■成長戦略
1. ビジネステーマ
サカタインクス<4633>は企業理念として、ビジネステーマに「ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造」、存在意義に「人々の暮らしを快適にする情報文化の創造」を掲げ、2021年12月期に長期ビジョン「SAKATA INX VISION 2030」及び中期経営計画2023(CCC-I)を策定し、スタートさせた。
そして「あなたと、つくる、価値ある、あした」をキャッチフレーズに、「新たな領域への挑戦によって“イノベーション”を生み出し、“地球”にやさしい技術で、“人生”を快適かつ豊かに彩り、世界中に笑顔があふれる未来を創る企業」を目指していくとしている。
長期ビジョン達成に向け、新事業領域、サステナブル経営、DXを推進
2. 長期ビジョン
事業環境変化の認識としては、国内・海外での市場・競争環境の変化(デジタル化によるインキ需要の低迷、新興国市場における競争激化、脱プラスチック等環境対応ニーズの高まり)、デジタル化によるバリューチェーンの変化(デジタル媒体の大幅な増加、印刷の多様化・カスタマイズ化)、環境制約・社会課題への対応(長期的なサステナビリティ配慮、SDGsに向けた取り組みの重要性の高まり、資源制約・原料価格高騰リスクの高まり、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の影響力増大)を掲げている。
こうした事業環境変化に対応するため、長期ビジョン「SAKATA INX VISION 2030」では、戦略の方向性を「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」「印刷インキ・機能性材料事業の拡大」「新しい事業領域への挑戦」とし、3つの変革プロジェクト「グローバル連結経営のさらなる強化」「ステークホルダーとの関係強化」「人材育成の強化・組織風土の改革」も立ち上げた。こうしてDXの推進及び資本コストを意識した経営に取り組む方針だ。また目指す姿として2030年12月期の売上高3,000億円規模、営業利益率8%を掲げている。
印刷インキ事業では、主力のパッケージ印刷分野を中心に、環境経営の推進、バリューチェーン全体の強化、グローバルパートナーとの関係強化、高付加価値製品の開発と展開、国・事業をまたいだ最適経営の強化、成長市場・新規市場への経営資源の投入に取り組む。
機能性材料事業では、社会トレンドを捉えた高付加価値製品のグローバル展開、グローバルでのさらなる連携強化、各市場での販売・収益力強化、ブランド力の向上に取り組む。
新規事業ではコアコンピタンスの活用によって社会的課題に対応することを目指し、戦略キーワードを「安全安心、便利快適、健康維持、低炭素社会、サステナビリティ」とした。そして4つのケミカル分野(環境・バイオケミカル、エナジーケミカル、エレクトロニクスケミカル、オプトケミカル)を注力分野として、バイオマス系機能性材料、CO2吸着材料、半導体・増感材料、導電性材料、絶縁性材料、導電性接合材料、低誘電材料、センサー材料、屈折率調整材料、LED封止材料など、戦略商品の事業化に向けたオープンイノベーションを推進する。
新規事業への取り組みの事例として、プリンテッドエレクトロニクスの社会実装がある。持分法適用関連会社のシークス、IH(電磁誘導)リフロー装置の開発・販売などを展開する(株)ワンダーフューチャーコーポレーション(持分法非適用関連会社)との3社協業により、各社の技術を活用してエレクトロニクスケミカル分野での革新的プロセス技術や新規デザインの実用化を目指している。
さらに、(一社)炭素回収技術研究機構(CRRA)の技術を活用してCO2を回収し、バイオエタノールをはじめとした化学製品や燃料として活用する資源サイクルシステムの構築も目指している。
中期経営計画2023は長期ビジョン達成に向けた基盤構築ステージ
3. 中期経営計画2023(CCC-I)
中期経営計画2023(CCC-I)は、長期ビジョン「SAKATA INX VISION 2030」の達成に向けた基盤構築のステージ(第1ステージ)と位置付けて、目標値に2023年12月期売上高1,950億円、営業利益115億円、経常利益130億円、ROE10%以上を掲げている。
印刷インキ・機材(日本)は売上高518億円、営業利益18億円の計画としている。環境対応・社会的課題への取り組み、「ボタニカルインキ」シリーズなど環境配慮型製品の積極展開、情報メディア事業の効率化、SDGs対応循環型パッケージ向けインキの開発、TPM活動及び労働安全衛生改善活動の継続と深化を推進する。
印刷インキ(アジア)は売上高450億円、営業利益29億円の計画としている。環境配慮型・サステナブル製品の積極展開、新規市場への参入、設備投資・販売拡大、グローバル購買による原材料の安定供給を推進する。
印刷インキ(米州)は売上高535億円、営業利益30億円の計画としている。環境配慮型・サステナブル製品の積極展開、グローバル顧客への販売強化、南米市場の販売強化と積極投資、設備投資・販売拡大を推進する。
印刷インキ(欧州)は売上高175億円、営業利益2億円の計画としている。環境配慮型・サステナブル製品の積極展開、グローバル顧客への販売強化、生産拠点再構築による収益性向上、新規市場への参入、設備投資・販売拡大を推進する。
機能性材料事業は売上高172億円、営業利益23億円の計画としている。社会トレンドを捉えた高付加価値製品のグローバル展開(インクジェットの衣食住を中心とした成長産業分野への展開、高付加価値フラットパネルディスプレイ材料への展開、タッチパネル市場等周辺分野における機能性製品の事業拡大)、成長市場での機能性材料製品の現地生産化を推進する。
なお、その他は売上高171億円、営業利益6億円の計画としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<EY>
1. ビジネステーマ
サカタインクス<4633>は企業理念として、ビジネステーマに「ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造」、存在意義に「人々の暮らしを快適にする情報文化の創造」を掲げ、2021年12月期に長期ビジョン「SAKATA INX VISION 2030」及び中期経営計画2023(CCC-I)を策定し、スタートさせた。
そして「あなたと、つくる、価値ある、あした」をキャッチフレーズに、「新たな領域への挑戦によって“イノベーション”を生み出し、“地球”にやさしい技術で、“人生”を快適かつ豊かに彩り、世界中に笑顔があふれる未来を創る企業」を目指していくとしている。
長期ビジョン達成に向け、新事業領域、サステナブル経営、DXを推進
2. 長期ビジョン
事業環境変化の認識としては、国内・海外での市場・競争環境の変化(デジタル化によるインキ需要の低迷、新興国市場における競争激化、脱プラスチック等環境対応ニーズの高まり)、デジタル化によるバリューチェーンの変化(デジタル媒体の大幅な増加、印刷の多様化・カスタマイズ化)、環境制約・社会課題への対応(長期的なサステナビリティ配慮、SDGsに向けた取り組みの重要性の高まり、資源制約・原料価格高騰リスクの高まり、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の影響力増大)を掲げている。
こうした事業環境変化に対応するため、長期ビジョン「SAKATA INX VISION 2030」では、戦略の方向性を「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」「印刷インキ・機能性材料事業の拡大」「新しい事業領域への挑戦」とし、3つの変革プロジェクト「グローバル連結経営のさらなる強化」「ステークホルダーとの関係強化」「人材育成の強化・組織風土の改革」も立ち上げた。こうしてDXの推進及び資本コストを意識した経営に取り組む方針だ。また目指す姿として2030年12月期の売上高3,000億円規模、営業利益率8%を掲げている。
印刷インキ事業では、主力のパッケージ印刷分野を中心に、環境経営の推進、バリューチェーン全体の強化、グローバルパートナーとの関係強化、高付加価値製品の開発と展開、国・事業をまたいだ最適経営の強化、成長市場・新規市場への経営資源の投入に取り組む。
機能性材料事業では、社会トレンドを捉えた高付加価値製品のグローバル展開、グローバルでのさらなる連携強化、各市場での販売・収益力強化、ブランド力の向上に取り組む。
新規事業ではコアコンピタンスの活用によって社会的課題に対応することを目指し、戦略キーワードを「安全安心、便利快適、健康維持、低炭素社会、サステナビリティ」とした。そして4つのケミカル分野(環境・バイオケミカル、エナジーケミカル、エレクトロニクスケミカル、オプトケミカル)を注力分野として、バイオマス系機能性材料、CO2吸着材料、半導体・増感材料、導電性材料、絶縁性材料、導電性接合材料、低誘電材料、センサー材料、屈折率調整材料、LED封止材料など、戦略商品の事業化に向けたオープンイノベーションを推進する。
新規事業への取り組みの事例として、プリンテッドエレクトロニクスの社会実装がある。持分法適用関連会社のシークス、IH(電磁誘導)リフロー装置の開発・販売などを展開する(株)ワンダーフューチャーコーポレーション(持分法非適用関連会社)との3社協業により、各社の技術を活用してエレクトロニクスケミカル分野での革新的プロセス技術や新規デザインの実用化を目指している。
さらに、(一社)炭素回収技術研究機構(CRRA)の技術を活用してCO2を回収し、バイオエタノールをはじめとした化学製品や燃料として活用する資源サイクルシステムの構築も目指している。
中期経営計画2023は長期ビジョン達成に向けた基盤構築ステージ
3. 中期経営計画2023(CCC-I)
中期経営計画2023(CCC-I)は、長期ビジョン「SAKATA INX VISION 2030」の達成に向けた基盤構築のステージ(第1ステージ)と位置付けて、目標値に2023年12月期売上高1,950億円、営業利益115億円、経常利益130億円、ROE10%以上を掲げている。
印刷インキ・機材(日本)は売上高518億円、営業利益18億円の計画としている。環境対応・社会的課題への取り組み、「ボタニカルインキ」シリーズなど環境配慮型製品の積極展開、情報メディア事業の効率化、SDGs対応循環型パッケージ向けインキの開発、TPM活動及び労働安全衛生改善活動の継続と深化を推進する。
印刷インキ(アジア)は売上高450億円、営業利益29億円の計画としている。環境配慮型・サステナブル製品の積極展開、新規市場への参入、設備投資・販売拡大、グローバル購買による原材料の安定供給を推進する。
印刷インキ(米州)は売上高535億円、営業利益30億円の計画としている。環境配慮型・サステナブル製品の積極展開、グローバル顧客への販売強化、南米市場の販売強化と積極投資、設備投資・販売拡大を推進する。
印刷インキ(欧州)は売上高175億円、営業利益2億円の計画としている。環境配慮型・サステナブル製品の積極展開、グローバル顧客への販売強化、生産拠点再構築による収益性向上、新規市場への参入、設備投資・販売拡大を推進する。
機能性材料事業は売上高172億円、営業利益23億円の計画としている。社会トレンドを捉えた高付加価値製品のグローバル展開(インクジェットの衣食住を中心とした成長産業分野への展開、高付加価値フラットパネルディスプレイ材料への展開、タッチパネル市場等周辺分野における機能性製品の事業拡大)、成長市場での機能性材料製品の現地生産化を推進する。
なお、その他は売上高171億円、営業利益6億円の計画としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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