【QAあり】Kids Smile Holdings、売上高・EBITDAは通期として過去最高を達成 保育領域を拡大し新規開拓へ
ログミー主催IRセミナー説明資料 目次
中西正文氏(以下、中西):Kids Smile Holdings代表取締役社長の中西正文です。本日は、ご視聴いただきありがとうございます。よろしくお願いします。
今日は基本的に、決算についてご説明させていただきます。6月20日に新しい中期計画を発表予定で、今日は発表前のご説明となります。中期計画については楽しみにしていただき、今日はどのような背景で中期計画を考えているかをお伝えできればと思います。
2024年3月期 通期決算ハイライト
中西:決算ハイライトの数字です。スライドには当社が重要視している指標や、当社を知っていただくにあたって大事な指標をピックアップしています。前期はいずれも順調に推移しました。売上高は128億6,000万円で、通期としては過去最高の数字です。
当社の場合は施設整備型のため、減価償却費が非常に大きくなります。決算上は減価償却していますが、実際は大半が補助金で受領済みです。したがって、当社としてはEBITDAがほぼ営業利益に近いという考え方で、重要指標だと思っています。このEBITDAも過去最高です。また、営業利益は2億3,000万円です。
当社はもともとKids Smile Projectという事業会社で、2008年に開設して2009年から保育園の運営をしており、もう15年になります。上場しているKids Smile Holdingsは2018年設立で、その時からいろいろな先行投資があり当初から赤字でしたが、今期、初めて黒字化できました。営業利益は前期比で2億6,000万円改善しています。
2024年3月期 通期決算ハイライト
坂本慎太郎(Bコミ)氏(以下、坂本):黒字化の一番の背景は何でしょうか?
中西:運営している保育施設は、基本的に0歳児から5歳児まで6クラスあります。最初は0歳、1歳、2歳の3クラスぐらいしか入らず、そこから4年ほどかけてそれぞれのクラスから進級していきます。つまり、どれほど企業努力をしても、3年から4年かけないと収益が100パーセントにならず、収支も良くなりません。
一時期、認可保育園については毎年15園以上が新規に開設していましたが、そのような意味で新園の開設当初は確実に赤字が大きく出ます。園によっては2年目ぐらいから徐々に赤字幅が小さくなっていきます。
したがって、新規開設数が多いと赤字が多いのですが、運営施設数がようやく79になりました。どの施設の稼動も順調に本来目指すべきところにきており、ようやく黒字化することができたという状況です。
坂本:高年齢のクラスは人数も多いため、いきなり全部埋めるのはなかなか難しいですよね。
中西:おっしゃるとおりです。
坂本:0歳児、1歳児はかなり少ない人数で、そこからの持ち上がりに加えて新しい方が入ってきて、100パーセントに近づけていくかたちですよね。
中西:そのとおりです。少し言葉は違うかもしれないのですが、サブスクリプションのような感じで、要するに年間契約です。0歳児で入ってくれた人は、基本は5年契約で5歳児までいてくれます。裏を返すと、みなさまだいたい0歳や1歳から園に入り始めるため、3歳、4歳、5歳の子はすでにほかの園と複数年契約しており、入ってきてくれません。
0歳、1歳からの複数年契約がようやくかたちになってきて、収益ベースに乗っているというところです。
坂本:わかりやすいです。
中西:保育施設を作って、そこに園児が来て、園児数に伴う保育料や補助金を頂戴するというモデルのため、運営施設数と児童数が増えれば売上や利益が上がっていくことになります。運営施設数も少ないながらも増え、児童数は前期比で6パーセント増えて順調に伸びています。
中西:次に当期純利益についてです。経常利益と純利益は営業利益とは別で、営業外の収益です。認可保育園を開設する際には、工事費として1億5,000万円から2億円ぐらいの補助金を一括で頂戴します。それが営業外収益として乗って、経常利益や純利益が大きくなります。
しかし、認可保育園の開設がなくなってきたため、経常利益と純利益は減っています。ただし、当社として重要なのは営業利益とEBITDAだと思っており、そちらは順調に伸びているため良い決算です。
中西:業績予想としては、そこまで大きな数字ではないものの、前期中に2回上方修正をしています。
坂本:上振れの要因を簡単に教えてください。
中西:1つは、少子化がどんどん進むことを見込んで、当初の業績予想を堅めに立てていました。会社としては、業績予想は投資家のみなさまとのお約束で、達成するのは当然です。そこにどれだけプラスできるかということで努力してきた結果、園児数が当初の予定より増えたことが要因となっています。
もう1つは、会社の中で収益をしっかり出せるように、費用の最適化に取り組んできました。その両方によって上方修正に至ったというところです。
上場したのが2020年3月で、5期連続で業績予想をしっかりと上回って着地しています。この5年間を振り返ると、投資家のみなさまにお約束した業績予想を確実にお守りすることができたというところです。
2024年3月期 通期決算ハイライト
中西:それぞれの数字の部分です。売上高は前期比約10億円増です。それに伴って営業利益が2億6,000万円ぐらい増え、最終的な営業利益は2億3,200万円となっています。こちらが一番大きなポイントです。
営業利益率は25パーセントで増えており、一度損益分岐点を超え出すと、利益のプラス幅は大きくなっていきます。
坂本:営業利益については、前期から補助金ではなく、児童が充足されて生まれる利益になったということですね。
中西:そのとおりです。その分の差し引きの経常利益は前期比6,700万円減で、最終的に当期純利益は前期比5,500万円減です。前期は保育園を開設するにあたっての工事費の補助金が少なくなっているため、そのような意味では想定どおりです。その分、本来本業で稼ぐべき営業利益をしっかりプラスにできていることが、今回のポイントかと思います。
坂本:数字だけ見ると最終的には減益に見えますが、中身は非常に良いですね。
2024年3月期 通期決算ハイライト
中西:業績予想を2回修正していることについて、当初は売上高122億円でしたが、細かいところで上方修正しています。
ポイントはやはり営業利益です。当初は7,000万円としていましたが、最終的な実績は2億3,200万円で、当初の予定より1億6,200万円ぐらい増えています。売上高は当初の予想から6億4,700万円増えており、それに伴って利益も増えて損益分岐点を超えたところです。
当然、人件費のようなものがかかる仕組みのビジネスのため、どうしてもかかってくる費用はありますが、損益分岐点を超えたところでは3割弱ぐらいの利益率で伸びていきます。このように利益の増え幅が大きいのがポイントかと思っています。
坂本:スライドに「補助金対象となる保育内容の充実により予想額を上回る」とありますが、保育内容を充実すると補助金が増えるのですか?
中西:認可保育園の補助金は「園児が何人いたらいくら」というベースがあります。それとは別に、例えば外国人の方をしっかりと受け入れて対応できているとか、アレルギーの方の対応がしっかりできているとか、保育園に地域の方にも参加していただいて地域の方に役立つ活動をしているといった保育内容に応じて補助金をいただけるのです。
そのような取り組みができてプラスになっていったということです。これはただ「ご褒美として補助金をもらう」ということではなく、当然そのような活動をするにはいろいろな準備が必要です。
坂本:コストもかかりますよね。
中西:そのとおりです。そのような手間やコストをかけてでも、外国人の方にも入りやすい園や、地域の方に役立つ保育園にしようというのが、行政の方針としてあります。
新園、特に認可保育園をたくさん開設している時は、どうしてもいろいろなパワーが要ります。今、認可保育園の新規開設は少しペースを落とし、当社の場合は今後はしない方針です。そのようなかたちで、会社としての力を新園の開設ではなく保育園の中身の充実により使っていこうと考えています。そうすると行政としても補助金を出してバックアップしてくれるという状況です。
坂本:非常によくわかりました。
2024年3月期 売上高の推移
中西:事業の状況について、過去からのQonQの推移です。2021年3月期から2024年3月期は、当社の仕組み上、季節性がそこまで大きいものではないため、どの期も第1四半期から第4四半期にかけて順調に伸びていっています。
すべての四半期において安定的な成長ができており、2024年3月期は前期比108.5パーセントと大きく進捗し、過去最高となっています。
2024年3月期 EBITDAの推移
中西:EBITDAは四半期ごとに若干波があるものの、通期の比較では2021年3月期から連続して順調に増えており、売上高よりもさらに大きな比率で伸びています。
2024年3月期 営業利益の推移
中西:こちらが一番のポイントで、今までは新園の開設もあって赤字だった営業利益が、今期は黒字化を達成できました。前々から今期には黒字化を確実に達成しようと、当初の業績予想も営業利益は7,000万円という初の黒字化で予算を立てていました。これを大きくクリアし、2億3,200万円という営業利益を出すことができました。
2024年3月期 経常利益の推移
中西:経常利益については、認可保育園の開設補助金が営業外収益で入ります。2021年3月期および2022年3月期に約14億円ずつの補助金をいただいていますが、2023年3月期は4億円に大きく減って、2024年3月期はさらに1億円まで減っています。
このように大きく減っているため、最終的に経常利益は減っていますが、こちらは業態変更を行っていくという会社の方針に基づいた部分のため、想定どおりと考えています。ただし、このマイナスの部分があったとしてもしっかり営業利益が出る体制になっており、ようやくここにたどり着けたと考えているところです。
2024年3月期 当期(四半期)純利益の推移
中西:経常利益のほかは、特別損失や特別利益はあまりないかたちのため、税金計算で自動的に当期純利益になります。したがって、当期純利益は2022年3月期までは大きかったものの、2023年3月期以降は開設補助金が減ったことにより減っています。こちらも営業利益がしっかり増えていることから計画どおりで、心配はありません。
2024年3月期 BS推移
中西:BSの推移です。純資産がしっかりあることがポイントです。中身としては、認可保育園を開設する時の補助金は一括で頂戴できるため、純資産に計上します。そのため、売上高は120億円から130億円という規模ですが、純資産は63億円で、非常に高い財務安全性で運営できています。
坂本:財務はかなり高水準ですが、この後のお金の使い方はいろいろあると思います。御社の特徴としては、民間保育園だけではなくプレミアム教育の部分もありそちらの分野で広げていくのかと思っています。一方で、プレミアム教育はあまりなくとも、M&Aで認可保育園を買収するという話も聞いています。
特に中小企業や上場企業もTOBがよくかかる状況のため、認可保育園が成長につながるかはわからなくとも、M&Aしていくパターンもあり得るのでしょうか? もし御社が認可保育園を買収したらどうなるのか教えてください。あるいは、やはりプレミアム教育で伸ばしていくのでしょうか?
中西:局所的にはあるものの、世間一般では認可保育園の待機児童は解消されたことになっています。そのため、もう新園は作らず、数年後には待機児童という言葉も過去のものになると思います。
業態的に小規模保育園や一時一世を風靡した企業主導型保育園などの小さな事業所はなかなか運営が厳しくなり、閉園やM&Aになるところがけっこう出てきています。また、数十園を運営するような施設でも、ファンド等が入り今後どのようにしていくのかを検討している事業者がいくつかあり、かなり大きな再編が起きる可能性は十分ある業界だと思っています。
私たちの考え方としては、基本的には民間の教育をしっかり伸ばしていこうという方針のため、会社全体の補助金の比率はどんどん下げていこうと考えています。
ただし、認可保育園は本来、行政が行っていた事業を民間に委託しているものです。そのような意味で社会性が非常に高い事業であり、そのような中で当社が行うことで地域の方に役立つなど社会性の観点から必要なことがあれば、新規開設やM&Aにも取り組んでいこうと思います。
当社の判断としては、認可保育園のM&Aよりは民間保育園を増やしていくことに資金を投じていきたいです。
2024年3月期 : 認可保育領域
中西:認可保育領域は、園児数が増えることで補助金や保育料の売上、すなわち利益や売上高が増えていくというかたちで順調に推移しています。
2024年3月期: プレミアム教育領域
中西:プレミアム教育領域も順調に推移しています。この領域では新しい業態のグローバルスクールなどの開設があります。まだベースの施設数は9で、認可保育園の70に比べると少なく、その分新園の占める比率が大きくなっています。
そのような意味で利益率がまだ低いのですが、満員になっていない園が複数あるため、そこが増えていくことで目先の利益率は増えていきます。基本的に園児数が順調に増えているという流れは変わらず進んでいるところです。
坂本:以前より粗利は非常に高く、将来性があるビジネスだと聞いています。グローバルスクールは足元で立ち上げておりまだわからないですが、「キッズガーデン」を含めて人件費や光熱費の上昇などはあったものの、このあたりをある程度吸収して変わらず粗利を確保できる状況なのでしょうか?
中西:今のところ順調に推移しています。
坂本:こちらが増えてきてボリュームが出てくると、かなり業績にはねてくるというところですね。グローバルスクールを作ってみての反応はいかがでしたか?
中西:プレミアム教育については、自由が丘や広尾、代官山、南青山、そして近々麻布台ヒルズにも開設し、最上級のさまざまな教育サービスを提供していくことがベースです。2023年4月に新たにグローバルスクールを錦糸町に開設し、2024年10月には吉祥寺に2園目を開設することを発表し、準備を進めています。
2つの大きな違いは金額です。代官山や南青山は毎日通うと月額20万円を超えていましたが、錦糸町や吉祥寺は10万円を切る金額で運営できるモデルです。今のところ錦糸町も順調に園児数が増えてきています。
いただく保育料は半額であるものの、モデルとして既存のプレミアムスクールと変わらない25パーセントから30パーセントぐらいの利益率を取れるように組み立てました。実際に展開してみると、今のところ順調で、想定どおりの滑り出しをしているところです。
坂本:麻布台ヒルズの進捗はいかがですか?
中西:それについてはなんとも言えません。開設することは森ビルからすでに発表されているものの、まだ正式なビル開業日が発表されていません。ただし、見ていると順調に3本目も高くなっています。
坂本:今建てているところに入るのですね。
中西:今建てている3本目に入る予定です。正式に入れる日はまだ決まっていないものの、前期まで準備は順調に進んでいます。
中期経営計画進捗および2025年3月期業績予想について
中西:5月15日の決算発表時と今回は、2025年3月期の業績予想は未発表にしています。これは6月20日に新しい中期経営計画を発表するためで、その内容で今期の業績も変化します。いったん出した業績予想を1ヶ月で変更するのは、投資家のみなさまを混乱させ、正しい情報をお伝えできないと考え、業績予想は6月20日に発表することにしています。
ポイントとしては、ご説明したとおり既存事業が過去一番の業績になっています。ただ数字が良くなっているだけではなく、すべての園が利益をしっかり出せるような体制になってきており、営業利益もしっかり出るようになっています。加えて純資産も非常に良い状況で推移しており、会社の体力、状態としても、創業以来においても上場以来においても一番良い状況です。
そのため、既存事業については基本的にこの流れを汲んだ数字になると想定しています。すでに4月、5月と2ヶ月が終わり、そろそろ第1クールも終わるところにおいて、そのように推移しています。その流れを汲んで、新規事業をどれだけの規模で展開していくのかが一番大きなポイントになってきます。
業績予想を発表していないのは、先行きが不安な中で出せていないわけではありません。既存事業は非常に順調に推移しているため、新規事業にどのくらい投資をしていくのかをしっかりお伝えしたいと考えています。
当社は民間教育に力を入れてきました。新規事業も補助金が出るビジネスではなく、民間教育にしっかり力を入れていくところを1つの大きなポイントにしていきたいと思っています。
また、少子化がどんどん進んでいるため、日本のお子さまだけを対象にしたビジネスをしているとお客さまの数は減っていきます。事業として、また業界としてシュリンクせざるを得ないため、いかに当社のノウハウやブランディングを活かして事業領域を広げていくのかがポイントだと思っています。
まったく違う分野で、例えばラーメン屋を開こうと言えば事業領域は広がっていくかもしれませんが、今までのノウハウやブランディングの蓄積は果たして活きるのだろうかということになってしまいます。やはり今までの延長線上で広げるのがポイントだと考え、現在組み立てているところです。
質疑応答:都知事選の影響について
坂本:中期経営計画に絡んでくる部分だと思いますが、「今度の都知事選の結果が、園の経営、特に認可部分に影響しますか?」というご質問です。
中西:そのような影響は、業界全体で見てもあまりないと思います。認可保育園は安定運営のフェーズになっており、おそらく誰が運営者となっても引き続き安定して運営することは大きく変わらないと思います。やはり、子育て支援全般をどのように進めていくのかがポイントです。
少子化が進んでおり、解決しなければなりません。当社が新しい中期経営計画で進めるポイントにも少子化対策は含まれています。今までは認可保育園やプレミアムスクールを運営することで、少子化対策にも貢献してきました。今後は、ほかのいろいろな事業でどのように少子化対策を行い、社会に貢献できるのかがポイントだと思っています。
都知事選の候補者から、認可保育園の運営以外の新しい少子化対策が出ているわけではないためわかりませんが、変わってくる可能性はあると考えています。国が掲げているものの中で、方針は立てているもののまだ実現できていないものを東京都が先行して行うこともありました。例えば卵子凍結は、東京都が先に助成金を出して進めてきました。
そのように、国が考えているものをどのくらい早く東京都が先行するかといった点でも違いが出てくると思います。当社にとっても、ビジネスの方向性を決めていく上で影響が出る可能性はあると考えています。
坂本:幼稚園も、補助が5万円出るとなるとグローバルスクールに行きたいという人が増えそうですね。
質疑応答:サービスの習い事化について
坂本:民間保育園の勝ち筋は、選ばれる園になることが一番だとお聞きしました。また、御社のノウハウは認可保育園にも使われていると思いますが、別途有料化して習い事のようなかたちにするととても儲かるというお話も以前ありました。こちらは、国は許可しているものの市区町村では判断が分かれているとのことでしたが、その状況は変わっていませんか?
中西:まだ広く解禁になっているわけではありません。今後も流れは変わらないと思います。事業者としては園児が来ないとそもそも運営が成り立たず、園児が少なくなった部分を補助金で埋めるだけでは続かないと思います。それぞれの事業者として、努力して園児に来てもらうことが必要になると思います。
預ける方も、自分たちのニーズにあったところに行きたいと思うのは当然です。いろいろな意味で寡占状態がなくなってきている状況を考えると、ほかの業態と同じような良い意味での自然な競争状態になっていくと思います。その中でしっかりと選んでいただき、生き残れる企業になるために、どのような努力をしてどのようなメニューを持つかがポイントだと思っています。
質疑応答:グローバルスクールの設置のスピードについて
坂本:グローバルスクールの設置のスピードについては中期経営計画で話されると思いますが、最優先で増やしていくイメージでしょうか?
中西:こちらが一番のポイントで、昨年発表した中期経営計画は、基本的にはグローバルスクールをたくさん作り、会社を成長させるというシンプルなものでした。今回考えているのは、事業領域を広げることです。グローバルスクールも増やしていきますが、グローバルスクール以外の新規事業も含めて増やして会社を成長させようと考えています。
また、新しく中期経営計画を出し直すため、前の中期経営計画より良いものを出さないと意味がありません。前期はこれまでで一番調子が良く、良い状態で終わったタイミングで出すため、より良いものを目指します。
グローバルスクールだけに頼った成長ではなく、ほかもしっかり入れていこうと考えています。そのバランスがどのようになるかは、中期経営計画をご覧ください。新しい事業は、当社としてもわくわくしながら進めていけると思っており、投資家のみなさまにとっても期待できるものにしたいと考えています。
坂本:楽しみにしています。発表会はありますか?
中西:6月27日に発表会があります。中期経営計画はホームページにも掲載するため、ぜひ見ていただければと思います。
これまでは同業他社も含めて、認可保育園を大きく増やすことが会社の成長エンジンでした。社会課題としてもそれが非常に重要だったため、全力で進めてきました。しかし、問題が解決した現在、これからどのような取り組みを行っていくかは事業者によって変わってきていると思います。
今回の中期経営計画で考えている大きなポイントは、社会課題の解決です。社会課題が変わってきている以上、事業内容を変えないと世の中の役に立つことができません。世の中の役に立つことができないと、会社としての成長も事業の存続もできなくなります。
当社が最初の園を開園した2009年の社会課題は、待機児童問題と女性の社会進出支援でした。そこから15年経っているため、待機児童問題は基本的に解消しました。女性の社会進出支援も、就労率が80パーセントを超え、30代と40代の女性の就労率が下がるM字カーブも解消し、外形的には解決できているように見えます。
一方、社会課題の1つの指標である少子化はどんどん進んでいます。当社の体感では、まだ社会は女性に負担がかかっている状態なのではないかと思っています。子どもに熱が出たら保育園に迎えに行ったり、学校の保護者会に行ったりするのは女性が多いです。仕事をして帰宅後にご飯を作ってお風呂に入れるのも、男性よりはまだ女性のほうが多いと考えられます。
女性の「自分が犠牲になることで、子どもや家族が幸せになるならいい」という考えに頼って、社会が成り立っている部分がまだあると考えています。子ども1人だったらなんとかなるが、2人目は本当にきついという声もよく聞きます。
個人を犠牲にして家族を幸せにするという状態ではなく、個人の幸せと家族の幸せが寄り添える社会を作っていくことが、現在の社会課題だと当社は捉えています。これまでの待機児童問題から、このように変わってきているのです。
当社は幼児教育が中心の会社で、今日もそのように紹介されましたが、6月20日の新しい中期経営計画の発表時には、幼児教育の会社ではなく中期経営計画に基づいたワードで紹介してもらえるようにと思って作っています。
荒井沙織氏:楽しみですね。
中西:楽しみにしていただきたいですし、当社としても新しいものに取り組んでいくことを非常に楽しみに準備を進めているところです。ぜひ、中期経営計画もこれからの会社についても、期待していただければと思います。
質疑応答:首都圏以外への展開について
坂本:「首都圏以外への展開はありますか?」というご質問です。認可保育園はほとんど増やさないと思いますが、首都圏以外でグローバルスクールを作る計画はありますか?
中西:首都圏以外も考えています。順番としては、まずはすでに縁がある名古屋や大阪などの主要都市からになると思います。首都圏以外もぜひ展開したいと考えており、いろいろ準備をしているところです。
坂本:30園まで増やすことは可能ですか?
中西:十分可能です。
坂本:50園から100園くらいまで増やせますか?
中西:現在、すでに全体で80園あるため、十分可能な数字だと考えて計画しています。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
質問1
質問:内田恭子さんを社外取締として起用した理由はなんですか。知名度向上の一環でしょうか。
回答:コーポレートガバナンス報告書に記載の通りとなります。
質問2
質問:日本人と外国人の入園入所比率に規定はあるでしょうか?
回答:ありません。
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