*12:49JST 森六 Research Memo(9):2025年3月期に売上高1,430億円を目指す(3)
■森六ホールディングス<4249>の中期経営計画
(3) 基本戦略III サステナビリティ活動の推進による経営のレジリエンス向上
同社グループでは、東証プライム企業としてのマネジメント機能向上に注力し、グループ連携でサステナビリティ経営を深化させる方針だ。そして、環境への配慮と人材の確保・育成を最重点課題に掲げた。また、DXの推進、コーポレート・ガバナンスの高度化、知財戦略の強化などによって、経営のレジリエンスを向上する。さらに、こうした取り組みの詳細について情報開示をすることで、企業価値を高める考えだ。
「環境に配慮した事業活動」については、グループ3社の社長直下に「サステナビリティ推進室」を置き、連携しながら活動を推進する。年に4回以上のサステナビリティ委員会を開催し、進捗管理や活動の後押しをするとともに、取締役会を通じて、社外取締役及び監査役によるチェックを実施する。こうした強力な推進体制により、国内外グループ全社をあげてGHG排出量削減を進め、第13次中期経営計画期間中に2019年度比で30%削減を目指す。併せて、全消費電力に占める再生可能エネルギー由来の電力量の割合を、グループ全体で35%まで高める考えだ。
「多様な人材の確保と育成」については、第1に、戦略を先取りした人材の確保と育成を掲げ、外部からの獲得やM&Aによる補完も選択肢として、人材確保を進める。第2に、人材と組織の活性化を目指し、同社を支える人材や組織がポテンシャルを最大限発揮できるよう、社員エンゲージメント向上に取り組む。第3に、ダイバーシティの推進を図り、多様な人材の活躍により、時間や場所にとらわれない新しい働き方を推奨することで、イノベーションを促進する。これらの取り組みにより、社員意識調査での「個人の尊重」「協力体制」「リーダーシップ」への肯定回答の比率を、2021年度の調査結果から10ポイント高くすることを目指している。
特に同社が今後注力するのが「ダイバーシティの推進」だ。女性管理職比率の2021年実績は10%を超えており、グループ会社では、内部昇格による女性執行役員が活躍している。今後も、能力と適正を見ながら女性役員の道を広げる方針だ。海外においても、優秀な現地人の登用を進めている。中国では既に現地人役員が出ており、カナダでは現地人社長が登場している。これにより現地人社員の労働意欲が高まっていることから、今後も優秀な現地人を積極的に登用していく。特に栗田現社長は海外経験が長いこともあり、ダイバーシティに対しては積極的に対応する方針だ。
サステナビリティ活動の推進に加えて、経営のレジリエンス向上のための施策も行う。第1に、DXの推進については、前例にこだわらず、デジタル技術の活用を前提としたビジネス再構築に取り組む。第2に、コーポレート・ガバナンスの高度化については、取締役会の多様性を確保し、実効性や透明性の向上に取り組む。第3に、知的財産戦略の強化については、事業戦略、研究開発戦略と連動した知的財産戦略を進める。第4に、情報開示の拡充については、タイムリーに分かりやすく情報発信する方針だ。
以上のように、同社ではサステナビリティ推進活動を、長期ビジョン並びに中期経営計画の柱の1つに据えることで、東証プライム市場の企業にふさわしい責任を果たしながら、社会とともに成長を目指すという経営方針を強く示している。近年、年金基金など主要投資家の間では企業の社会的責任に対する関心が高まっており、ESGに対する企業の取り組みを重視して銘柄を選別する「ESG投資」が、世界的に拡大傾向にある。同社グループのサステナビリティや情報開示に対する前向きな姿勢が理解されることで、同社株式の投資家層がさらに拡大すると予想される。
3. 中期経営計画への取り組み(進捗)
「2030年ビジョン:CREATE THE NEW VALUE」とそのステップ1である第13次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)を発表済みだが、この計画に対する現在までの取り組み及び進捗は以下のとおりである。
(1) 樹脂加工製品事業:100年に一度の変革を見据えて4つの戦略を推進
世界的に自動車の電動化が加速している環境下で、また自動運転技術の進化により、車の内部はリラックス感を重視したリビングルームのような空間へと変化しつつある。 同社では、この変化をチャンスと捉え、以下の4つの方向性で研究開発を進めていく方針だ。
1) コア技術の進化
要素技術を進化させることで、インテリアのバリエーションを増やし、各部品の付加価値を向上させる。
2) 次世代自動車に向けた車内空間の価値向上
既存の加飾技術と電気系技術を融合させ、車内のデザイン性と利便性を高めていく。またエネルギー効率の改善にも取り組む。
3) カーボンニュートラルの実現
グループ内で、素材やコンパウンド、設計・量産まで行える強みを生かし、環境材の開発と実用化を進める。
4) 異業種・新規顧客の拡大
既存顧客以外の自動車メーカーに積極的に販路を拡大するとともに、 異業種にも目を向けていく。そのために、他社との協業やグループ内連携を積極的に進める。
(2) 樹脂加工製品事業:4つの戦略に沿ってニーズを先取りする提案型開発に注力
この方針に沿って、以下の2つの製品を開発済みで、いずれの試作品も「人とくるまのテクノロジー展2023」に出品し、積極的なPR活動を進めている。
1) くつろぎのある車内空間を実現する「2Way リビング コンソール」
自宅のリビングテーブルの使い勝手をそのまま車内に持ち込むことをコンセプトとして開発、停車時にはフルフラット化してリビングテーブルのように自由に利用が可能である一方で、運転時にはセンサー/自動化により、隠れたコンソール機能が出現する。
2) 自然由来の素材を活用したコンソール
モミ殻や卵の殻、間伐材など自然由来の廃材を混ぜ込むことで、樹脂の使用量を削減すると同時に、耐衝撃性や耐光性などを維持するため素材の配合やコンパウンド、設計における最善の手法を追求している。
(3) 樹脂加工製品事業:複数パートナー企業との業務提携による事業拡大と競争力強化
電動化と、自動運転の進化に伴い、サプライヤーは部品単体ではなく車内空間全体のコーディネートや、 総合的な価値提案が求められるようになっている。 そこで提案力の強化に向けて、同社に足りない要素、具体的にはシステムインテグレーションコーディネートやエレクトロニクス制御技術などを補完できるようなパートナー企業との協業を積極的に活用する方針だ。既にこの方針に沿って、複数の企業と協業に向けた協議をスタートしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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(3) 基本戦略III サステナビリティ活動の推進による経営のレジリエンス向上
同社グループでは、東証プライム企業としてのマネジメント機能向上に注力し、グループ連携でサステナビリティ経営を深化させる方針だ。そして、環境への配慮と人材の確保・育成を最重点課題に掲げた。また、DXの推進、コーポレート・ガバナンスの高度化、知財戦略の強化などによって、経営のレジリエンスを向上する。さらに、こうした取り組みの詳細について情報開示をすることで、企業価値を高める考えだ。
「環境に配慮した事業活動」については、グループ3社の社長直下に「サステナビリティ推進室」を置き、連携しながら活動を推進する。年に4回以上のサステナビリティ委員会を開催し、進捗管理や活動の後押しをするとともに、取締役会を通じて、社外取締役及び監査役によるチェックを実施する。こうした強力な推進体制により、国内外グループ全社をあげてGHG排出量削減を進め、第13次中期経営計画期間中に2019年度比で30%削減を目指す。併せて、全消費電力に占める再生可能エネルギー由来の電力量の割合を、グループ全体で35%まで高める考えだ。
「多様な人材の確保と育成」については、第1に、戦略を先取りした人材の確保と育成を掲げ、外部からの獲得やM&Aによる補完も選択肢として、人材確保を進める。第2に、人材と組織の活性化を目指し、同社を支える人材や組織がポテンシャルを最大限発揮できるよう、社員エンゲージメント向上に取り組む。第3に、ダイバーシティの推進を図り、多様な人材の活躍により、時間や場所にとらわれない新しい働き方を推奨することで、イノベーションを促進する。これらの取り組みにより、社員意識調査での「個人の尊重」「協力体制」「リーダーシップ」への肯定回答の比率を、2021年度の調査結果から10ポイント高くすることを目指している。
特に同社が今後注力するのが「ダイバーシティの推進」だ。女性管理職比率の2021年実績は10%を超えており、グループ会社では、内部昇格による女性執行役員が活躍している。今後も、能力と適正を見ながら女性役員の道を広げる方針だ。海外においても、優秀な現地人の登用を進めている。中国では既に現地人役員が出ており、カナダでは現地人社長が登場している。これにより現地人社員の労働意欲が高まっていることから、今後も優秀な現地人を積極的に登用していく。特に栗田現社長は海外経験が長いこともあり、ダイバーシティに対しては積極的に対応する方針だ。
サステナビリティ活動の推進に加えて、経営のレジリエンス向上のための施策も行う。第1に、DXの推進については、前例にこだわらず、デジタル技術の活用を前提としたビジネス再構築に取り組む。第2に、コーポレート・ガバナンスの高度化については、取締役会の多様性を確保し、実効性や透明性の向上に取り組む。第3に、知的財産戦略の強化については、事業戦略、研究開発戦略と連動した知的財産戦略を進める。第4に、情報開示の拡充については、タイムリーに分かりやすく情報発信する方針だ。
以上のように、同社ではサステナビリティ推進活動を、長期ビジョン並びに中期経営計画の柱の1つに据えることで、東証プライム市場の企業にふさわしい責任を果たしながら、社会とともに成長を目指すという経営方針を強く示している。近年、年金基金など主要投資家の間では企業の社会的責任に対する関心が高まっており、ESGに対する企業の取り組みを重視して銘柄を選別する「ESG投資」が、世界的に拡大傾向にある。同社グループのサステナビリティや情報開示に対する前向きな姿勢が理解されることで、同社株式の投資家層がさらに拡大すると予想される。
3. 中期経営計画への取り組み(進捗)
「2030年ビジョン:CREATE THE NEW VALUE」とそのステップ1である第13次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)を発表済みだが、この計画に対する現在までの取り組み及び進捗は以下のとおりである。
(1) 樹脂加工製品事業:100年に一度の変革を見据えて4つの戦略を推進
世界的に自動車の電動化が加速している環境下で、また自動運転技術の進化により、車の内部はリラックス感を重視したリビングルームのような空間へと変化しつつある。 同社では、この変化をチャンスと捉え、以下の4つの方向性で研究開発を進めていく方針だ。
1) コア技術の進化
要素技術を進化させることで、インテリアのバリエーションを増やし、各部品の付加価値を向上させる。
2) 次世代自動車に向けた車内空間の価値向上
既存の加飾技術と電気系技術を融合させ、車内のデザイン性と利便性を高めていく。またエネルギー効率の改善にも取り組む。
3) カーボンニュートラルの実現
グループ内で、素材やコンパウンド、設計・量産まで行える強みを生かし、環境材の開発と実用化を進める。
4) 異業種・新規顧客の拡大
既存顧客以外の自動車メーカーに積極的に販路を拡大するとともに、 異業種にも目を向けていく。そのために、他社との協業やグループ内連携を積極的に進める。
(2) 樹脂加工製品事業:4つの戦略に沿ってニーズを先取りする提案型開発に注力
この方針に沿って、以下の2つの製品を開発済みで、いずれの試作品も「人とくるまのテクノロジー展2023」に出品し、積極的なPR活動を進めている。
1) くつろぎのある車内空間を実現する「2Way リビング コンソール」
自宅のリビングテーブルの使い勝手をそのまま車内に持ち込むことをコンセプトとして開発、停車時にはフルフラット化してリビングテーブルのように自由に利用が可能である一方で、運転時にはセンサー/自動化により、隠れたコンソール機能が出現する。
2) 自然由来の素材を活用したコンソール
モミ殻や卵の殻、間伐材など自然由来の廃材を混ぜ込むことで、樹脂の使用量を削減すると同時に、耐衝撃性や耐光性などを維持するため素材の配合やコンパウンド、設計における最善の手法を追求している。
(3) 樹脂加工製品事業:複数パートナー企業との業務提携による事業拡大と競争力強化
電動化と、自動運転の進化に伴い、サプライヤーは部品単体ではなく車内空間全体のコーディネートや、 総合的な価値提案が求められるようになっている。 そこで提案力の強化に向けて、同社に足りない要素、具体的にはシステムインテグレーションコーディネートやエレクトロニクス制御技術などを補完できるようなパートナー企業との協業を積極的に活用する方針だ。既にこの方針に沿って、複数の企業と協業に向けた協議をスタートしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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