*12:41JST ヒーハイスト Research Memo(1):大手のOEMや特定顧客向け売上高が多い。中長期戦略で3つの重点施策を推進
■要約
ヒーハイスト<6433>の主力事業は、高度な部品加工技術であり、主に3つの領域(直動機器、精密部品加工、ユニット製品)に分けられている。主要顧客としてTHK<6481>や本田技研工業<7267>(以下、ホンダ)の研究所を抱えており、同社の技術力が高いことを裏付けている。ただし、大部分がOEM供給、研究開発用やレース用車種向けの特殊部品であることから、業績が急変(急増や急減)することは少ない。今後は、現在持っている高い部品加工技術を生かして新分野へ展開することで成長を目指していく。
1. 2024年3月期(実績):精密部品加工、ユニット製品が低迷し営業損失
2024年3月期決算は、売上高が2,310百万円(前期比4.3%減)、営業損失158百万円(前期は5百万円の損失)、経常損失156百万円(前期は3百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失221百万円(前期は2百万円の損失)となった。直動機器は、THK向けを中心に増収を確保したが、当初の見込みよりは下回った。精密部品加工は、F1向けが端境期であることから前期比で減収となったが想定内だ。ユニット製品は、中国向けが低迷し、さらに電子部品や液晶向けの設備投資関連が遅れていることから減収となった。全体が減収となったことから稼働率が低下し、さらに減価償却費も増加したことなどから売上総利益率は13.6%(前期は19.8%)と大きく低下した。経費節減に努めて販管費は前期比で1.8%減となったが、売上総利益の落ち込みが大きく、営業損失が拡大した。赤字決算であったが、年間1円の配当を実施した。
2. 2025年3月期(予想):回復予想だが営業利益は小幅
2025年3月期通期の業績は、売上高2,452百万円(前期比6.2%増)、営業利益23百万円(前期は158百万円の損失)、経常利益16百万円(前期は156百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益12百万円(前期は221百万円の損失)が予想されている。直動機器はTHK向けを中心に受注が回復すると予想しているが、本格回復は下期になる見込みだ。精密部品加工は、下期からレース向け部品の開発用が立ち上がる見込みであることから通年では増収を予想している。ユニット製品もこれ以上の落ち込みはなく前期からの回復を予想している。一方で設備投資がピークアウトすることから、減価償却費は減少する見込みだ。このような状況から営業利益は少額ながら黒字回復を見込んでいる。年間配当は前期と同様の年間1円が予定されている。
3. 中長期の展望:3つの重点施策を推進
同社では2023年6月27日に中期経営計画を発表し、今後の中期的戦略(重点施策)として、「スマート生産」「直動機器の製品力強化」「稼働率の平準化(機会損失の回避)」を掲げている。「スマート生産」については、直動機器の増産のための「新工場棟」を埼玉工場の敷地内に建設中であったが、2023年4月に竣工した。これにより直動機器の生産能力だけでなく生産性がさらに向上することが期待できる。さらに、過去において顧客からの需要が高水準であった際に、生産能力(及び在庫)が十分でなかったことから「機会損失」が発生した経験がある。今後はこれを生かして、多少の在庫を負担しても、稼働率を平準化する(単位当たりのコストを下げる)ことを目指す。また製品群についても、利益率の低い製品については顧客との交渉を進めて撤退も検討し、高収益な製品に集中する方針だ。
■Key Points
・高度な部品加工技術が主力事業、大手向けOEMや特定顧客向け売上高が多い
・2024年3月期業績は営業損失を計上したが、2025年3月期は回復を予想
・中長期の戦略として3つの重点施策を推進。特に「スマート生産」と「稼働率の平準化機会損失の回避」に注力中
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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ヒーハイスト<6433>の主力事業は、高度な部品加工技術であり、主に3つの領域(直動機器、精密部品加工、ユニット製品)に分けられている。主要顧客としてTHK<6481>や本田技研工業<7267>(以下、ホンダ)の研究所を抱えており、同社の技術力が高いことを裏付けている。ただし、大部分がOEM供給、研究開発用やレース用車種向けの特殊部品であることから、業績が急変(急増や急減)することは少ない。今後は、現在持っている高い部品加工技術を生かして新分野へ展開することで成長を目指していく。
1. 2024年3月期(実績):精密部品加工、ユニット製品が低迷し営業損失
2024年3月期決算は、売上高が2,310百万円(前期比4.3%減)、営業損失158百万円(前期は5百万円の損失)、経常損失156百万円(前期は3百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失221百万円(前期は2百万円の損失)となった。直動機器は、THK向けを中心に増収を確保したが、当初の見込みよりは下回った。精密部品加工は、F1向けが端境期であることから前期比で減収となったが想定内だ。ユニット製品は、中国向けが低迷し、さらに電子部品や液晶向けの設備投資関連が遅れていることから減収となった。全体が減収となったことから稼働率が低下し、さらに減価償却費も増加したことなどから売上総利益率は13.6%(前期は19.8%)と大きく低下した。経費節減に努めて販管費は前期比で1.8%減となったが、売上総利益の落ち込みが大きく、営業損失が拡大した。赤字決算であったが、年間1円の配当を実施した。
2. 2025年3月期(予想):回復予想だが営業利益は小幅
2025年3月期通期の業績は、売上高2,452百万円(前期比6.2%増)、営業利益23百万円(前期は158百万円の損失)、経常利益16百万円(前期は156百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益12百万円(前期は221百万円の損失)が予想されている。直動機器はTHK向けを中心に受注が回復すると予想しているが、本格回復は下期になる見込みだ。精密部品加工は、下期からレース向け部品の開発用が立ち上がる見込みであることから通年では増収を予想している。ユニット製品もこれ以上の落ち込みはなく前期からの回復を予想している。一方で設備投資がピークアウトすることから、減価償却費は減少する見込みだ。このような状況から営業利益は少額ながら黒字回復を見込んでいる。年間配当は前期と同様の年間1円が予定されている。
3. 中長期の展望:3つの重点施策を推進
同社では2023年6月27日に中期経営計画を発表し、今後の中期的戦略(重点施策)として、「スマート生産」「直動機器の製品力強化」「稼働率の平準化(機会損失の回避)」を掲げている。「スマート生産」については、直動機器の増産のための「新工場棟」を埼玉工場の敷地内に建設中であったが、2023年4月に竣工した。これにより直動機器の生産能力だけでなく生産性がさらに向上することが期待できる。さらに、過去において顧客からの需要が高水準であった際に、生産能力(及び在庫)が十分でなかったことから「機会損失」が発生した経験がある。今後はこれを生かして、多少の在庫を負担しても、稼働率を平準化する(単位当たりのコストを下げる)ことを目指す。また製品群についても、利益率の低い製品については顧客との交渉を進めて撤退も検討し、高収益な製品に集中する方針だ。
■Key Points
・高度な部品加工技術が主力事業、大手向けOEMや特定顧客向け売上高が多い
・2024年3月期業績は営業損失を計上したが、2025年3月期は回復を予想
・中長期の戦略として3つの重点施策を推進。特に「スマート生産」と「稼働率の平準化機会損失の回避」に注力中
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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