみなさま、株主や従業員のみなさま、取引先など、さまざまなステークホルダーのみなさまの、当社経営に対するご理解とご支援の賜物だと思っています。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
今後も中長期の持続的成長を実現するために、ここで、当社経営において私どもの成長の源泉と考えている「Well-being経営」についてお伝えし、ご理解、ご支援をお願いしたく思います。
当社の存在意義は、企業理念として定款にも記載しているとおり、「世界の人々に商品やサービスを通じて『健康』をお届けすることによって、当社を取り巻くすべての人や社会を『Well-being』へと導き、明日の世界を元気にする」ことです。
つまり当社は、事業を通じて人々の豊かな暮らしと社会を実現することを目指しています。豊かな暮らしと社会の実現は短期的に成し得るものではなく、当社は必然的に、10年から30年という長期的なスコープで事業を組み立て、研究開発、ブランド育成、設備、新規事業、人的資本などの事業投資を行ってきています。
ロートグループ総合経営ビジョン2030
「Well-being」については、2019年の「経営ビジョン2030」内で、「Connect for Well-being」というビジョンとして明文化しました。当社は事業利益の幅を広げていますが、それぞれの事業を「Well-being」の中で位置づけ、それぞれを「Connect」、つなげることで、社会に貢献していくことを明確に打ち出しています。
当社は、現在進める中期的な経営戦略においては、人や社会の「Well-being」への貢献を基軸に、スライドにご案内した6つの事業領域に注力して、取り組みを進めてきています。
当社事業の中心であるヘルス&ビューティ領域に加え、再生医療、医療用眼科領域など、新しい領域での貢献を目指しているのは、当社の主要マーケットであるH&B事業は、特に日本市場においては成熟期に入っており、長期安定成長を実現していくためには、新たな事業の柱を育てていくことが不可欠になっていると考えるからです。
コア事業で手堅く利益を上げ続けながら、人々の「Well-being」へ貢献できる新規事業を育て、事業の柱を増やしていくと同時に、それぞれの事業をつなげることで、さらなる相乗効果を生み出し、価値最大化を実現していきたいと考えています。
持続可能なWell-being社会の実現
若干先ほどと重複しますが、企業経営においては「選択と集中」が常道と言われていますが、当社の場合は「選択と分散」を大切にしています。
「Well-being」という事業スコープは「選択」します。一方で、実際の事業はOTC医薬品もあればスキンケアもあります。食事業もありますし、医療用医薬品もあれば再生医療も展開しています。最近ではコンパニオンアニマル事業も始めました。
このように、「Well-being」につながるかどうかを見極めながら、事業領域は緩やかに「分散」させていくことを基本としています。その上で、それぞれの事業は独立して広がるのではなく、事業をつなげながらカバーしていくことが大きな目標です。
当社は、挑戦する事業の成長だけでなく、それぞれの事業をつないでブレークスルーする商品を開発していくこと、さらに、事業同士で相乗効果を図ることが重要だと考えています。
そのため、「Well-being」を横串にして、さまざまな分野でソリューションを提供することで、たくさんの方々の健康に貢献することを目指しています。結果として、複数の強い事業の柱を形成し、安定した経営基盤を構築していきます。
当社の基本的な考え方については、従来からお伝えしているとおり、「長期安定成長を志向」しています。したがって、何年で売上を倍にするといった目標設定というものは考えていません。「社会の公器」たる企業として「Well-being」に貢献することで、毎年着実に長期に安定して成長させていくという方向で、経営のかじ取りを続けていきたいと考えています。
当社のパーパスである「Well-beingな社会の実現」に貢献し続けるためには、持続的な企業価値の創造が必要です。それも、担い手はもちろん、社員一人ひとりです。社員の成長なくして、会社の成長はありません。
当社の人的資本、人事制度の基本的な考え方は、社員は会社の持ち物ではなく、会社と社員はともに成長する関係であるというものです。つまり、社員が主体的に事業活動に参画し、社会に向けて価値を創出することで会社も成長でき、会社が成長することで、多様な活躍機会を社員個人に提供でき、そのような好循環が生まれることにより、会社と社員の共成長を目指すというものです。
このような方針のもと、個人の意思でキャリアを切り開いていけるように、2016年からは、社内にダブルジョブや社外チャレンジ枠といった兼務、複業ができる仕組みを設け、できるだけ個人の意思を尊重し、可能性を信じ、ポテンシャルを引き出せる取り組みを実施しています。
製造資本強化
あわせて当社は、各地域での開発から販売まで一気通貫した「自前のものづくり」を大切にしています。グループ会社が自走できる経営体制を構築することで、製造資本を強化し、グループ全体のサプライチェーンリスクを最小限にできると考えています。
この1年の取り組みとしては、海外では、売上が急増しているインドネシアやベトナムの生産体制の強化、あるいは、アメリカで成長しているハイドロックス・ラボラトリーズ社のライン増強を進めました。さらに今期はオーストリアの製薬会社であるMono chem-pharm社の株式を取得し、ヨーロッパにおける目薬の製造拠点を得ることができました。これにより、今後ヨーロッパでの目薬市場の開拓に弾みがつくものと考えています。
国内では、主力の上野工場においてサイバーフィジカルシステムを開発するとともに、生産能力の増強を図りました。再生医療の分野においては、特定細胞加工物の製造工場の認可を取得し、CDMO事業も推進してきています。
知的資本強化
当社では、新たな価値創造を進めるために、知的財産がますます重要になると考えています。知的財産を重要な経営資源と位置づけ、新たな価値を作り、当社グループを持続的成長に導くため、同時にそれを通して持続可能な社会の実現に貢献するために、グローバルな知財力の強化に取り組んでいます。
アイケアを中心としたヘルスケア事業の確立から、近年では機能性化粧品の成長を経て、さらに多くの事業の柱を持つに伴い、当社の知的財産活動も幅広く進化し、特許出願件数も増加してきています。
先進技術力に裏付けされた知的財産
当社は、特許の質と量から総合的に見たランキングにおいて、「眼科薬関連技術特許総合力」については1位となっています。当社の注力開発成分であるビタミンC、あるいはヒアルロン酸においても、高い特許の保有を誇っています。
持続可能な地球環境へ
持続可能な地球環境のための当社の取り組みについても、その一部をご紹介します。当社は2005年に「環境方針」を定め、企業活動を通じて地域および地球環境汚染の予防と、継続的な改善を行っています。
特に、地球温暖化防止のための温室効果ガスを削減することが社会全体の課題となっていることを理解し、オフィス、工場等における省エネ、移動や輸送等の際の環境負荷の低減について、さまざまな取り組みを行ってきています。
2018年には国連グローバルコンパクトに署名し、参加企業として登録されました。2021年には、地球温暖化に関する自然災害の影響を重く見て、TCFDによる提言に賛同を表明するとともに、二酸化炭素排出削減目標を設定し、実現に向けてアクションを進めています。
同時に、サステナビリティ委員会を設置し、気候変動に関するリスクと機会について協議し、取り組み方針を決定し、その方針をグループに展開する体制をとっています。
2021年からはバリューチェーン全体での環境負荷低減にも取り組んでおり、国内外のサプライヤーとも協働しながら、社会の持続的発展の実現を目指しています。
持続可能な地球環境へ
循環型社会に向けた取り組みとしては、プラスチックの使用による環境負荷の低減を目指し、2023年に「ロートグループプラスチック方針」を制定しました。
商品開発における取り組みとしては、植物由来のバイオマスを原料とするバイオマスプラスチックへの切り替えを順次行ってきています。梱包方法の見直しを進め、フィルム包装によりまとめていた目薬をバンドタイプに変更するなどの簡素化にも取り組んできています。
廃棄物の削減としては、工場でのリサイクルも進めており、マザー工場である上野工場においては99パーセントのリサイクル化を達成しています。
その他、医薬品や化粧品業界では古くから返品の習慣があり、返品された商品の廃棄について、長年の課題となっていました。これを踏まえ、返品削減は、当社の利益改善につながるだけでなく、社会的意義も高いものと考え、2015年より返品プロジェクトを発足し、改善に努めてきました。卸、小売店のみなさまのご協力により、最適な店頭在庫を実現することで、過剰な出荷をコントロールし、販売機会を逃すことなく、2015年から2023年で返品率を5.6パーセントから1.6パーセントまで削減することができました。今後も取り組みを進めていきます。
さらに2020年より通販サイト「LOHACO by ASKUL」のアウトレット内にある、廃棄ロス削減が目的の「Go Ethical」に参画し、品質上問題がないながらも従来は廃棄処分となっていた商品の再販を行い、廃棄ロスを削減しています。
また、OTC医薬品に必要となる添付文書を紙箱の内側に記載することで、紙の使用を削減するなど、商品開発においても工夫を行っています。
当社はすべての事業活動が自然環境から恩恵を受け、また自然環境に影響を与えているということを認識し、自然環境との調和を図り、持続可能な社会のために生物多様性の保全にも取り組んでいます。
最近の取り組みとしては、近年日やけ止め製剤に配合されている特定の成分によるサンゴの死滅や海洋生物への影響が問題視されていることに着目し、海の汚染やサンゴの死滅の一因として懸念されている成分を配合していない日やけ止めを開発しました。2022年にスキンアクア「ネクスタ」シリーズとして発売し、同時に啓発活動を続けています。
その他当社のWell-being経営についての詳細は、ロートの統合レポートとして8月に発行した『ウェルビーイングレポート』に記載していますので、ご確認いただけると幸いです。
ヘアケア市場に本格参入
このたび、長年にわたって培ってきたスキンケアの研究知見と技術を頭皮や毛髪に応用し、ヘアケア事業へ本格的に参画しました。
エビデンスに基づき効果にこだわったもの作りで、髪悩みの根本原因にアプローチし、健やかな頭皮と髪の実現を目指します。現在、頭皮の脂肪幹細胞に対する研究や髪のうねりや広がりが起きている毛髪内部の詳細な分析を大学と共同研究しています。
これまでも、フケ・かゆみ等のお悩みにアプローチする「メディクイックH」シリーズや、発毛成分「ミノキシジル」配合の発毛剤「リグロ」シリーズなどのヘアケア製品を通して、頭皮の疾患や頭皮、髪の深刻な悩みに特化したご提案を行ってきました。
また、「50の恵」シリーズは、大人の乾燥しやすい頭皮やダメージによる髪の悩みにお応えすることで、日本だけでなく香港でもヘアケアカテゴリでナンバーワンのブランドに成長してきています。
今回新発売した「Gyutto(ギュット)」と「PRORY(プロリー)」はロート独自のコアコルセット技術を採用し、大人の髪の質感を改善します。「Gyutto」は発売と同時に他社品を抑えてAmazonのヘアマスクカテゴリで1位を獲得しています。さらに、ベストセラー1位を獲得し、現在は店頭で品切れ状態となっています。
機会ロスにならないように現在、量産体制を急ピッチで整えているところです。今後もエビデンスに基づき、効果にこだわったもの作りで多くの方が抱える解決しづらいダメージによる髪悩みにアプローチするヘアケア事業で、新たな価値をご提案していきたいと考えています。
メンソレータム135周年(日本)
今年はメンソレータムの誕生135周年と申し上げました。メンソレータムブランドの価値をさらに上げて売上アップを狙った取り組みを、グローバルベースで行っています。
日本では今月から3ヶ月間、東京都立川市にある屋内キッズパーク「PLAY! PARK」でコラボイベントを実施します。子どもから大人まで楽しめる、メンソレータム尽くしの「やさしいおせっかい」な遊びを通して、気遣いや手助けによって芽生える気持ちを感じていただけるような体験をお届けしようと思っています。
また、東京と大阪にて、大切な誰かへ優しい気遣いをオリジナルフラワーとともに贈るイベント「メンソレータムフラワースタンド」を開催します。東京では11月22日、23日に東京ミッドタウンで行いますので、お越しいただければ幸いです。
メンソレータム135周年(海外)
日本だけでなく海外の各地でも、年間を通してブランド認知の向上と再活性化を目的としたさまざまな取り組みを行っています。中国では大々的な屋外広告やデジタル広告のほか、KOLを招いたイベントや、お客さまの体験型イベントを実施しています。
香港では、家族で参加できるメンソレータム135周年マラソンを実施し、3,000人を超える人に参加してもらうなど、世界各国でさまざまなイベントを実施していました。
また、各国で限定品やキャンペーンを行い、大きな反響を呼んでいるところです。
再生医療を身近な選択肢に
当社の再生医療事業では、適切な治療法がなく困っている患者のみなさまに新たな治療の選択肢となるよう、「再生医療をもっと身近に、もっと利用しやすく」をステートメントとして掲げ、再生医療の開発に取り組んでいます。
再生医療研究の細胞培養に用いるオリジナル完全無血清培地、AOF培地「R:STEM」という商品を2020年より医療機関や企業へ販売しています。「R:STEM」は再生医療周辺産業製品・サービスに対する認証制度「FIRMマーク」第1号を5月に取得しました。
10月には細胞外小胞すなわちエクソソームの産生用AOF培地「StemNavi」の販売も開始しました。日本国内で販売実績のある間葉系幹細胞の培養用培地「R:STEM」に次ぐ商品です。今後需要が高まると予想されることから、培地ビジネスには注力していきます。
また、来年大阪で開催される関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンにおいて、再生医療とアイケアの2領域から新しい未来の体験を提供します。パーソナルヘルスレコードをもとに、再生医療のさらなるパーソナライズド化をご体験いただければと思っています。近未来で実現・実装される次世代の自動培養装置も、大阪ヘルスケアパビリオンに出展・展示する予定です。
Eu Yan Sang international Ltd.
9月末に株式を完全取得したEu Yan Sang社については、下期から半期分を連結します。売上高は180億円強で、今しばらくはのれんの償却で利益が相殺される予定ですが、想定以上の成長が実現できれば、来年度以降のれん償却後も着実に利益貢献ができると見込んでいます。今後については、売上は毎年7、8パーセントの成長、営業利益率の改善を見込んでいます。
現在、Eu Yan Sang社、ロート、三井物産の3社協業のプロジェクトが進行しています。さまざまな施策を検討中です。概要が明確になればご報告したいと考えています。
21期連続増配予定
配当については変更していません。前期から6円増配し、年間33円、21期連続の増配予定となっています。
以上です。ありがとうございました。
関連銘柄
銘柄 | 株価 | 前日比 |
---|---|---|
4527
|
2,793.5
(10:52)
|
+57.5
(+2.10%)
|
関連銘柄の最新ニュース
-
今日 07:15
-
11/14 18:22
-
11/14 16:05
-
11/14 14:47
#相場見通し の最新ニュース
新着ニュース
新着ニュース一覧-
今日 11:11
-
今日 11:11
-
今日 11:11
-
今日 11:10