■要約
1. 2022年3月期の連結業績概要
nmsホールディングス<2162>の2022年3月期の連結業績は、売上高が63,277百万円(前期比15.4%増)、営業損益が361百万円の損失(前期は689百万円の利益)、経常利益が122百万円(前期比22.7%減)、親会社株主に帰属する当期純損益が1,980百万円の損失(前期は735百万円の損失)となった。受注が堅調に推移したことによって売上高は伸びたものの、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)や部材不足による影響が大きく、営業損益では損失を計上した。経常損益は、主に海外子会社へのグループ内貸付金に対する為替差益697百万円の発生を背景に利益を計上した。親会社株主に帰属する当期純利益については、EMS事業における米国・メキシコ拠点で実行した事業構造改革費用、想定収益の後ズレによる減損損失をそれぞれ164百万円、1,433百万円を計上したため、損失となった。事業全体としては、部材不足や先行投資などを要因に依然として厳しい事業環境ではある。しかし、部材不足の背景については、製造業における生産活動活発化を通じた需要のひっ迫であること、同社も売上高は増加していることから、事業環境は徐々に快方に向かうものと弊社は考える。また、2022年3月期に実施した事業構造改革に関しても、2023年3月期下期からその効果が業績に反映されてくることが予想される。
2. 2023年3月期の連結業績予想
2023年3月期の業績予想は、売上高が77,100百万円(前期比21.8%増)、営業利益が600百万円(前期は361百万円の損失)、経常利益が450百万円(前期比266.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が50百万円(前期は1,980百万円の損失)となっている。旺盛な需要を背景に受注は堅調に推移しており、今後の業績成長のポテンシャルは大きい。部材不足による顧客企業の一時的な生産減や計画の後ろ倒しなどがあるものの、受注は底堅く推移しており、各事業とも部材不足解消時を見据えた取り組みを進めている。2023年3月期にコロナ禍の影響がどれだけ緩和されるかは見通しづらいものの、需要が旺盛な外部環境に加えて、事業構造改革などの内部変革の効果が影響緩和後に顕在化する見通しだ。同社の成長に弊社は注目したい。
3. 中長期の成長戦略
同社は「生産現場におけるデジタルテクノロジーの導入・運用の遅れ」「正規社員削減による生産性の低下、品質問題、安定した生産現場の確立」を日本の製造業の大きな課題と捉え、同社独自のビジネスモデルを構築する計画である。まずは、必要技術・ツールをワンストップで提供し、製造業のDX推進のサポートをしていく。様々な特性を持つAI企業・パートナー企業、海外の政府・大学とのネットワークを活用し、人材・生産管理・自動化・部材調達・物流といった顧客ニーズに合ったDXを実現していく考えである。さらに、国内外の製造業ファブレス化に貢献できる高度人材の育成・提供も進めていく。グループ内EMS・PS事業とのシナジーに加え、ジョブグレードアップ制度の展開や技術・技能教育の拡充により、様々なニーズに貢献する即戦力人材を育成していく。なお、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画に関しても、事業環境の変化を注視しながら今後時機を得て開示する予定としている。
■Key Points
・2022年3月期は、部材価格高騰や先行投資が損益を圧迫
・2023年3月期通期は、依然として事業環境不透明も、構造改革などの成果が下期に結実の見込み
・膨らむデジタル化需要取り込みに向け、独自性の高いビジネスモデル構築へ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<EY>
1. 2022年3月期の連結業績概要
nmsホールディングス<2162>の2022年3月期の連結業績は、売上高が63,277百万円(前期比15.4%増)、営業損益が361百万円の損失(前期は689百万円の利益)、経常利益が122百万円(前期比22.7%減)、親会社株主に帰属する当期純損益が1,980百万円の損失(前期は735百万円の損失)となった。受注が堅調に推移したことによって売上高は伸びたものの、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)や部材不足による影響が大きく、営業損益では損失を計上した。経常損益は、主に海外子会社へのグループ内貸付金に対する為替差益697百万円の発生を背景に利益を計上した。親会社株主に帰属する当期純利益については、EMS事業における米国・メキシコ拠点で実行した事業構造改革費用、想定収益の後ズレによる減損損失をそれぞれ164百万円、1,433百万円を計上したため、損失となった。事業全体としては、部材不足や先行投資などを要因に依然として厳しい事業環境ではある。しかし、部材不足の背景については、製造業における生産活動活発化を通じた需要のひっ迫であること、同社も売上高は増加していることから、事業環境は徐々に快方に向かうものと弊社は考える。また、2022年3月期に実施した事業構造改革に関しても、2023年3月期下期からその効果が業績に反映されてくることが予想される。
2. 2023年3月期の連結業績予想
2023年3月期の業績予想は、売上高が77,100百万円(前期比21.8%増)、営業利益が600百万円(前期は361百万円の損失)、経常利益が450百万円(前期比266.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が50百万円(前期は1,980百万円の損失)となっている。旺盛な需要を背景に受注は堅調に推移しており、今後の業績成長のポテンシャルは大きい。部材不足による顧客企業の一時的な生産減や計画の後ろ倒しなどがあるものの、受注は底堅く推移しており、各事業とも部材不足解消時を見据えた取り組みを進めている。2023年3月期にコロナ禍の影響がどれだけ緩和されるかは見通しづらいものの、需要が旺盛な外部環境に加えて、事業構造改革などの内部変革の効果が影響緩和後に顕在化する見通しだ。同社の成長に弊社は注目したい。
3. 中長期の成長戦略
同社は「生産現場におけるデジタルテクノロジーの導入・運用の遅れ」「正規社員削減による生産性の低下、品質問題、安定した生産現場の確立」を日本の製造業の大きな課題と捉え、同社独自のビジネスモデルを構築する計画である。まずは、必要技術・ツールをワンストップで提供し、製造業のDX推進のサポートをしていく。様々な特性を持つAI企業・パートナー企業、海外の政府・大学とのネットワークを活用し、人材・生産管理・自動化・部材調達・物流といった顧客ニーズに合ったDXを実現していく考えである。さらに、国内外の製造業ファブレス化に貢献できる高度人材の育成・提供も進めていく。グループ内EMS・PS事業とのシナジーに加え、ジョブグレードアップ制度の展開や技術・技能教育の拡充により、様々なニーズに貢献する即戦力人材を育成していく。なお、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画に関しても、事業環境の変化を注視しながら今後時機を得て開示する予定としている。
■Key Points
・2022年3月期は、部材価格高騰や先行投資が損益を圧迫
・2023年3月期通期は、依然として事業環境不透明も、構造改革などの成果が下期に結実の見込み
・膨らむデジタル化需要取り込みに向け、独自性の高いビジネスモデル構築へ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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