パイプドHD Research Memo(5):2022年2月期はクラウドの伸長により前期比16.4%営業増益(1)

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最新投稿日時:2022/05/12 15:05 - 「パイプドHD Research Memo(5):2022年2月期はクラウドの伸長により前期比16.4%営業増益(1)」(フィスコ)

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パイプドHD Research Memo(5):2022年2月期はクラウドの伸長により前期比16.4%営業増益(1)

配信元:フィスコ
投稿:2022/05/12 15:05
■業績動向

● 2022年2月期の業績概要
(1) 損益状況
パイプドHD<3919>の2022年2月期の連結業績は、売上高7,806百万円(前期比19.7%増)、営業利益1,660百万円(同16.4%増)、経常利益1,695百万円(同16.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,103百万円(同10.0%減)となり、中期経営計画「中期経営計画2023」の目標値(2023年2月期に売上高7,500百万円、営業利益1,700百万円)を前倒しでほぼ達成した。なお、親会社株主に帰属する当期純利益が減益となった要因は、2021年2月期に米国株式の売却益293百万円を特別利益として計上したことによる。

コロナ禍の影響により、新型コロナウイルス感染症対策に関連する急を要するシステム案件の受注が増加したこともあり、主力のホリゾンタルDX(主にクラウド)が大幅な増収増益となり、全体の業績をけん引した。バーティカルDX(xTech及び社会イノベーション)は、依然として売上高は小規模であり、営業損失を計上したものの全体への影響は軽微であった。カスタマーエンゲージメントは、CRMソリューションが増収ながらも営業損失を計上したものの、広告が順調に案件を獲得し増収増益となった結果、セグメント全体では増収増益となった。なお、「SPIRAL(R)」の有効アカウント数は堅調に増加しており、新型コロナウイルス感染症対策に関連する「有期契約」に加え、本来の同社のビジネスモデルである「継続契約」も順調に伸びた。

損益面では、比較的利益率の高いクラウドの売上構成比が上がったこと、不採算子会社を整理したことなどから売上総利益率は75.8%(前期は75.3%)へ改善し、売上総利益は5,920百万円(前期比20.6%増)となった。販管費は、コロナ禍の影響による営業費用(出張費等)の減少があったものの、業績拡大による外注費の増加、新卒採用による人件費の増加、さらにMBOに関連した費用の計上(189百万円)などにより同22.3%増となった。その結果、営業利益は同16.4%増を確保した。

売上高は前期比1,282百万円増加したが、増減要因としては、ホリゾンタルDXが1,061百万円増(うちクラウドが1,049百万円増)、バーティカルDXが25百万円増、カスタマーエンゲージメントが196百万円増(うち広告が145百万円増)であった。

営業利益は前期比233百万円増加したが、主な増減要因は、売上高の増加により1,282百万円増、主に新卒採用(31名)や賞与引当金による人件費の増加で370百万円減、売上増に伴う外注費の増加により267百万円減、MBO関連費用により189百万円減、研究開発費の増加により161百万円減、その他費用の増加で59百万円減であった。

(2) 従業員数の推移
同社では2020年2月期を最終年度とする中期経営計画の達成のために、2018年2月期から2019年2月期にかけて積極的に人材の採用(先行投資)を行い、2019年2月期末には従業員数は466名となった。その後、2020年2月期は新卒を含めて新規の採用を控えたことから、2020年2月期末の従業員数は418名まで減少した。しかし今後の成長を見据えて、2021年2月期に入ってからは新卒37名、第二新卒11名を採用した結果、自然減と合わせて2021年2月期末の従業員数は454名(前期末比36名増)となった。さらに2022年2月期に入ってからも新卒31名、中途23名を採用したことから、2022年2月期末の従業員数は495名まで増加した。人員増を吸収して大幅な営業増益を達成したことは評価できるだろう。

(3) セグメント別損益状況
主なセグメント別状況は以下のとおり。

a) ホリゾンタルDX:クラウド
売上高は5,562百万円(前期比23.3%増)、営業利益は1,931百万円(同24.8%増)となった。また、2022年2月期末の「SPIRAL(R)」有効アカウント数(「有期契約」を含む)は3,995件(前期末は3,947件)に増加し、ARPU※も71,775円(前期末は62,676円)に増加したことなどから、契約販売(クラウド利用の月額課金)は大幅に増加し、契約販売の増収に伴ってセグメント利益も増益となった。「SPIRAL(R)」有効アカウント数増加の主要因は、上期は新型コロナウイルス感染症対策に関連する急を要するシステム案件の受注など、主に自治体等からの「有期契約」が一定割合あったが、下期は本来の同社のビジネスモデルである「自動更新付契約」が増加している。ちなみに2022年2月期末の「SPIRAL(R)」有効アカウント数のうち、有期契約数は213(前期末比38増、第2四半期末比11減)であったのに対して、自動更新付契約数は3,782(同10増、同27増)であった。

※ARPU (Average Revenue Per User):アカウント当たり平均収入。


b) ホリゾンタルDX:ソリューション
売上高は386百万円(前期比3.1%増)、営業利益は90百万円(同20.7%減)となった。Webシステムの開発請負、運営支援で外注を伴う案件の売上構成比が増えたことから、利益率が低下し減益となったが、問題となる内容ではなかった。

c) バーティカルDX:xTech、社会イノベーション
売上高は300百万円(同9.1%増)、営業利益は7百万円(前期は0百万円の損失)となった。前期比では改善したが、水準も低いことから全体に与える影響は小さかった。

d) カスタマーエンゲージメント:広告
売上高は914百万円(同19.0%増)、営業利益は351百万円(同9.9%増)となった。大手顧客からの案件を着実に取り込んだことから増収増益となった。

e) カスタマーエンゲージメント:CRMソリューション
大型案件を受注したことにより、売上高は641百万円(前期比8.5%増)となった。しかし、長期にわたる案件であることから現時点での採算は厳しく、営業損失は86百万円(前期は92百万円の損失)となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)


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