今週のポイント
FRB(米連邦準備理事会)は7月25-26日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げを行ったものの、市場ではFRBの利上げは7月で打ち止めとの観測があります。
10日に米国の7月CPI(消費者物価指数)が発表されます。CPIが市場予想を下回る結果になれば、FRBの利上げ打ち止め観測が一段と強まるとともに、米ドルが全般的に軟調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは下落し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドル、NZドル/米ドルは上昇しそうです。
英ポンドは、11日発表の英国の4-6月期GDP(国内総生産)速報値に注目です。GDPが市場予想の前期比0.0%(本稿執筆時点)を下回る結果になれば、英景気をめぐる懸念が強まるとみられ、その場合には英ポンドが軟調に推移しそうです。
BOM(メキシコ中銀)が10日に政策会合を開きます。5月と6月に続いて政策金利は11.25%に据え置かれそうです。注目点は、メキシコ中銀の金融政策スタンスに変化がみられるかどうか。BOMは前回6月の会合の声明で「政策金利は現在の水準(11.25%)に長期間維持する必要がある」と表明しました。声明で金融政策スタンスの変化が示唆されれば、メキシコペソが反応しそうです。
原油価格の動向も材料になるかもしれません。WTI原油先物は先週(7/31- )、一時約4カ月ぶりの高値をつけました。原油価格が上昇を続ける場合、カナダドルやメキシコペソを下支えする可能性があります。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.07000NZドル~1.08500NZドル>
RBA(豪中銀)は8月1日の政策会合で政策金利を4.10%に据え置くことを決定しました。RBAが政策金利を据え置くのは2カ月連続です。
RBAは声明で「インフレ率が妥当な期間内に確実に目標値に戻るようにするため、ある程度の金融政策のさらなる引き締めが必要になるかもしれないが、それはデータとリスク評価次第だ」と表明。今後利上げを再開する可能性を改めて示しました。
声明では一方で、「中期的なインフレ期待はインフレ目標と整合的」、「最近のデータは、インフレ率が予測期間中に2~3%の目標レンジ内に戻り、生産と雇用が増加し続けることと整合的」との見方が示されました。利上げ再開の確率は、これまでよりも低下したように見えます。
市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、RBAの政策金利は年内据え置かれるとの見方が市場では有力です。
RBNZ(NZ中銀)は前回7月12日の政策会合で政策金利を5.50%に据え置くとともに、「政策金利は予見可能な将来において抑制的な水準に維持する必要があるとの認識で一致した」と表明。政策金利を当面据え置くことを示唆しました。OISによると、市場ではRBNZは政策金利を年内据え置くとの見方が有力です。
RBAとRBNZのいずれも政策金利を当面据え置くとの見方が有力であり、こうした状況に変化がなければ、豪ドル/NZドルは明確な方向が出にくいと考えられます。
今週の注目通貨ペア(2):<カナダドル/円 予想レンジ:104.000円~108.000円>
8月4日にカナダの7月雇用統計が発表され、結果は失業率が5.5%、雇用者数が前月比マイナス0.64万人でした。失業率は市場予想通りだったものの、雇用者数は市場予想(2.11万人増)に反して減少しました。雇用者数の結果を受け、市場ではBOC(カナダ中銀)の利上げ観測が後退しました。このことはカナダドルにとってマイナス材料であり、カナダドル/円は上値が重い展開になる可能性があります。
一方で、原油価格が上昇しています。原油価格の代表的な指標である米WTI原油先物は4日に一時1バレル=83.24ドルへと上昇し、約4カ月ぶりの高値をつけました。サウジアラビアが3日に日量100万バレルの自主減産を9月も継続する方針を示し、このことが原油価格の上昇要因になりました。原油価格の上昇はカナダドルにとってプラス材料のため、原油高が一段と進めば、カナダドル/円は下値も堅い展開になりそうです。
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