*18:05JST 昭和産業 Research Memo(5):2024年3月期は価格改定が進み増収増益(2)
■昭和産業<2004>の業績動向
3. セグメント別業績
(1) 食品事業
食品事業の売上高は282,328百万円(前期比4.4%増)、営業利益は12,849百万円(同223.2%増)となった。新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い人流が回復したこと等を受け、外食や飲料用途等の需要が回復した一方、コンビニエンスストア向け需要は厳しい状況が続いたが、マーケット分析力を活用しながら顧客別営業組織によるターゲット業態ごとのワンストップ型提案営業を各カテゴリで展開し、増収増益を達成した。
製粉カテゴリの売上高は1,095億円で、増収増益となった。2023年4月と10月の輸入小麦の政府売渡価格の改定を受けて小麦粉製品の価格改定を実施した。販売数量は小麦粉が前期並み、プレミックスは前期を下回ったが、パスタについては外食市場を中心に好調な売れ行きを見せて前期を上回った。家庭用の販売数量については、小麦粉は前年を下回ったが、プレミックスは前期並み、パスタは前期を上回った。利益面については、地域間の移動に伴う物流コスト削減のため、各地域の工場で製造する製品内容を見直し、グループ会社を含めた製粉5社7工場の連携を強化して販売現場に近い工場での製造を進めた。ほかにも、生産拠点の最適化の一環として船橋プレミックス第2工場の稼働率を向上させた結果、プレミックス製品の生産効率が高まった。グループ全体で原価低減に取り組み、増益を達成した。
製油カテゴリの売上高は978億円で、減収増益となった。適正価格での販売に加えて、機能的な価値のある商品(長寿命オイルや油染みの少ないベーカリー用オイル等)の提案や課題解決型営業に取り組んだ。販売数量については業務用油脂が需要回復等を受けて前期を上回り、家庭用油脂も汎用油の販売増により前期を上回った。
糖質カテゴリの売上高は685億円で、増収増益となった。原価に見合った適正価格での販売を推進したほか、グループ会社を含めた生産拠点の最適化や商品カテゴリの選択と集中を含む事業構造改革に取り組んだ。販売数量については機能性商品(粉あめ・結晶ぶどう糖・オリゴ糖酸)の拡販や、飲料用途の需要増から糖化品は前期を上回り、コーンスターチもビール用途等の需要増加により前期を上回ったものの、加工でん粉については工業用途の需要減により前期を下回った。
(2) 飼料事業
飼料事業の売上高は59,426百万円(前期比0.1%増)、営業利益は713百万円(同77.4%増)となった。2022年10月に感染が確認された鳥インフルエンザの感染拡大や猛暑の影響で配合飼料や鶏卵の販売数量が前期を下回ったが、顧客ニーズに対する提案型営業や畜産物の販売支援を通じた生産者との取り組み強化、高付加価値商材の拡販に努めた結果、前期並みの売上高に対し、大幅な増益となった。鶏卵については、グループ会社の昭和鶏卵(株)との取り組みによりブランド卵を開発、販売したほか、高付加価値製品である「人工乳」や「オリゴ糖配合飼料」の販売を推進し、配合飼料や鶏卵の販売数量減少による影響を打ち消した。
(3) その他
その他の売上高は4,567百万円(前期比10.0%減)、営業利益は1,320百万円(同5.5%減)となった。倉庫業は、貨物獲得競争が激化するなか、商社や主要顧客との取り組みを強化し荷役量の増加に努めたが、貨物取扱量が前期を下回った。
4. 財務状況
(1) 財政状態
2024年3月期末の資産合計は前期末比14,468百万円増の262,238百万円となった。主な要因は、売上債権の増加6,192百万円、投資有価証券の増加10,883百万円である。負債合計は同2,421百万円減の128,985百万円となった。主な要因は、設備関係債務の増加2,740百万円、有利子負債の減少6,980百万円である。純資産合計は同16,890百万円増の133,253百万円となった。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上12,358百万円、その他有価証券評価差額金の増加5,142百万円、配当金の支払による減少2,174百万円である。この結果、自己資本比率は49.4%と同3.8ポイント上昇した。
(2) キャッシュ・フローの状況
2024年3月期末の現金及び現金同等物は8,136百万円となり、前期末比1,915百万円増加した。営業活動によるキャッシュ・フローは23,751百万円の収入(前期は2,930百万円の支出)となった。主な要因は、税金等調整前当期純利益16,657百万円のほか、減価償却費の計上10,214百万円、法人税等の支払3,527百万円である。投資活動によるキャッシュ・フローは12,401百万円の支出(同6,155百万円の支出)となった。主な要因は、有形固定資産の取得による支出10,815百万円、関係会社株式の取得による支出1,711百万円である。財務活動によるキャッシュ・フローは9,435百万円の支出(同6,136百万円の収入)となった。主な要因は、長期借入れによる収入6,500百万円、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの増減額10,540百万円、配当金の支払額2,174百万円である。
2024年3月期は増収により営業活動によるキャッシュ・フローが増加し、負債の圧縮も進んだ。同社は今後も成長投資に向け、必要な借入金等の有利子負債を活用していく考えである。2026年3月期までの資金配分計画では、キャッシュインとして営業キャッシュ・フロー700億円、資産圧縮と資金調達で最大100億円を調達し、その資金を成長投資に330億円、維持・更新投資に290億円、普通社債償還に70億円、株主還元に110億円を振り向ける。なお、当計画は2024年3月期から2026年3月期までの3年間の資金配分計画(690億円)を、2024年3月期の実績及び2025年3月期の見通しを踏まえて見直し、維持・更新投資に60億円、株主還元に50億円を上乗せした。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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3. セグメント別業績
(1) 食品事業
食品事業の売上高は282,328百万円(前期比4.4%増)、営業利益は12,849百万円(同223.2%増)となった。新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い人流が回復したこと等を受け、外食や飲料用途等の需要が回復した一方、コンビニエンスストア向け需要は厳しい状況が続いたが、マーケット分析力を活用しながら顧客別営業組織によるターゲット業態ごとのワンストップ型提案営業を各カテゴリで展開し、増収増益を達成した。
製粉カテゴリの売上高は1,095億円で、増収増益となった。2023年4月と10月の輸入小麦の政府売渡価格の改定を受けて小麦粉製品の価格改定を実施した。販売数量は小麦粉が前期並み、プレミックスは前期を下回ったが、パスタについては外食市場を中心に好調な売れ行きを見せて前期を上回った。家庭用の販売数量については、小麦粉は前年を下回ったが、プレミックスは前期並み、パスタは前期を上回った。利益面については、地域間の移動に伴う物流コスト削減のため、各地域の工場で製造する製品内容を見直し、グループ会社を含めた製粉5社7工場の連携を強化して販売現場に近い工場での製造を進めた。ほかにも、生産拠点の最適化の一環として船橋プレミックス第2工場の稼働率を向上させた結果、プレミックス製品の生産効率が高まった。グループ全体で原価低減に取り組み、増益を達成した。
製油カテゴリの売上高は978億円で、減収増益となった。適正価格での販売に加えて、機能的な価値のある商品(長寿命オイルや油染みの少ないベーカリー用オイル等)の提案や課題解決型営業に取り組んだ。販売数量については業務用油脂が需要回復等を受けて前期を上回り、家庭用油脂も汎用油の販売増により前期を上回った。
糖質カテゴリの売上高は685億円で、増収増益となった。原価に見合った適正価格での販売を推進したほか、グループ会社を含めた生産拠点の最適化や商品カテゴリの選択と集中を含む事業構造改革に取り組んだ。販売数量については機能性商品(粉あめ・結晶ぶどう糖・オリゴ糖酸)の拡販や、飲料用途の需要増から糖化品は前期を上回り、コーンスターチもビール用途等の需要増加により前期を上回ったものの、加工でん粉については工業用途の需要減により前期を下回った。
(2) 飼料事業
飼料事業の売上高は59,426百万円(前期比0.1%増)、営業利益は713百万円(同77.4%増)となった。2022年10月に感染が確認された鳥インフルエンザの感染拡大や猛暑の影響で配合飼料や鶏卵の販売数量が前期を下回ったが、顧客ニーズに対する提案型営業や畜産物の販売支援を通じた生産者との取り組み強化、高付加価値商材の拡販に努めた結果、前期並みの売上高に対し、大幅な増益となった。鶏卵については、グループ会社の昭和鶏卵(株)との取り組みによりブランド卵を開発、販売したほか、高付加価値製品である「人工乳」や「オリゴ糖配合飼料」の販売を推進し、配合飼料や鶏卵の販売数量減少による影響を打ち消した。
(3) その他
その他の売上高は4,567百万円(前期比10.0%減)、営業利益は1,320百万円(同5.5%減)となった。倉庫業は、貨物獲得競争が激化するなか、商社や主要顧客との取り組みを強化し荷役量の増加に努めたが、貨物取扱量が前期を下回った。
4. 財務状況
(1) 財政状態
2024年3月期末の資産合計は前期末比14,468百万円増の262,238百万円となった。主な要因は、売上債権の増加6,192百万円、投資有価証券の増加10,883百万円である。負債合計は同2,421百万円減の128,985百万円となった。主な要因は、設備関係債務の増加2,740百万円、有利子負債の減少6,980百万円である。純資産合計は同16,890百万円増の133,253百万円となった。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上12,358百万円、その他有価証券評価差額金の増加5,142百万円、配当金の支払による減少2,174百万円である。この結果、自己資本比率は49.4%と同3.8ポイント上昇した。
(2) キャッシュ・フローの状況
2024年3月期末の現金及び現金同等物は8,136百万円となり、前期末比1,915百万円増加した。営業活動によるキャッシュ・フローは23,751百万円の収入(前期は2,930百万円の支出)となった。主な要因は、税金等調整前当期純利益16,657百万円のほか、減価償却費の計上10,214百万円、法人税等の支払3,527百万円である。投資活動によるキャッシュ・フローは12,401百万円の支出(同6,155百万円の支出)となった。主な要因は、有形固定資産の取得による支出10,815百万円、関係会社株式の取得による支出1,711百万円である。財務活動によるキャッシュ・フローは9,435百万円の支出(同6,136百万円の収入)となった。主な要因は、長期借入れによる収入6,500百万円、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの増減額10,540百万円、配当金の支払額2,174百万円である。
2024年3月期は増収により営業活動によるキャッシュ・フローが増加し、負債の圧縮も進んだ。同社は今後も成長投資に向け、必要な借入金等の有利子負債を活用していく考えである。2026年3月期までの資金配分計画では、キャッシュインとして営業キャッシュ・フロー700億円、資産圧縮と資金調達で最大100億円を調達し、その資金を成長投資に330億円、維持・更新投資に290億円、普通社債償還に70億円、株主還元に110億円を振り向ける。なお、当計画は2024年3月期から2026年3月期までの3年間の資金配分計画(690億円)を、2024年3月期の実績及び2025年3月期の見通しを踏まえて見直し、維持・更新投資に60億円、株主還元に50億円を上乗せした。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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