アイエスビー Research Memo(2):22年12月期2Q累計は旺盛なDX投資を背景に期初計画を上回る増収増益

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最新投稿日時:2022/09/06 15:32 - 「アイエスビー Research Memo(2):22年12月期2Q累計は旺盛なDX投資を背景に期初計画を上回る増収増益」(フィスコ)

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アイエスビー Research Memo(2):22年12月期2Q累計は旺盛なDX投資を背景に期初計画を上回る増収増益

配信元:フィスコ
投稿:2022/09/06 15:32
■業績動向

1. 2022年12月期第2四半期累計業績の概要
アイ・エス・ビー<9702>の2022年12月期第2四半期累計業績は、売上高で前年同期比10.3%増の14,173百万円、営業利益で同8.3%増の1,106百万円、経常利益で同7.7%増の1,133百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同7.1%増の694百万円といずれも会社計画を上回る増収増益となり、連続で過去最高を更新した。なお、2022年12月期より収益認識に関する会計基準を適用しており、従来基準と比較して売上高で350百万円、売上原価で287百万円それぞれ増加し、営業利益及び経常利益はそれぞれ62百万円増加している。

売上高は企業の旺盛なDX投資等を背景に、ビジネスインダストリーソリューション分野が最も好調に推移し、モビリティソリューション分野及びエンタープライズソリューション分野も、既存顧客からの継続受注や新規顧客の獲得等により順調に拡大したことが増収要因となった。前期に実施した営業体制の再編成によりFAE(技術営業)※を増員し、ソリューション提案力の強化に取り組んできたことが成果となった模様である。

※FAE(Field Application Engineer)とは、技術の専門知識を生かして営業をサポートする職種。担当営業と同行して、製品やソリューションの紹介、提案、技術面における顧客の要望をヒアリングするなど技術面での営業支援を行う。


営業利益の増減要因を見ると、増収効果で339百万円の増益となり、原価率上昇による減益186百万円及び販管費の増加68百万円を吸収する格好となった。原価率は前年同期比で1.3ポイント上昇したが、主には社員採用による労務費並びにビジネスパートナーの確保に伴う外注費増加、半導体等の部材費の高騰による。また、販管費については、営業体制強化に伴う人件費及び販売促進費の増加と、事業所増床に伴う賃借料の増加が主な増加要因となった。なお、のれん償却額については、アートに係るのれん償却額が前期末で終了したことにより、前年同期比47百万円減少の177百万円となった。

事業セグメント別の業績動向を見ると、主力の情報サービス事業は売上高で前年同期比14.3%増の12,090百万円、セグメント利益で同8.8%増の858百万円となった。一方、セキュリティシステム事業は売上高で前年同期比8.0%減の2,083百万円、セグメント利益で同5.8%増の241百万円となった。売上高は、半導体不足の影響で主要製品の欠品から、販売機会ロスの発生により減収となったが、利益面では、「ALLIGATE」や「イージーパス」※などのリカーリング製品が伸長したこと、研究開発費の減少並びに、のれん償却の終了が増益要因となった。

※建設業に関わる技能者の資格・社会保険加入状況・現場の就業履歴などを個人用カード(ICカード)に登録・蓄積し、技能者の適正な評価や建設事業者の業務負担軽減に役立てるため建設キャリアアップシステム(CCUS)の運用が2019年4月より(一財)建設業振興基金で本格的に開始されており、同社のカードリーダー「イージーパス」も認定試験に合格し2019年3月より販売を開始した。2020年以降、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)を契機に、建設現場の入退場管理システムとして導入が広がっている。月額利用料金は9,600円(税抜)/台。



モビリティ、ビジネスインダストリー、エンタープライズと3つのソリューション分野で増収に
2.分野別売上動向
(1) 「モビリティソリューション」
「モビリティソリューション」分野は、前年同期比11.2%増の2,701百万円と3期連続の増収となった。期初計画では横ばい水準を見込んでいたが、車載で既存顧客からの受注が増加したほか、新規顧客からEV関連の受注を獲得したこと、モバイルインフラでは既存顧客の5G基地局開発が縮小したものの、新規顧客からローカル5G関連の開発案件を受注したこと等により増収となった。また、移動無線端末についてもスマートフォンの開発縮小を見込み、減収を想定していたが、営業努力により前年同期並みの受注を確保した。

(2) 「ビジネスインダストリーソリューション」
「ビジネスインダストリーソリューション」分野は、前年同期比20.1%増の5,008百万円と増収基調が続いた。業務システム開発については、企業の旺盛なDX需要を背景に、基幹システムの刷新等のプライム案件や医療クラウド案件を新規に受注したことで好調に推移した。プライム案件の受注要因は、ワンストップソリューションによる提案力が評価されたものであった。また、医療クラウドは、医療法人向けに、患者、病院、薬局等で情報の共有化を図るクラウドソリューションを受注した。地域包括ケアシステムの構築が求められるなか、今後も、医療分野におけるDX投資は拡大する見通しで、受注獲得機会は増加するものと予想される。一方、組込み開発については、IoTクラウド系のシステム開発並びに、メーカーを中心とした医用画像、AV、家電製品等のシステム開発に関する既存顧客並びに、新規顧客からの受注が増加した。

(3) 「エンタープライズソリューション」
「エンタープライズソリューション」分野は、前年同期比9.4%増の4,230百万円と増収基調が続いた。金融向けは主要顧客からのシステム更新案件を受注したほか、新規顧客からの受注も獲得し増収となった。また、公共向けも入札案件並びに、前年に開拓した新規顧客からの受注を獲得し、概ね計画を達成した。ITインフラ関連については、サーバー・ネットワーク構築等の機器更改案件が半導体不足の影響で先送りされたものの、クラウド移行やインフラ運用管理案件の獲得により全体の受注は増加した。

(4) 「プロダクトソリューション」
「プロダクトソリューション」分野は、前年同期比6.2%減の2,234百万円となった。セキュリティシステム事業は前述の通り半導体不足の影響で減収となったが、「ALLIGATE」、「イージーパス」等のリカーリング製品の伸長により、減収幅は計画よりも小幅にとどまった。一方で、MDM(モバイルデバイス管理)事業は2022年4月よりサービス提供・保守だけでなく営業・販売も含め一括で取り組む体制にシフト、営業体制を強化した効果もあって好調に推移した。2022年5月にはMicrosoftのコラボレーションツール「Microsoft Teams」と「VECTANT SDM」のサービス連携を開始※するなど利便性の向上に取り組んでおり、さらなる拡販に注力していく方針だ。

※従来は「SDM」をインストールした専用パソコンでしか「SDM」を操作できなかったが、「Microsoft Teams」を通じて「SDM」の操作が可能となるなど、場所の制限なくモバイルデバイスの管理が可能になった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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