■企業特長
1. マルチブランド・マルチロケーション戦略
クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>の主力事業の特徴は、集客力の高い商業施設(ショッピングセンター及び駅ビル等)への出店と、様々な立地環境(地域特性や顧客属性、競合状況等)に合わせた多様な業態を展開しているところにある。和食、洋食、中華のほか、エスニックやカフェなど多岐にわたる業態を運営しており、1つの商業施設内に複数の店舗を出店できることや、施設オーナー(デベロッパー等)の様々なニーズに対応できることにより、比較的出店のハードルが高い商業施設での店舗展開を有利に進めてきた。もちろん、数多くの業態を立地環境に合わせて作り上げることはコスト要因となるものの、好立地における集客力を最大限に生かした業態を展開していく力は同社の真骨頂であり、業態開発及びオペレーションのノウハウを蓄積してきたことが、同社の価値創造の源泉と考えられる。
一方、2013年に買収したSFPダイニングによる海鮮居酒屋業態「磯丸水産」は、コンビニエンスストアやドラッグストアが店を構える駅前立地と24時間営業に特徴がある。競争の激しい路面店への挑戦にあたって、あえてコストの高い駅前立地に展開する業態を選んだのは、集客力の高い立地へのこだわりの面で同社のこれまでの出店戦略との親和性が高いことが理由の1つに挙げられる。したがって、マルチロケーション戦略の幅が路面店の領域にまで拡がったという見方ができ、将来的には商業施設だけでなく、繁華街の路面店における多業態展開を本格化する布石となる可能性もある。コロナ禍の影響が人の流れやライフスタイルに変化を及ぼしており、立地や利用シーンなどに応じた事業モデルの微調整に取り組んでいるものの、本質的な優位性は失われていない。また、2015年に買収したKRフードサービスによる和食レストランチェーン「かごの屋」はロードサイドを中心に展開しているほか、2019年に譲り受けたコントラクト事業(クリエイト・スポーツ&レジャーが展開)ではゴルフ場内レストランの運営受託などをしており、積極的なM&Aを通じて、立地の多様性とブランドの専門性のさらなる拡充を図っている。
2. 「グループ連邦経営」による成長モデル
同社の成長モデルは、オーガニック(内部的)な成長に加えて、成長性の高い業態をM&Aによりグループ内に取り込むとともに、様々なシナジー効果の創出やプラットフォーム(資金面や管理面の支援等)の提供を通じてさらなる成長をバックアップすることにより最終的に自社グループの成長に結び付けるものである。過去においては、商業施設内のレストラン及びフードコートの運営で事業基盤を拡大してきたが、商業施設側の都合に左右されやすい成長モデルであったことから、持株会社制への移行とともに、「グループ連邦経営」による自律的な成長を目指す戦略へと転換を図った。もっとも、三菱商事の社内ベンチャーから立ち上がった同社にとっては、経営資源の面(経営管理を得意とする人材等)やカルチャーなどの面で馴染みやすい経営スタイルであり、また、資本提携先からも比較的抵抗なく関係構築が図りやすいパートナーとして認識されてきたことも成功要因と考えられる。今後の成長戦略についても、M&Aを活用したポートフォリオの見直しとグループシナジーの最大化は重要なテーマであり、国内市場の縮小や人材不足など厳しい業界環境が続くなかで、同社ならではの成長モデルには明らかにアドバンテージがあると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. マルチブランド・マルチロケーション戦略
クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>の主力事業の特徴は、集客力の高い商業施設(ショッピングセンター及び駅ビル等)への出店と、様々な立地環境(地域特性や顧客属性、競合状況等)に合わせた多様な業態を展開しているところにある。和食、洋食、中華のほか、エスニックやカフェなど多岐にわたる業態を運営しており、1つの商業施設内に複数の店舗を出店できることや、施設オーナー(デベロッパー等)の様々なニーズに対応できることにより、比較的出店のハードルが高い商業施設での店舗展開を有利に進めてきた。もちろん、数多くの業態を立地環境に合わせて作り上げることはコスト要因となるものの、好立地における集客力を最大限に生かした業態を展開していく力は同社の真骨頂であり、業態開発及びオペレーションのノウハウを蓄積してきたことが、同社の価値創造の源泉と考えられる。
一方、2013年に買収したSFPダイニングによる海鮮居酒屋業態「磯丸水産」は、コンビニエンスストアやドラッグストアが店を構える駅前立地と24時間営業に特徴がある。競争の激しい路面店への挑戦にあたって、あえてコストの高い駅前立地に展開する業態を選んだのは、集客力の高い立地へのこだわりの面で同社のこれまでの出店戦略との親和性が高いことが理由の1つに挙げられる。したがって、マルチロケーション戦略の幅が路面店の領域にまで拡がったという見方ができ、将来的には商業施設だけでなく、繁華街の路面店における多業態展開を本格化する布石となる可能性もある。コロナ禍の影響が人の流れやライフスタイルに変化を及ぼしており、立地や利用シーンなどに応じた事業モデルの微調整に取り組んでいるものの、本質的な優位性は失われていない。また、2015年に買収したKRフードサービスによる和食レストランチェーン「かごの屋」はロードサイドを中心に展開しているほか、2019年に譲り受けたコントラクト事業(クリエイト・スポーツ&レジャーが展開)ではゴルフ場内レストランの運営受託などをしており、積極的なM&Aを通じて、立地の多様性とブランドの専門性のさらなる拡充を図っている。
2. 「グループ連邦経営」による成長モデル
同社の成長モデルは、オーガニック(内部的)な成長に加えて、成長性の高い業態をM&Aによりグループ内に取り込むとともに、様々なシナジー効果の創出やプラットフォーム(資金面や管理面の支援等)の提供を通じてさらなる成長をバックアップすることにより最終的に自社グループの成長に結び付けるものである。過去においては、商業施設内のレストラン及びフードコートの運営で事業基盤を拡大してきたが、商業施設側の都合に左右されやすい成長モデルであったことから、持株会社制への移行とともに、「グループ連邦経営」による自律的な成長を目指す戦略へと転換を図った。もっとも、三菱商事の社内ベンチャーから立ち上がった同社にとっては、経営資源の面(経営管理を得意とする人材等)やカルチャーなどの面で馴染みやすい経営スタイルであり、また、資本提携先からも比較的抵抗なく関係構築が図りやすいパートナーとして認識されてきたことも成功要因と考えられる。今後の成長戦略についても、M&Aを活用したポートフォリオの見直しとグループシナジーの最大化は重要なテーマであり、国内市場の縮小や人材不足など厳しい業界環境が続くなかで、同社ならではの成長モデルには明らかにアドバンテージがあると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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