■要約
ティア<2485>は、葬儀会館「ティア」を中部、関西、首都圏で展開し、2021年9月末の店舗数は132店舗(直営会館67店舗、葬儀相談サロン10店舗、FC(フランチャイズ)55店舗)となっている。「葬儀価格の完全開示」「適正な葬儀費用」を業界に先駆けて提唱し、「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」をスローガンに、「徹底した人財教育によるサービスの向上」を実践することで1997年の設立以来、成長を続けてきた。取扱葬儀件数の市場シェアは全国で1%超だが、名古屋市内に限って見ると26.3%とトップクラスのシェアとなっている。
1. 2021年9月期の業績概要
2021年9月期の連結業績は、売上高で前期比2.4%増の12,203百万円、経常利益で同49.4%増の877百万円と増収増益に転じた。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による逆風が続くなかで、葬儀単価が同7.1%減と低下傾向が続いたものの、直営店の葬儀件数が新規出店効果や営業促進施策の効果もあり同11.0%増と順調に拡大したことが増収要因となった。また、利益面では増収効果に加えて各種経費の削減に取り組んだことが増益要因となった。期初計画比ではコロナ禍が長引いたことによる葬儀単価の低迷により、売上高は196百万円下回ったものの、経費削減効果により経常利益は167百万円上回って着地した。
2. 2022年9月期の業績見通し
2022年9月期の連結業績は、売上高で前期比4.2%増の12,720百万円、経常利益で同17.9%減の720百万円を見込んでいる。収益認識に関する会計基準(以下、収益認識基準)への対応により売上高、経常利益ともに132百万円の減額要因となっており、同要因を除けば売上高は5.3%増、経常利益は2.9%減となる。売上高の前提となる直営店の葬儀件数は前期比4.3%増、葬儀単価は同0.7%増を計画している。増収にも関わらず減益となるのは、積極的な人財確保及び賃金改定等による人件費の増加で339百万円、広告宣伝費やその他経費で116百万円を見込んでいることが主因だ。ただ同社の場合、予算については保守的に見積もる傾向にあることや、コロナ禍の状況が今後収束に向かい、葬儀単価の回復時期が早まれば上振れする可能性もあると弊社では見ている。なお、新規出店は直営、FCで各7店舗、リロケーション・閉店で各1店舗を計画しており、期末の店舗数は前期末比12店舗増の144店舗を計画している(うち、直営店は6店舗増の83店舗)
3. 中期経営計画と重点施策
同社は新たに3カ年の中期経営計画(2020年9月期〜2024年9月期)を発表した。3年目となる2024年9月期に売上高で14,720百万円、経常利益で1,020百万円を目指す。直営店の葬儀件数は年率4%台の増加ペースとなり、新規出店効果によって拡大、葬儀単価はワクチン接種の普及等により2023年9月期に前期比5.5%増の888千円に回復する前提となっている。コロナ禍以前は90万円台の水準だったこともあり、達成可能な水準と言える。重点戦略として、「直営・FC会館の計画的な出店と既存会館の持続的な成長」「中核エリアのシェア向上にこだわった営業促進の実施とマーケティング力の向上」「葬儀付帯業務の内製化拡大と行動力と分析能力を高めたM&A」「計画に則した人財確保・育成と次世代基幹システムの構築」に取り組んでいく方針となっている。同社サービスに対する顧客の満足度は高く、人財の確保・育成が順調に進めば出店拡大により葬儀件数はさらに拡大していくものと予想される。名古屋を中心とした中核エリアでのシェア拡大に加え、関西や関東でも年間1店舗ペースでドミナント出店を進めていく計画にしており、コロナ禍が収束すれば業績拡大に弾みがつくものと期待される。
■Key Points
・2021年9月期は葬儀単価の下落を件数増加と経費削減でカバーし、増収増益を達成
・2022年9月期は実質増収減益見込みだが、葬儀単価の動向次第で上振れの可能性も
・出店拡大により2024年9月期に売上高147億円、経常利益10億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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ティア<2485>は、葬儀会館「ティア」を中部、関西、首都圏で展開し、2021年9月末の店舗数は132店舗(直営会館67店舗、葬儀相談サロン10店舗、FC(フランチャイズ)55店舗)となっている。「葬儀価格の完全開示」「適正な葬儀費用」を業界に先駆けて提唱し、「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」をスローガンに、「徹底した人財教育によるサービスの向上」を実践することで1997年の設立以来、成長を続けてきた。取扱葬儀件数の市場シェアは全国で1%超だが、名古屋市内に限って見ると26.3%とトップクラスのシェアとなっている。
1. 2021年9月期の業績概要
2021年9月期の連結業績は、売上高で前期比2.4%増の12,203百万円、経常利益で同49.4%増の877百万円と増収増益に転じた。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による逆風が続くなかで、葬儀単価が同7.1%減と低下傾向が続いたものの、直営店の葬儀件数が新規出店効果や営業促進施策の効果もあり同11.0%増と順調に拡大したことが増収要因となった。また、利益面では増収効果に加えて各種経費の削減に取り組んだことが増益要因となった。期初計画比ではコロナ禍が長引いたことによる葬儀単価の低迷により、売上高は196百万円下回ったものの、経費削減効果により経常利益は167百万円上回って着地した。
2. 2022年9月期の業績見通し
2022年9月期の連結業績は、売上高で前期比4.2%増の12,720百万円、経常利益で同17.9%減の720百万円を見込んでいる。収益認識に関する会計基準(以下、収益認識基準)への対応により売上高、経常利益ともに132百万円の減額要因となっており、同要因を除けば売上高は5.3%増、経常利益は2.9%減となる。売上高の前提となる直営店の葬儀件数は前期比4.3%増、葬儀単価は同0.7%増を計画している。増収にも関わらず減益となるのは、積極的な人財確保及び賃金改定等による人件費の増加で339百万円、広告宣伝費やその他経費で116百万円を見込んでいることが主因だ。ただ同社の場合、予算については保守的に見積もる傾向にあることや、コロナ禍の状況が今後収束に向かい、葬儀単価の回復時期が早まれば上振れする可能性もあると弊社では見ている。なお、新規出店は直営、FCで各7店舗、リロケーション・閉店で各1店舗を計画しており、期末の店舗数は前期末比12店舗増の144店舗を計画している(うち、直営店は6店舗増の83店舗)
3. 中期経営計画と重点施策
同社は新たに3カ年の中期経営計画(2020年9月期〜2024年9月期)を発表した。3年目となる2024年9月期に売上高で14,720百万円、経常利益で1,020百万円を目指す。直営店の葬儀件数は年率4%台の増加ペースとなり、新規出店効果によって拡大、葬儀単価はワクチン接種の普及等により2023年9月期に前期比5.5%増の888千円に回復する前提となっている。コロナ禍以前は90万円台の水準だったこともあり、達成可能な水準と言える。重点戦略として、「直営・FC会館の計画的な出店と既存会館の持続的な成長」「中核エリアのシェア向上にこだわった営業促進の実施とマーケティング力の向上」「葬儀付帯業務の内製化拡大と行動力と分析能力を高めたM&A」「計画に則した人財確保・育成と次世代基幹システムの構築」に取り組んでいく方針となっている。同社サービスに対する顧客の満足度は高く、人財の確保・育成が順調に進めば出店拡大により葬儀件数はさらに拡大していくものと予想される。名古屋を中心とした中核エリアでのシェア拡大に加え、関西や関東でも年間1店舗ペースでドミナント出店を進めていく計画にしており、コロナ禍が収束すれば業績拡大に弾みがつくものと期待される。
■Key Points
・2021年9月期は葬儀単価の下落を件数増加と経費削減でカバーし、増収増益を達成
・2022年9月期は実質増収減益見込みだが、葬儀単価の動向次第で上振れの可能性も
・出店拡大により2024年9月期に売上高147億円、経常利益10億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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