今週のポイント
市場では、米FRBなど主要国中銀による積極的な利上げによって米国や欧州がリセッション(景気後退)に陥るとの懸念があります。米国の6月CPI(消費者物価指数)やドイツの6月CPI改定値(いずれも13日)が市場予想よりも強い結果になれば、欧米景気をめぐる懸念が一段と強まる可能性があります。主要国の株価が軟調に推移すれば、リスクオフ(リスク回避)の動きが強まるかもしれません。その場合、豪ドル/円などのクロス円や豪ドル/米ドルには下押し圧力が加わりやすくなりそうです。
RBNZ(NZ中銀)とBOC(カナダ中銀)が13日にそれぞれ政策会合を開きます。その結果にNZドルやカナダドルが反応しそうです(RBNZとBOCの会合については後述)。
トルコリラには下押し圧力が加わりやすいとみられます。格付け会社のフィッチは8日、トルコの長期外貨建て発行体デフォルト格付けを「Bプラス」から「B」へ1段階引き下げました(格付け見通しは「ネガティブ」)。「B」は投資適格級最低である「BBBマイナス」を5段階下回る水準です。
トルコではインフレが加速しており、またTCMB(トルコ中銀)はインフレが加速しているにもかかわらず政策金利を据え置き続けています(エルドアン大統領の圧力によって利上げできない?)。これらに加え、格下げという新たなマイナス材料が出てきたことで、トルコリラに対する下押し圧力は一段と強まるかもしれません。米ドル/円の動向次第では、トルコリラ/円は下落する可能性があります。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.08000NZドル~1.12000NZドル>
RBNZ(NZ中銀)は前回5月の政策会合まで5会合連続で利上げを行っており、現在の政策金利は2.00%です。
7月13日の会合では、政策金利をさらに0.50%引き上げることが決定されそうです。その通りの結果になった場合、声明や議事録でRBNZの今後の利上げペースについてのヒントが示されるかどうかに注目です。市場では、RBNZの政策金利は22年末までに3.75%へと上昇するとの観測があります。声明や議事録がタカ派的な内容になれば、利上げ観測は一段と強まり、NZドルにとってプラス材料になりそうです。
豪州の6月雇用統計も材料になる可能性があります。雇用統計の市場予想は、失業率が3.8%、雇用者数は前月比3.00万人増です。RBNZの利上げ観測が強まって豪雇用統計が市場予想よりも弱い結果になれば、豪ドル/NZドルには下落圧力が加わりやすくなると考えられます。
今週の注目通貨ペア(2):<カナダドル/円 予想レンジ:101.500円~107.500円>
BOC(カナダ中銀)は3月に0.25%、4月と6月にいずれも0.50%の利上げを行っており、現在の政策金利は1.50%です。
カナダの5月CPI(消費者物価指数)は前年比7.7%と、83年1月以来、39年4カ月ぶりの高い伸びを記録しました。BOCは「必要なら、より力強く行動する」との姿勢を示しており、7月13日の会合では0.75%の利上げを行うことを決定しそうです。
0.75%の利上げは、すでに市場に織り込まれています。その通りの結果になれば、声明や会合後に行われるマックレム総裁の会見に注目です。マックレム総裁の会見などで今後も積極的に利上げする可能性が示されれば、カナダドル/円は上昇するとみられます。
一方で、米国など主要国の株価動向には注意が必要です。主要国株価が下落を続ける場合には、リスクオフ(リスク回避)の動きが市場で強まるかもしれません。リスクオフは円高要因のため、リスクオフが強まる場合にはカナダドル/円は伸び悩む可能性があります。
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