*15:39JST 三和HD Research Memo(9):「三和グローバルビジョン2030」「中期経営計画2024」を推進(2)
■中長期の成長戦略
4. 基本戦略(3):防災・環境対応製品の拡充と製品・サービスのスマート化推進
気候変動やデジタル化などで変化する社会のニーズに応える防災・環境対応製品の拡充と、製品・サービスのスマート化を推進する。第1に、防災・環境対応製品の拡充については、三和ホールディングス<5929>が取り扱う製品はもともと防災・環境対応に密接に関連しているが、昨今、気候変動がクローズアップされ、災害が頻繁に起きて激甚化していることから、より深く取り組む考えだ。防災商品、気候変動適応商品、気候変動緩和商品の売上高を2022年3月期実績1,545億円から2025年3月期目標1,950億円と約405億円の増加、年平均8.1%の成長を目指す。この分野を今後の成長分野と捉えて、伸ばす計画だ。売上高は、2025年3月期予想は2,014億円(連結売上比32.2%)と、中期経営計画の目標1,950億円(同33.7%)達成に向けて順調に推移している。
第2に、製品・サービスのスマート化を推進する。IoT・電動化対応製品の拡充、IoTを活用したサービス事業の拡大は、米州などでは進んでいるのに対し、国内での実績は不十分である。グループ全体として取り組むために、IoTは様々なラインナップを準備している。
5. 基本戦略(4):デジタル化とものづくり革新
業務プロセスのデジタル化や、生産能力拡大と省力化投資を推進する。デジタル化は待ったなしの課題であり、グローバルに取り組んでいる。第1にデジタル化の推進では、日本では、取付工事請負契約の電子化(EDI)を推進し、間仕切商品発注システムの全国展開を図る。米州では、ERP(企業資源計画)による生産性改善を目指すが、主力ドア工場(Mt.Hope)で機能別にERPを導入中だ。欧州では、販社へのERP導入など各プロセスのデジタル化を進める。アジアでは、ERPによる業務プロセス改善を推進する。計画期間中に設備投資に340億円、IT投資に120億円、合計で460億円と、前 中期経営計画から200億円増額することで結果を出す計画だ。2023年3月期~2025年3月期予想の3年間合計で、設備投資額合計は343億円に達し目標達成見込みであるが、IT投資額合計は76億円に留まり目標を大きく下回る。メキシコやアジアでは新工場が稼働したのに対し、日本では大きな改修がない状況だ。今後は日本を中心に、IT投資、生産設備への投資を積極化し、能力の拡大や省力化を進める必要がある。
第2にものづくり革新では、日本では設備の自動化やロボット等を活用し、施工生産性を改善する。日本では、今後はドアが伸びる見通しであり、能力の増強にも努める計画だ。取り組みを本格化することで、ドアの供給体制の強化を図る。米州では、地域全体での製造体制の最適化が課題である。引き続き自動化投資を行い、生産ラインナップの最適化に取り組む計画だ。欧州では、ビジネスやエリアの拡大に合わせて、製造・物流を強化する。特に産業用ドア等を中心に、産業製品の能力増強に取り組む方針だ。イギリスヒンジドア工場移転は完了し、2024年4月に稼働を開始した。中国では、計画どおり2023年3月期に三和NF常熟工場を設立稼働させており、生産設備の最新鋭化により生産能力拡大を図っている。
6. 基本戦略(5):サステナビリティ経営の推進
サステナビリティとは、世界を持続的な状態にするために、経済活動と環境や社会を保護・保全する活動を両立させながら事業などを行うことである。同社グループでは、ESG(Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字)を推進し、社会からより信頼される企業を目指して様々な施策に取り組んでいる。三和シヤッター工業では、2030年度のCO2排出量を2019年度比で30%削減するという定量目標を掲げていたが、環境対策に対する世の中の速い動きに合わせて、2050年度には事業活動に伴うCO2排出量を実質ゼロにする新たな目標を追加した。また、ESGマテリアリティ(ESGに関する重要課題)を刷新して、ものづくり、環境、人の3つの枠組みでESGを推進しているが、実効性を高めるために、11個のマテリアリティに紐づいたKPI(重要業績評価指標)を設けて取り組むこととした。こうした施策により“サステナブルで住み続けられるまちの実現”を目指している。
初年度の2023年3月期は、CO2排出量の第三者検証を実施し、また女性の社外取締役の選任を行うなど、KPIに従って予定どおり進捗している。2024年3月期も、気候変動を緩和する商品を順次拡大している。2024年3月期には、三和シヤッター工業では、Scope3算定カテゴリーと第三者検証の拡大を実施した。また、排出量10%削減については、これまでは国内の三和シヤッター工業を中心に環境データの開示を行ってきたが、グローバルに展開する企業として、欧米、アジアについても実績の把握、あるいは目標の設定に取り組む考えだ。さらに、2024年3月期には、1年前倒しで人権デュー・デリジェンスを実施し、三和グループ人権方針の制定やサプライチェーンアンケートの実施を行っている。当期も、Scope1+2としてCO2排出量10%削減を実現するなど、中計最終年度としてKPI達成へ向け施策を推進し、次期中計を見据えた取り組みも進めていく方針だ。
近年、年金基金など主要投資家の間では企業の社会的責任に対する関心が高まっており、ESGに対する企業の取り組みを重視して銘柄を選別する「ESG投資」が拡大傾向にある。同社グループは、サステナビリティへのこれまでの取り組みや情報開示の姿勢が評価され、「FTSE4Good Index Series」「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」「S&P/JPXカーボン・エフィシエント指数」など、国内外のESGインデックスに組み入れられている。2024年3月期には、「MSCI ESG RATINGS」でAAに評価が向上し、「MSCI日本株 ESGセレクト・リーダーズ指数」にも初選定された。加えて、CDP2023気候変動では「A-」評価にアップし、第5回日経SDGs経営調査★3.5など、数々の賞も受けている。このようなサステナビリティへの外部評価の高まりは、同社株への投資家層の関心や評価をさらに高めることになるであろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<AS>
4. 基本戦略(3):防災・環境対応製品の拡充と製品・サービスのスマート化推進
気候変動やデジタル化などで変化する社会のニーズに応える防災・環境対応製品の拡充と、製品・サービスのスマート化を推進する。第1に、防災・環境対応製品の拡充については、三和ホールディングス<5929>が取り扱う製品はもともと防災・環境対応に密接に関連しているが、昨今、気候変動がクローズアップされ、災害が頻繁に起きて激甚化していることから、より深く取り組む考えだ。防災商品、気候変動適応商品、気候変動緩和商品の売上高を2022年3月期実績1,545億円から2025年3月期目標1,950億円と約405億円の増加、年平均8.1%の成長を目指す。この分野を今後の成長分野と捉えて、伸ばす計画だ。売上高は、2025年3月期予想は2,014億円(連結売上比32.2%)と、中期経営計画の目標1,950億円(同33.7%)達成に向けて順調に推移している。
第2に、製品・サービスのスマート化を推進する。IoT・電動化対応製品の拡充、IoTを活用したサービス事業の拡大は、米州などでは進んでいるのに対し、国内での実績は不十分である。グループ全体として取り組むために、IoTは様々なラインナップを準備している。
5. 基本戦略(4):デジタル化とものづくり革新
業務プロセスのデジタル化や、生産能力拡大と省力化投資を推進する。デジタル化は待ったなしの課題であり、グローバルに取り組んでいる。第1にデジタル化の推進では、日本では、取付工事請負契約の電子化(EDI)を推進し、間仕切商品発注システムの全国展開を図る。米州では、ERP(企業資源計画)による生産性改善を目指すが、主力ドア工場(Mt.Hope)で機能別にERPを導入中だ。欧州では、販社へのERP導入など各プロセスのデジタル化を進める。アジアでは、ERPによる業務プロセス改善を推進する。計画期間中に設備投資に340億円、IT投資に120億円、合計で460億円と、前 中期経営計画から200億円増額することで結果を出す計画だ。2023年3月期~2025年3月期予想の3年間合計で、設備投資額合計は343億円に達し目標達成見込みであるが、IT投資額合計は76億円に留まり目標を大きく下回る。メキシコやアジアでは新工場が稼働したのに対し、日本では大きな改修がない状況だ。今後は日本を中心に、IT投資、生産設備への投資を積極化し、能力の拡大や省力化を進める必要がある。
第2にものづくり革新では、日本では設備の自動化やロボット等を活用し、施工生産性を改善する。日本では、今後はドアが伸びる見通しであり、能力の増強にも努める計画だ。取り組みを本格化することで、ドアの供給体制の強化を図る。米州では、地域全体での製造体制の最適化が課題である。引き続き自動化投資を行い、生産ラインナップの最適化に取り組む計画だ。欧州では、ビジネスやエリアの拡大に合わせて、製造・物流を強化する。特に産業用ドア等を中心に、産業製品の能力増強に取り組む方針だ。イギリスヒンジドア工場移転は完了し、2024年4月に稼働を開始した。中国では、計画どおり2023年3月期に三和NF常熟工場を設立稼働させており、生産設備の最新鋭化により生産能力拡大を図っている。
6. 基本戦略(5):サステナビリティ経営の推進
サステナビリティとは、世界を持続的な状態にするために、経済活動と環境や社会を保護・保全する活動を両立させながら事業などを行うことである。同社グループでは、ESG(Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字)を推進し、社会からより信頼される企業を目指して様々な施策に取り組んでいる。三和シヤッター工業では、2030年度のCO2排出量を2019年度比で30%削減するという定量目標を掲げていたが、環境対策に対する世の中の速い動きに合わせて、2050年度には事業活動に伴うCO2排出量を実質ゼロにする新たな目標を追加した。また、ESGマテリアリティ(ESGに関する重要課題)を刷新して、ものづくり、環境、人の3つの枠組みでESGを推進しているが、実効性を高めるために、11個のマテリアリティに紐づいたKPI(重要業績評価指標)を設けて取り組むこととした。こうした施策により“サステナブルで住み続けられるまちの実現”を目指している。
初年度の2023年3月期は、CO2排出量の第三者検証を実施し、また女性の社外取締役の選任を行うなど、KPIに従って予定どおり進捗している。2024年3月期も、気候変動を緩和する商品を順次拡大している。2024年3月期には、三和シヤッター工業では、Scope3算定カテゴリーと第三者検証の拡大を実施した。また、排出量10%削減については、これまでは国内の三和シヤッター工業を中心に環境データの開示を行ってきたが、グローバルに展開する企業として、欧米、アジアについても実績の把握、あるいは目標の設定に取り組む考えだ。さらに、2024年3月期には、1年前倒しで人権デュー・デリジェンスを実施し、三和グループ人権方針の制定やサプライチェーンアンケートの実施を行っている。当期も、Scope1+2としてCO2排出量10%削減を実現するなど、中計最終年度としてKPI達成へ向け施策を推進し、次期中計を見据えた取り組みも進めていく方針だ。
近年、年金基金など主要投資家の間では企業の社会的責任に対する関心が高まっており、ESGに対する企業の取り組みを重視して銘柄を選別する「ESG投資」が拡大傾向にある。同社グループは、サステナビリティへのこれまでの取り組みや情報開示の姿勢が評価され、「FTSE4Good Index Series」「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」「S&P/JPXカーボン・エフィシエント指数」など、国内外のESGインデックスに組み入れられている。2024年3月期には、「MSCI ESG RATINGS」でAAに評価が向上し、「MSCI日本株 ESGセレクト・リーダーズ指数」にも初選定された。加えて、CDP2023気候変動では「A-」評価にアップし、第5回日経SDGs経営調査★3.5など、数々の賞も受けている。このようなサステナビリティへの外部評価の高まりは、同社株への投資家層の関心や評価をさらに高めることになるであろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<AS>
関連銘柄
銘柄 | 株価 | 前日比 |
---|---|---|
5929
|
4,402.0
(15:30)
|
-45.0
(-1.01%)
|
関連銘柄の最新ニュース
-
12/07 09:00
-
12/03 20:10
-
12/02 11:30
-
11/23 08:30
-
11/16 09:00
新着ニュース
新着ニュース一覧-
今日 17:40
みんかぶおすすめ
\ 投資・お金について学ぶ入門サイト /