*12:05JST ウェーブロックHD Research Memo(5):ポテンシャル競合優位性の高い製品や付加価値の高いビジネスを展開
■会社概要
3. SWOT分析
ウェーブロックホールディングス<7940>の経営を取り巻く外部環境と経営の現状について、SWOT分析で簡便表に表した。なお、SWOT分析とは、企業が組織の経営ビジョンや戦略を企画立案する際によく用いる経営分析手法の1つで、企業を取り巻く外部環境についての「成長機会(Opportunity)」と「脅威(Threat)」、企業が固有に持つ「強み(Strength)」と「弱み(Weakness)」を4つに区分してまとめたものである。
外部環境面での成長機会としては、アドバンストテクノロジー事業の注力分野であるデコレーション&ディスプレー分野の自動車内外装分野での成長ポテンシャルが高いことが挙げられる。金属調加飾フィルムは、環境規制に対する対策強化や軽量化・デザイン性向上といった需要の高まりを背景に、高透明多層フィルムはCIDの大画面化やHUDの搭載率上昇を背景にそれぞれ需要拡大が見込まれる。また、売上高比率で1割強の水準にとどまっている海外市場向けについては、アドバンストテクノロジー事業だけでなくマテリアルソリューション事業でも成長余地がある。特に農業分野は、異常気象による食糧危機が懸念されるなかで生産性向上に対する潜在需要は大きいと見られ、将来的に各地域のニーズに適した製品・サービスの展開を視野に入れている。一方でリスク要因としては、原油価格が高騰した場合、主要原材料価格の指標となるナフサ価格が上昇し利益率が低下するリスクがあるほか、防虫網や建築資材、産業資材、食品用パッケージなどは国内市場に依拠しているため、人口減少等により国内市場が縮小するリスクが挙げられる。また、アドバンストテクノロジー事業は売上規模がまだ小さいため、能力増強投資によって固定費負担が増加、主要取引先の販売状況によって収益が変動するリスクがある。
同社が固有に持つ強みとしては、複数の素材と加工技術の「組み合わせ」と「仕組み」により、新たな付加価値を創出し市場を開拓していくソリューション提案力があること、事業領域が住宅、農業、建設、自動車など多岐に広がっているため、特定の業界の好不況に左右されない安定した収益ポートフォリオを形成していること、収益基盤の強化及び成長のために必要となる組織再編やM&A等を機動的に行える体制を構築していることなどが挙げられる。一方で課題は、マテリアルソリューション事業の拡大を図るための新市場の開拓や新規ビジネスの育成に加えて、市況変動の影響を受け難い収益構造に転換していくことが挙げられる。自社の得意分野や優位性のある分野を見極め、品質だけでなくサービスや営業力でも差別化を図ることができる製品、言い換えれば、売価転嫁を許容してもらえるだけの競合優位性の高い製品や、付加価値が伴うソリューションの提供が可能なビジネスを増やしていくことで、マテリアルソリューション事業の成長を目指す戦略となっている。環境関連ビジネスとして育成中の地中熱ビジネスを例にすると、農業分野では遮光ネット等の被覆資材と、工場分野では工場内に設置される間仕切りカーテン等と合わせて提案することで、エネルギー効率の観点から最適なソリューション提案を行うことが可能となる。こうしたソリューション提案は競合の樹脂加工品メーカーではできないため、今後の強みとなる能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SI>
3. SWOT分析
ウェーブロックホールディングス<7940>の経営を取り巻く外部環境と経営の現状について、SWOT分析で簡便表に表した。なお、SWOT分析とは、企業が組織の経営ビジョンや戦略を企画立案する際によく用いる経営分析手法の1つで、企業を取り巻く外部環境についての「成長機会(Opportunity)」と「脅威(Threat)」、企業が固有に持つ「強み(Strength)」と「弱み(Weakness)」を4つに区分してまとめたものである。
外部環境面での成長機会としては、アドバンストテクノロジー事業の注力分野であるデコレーション&ディスプレー分野の自動車内外装分野での成長ポテンシャルが高いことが挙げられる。金属調加飾フィルムは、環境規制に対する対策強化や軽量化・デザイン性向上といった需要の高まりを背景に、高透明多層フィルムはCIDの大画面化やHUDの搭載率上昇を背景にそれぞれ需要拡大が見込まれる。また、売上高比率で1割強の水準にとどまっている海外市場向けについては、アドバンストテクノロジー事業だけでなくマテリアルソリューション事業でも成長余地がある。特に農業分野は、異常気象による食糧危機が懸念されるなかで生産性向上に対する潜在需要は大きいと見られ、将来的に各地域のニーズに適した製品・サービスの展開を視野に入れている。一方でリスク要因としては、原油価格が高騰した場合、主要原材料価格の指標となるナフサ価格が上昇し利益率が低下するリスクがあるほか、防虫網や建築資材、産業資材、食品用パッケージなどは国内市場に依拠しているため、人口減少等により国内市場が縮小するリスクが挙げられる。また、アドバンストテクノロジー事業は売上規模がまだ小さいため、能力増強投資によって固定費負担が増加、主要取引先の販売状況によって収益が変動するリスクがある。
同社が固有に持つ強みとしては、複数の素材と加工技術の「組み合わせ」と「仕組み」により、新たな付加価値を創出し市場を開拓していくソリューション提案力があること、事業領域が住宅、農業、建設、自動車など多岐に広がっているため、特定の業界の好不況に左右されない安定した収益ポートフォリオを形成していること、収益基盤の強化及び成長のために必要となる組織再編やM&A等を機動的に行える体制を構築していることなどが挙げられる。一方で課題は、マテリアルソリューション事業の拡大を図るための新市場の開拓や新規ビジネスの育成に加えて、市況変動の影響を受け難い収益構造に転換していくことが挙げられる。自社の得意分野や優位性のある分野を見極め、品質だけでなくサービスや営業力でも差別化を図ることができる製品、言い換えれば、売価転嫁を許容してもらえるだけの競合優位性の高い製品や、付加価値が伴うソリューションの提供が可能なビジネスを増やしていくことで、マテリアルソリューション事業の成長を目指す戦略となっている。環境関連ビジネスとして育成中の地中熱ビジネスを例にすると、農業分野では遮光ネット等の被覆資材と、工場分野では工場内に設置される間仕切りカーテン等と合わせて提案することで、エネルギー効率の観点から最適なソリューション提案を行うことが可能となる。こうしたソリューション提案は競合の樹脂加工品メーカーではできないため、今後の強みとなる能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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