*16:01JST ダイキアクシス Research Memo(1):2023年12月期は増収も、先行費用等により減益。海外展開加速の方針
■要約
ダイキアクシス<4245>、浄化槽・排水処理システムを中心とする「環境機器関連事業」をはじめ、祖業である「住宅機器関連事業」、並びに2018年12月期よりセグメント化した「再生可能エネルギー関連事業」を3本柱としている。「環境を守る。未来を変える。」というミッションの下、ESG経営を志向しており、とりわけ社名の由来である「水を軸(アクシス)」として、水環境関連のSDGs「安全な水とトイレを世界中に」をグローバル視点で推進してきた。今後、市場が発展するアジア及びアフリカにおいて中規模水処理分野の業界トップを目指し、新興国での大躍進を図る考えだ。2024年1月には、これまで海外事業をリードしてきた大亀裕貴氏が新たに代表締役社長に就任した※。世代交代を進めるとともに、海外展開のスピードを高めることで、成長ギアを上げていくところに狙いがあると見られる。
※前 代表取締役社長の大亀裕氏は代表取締役会長に就任し、共同代表制となった。
1. 2023年12月期の業績概要
2023年12月期の連結業績は、売上高が前期比8.1%増の42,681百万円、営業利益が同20.1%減の660百万円と増収ながら減益となった。売上高は2件のM&Aによる上乗せ分を含め伸長した。主力の「環境機器関連事業」は、設備投資需要の回復により修繕工事が増加したほか、メンテナンス契約の増加が増収に寄与した。「住宅機器関連事業」については海外部品調達難に起因する出荷制限が解消されたことで建設関連業者向けが大きく回復したほか、空調工事を手掛ける(株)アドアシステムの連結化により住機部門工事も底上げされた。「再生可能エネルギー関連事業」については、メデアの連結化により太陽光発電事業(売電、発電施設の販売)が拡大した。ただ、利益面で減益となったのは、仕入価格及び外注費の上昇分を価格転嫁の遅れにより十分に吸収できなかったことや、ベースアップによる人件費増、今後に向けた先行投資などが要因である。なお、注力する海外売上高(環境機器関連事業)については、一過性の大型案件の終了などにより一旦減収となったものの、インド及びスリランカにおける新工場の稼働などにより、今後の事業拡大に向けた体制が整ってきた。
2. 2024年12月期の業績見通し
2024年12月期の業績予想について同社は、売上高を前期比4.3%増の44,500百万円、営業利益を同10.6%増の730百万円と増収増益を見込んでいる。売上高は、引き続き3事業がそれぞれ増収を確保する見通しである。「環境機器関連事業」では、新工場の稼働が本格化するインドやスリランカを中心に海外事業が大きく伸長し、「住宅機器関連事業」については、引き続き商品供給問題の解消やリフォーム市場拡大への対応が業績の伸びをけん引すると見ている。「再生可能エネルギー関連事業」では、安定した売電収益に加え、バイオディーゼル燃料事業における新たな展開や太陽光発電施設の販売により増収となる想定である。利益面でも、増収による収益の底上げのほか、仕入価格上昇分の販売価格への転嫁を進めることで営業利益率の改善を目指す。
3. 今後の方向性
同社は、2025年12月期を最終年度とする5ヶ年の中期経営計画を推進しており、海外展開やストックビジネスの拡大など6つの成長戦略とその基盤を支えるIT推進に取り組んでいる。特に、水インフラ整備が急務である新興国への展開がこれからの業績の伸びをけん引すると見ており、持続可能な環境と社会づくりに貢献することで、自社の持続的成長を実現していく考えである。
■Key Points
・2023年12月期は仕入価格上昇分の価格転嫁の遅れや先行投資等により増収ながら減益
・2件のM&Aに加え、インド及びスリランカにおける新工場の稼働など、今後の事業拡大に向けた体制づくりに取り組む
・2024年12月期は海外事業の拡大等により増収増益を見込む
・2025年12月期を最終年度とする中期経営計画を推進。水環境関連の社会課題解決に向けて海外展開を加速させる方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<HH>
ダイキアクシス<4245>、浄化槽・排水処理システムを中心とする「環境機器関連事業」をはじめ、祖業である「住宅機器関連事業」、並びに2018年12月期よりセグメント化した「再生可能エネルギー関連事業」を3本柱としている。「環境を守る。未来を変える。」というミッションの下、ESG経営を志向しており、とりわけ社名の由来である「水を軸(アクシス)」として、水環境関連のSDGs「安全な水とトイレを世界中に」をグローバル視点で推進してきた。今後、市場が発展するアジア及びアフリカにおいて中規模水処理分野の業界トップを目指し、新興国での大躍進を図る考えだ。2024年1月には、これまで海外事業をリードしてきた大亀裕貴氏が新たに代表締役社長に就任した※。世代交代を進めるとともに、海外展開のスピードを高めることで、成長ギアを上げていくところに狙いがあると見られる。
※前 代表取締役社長の大亀裕氏は代表取締役会長に就任し、共同代表制となった。
1. 2023年12月期の業績概要
2023年12月期の連結業績は、売上高が前期比8.1%増の42,681百万円、営業利益が同20.1%減の660百万円と増収ながら減益となった。売上高は2件のM&Aによる上乗せ分を含め伸長した。主力の「環境機器関連事業」は、設備投資需要の回復により修繕工事が増加したほか、メンテナンス契約の増加が増収に寄与した。「住宅機器関連事業」については海外部品調達難に起因する出荷制限が解消されたことで建設関連業者向けが大きく回復したほか、空調工事を手掛ける(株)アドアシステムの連結化により住機部門工事も底上げされた。「再生可能エネルギー関連事業」については、メデアの連結化により太陽光発電事業(売電、発電施設の販売)が拡大した。ただ、利益面で減益となったのは、仕入価格及び外注費の上昇分を価格転嫁の遅れにより十分に吸収できなかったことや、ベースアップによる人件費増、今後に向けた先行投資などが要因である。なお、注力する海外売上高(環境機器関連事業)については、一過性の大型案件の終了などにより一旦減収となったものの、インド及びスリランカにおける新工場の稼働などにより、今後の事業拡大に向けた体制が整ってきた。
2. 2024年12月期の業績見通し
2024年12月期の業績予想について同社は、売上高を前期比4.3%増の44,500百万円、営業利益を同10.6%増の730百万円と増収増益を見込んでいる。売上高は、引き続き3事業がそれぞれ増収を確保する見通しである。「環境機器関連事業」では、新工場の稼働が本格化するインドやスリランカを中心に海外事業が大きく伸長し、「住宅機器関連事業」については、引き続き商品供給問題の解消やリフォーム市場拡大への対応が業績の伸びをけん引すると見ている。「再生可能エネルギー関連事業」では、安定した売電収益に加え、バイオディーゼル燃料事業における新たな展開や太陽光発電施設の販売により増収となる想定である。利益面でも、増収による収益の底上げのほか、仕入価格上昇分の販売価格への転嫁を進めることで営業利益率の改善を目指す。
3. 今後の方向性
同社は、2025年12月期を最終年度とする5ヶ年の中期経営計画を推進しており、海外展開やストックビジネスの拡大など6つの成長戦略とその基盤を支えるIT推進に取り組んでいる。特に、水インフラ整備が急務である新興国への展開がこれからの業績の伸びをけん引すると見ており、持続可能な環境と社会づくりに貢献することで、自社の持続的成長を実現していく考えである。
■Key Points
・2023年12月期は仕入価格上昇分の価格転嫁の遅れや先行投資等により増収ながら減益
・2件のM&Aに加え、インド及びスリランカにおける新工場の稼働など、今後の事業拡大に向けた体制づくりに取り組む
・2024年12月期は海外事業の拡大等により増収増益を見込む
・2025年12月期を最終年度とする中期経営計画を推進。水環境関連の社会課題解決に向けて海外展開を加速させる方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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