■中長期の成長戦略
1. 前中期経営計画の振り返りと新中期経営計画の目標
ディア・ライフ<3245>は、2022年9月期を最終年度とする前中期経営計画「Go For The Future 2022」を推進してきた。中期経営計画前の経常利益は2,932百万円(2018年9月期)であったが、経常利益50億円と意欲的な目標を掲げた。期中にコロナ禍による波乱要因があったものの、2022年9月期の経常利益は5,666百万円となったほか、ROE15%以上、自己資本比率30%以上、ROA10%水準などの公約を大幅に上回った。リアルエステート事業では、開発・投資事業量の拡大、仕入・売却のネットワーク・手法の深化、継続安定収益アセットのストック推進などを推進し、成果に結びつけた。アライアンス、M&Aの活用による事業領域の拡大にも積極的に取り組み、DLX-HDほか3社の子会社化によるセールスプロモーション事業の拡大やアイディグループの子会社化によるリアルエステート事業の事業領域拡大を実現した。
2023年9月期を初年度、2025年9月期を最終年度とする新中期経営計画「突破2025」では、さらに上の目標を目指す。経常利益目標は、2022年9月期実績の1.76倍となる100億円と高い水準となっている。またROE18%以上、ROA15%水準を維持し、効率性・収益性を維持することも重視している。
2. 新中期経営計画「突破2025」の方針とテーマ
新中期経営計画「突破2025」の基本方針では、改めて同社のコアコンピタンスとして「スピード」「人材活用」「開発力」が定義された。それらの強みを生かして、ステークホルダーの多種多様なニーズに応えられる商品やサービスを開発・提供し、同社グループのブランド確立と価値向上を図る。
主力のリアルエステート事業では、1) 都市型レジデンスの事業量及び事業規模の拡大、2) ニーズに沿った商品・サービスの開発・提供、をテーマとしている。東京圏を中心とした住居系不動産への特化はそのままに、強固な財務基盤をテコに1件当たりの事業規模や開発量を拡大させる考えだ。将来的にはファンド組成を視野に入れているため、収益不動産への投資も拡大する。
セールスプロモーション事業では、1) ITを活用した非対面営業の強化及び事業領域の拡大、2) 多様な働き方の提供、3) DLX-HDの上場を見据えた収益力の向上及びガバナンスの強化、をテーマとしている。同社では、過去に子会社化したパルマを短期間で上場させた実績があり、人材事業においてもこの経験が生かされることになろう。
「経営基盤の強化」に関しては、既に経常利益100億円達成に向けた強固な財務基盤が整いつつあると言える。同社では、2017年から第三者割当型新株予約権の行使によるエクイティファイナンスを数回に渡って行っており、2022年だけでも約29億円の調達額となる。この手法は、一般的には株主価値の希薄化にもつながるリスクがあるが、高い収益力で希薄化を凌ぐ成果を達成していることが同社の優位性である。2022年9月末時点で自己資本は20,866百万円、自己資本比率は57.2%となっており、さらなる資金調達の余力がある。また、人的資本経営の推進として、財産である人材の価値を、投資により高め、中長期的な企業価値の向上につなげる考えだ。
「ESG経営の推進」に関しては、プライム市場の企業としての責任を果たすべく、従来からの方針を徹底していく。環境面では、環境に配慮した不動産開発など同社ならではの取り組みが注目される。社会面では、DLX-HDの子会社化により従業員数が拡大したため、成長が感じられる魅力ある職場づくりをさらに強化する。ガバナンス面では、コンプライアンス教育の推進などを、これまで以上に強化する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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1. 前中期経営計画の振り返りと新中期経営計画の目標
ディア・ライフ<3245>は、2022年9月期を最終年度とする前中期経営計画「Go For The Future 2022」を推進してきた。中期経営計画前の経常利益は2,932百万円(2018年9月期)であったが、経常利益50億円と意欲的な目標を掲げた。期中にコロナ禍による波乱要因があったものの、2022年9月期の経常利益は5,666百万円となったほか、ROE15%以上、自己資本比率30%以上、ROA10%水準などの公約を大幅に上回った。リアルエステート事業では、開発・投資事業量の拡大、仕入・売却のネットワーク・手法の深化、継続安定収益アセットのストック推進などを推進し、成果に結びつけた。アライアンス、M&Aの活用による事業領域の拡大にも積極的に取り組み、DLX-HDほか3社の子会社化によるセールスプロモーション事業の拡大やアイディグループの子会社化によるリアルエステート事業の事業領域拡大を実現した。
2023年9月期を初年度、2025年9月期を最終年度とする新中期経営計画「突破2025」では、さらに上の目標を目指す。経常利益目標は、2022年9月期実績の1.76倍となる100億円と高い水準となっている。またROE18%以上、ROA15%水準を維持し、効率性・収益性を維持することも重視している。
2. 新中期経営計画「突破2025」の方針とテーマ
新中期経営計画「突破2025」の基本方針では、改めて同社のコアコンピタンスとして「スピード」「人材活用」「開発力」が定義された。それらの強みを生かして、ステークホルダーの多種多様なニーズに応えられる商品やサービスを開発・提供し、同社グループのブランド確立と価値向上を図る。
主力のリアルエステート事業では、1) 都市型レジデンスの事業量及び事業規模の拡大、2) ニーズに沿った商品・サービスの開発・提供、をテーマとしている。東京圏を中心とした住居系不動産への特化はそのままに、強固な財務基盤をテコに1件当たりの事業規模や開発量を拡大させる考えだ。将来的にはファンド組成を視野に入れているため、収益不動産への投資も拡大する。
セールスプロモーション事業では、1) ITを活用した非対面営業の強化及び事業領域の拡大、2) 多様な働き方の提供、3) DLX-HDの上場を見据えた収益力の向上及びガバナンスの強化、をテーマとしている。同社では、過去に子会社化したパルマを短期間で上場させた実績があり、人材事業においてもこの経験が生かされることになろう。
「経営基盤の強化」に関しては、既に経常利益100億円達成に向けた強固な財務基盤が整いつつあると言える。同社では、2017年から第三者割当型新株予約権の行使によるエクイティファイナンスを数回に渡って行っており、2022年だけでも約29億円の調達額となる。この手法は、一般的には株主価値の希薄化にもつながるリスクがあるが、高い収益力で希薄化を凌ぐ成果を達成していることが同社の優位性である。2022年9月末時点で自己資本は20,866百万円、自己資本比率は57.2%となっており、さらなる資金調達の余力がある。また、人的資本経営の推進として、財産である人材の価値を、投資により高め、中長期的な企業価値の向上につなげる考えだ。
「ESG経営の推進」に関しては、プライム市場の企業としての責任を果たすべく、従来からの方針を徹底していく。環境面では、環境に配慮した不動産開発など同社ならではの取り組みが注目される。社会面では、DLX-HDの子会社化により従業員数が拡大したため、成長が感じられる魅力ある職場づくりをさらに強化する。ガバナンス面では、コンプライアンス教育の推進などを、これまで以上に強化する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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