■今後の見通し
1. 2023年9月期の業績見通し
ステップ<9795>の2023年9月期の業績は、売上高で前期比5.9%増の14,456百万円、営業利益で同5.6%増の3,862百万円、経常利益で同4.6%増の3,900百万円、当期純利益で同4.1%増の2,668百万円と増収増益が続く見通しだ。ただ、収益認識会計基準等の適用に伴う312百万円のプラス要因を除いたベースで見ると、売上高は3.5%増、営業利益は2.7%減となる。これはコロナ禍の今後の動向が生徒募集に影響を与えるため、その影響がやや不透明な状況であることによる。
また、利益面では人件費や水道光熱費、広告宣伝費、求人費等の増加を織り込んだ。人件費については前期同様に増加する見込みであるほか、水道光熱費が電気料金の値上げにより約30%増、金額で約50百万円の増加となる見通しである。広告宣伝費については折込チラシの量は減少するものの、紙代の値上げにより金額ベースでは若干増となる可能性がある。また、求人費についても採用活動の強化に伴い若干増を計画している。
(1) 生徒数の動向とスクールの新設計画
小中学生部門の生徒数は2022年10月末で前年同期比3.2%増となっている。小学生については同6.0%増と堅調で、中学生も受験学年となる3年生は同5.5%増と堅調だが、1年生が0.3%増、2年生が1.3%増と、夏場にコロナ第7波が直撃した影響を受けた。中学1~2年生については入塾のタイミングが先送りされた格好で、11月に入ってから第8波が到来しつつあることを考慮すれば年内は同様のペースが続く見通しだ。ただ、新規入塾のタイミングとなる2023年3月頃にコロナ禍が収束していれば、様子見していた生徒の入塾ペースが一気に増え、業績の上乗せ要因となる可能性はある。いずれにしても、今後のコロナ禍の動向次第と言える。
一方、高校生部門の生徒数は2022年10月末で前年同期比4.5%増となっており、学年別で見れば1年生が同11.2%増と好調で、2年生が同0.8%減、3年生が同3.4%増となっている。2年生についてはコロナ禍の影響で低迷しているものと考えられ、3年生に繰り上がる春先には増加に転じるものと予想される。このため高校生部門についても、コロナ禍が春先までに収束している状況であれば、10月末時点の伸び率を上回る可能性も十分考えられる。
なお、新規開校については小中学部で4スクールを2023年春に予定しており、高校部は移転・増床も含めて現段階で予定はない(物件が見つかれば移転増床の可能性有り)。小中学部4スクールは、「STEP」の井土ヶ谷スクール(横浜市南区)、鶴見スクール(横浜市鶴見区)、溝の口スクール(川崎市高津区)、「Hi-STEP」の武蔵小杉スクール(川崎市中原区)となる。横浜市鶴見区には初進出となり、立地も駅直結の好立地な条件であるため初年度から生徒獲得が期待される。また、武蔵小杉は学齢人口が増加している人気エリアで競争も激しいが、川崎エリアを攻略するための重要な拠点となる。これらの開校により、JR南武線の主要駅はほぼカバーしたことになり、川崎エリアのトップ校である多摩高校での合格実績トップを早期に奪取する戦略だ※。
※2022年春の合額実績は52名で、臨海セミナー77名、湘南ゼミナール62名に次ぐ3番手。
(2) 学童保育の展開について
学童保育部門については、2020年に新規開設した2教室を含めて、現在3教室を運営している。生徒数は2022年10月末時点で336名と順調に拡大を続けている。安心・安全で有意義な放課後ライフの実現、知的な成長の場になることをコンセプトに、知的好奇心を育む各種教育プログラム※を提供していることが特徴で、生徒や保護者からも好評を得ていることが背景にある。
※楽しく学ぶ「探求プログラム」として、サイエンス、プログラミング、はば広教養、ことば、英語、英検講座、英会話、算数、算数(思考)の9種類があり、「エンジョイプログラム(スポーツや趣味の習い事)」として手話、将棋、百人一首、音楽、ダンス、体育の6種類を用意している。
収益面では、2016年に開校した「湘南教室」に続き、「辻堂教室」も2022年9月期に黒字化を達成、営業利益率も10%を超える水準となった。「茅ヶ崎教室」についてはコロナ禍の影響で生徒数がやや伸び悩み黒字化まではしばらく時間を要するものの、今後生徒数の増加により収益性向上が期待できる状況となっている。同社は黒字化に向けての収益モデルが確立できたことから、2023年春に4校目となる白楽教室(横浜市神奈川区)を開校することを決定した。生徒募集も初年度から小学1年生~4年生までの一斉募集を行う。従来は段階を踏まえて募集してきた。横浜市では各小学校で学童のサービスが提供されているが、同社は各種教育プログラムも提供する高付加価値型のサービスとしてニーズがあるものと考えており、横浜でも生徒を獲得し収益化できるものと判断した。開校3年目で黒字化できれば、そのほかのエリアにも順次広げることにしている。「STEPキッズ」の生徒はそのまま「STEP」に入塾する可能性が高いため、「STEPキッズ」のネットワークを広げることで「STEP」全体の生徒数増加につなげていく戦略だ。
また、同社は2022年春に「STEPキッズ」で提供する教育プログラムだけを取り出して、小学3年生~6年生を対象に提供する「ステップジュニアラボ」湘南教室を、JR藤沢駅北口の新校舎内に開設した。プログラム内容は算数、国語、英語、英会話、英検に加え、サイエンス、プログラミング、ダンス、音楽、手芸、作文などを揃えている。小学生の学ぶ意欲、成長意欲に積極的に応えていく新機軸のスクールとして、「STEPキッズ」と共に一体となって成長させる考えで、コンテンツの研究開発の場として時間を掛けて取り組んでいくことにしている。
(3) 採用計画
成長の源泉となる人材の採用については、2022年春に新卒で前期比約2倍となる60名と過去最高の採用を行った。2023年春は中途採用も含めて50名弱とやや減少する見込みだが、採用については今後も継続して行う方針である。2021年よりオンラインでの会社説明会や面接を実施しているほか、2022年にはYoutubeの公式チャンネルを開設し、インターンシップや教師研修の様子、教師の一日の流れなどの動画をアップするなど、仕事内容をアピールすることで全国から入社を希望する学生を増やしていきたい考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2023年9月期の業績見通し
ステップ<9795>の2023年9月期の業績は、売上高で前期比5.9%増の14,456百万円、営業利益で同5.6%増の3,862百万円、経常利益で同4.6%増の3,900百万円、当期純利益で同4.1%増の2,668百万円と増収増益が続く見通しだ。ただ、収益認識会計基準等の適用に伴う312百万円のプラス要因を除いたベースで見ると、売上高は3.5%増、営業利益は2.7%減となる。これはコロナ禍の今後の動向が生徒募集に影響を与えるため、その影響がやや不透明な状況であることによる。
また、利益面では人件費や水道光熱費、広告宣伝費、求人費等の増加を織り込んだ。人件費については前期同様に増加する見込みであるほか、水道光熱費が電気料金の値上げにより約30%増、金額で約50百万円の増加となる見通しである。広告宣伝費については折込チラシの量は減少するものの、紙代の値上げにより金額ベースでは若干増となる可能性がある。また、求人費についても採用活動の強化に伴い若干増を計画している。
(1) 生徒数の動向とスクールの新設計画
小中学生部門の生徒数は2022年10月末で前年同期比3.2%増となっている。小学生については同6.0%増と堅調で、中学生も受験学年となる3年生は同5.5%増と堅調だが、1年生が0.3%増、2年生が1.3%増と、夏場にコロナ第7波が直撃した影響を受けた。中学1~2年生については入塾のタイミングが先送りされた格好で、11月に入ってから第8波が到来しつつあることを考慮すれば年内は同様のペースが続く見通しだ。ただ、新規入塾のタイミングとなる2023年3月頃にコロナ禍が収束していれば、様子見していた生徒の入塾ペースが一気に増え、業績の上乗せ要因となる可能性はある。いずれにしても、今後のコロナ禍の動向次第と言える。
一方、高校生部門の生徒数は2022年10月末で前年同期比4.5%増となっており、学年別で見れば1年生が同11.2%増と好調で、2年生が同0.8%減、3年生が同3.4%増となっている。2年生についてはコロナ禍の影響で低迷しているものと考えられ、3年生に繰り上がる春先には増加に転じるものと予想される。このため高校生部門についても、コロナ禍が春先までに収束している状況であれば、10月末時点の伸び率を上回る可能性も十分考えられる。
なお、新規開校については小中学部で4スクールを2023年春に予定しており、高校部は移転・増床も含めて現段階で予定はない(物件が見つかれば移転増床の可能性有り)。小中学部4スクールは、「STEP」の井土ヶ谷スクール(横浜市南区)、鶴見スクール(横浜市鶴見区)、溝の口スクール(川崎市高津区)、「Hi-STEP」の武蔵小杉スクール(川崎市中原区)となる。横浜市鶴見区には初進出となり、立地も駅直結の好立地な条件であるため初年度から生徒獲得が期待される。また、武蔵小杉は学齢人口が増加している人気エリアで競争も激しいが、川崎エリアを攻略するための重要な拠点となる。これらの開校により、JR南武線の主要駅はほぼカバーしたことになり、川崎エリアのトップ校である多摩高校での合格実績トップを早期に奪取する戦略だ※。
※2022年春の合額実績は52名で、臨海セミナー77名、湘南ゼミナール62名に次ぐ3番手。
(2) 学童保育の展開について
学童保育部門については、2020年に新規開設した2教室を含めて、現在3教室を運営している。生徒数は2022年10月末時点で336名と順調に拡大を続けている。安心・安全で有意義な放課後ライフの実現、知的な成長の場になることをコンセプトに、知的好奇心を育む各種教育プログラム※を提供していることが特徴で、生徒や保護者からも好評を得ていることが背景にある。
※楽しく学ぶ「探求プログラム」として、サイエンス、プログラミング、はば広教養、ことば、英語、英検講座、英会話、算数、算数(思考)の9種類があり、「エンジョイプログラム(スポーツや趣味の習い事)」として手話、将棋、百人一首、音楽、ダンス、体育の6種類を用意している。
収益面では、2016年に開校した「湘南教室」に続き、「辻堂教室」も2022年9月期に黒字化を達成、営業利益率も10%を超える水準となった。「茅ヶ崎教室」についてはコロナ禍の影響で生徒数がやや伸び悩み黒字化まではしばらく時間を要するものの、今後生徒数の増加により収益性向上が期待できる状況となっている。同社は黒字化に向けての収益モデルが確立できたことから、2023年春に4校目となる白楽教室(横浜市神奈川区)を開校することを決定した。生徒募集も初年度から小学1年生~4年生までの一斉募集を行う。従来は段階を踏まえて募集してきた。横浜市では各小学校で学童のサービスが提供されているが、同社は各種教育プログラムも提供する高付加価値型のサービスとしてニーズがあるものと考えており、横浜でも生徒を獲得し収益化できるものと判断した。開校3年目で黒字化できれば、そのほかのエリアにも順次広げることにしている。「STEPキッズ」の生徒はそのまま「STEP」に入塾する可能性が高いため、「STEPキッズ」のネットワークを広げることで「STEP」全体の生徒数増加につなげていく戦略だ。
また、同社は2022年春に「STEPキッズ」で提供する教育プログラムだけを取り出して、小学3年生~6年生を対象に提供する「ステップジュニアラボ」湘南教室を、JR藤沢駅北口の新校舎内に開設した。プログラム内容は算数、国語、英語、英会話、英検に加え、サイエンス、プログラミング、ダンス、音楽、手芸、作文などを揃えている。小学生の学ぶ意欲、成長意欲に積極的に応えていく新機軸のスクールとして、「STEPキッズ」と共に一体となって成長させる考えで、コンテンツの研究開発の場として時間を掛けて取り組んでいくことにしている。
(3) 採用計画
成長の源泉となる人材の採用については、2022年春に新卒で前期比約2倍となる60名と過去最高の採用を行った。2023年春は中途採用も含めて50名弱とやや減少する見込みだが、採用については今後も継続して行う方針である。2021年よりオンラインでの会社説明会や面接を実施しているほか、2022年にはYoutubeの公式チャンネルを開設し、インターンシップや教師研修の様子、教師の一日の流れなどの動画をアップするなど、仕事内容をアピールすることで全国から入社を希望する学生を増やしていきたい考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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