~バスのAFC(運賃システム)、TMS(運行管理システム)で先進~
【ポイント】
・業績は本格的な回復局面に入っている。今2024年3月期の会社計画は営業利益で10億円を見込んでいるが、1Qの実績から見ると、計画を上回る公算が高い。バス会社の投資意欲が具体的に動き出している。翌2025年3月期はさらに好転し、過去のピーク利益を超えてこよう。
・要因は2つある。1つは、2024年の新紙幣の発行に合わせて、全国規模でバスの運賃箱のソフトが更新される。この需要が貢献する。2つ目は、米国で大型の受注に成功し、バスの運賃箱の納入が2026年3月期に本格化しよう。これによって、長年の課題であった海外市場の開拓が収益面で実を結び、海外部門が黒字化してこよう。
・一方で、新規分野の開発や投資も活発化しつつある。MaaSの一翼を担う当社の路線バス運行支援システム「LIVU」(ライブ)や、バスターミナルでの発着情報システムなどに利用されるCMP(コンテンツ・マネジメント・プラットフォーム)も実用化に入っている。EVフォークリフト用のバッテリー、車のEV化に合わせた基板実装などの需要拡大も見込める。エネルギーマネジメントシステムの開発にも力が入ろう。
・原材料や物流コストの上昇に合わせて価格転嫁を図っており、浸透しつつある。半導体の調達では改善しつつもまだ課題を残しているので、需要増に向けて生産計画を的確に組んでいく必要がある。その対応も進んでいる。
・10年ビジョンを策定し、2030年度で売上高300億円、営業利益率10%を目指す。2024年3月期までの3ヵ年計画では、売上高200億円、営業利益率5%の達成を掲げているが、この目標は射程内に入った。
・AFC(自動運賃収受システム)+TMS(運行管理システム)+EMS(エネルギーマネジメントシステム)を事業のコアに、今後収益力の向上が期待される。海外市場の開拓の進捗に注目したい。プライム市場の条件をクリアするハードルは高いが、ビジネスへの影響はほとんどないのでスタンダード市場で体制を整えることになろう。業績の向上と共に、株価は見直されてこよう。
目次
1.特色 情報処理(非接触ICカード利用)、電力変換(電源)、 光(LED)が得意
2.強み バスの運賃収受システムで国内シェア6割強を有するトップメーカー
3.中期経営計画 新ビジョンと中期計画でMaaSと海外市場開拓を推進
4.当面の業績 今2024年3月期から業績は本格回復へ
5.企業評価 内外での新規受注案件の仕上がりに注目
企業レーティング | B |
---|---|
株価 (2023年8月29日) |
539円 |
時価総額 | 76億円 (14.18百万株) |
PBR | 1.63倍 |
ROE | 12.3% |
PER | 13.2倍 |
配当利回り | 1.4% |
総資産 | 14568百万円 |
純資産 | 4484百万円 |
自己資本比率 | 30.8% |
BPS | 331.5円 |
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
2014.3 | 14157 | 151 | 164 | -98 | -9.1 | 8.5 |
2015.3 | 20215 | 603 | 779 | 227 | 20.8 | 8.5 |
2016.3 | 16203 | -571 | -649 | -1378 | -125.3 | 7.5 |
2017.3 | 16985 | 483 | 354 | 50 | 4.6 | 7.5 |
2018.3 | 15749 | -235 | -248 | -454 | -40.9 | 7.5 |
2019.3 | 21538 | 1021 | 1030 | 438 | 38.8 | 8.5 |
2020.3 | 26051 | 1854 | 1830 | 891 | 74.4 | 8.5 |
2021.3 | 15553 | -40 | 35 | -124 | -9.8 | 5.0 |
2022.3 | 14075 | 149 | 325 | 53 | 4.2 | 5.0 |
2023.3 | 14253 | -310 | -207 | -249 | -19.2 | 5.0 |
2024.3(予) | 19000 | 1200 | 1200 | 550 | 40.7 | 7.5 |
2025.3(予) | 23000 | 2000 | 1950 | 1100 | 81.3 | 10.0 |
(2023.6ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2005年11月1:10、2014年4月1:2の株式分割を実施。それ以前のEPS、配当は修正ベース。
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。
レポート全文はこちらから
https://www.belletk.com/reshiltupuHD202308.pdf
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