三和HD Research Memo(8):「三和グローバルビジョン2030」「中期経営計画2024」を推進(1)

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最新投稿日時:2024/06/17 15:38 - 「三和HD Research Memo(8):「三和グローバルビジョン2030」「中期経営計画2024」を推進(1)」(フィスコ)

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三和HD Research Memo(8):「三和グローバルビジョン2030」「中期経営計画2024」を推進(1)

配信元:フィスコ
投稿:2024/06/17 15:38
*15:38JST 三和HD Research Memo(8):「三和グローバルビジョン2030」「中期経営計画2024」を推進(1) ■三和ホールディングス<5929>の中長期の成長戦略

1. 「三和グローバルビジョン2030」「中期経営計画2024」の取り組み
現在取り組んでいる長期ビジョンの「三和グローバルビジョン2030」では、「To be a Global Leader of Smart Entrance Solutions ~高機能開口部のグローバルリーダーへ~」をビジョンとして掲げている。気候変動やデジタル化など、激しく変化する社会のニーズに応える高機能な開口部ソリューションをグローバルに提供するとともに、サステナビリティ経営と人材力強化により全てのステークホルダーから評価される企業グループを目指すものだ。2031年3月期に向けた基本戦略として、(1) 「日・米・欧・ア 世界4極体制でのコア事業の拡大、強化」、(2) 「防災・環境対応、製品・サービスのスマート化による顧客価値創造」、(3) 「デジタル化とものづくり革新による生産性向上」、(4) 「M&Aを活用したコア事業強化と新規事業領域への拡大」、(5) 「サステナビリティ経営によりグローバルに評価される企業グループへ」の5つを掲げる。

長期ビジョンにおける最初の3年を「中期経営計画2024」(2023年3月期~2025年3月期)と位置付け、気候変動やデジタル化で変化する社会のニーズに応える高機能開口部ソリューションのグローバルリーダーに向けた基盤の確立を目指す。それを実現するための基本戦略として、(1) 「日・米・欧のコア事業(シャッター・ドア、サービス)の強化、領域拡大」、(2) 「アジア事業の成長力強化」、(3) 「防災・環境対応製品の拡充と製品・サービスのスマート化推進」、(4) 「デジタル化とものづくり革新による生産性向上」、(5) 「サステナビリティ経営の推進」を掲げている。特に、アジアの現状は目指す姿との乖離が大きく、強化のポイントである。また、防災・環境対応製品、あるいはサービスのスマート化やデジタル化も強化が必要だ。ただ、基本戦略の達成に向けて着々と実績を積み上げている。

数値目標としては、最終年度の2025年3月期には、売上高5,800億円(年平均成長率7.3%)、営業利益450億円(同8.2%)、SVA190億円、ROIC17.5%、ROE13.5%などを掲げる。また、自己資本比率51.1%、DEレシオ0.21倍を目標に財務の安全性を十分に確保しながら、キャッシュ・フローと手元資金水準を考慮し、2023年3月期から配当性向を40.0%目安に引き上げている。成長のための設備投資を大幅に増加する一方で、株主還元にも積極的に対応する方針である。また、セクター別では、日本は売上高2,760億円(年平均成長率5.3%)、営業利益275.0億円(同4.0%)を、米州(ODC)は売上高1,820億円(同9.4%)、営業利益135.0億円(同17.2%)を、欧州(NF)は売上高990億円(同4.9%)、営業利益62.0億円(同16.4%)を、アジアは売上高160億円(同27.7%)、営業利益8.0億円(同88.7%)を計画する。グローバル・メジャーとして、日本での盤石な地位を確保・拡大するとともに、米・欧・アでの飛躍的な売上高・利益の拡大を目指す意欲的な計画と言えよう。

計画初年度の2023年3月期業績は、米州を中心に好業績で最終年度の数値目標を2年前倒しで大きく上回った。2年目の2024年3月期も、日本・米州を中心に増収増益となり、数値目標を上回っている。最終年度の2025年3月期は、増収減益ではあるが数値目標を上回る予想であり、数値目標は順調に推移している。一方で、定性目標の施策は必ずしも十分に達成できておらず、今後も基本戦略を着実に実行することで、目標達成を目指す方針だ。最終年度の成果に期待したい。

2. 基本戦略(1):日・米・欧のコア事業の強化、領域拡大
顧客ニーズに的確・迅速に対応し、シャッター事業・ドア事業及びサービス事業を含めたコア事業の強化・拡大を図る。第1に、シャッター事業・ドア事業のシェア拡大を目指す。シャッターやドアなどの基幹商品を、住宅事業及び非住宅事業において拡大し、販売価格アップも同時に行う。そして、事業拡大に向けた体制を強化していく。日本での基幹商品は堅調に伸びており、「2024年問題」の対応として適正なコスト管理と納期確保、売価転嫁に注力する考えだ。米州では、住宅市場の回復を捉えた販売施策の推進や新商品投入によるシェア拡大を図る。欧州では、独、英や北欧は厳しい市場環境が続くが産業用を中心にシェア拡大図る方針だ。このように日本・米州では、順調に拡大している。

第2に、サービス事業の拡大を図る。サービス事業(修理、メンテ、保守点検など)は、同社のビジネスにとっては非常に重要な部分であり、日本の利益率が高い理由でもある。これを重点的に伸ばすことで、売上高を2022年3月期の640億円から2025年3月期には760億円まで拡大する。2024年3月期実績は799億円、2025年3月期予想も845億円と、日本を中心に順調に推移し、既に中計目標を達成している。米州では、Door Controlのグループ入りにより順調にサービス事業拡大している。欧州でも、主要市場でのサービス事業体制構築・強化により堅調に推移している。日本は順調であることから、海外を重点的に伸ばしたい考えだ。

第3に、M&Aを活用した事業強化と領域拡大を目指す。シャッター、ドア事業、サービス事業などコア事業の強化、建具から周辺事業への展開による新しい領域の拡大を目指し、3年間で約200億円をM&Aに投じる計画だ。実績としては、2022年に香港AUBを買収、2023年1月には米州でDoor Controlを買収したが、規模的には小粒に留まっており、今後も成長戦略に見合ったM&Aを継続的に検討する。

3. 基本戦略(2):アジア事業の成長力強化
アジア事業の生産・販売体制を再構築しシェアを獲得することで、日米欧に次ぐ第4の柱としての基盤を構築する。アジアについては、生産、販売、管理、全てにおいて、未だ事業基盤が脆弱であり、それら全てを強化する必要がある。そこで第1に、設備増強による生産能力の大幅アップを図る。生産設備については、中国の三和NF常熟が稼動を始めたことで、今後ビジネス計画に沿って拡大する予定だ。また、中国以外にもベトナム、台湾、インドネシアの各拠点で生産設備の刷新に着手しており、これを着実に実行することで、コスト、品質面で優れた製品を製造、提供する。2024年3月期に三和NF常熟が新規連結し、売上貢献を始めているが、当面は事業をしっかりと軌道に乗せることが優先課題で、利益貢献はそれからになる見通しだ。

第2に、販売体制の見直しと多品種化への対応を図る。アジアについては販売体制にも不十分な点があり、中国では販売体制を再編して、販売力の強化に取り組む計画だ。また、防火、遮熱市場では品揃えを増やして売上拡大を目指す。2024年3月期には香港のAUBを新規連結しており、既存の香港会社とのシナジーを期待する。

第3に、事業体制の基盤強化を図る。管理体制のシステム化や人材育成を、各社単位ではなくアジア全体で行う計画である。以上の取り組みにより、アジア事業の営業利益は、2023年3月期の2.6億円から、2025年3月期は4.0億円に増加する予想であるが、目標の8.0億円とは大きな乖離があり、引き続き収益力の強化が課題である。現在は中国の経済情勢が悪化しているうえ、ベトナムも販売体制が不十分であるという。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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配信元: フィスコ

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