脱炭素の急先鋒、成長ロード突き進む「SiCパワー半導体」関連株 <株探トップ特集>

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最新投稿日時:2024/06/19 19:30 - 「脱炭素の急先鋒、成長ロード突き進む「SiCパワー半導体」関連株 <株探トップ特集>」(株探)

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脱炭素の急先鋒、成長ロード突き進む「SiCパワー半導体」関連株 <株探トップ特集>

配信元:株探
投稿:2024/06/19 19:30

―エネルギー効率化で必須のデバイス、サーバーやデータセンター向け需要にも着目―

 デジタル化や脱炭素への対応で、 半導体が社会経済活動で担う役割が増大するなか、電気の流れをコントロールして無駄を抑える パワー半導体の重要性が一段と高まっている。再生可能エネルギーの利用や電気自動車(EV)、産業プロセスの改善などエネルギーの効率的な利用に欠かせないデバイスで、生成AIの登場で需要が急拡大しているサーバーやデータセンターのエネルギー効率を高めることにも役立つ。こうしたなか、各社が注力しているのが高性能なSiC(炭化ケイ素、シリコンカーバイド)という化合物を活用したパワー半導体で、関連銘柄に改めて注目したい。

●需要増を見据え各社注力姿勢

 SiCパワー半導体とは、シリコン(Si)と炭素(C)で構成される化合物半導体のこと。パワー半導体で多く使われているSiに比べて、「より高い電圧や電流、動作温度に耐えられる」「電気抵抗が生じる箇所の厚さを10分の1ほどに抑えられるため、電力のコントロールを行う際のエネルギーの損失が少ない」「エネルギーの損失による発熱を抑えるための放熱機構を小型・簡略化できるため機器の小型化が可能」「エネルギー損失が少ないことから電力をコントロールする機器が効率よく動作するため、EVで利用すれば一度の充電で走れる距離が長い」といった特徴がある。

 電力損失の大幅な低減が可能なSiCパワー半導体への関心が高まるなか、三菱電機 <6503> [東証P]は5月29日に開いた投資家向け広報(IR)説明会で、強みであるSiCパワーモジュールを核とした成長基盤の強化に取り組む方針を公表。海外企業とのアライアンスを強化するとともに、熊本県泗水地区にSiC8インチ製品に対応した新棟を建設するとしている。

 また、富士電機 <6504> [東証P]は5月23日に発表した中期経営計画で、SiCの需要拡大に向けた生産体制を構築するとともに、第3世代のSiC開発を進めていることを明らかにした。ローム <6963> [東証P]はSiC事業の売り上げ目標を2025年度に1100億円、27年度は2200億円に設定しており、4月22日にはSTマイクロエレクトロニクスとの150ミリメートルSiCウエハーの長期供給契約を拡大すると発表している。

●更なる市場拡大を支える銘柄群

 このほかの関連銘柄では、タカトリ <6338> [東証S]が5月30日にパワー半導体向けSiC材料切断加工装置を受注したと発表。受注先は海外企業で、受注金額は約3億5000万円、売上計上予定は24年9月期だとしている。同社はサファイアやSiCに代表される硬脆性材料及びソーラーパネルなどのシリコンインゴットの精密切断(スライス)加工機(ワイヤーソー)の専門メーカーとして切断加工技術の高度化を図っている。

 住友ベークライト <4203> [東証P]は5月27日、次世代SiCパワーモジュール向け高Tg(ガラス転移温度)エポキシ封止材料を開発したと発表。エポキシ樹脂を高Tg化するために、通常の架橋密度向上に加えて、樹脂の主鎖骨格を剛直化することによって、240度に達するガラス転移温度を実現し、更に独自の樹脂の配合とフィラーの組み合わせのアプローチによってエポキシ封止材料化に成功したとしており、SiCパワーモジュール用樹脂の世界標準を目指す構えだ。

 Mipox <5381> [東証S]は5月15日、SiC8インチ半導体ウエハー専用研磨装置の販売を開始したことを明らかにした。SiCは非常に硬く、従来の製造方法(研削方式)では砥石の摩耗が早いため、ノッチ(ウエハーの結晶方位を示すために円盤の一部に目印として施すV字の切れ込み)部の加工が難しかったが、同社では独自の研磨フィルムと装置を使用した新工法を確立し、これにより連続したSiC8インチウエハーのノッチ面取りが可能になったという。

 倉元製作所 <5216> [東証S]は4月24日、中国の杭州MDKオプト・エレクトロニクス(MDK社)と次世代半導体パッケージ向けのTGV(ガラス貫通電極)・TSV(シリコン貫通電極)・SiC関連製品の製造委託契約を締結したことを明らかにした。この契約により、同社は日本及びアジア地域の営業ネットワークを活用して、TGV・TSV・SiC関連製品の新規顧客を開拓し、顧客仕様に基づき、MDK社が製造して同社を通じて販売する。

 東洋炭素 <5310> [東証P]は半導体製造用で需要が増える等方性黒鉛の素材製造で攻勢をかけている。2月16日にはSiC及びTaC(炭化タンタル)コーティング黒鉛製品の需要に対応するため、生産能力増強に向けた設備投資を実施すると発表。投資額は約55億円で、増強能力はSiCコーティング黒鉛製品が23年度比で約3倍、TaCコーティング黒鉛製品が同約6倍になるとしており、稼働時期は25~26年を予定している。

●レゾナック、レーザーテクなどにも注目

 これ以外では、SiCをはじめとするさまざまな材料表面を原子スケールで平坦化する技術を持つジェイテックコーポレーション <3446> [東証P]、SiCエピタキシャルウエハーを供給するレゾナック・ホールディングス <4004> [東証P]、SiCのエッチング(表面加工)を提供するサムコ <6387> [東証P]、グループ会社がSiCパワー半導体向け熱処理装置を展開しているジェイテクト <6473> [東証P]、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金の助成を受けてSiC開発を進めるオキサイド <6521> [東証G]、SiC用高温イオン注入装置を扱うアルバック <6728> [東証P]、SiC-MOSFETモジュールを手掛ける三社電機製作所 <6882> [東証S]、SiCウエハー欠陥検査装置を手掛けるレーザーテック <6920> [東証P]などにも注目。

 直近では旭化成 <3407> [東証P]子会社の旭化成エレクトロニクスが、欧州のエレクトロニクス及びソフトウェアベースのシステムの研究機関であるシリコン・オーストリア・ラボとSiCベースのパワーデバイスを搭載するEVシステムに向けた「eFuse(電子ヒューズ)」の技術検証に成功したと発表。この技術は車載用充電器などの安全性を大幅に向上させ、部品やメンテナンスのコストを削減できる可能性があるとしている。

株探ニュース
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