■中期経営計画
1. 中期経営計画の概要
日産東京販売ホールディングス<8291>の企業理念は、「日本一のマーケット“東京”でトップクラスのカーディーラーグループであり続けることを目指します」というものである。今後も企業理念は変わらないが、一方で、「CASE」に代表される技術の飛躍的進化により、自動車業界は「100年に一度の大変革期」と言われるようになった。加えて少子高齢化などによる需要減少の懸念も重なる。こうした大変革期において同社は、「ベストプラクティス」の更なる徹底、新たな販売スタイルと新商品の開発、M&Aによる規模拡大、という3つの目標の実現に取り組み、高収益を維持しながら成長を継続していく考えである。
中期経営計画の進捗はコロナ禍でやや遅れ気味の印象
2. 中期経営計画の進捗
3つの目標のうち「ベストプラクティス」の更なる徹底に関しては、協働の実績がすでに多くある3販社の統合が7月に完了したため、継続的にシナジーやスケールメリットを享受することができると予想される。一例としてすでに、「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」をコアコンセプトにした、時代の流れと顧客のニーズを的確に捉えた最適な提案型営業が統合によって全社的に可能になったため、ニーズに即したカーライフ商品の拡販や、新しい時代の乗り方としての個人リース「P.O.P」の訴求、EV時代に即したL2H※の拡販など付加価値販売を徹底し、シェアと収益の最大化を図っている。
※L2H(Leaf to Home):EVから電気を取り出して外部(家屋全体や家電製品など)へ給電するための装置。
一方、新たな販売スタイルと新商品の開発、M&Aによる規模拡大については、コロナ禍でやや停滞している印象を受ける。新たな販売スタイルと新商品の開発では、ビッグデータを活用し、デジタルマーケティングを強化し、自動車のプロモーションに最適と期待されるVR(Virtual Reality)システムを導入するなど、売り方の改革と販売スタイルのDXを推進する計画である。しかし、そのためには既存店舗の「ニッサン・リテール・コンセプト」店舗(2021年5月現在4店舗)への進化が前提となるが、コロナ禍や古くなった店舗環境のため、既存店舗の増床やスクラップ&ビルドなど増強投資に時間がかかっているようだ。また、M&Aによる規模拡大への取り組みについては、自動車関連事業を中心にグループ会社関連事業周辺、エリアとしては東京及び東京周辺をターゲットに1年に1件のM&Aを目標としている。しかし、経営の強い意思の一方、都合の良いタイミングでシナジーのあるM&Aができるかは不明といえる。
中長期的には当初描いた成長トレンドに戻ると予想
3. 中期成長イメージ
中期経営計画はコロナ禍以前に策定されたため、コロナ禍という半導体不足も含めた変動要素によって当初の成長イメージから逸れた。しかし、日産自動車が「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」を背景に、EVやe-POWER搭載の新型車を多数市場投入している上、プロパイロットやe-4ORCEといった先端技術を実用化するなど積極経営を進めている。さらに、ガソリン車廃止の流れなど「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」自体に追い風が吹いている。2023年3月期に売上高1,750億円、営業利益55億円を目指す中期経営計画の目標は修正せざるを得ない状況と思われるが、コロナ禍を一時的要因と考えることができることから、基本的な成長戦略を変更する必要はないと考える。そうであれば、同社が元々描いていた成長トレンドへと中長期的に戻っていくことが予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SI>
1. 中期経営計画の概要
日産東京販売ホールディングス<8291>の企業理念は、「日本一のマーケット“東京”でトップクラスのカーディーラーグループであり続けることを目指します」というものである。今後も企業理念は変わらないが、一方で、「CASE」に代表される技術の飛躍的進化により、自動車業界は「100年に一度の大変革期」と言われるようになった。加えて少子高齢化などによる需要減少の懸念も重なる。こうした大変革期において同社は、「ベストプラクティス」の更なる徹底、新たな販売スタイルと新商品の開発、M&Aによる規模拡大、という3つの目標の実現に取り組み、高収益を維持しながら成長を継続していく考えである。
中期経営計画の進捗はコロナ禍でやや遅れ気味の印象
2. 中期経営計画の進捗
3つの目標のうち「ベストプラクティス」の更なる徹底に関しては、協働の実績がすでに多くある3販社の統合が7月に完了したため、継続的にシナジーやスケールメリットを享受することができると予想される。一例としてすでに、「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」をコアコンセプトにした、時代の流れと顧客のニーズを的確に捉えた最適な提案型営業が統合によって全社的に可能になったため、ニーズに即したカーライフ商品の拡販や、新しい時代の乗り方としての個人リース「P.O.P」の訴求、EV時代に即したL2H※の拡販など付加価値販売を徹底し、シェアと収益の最大化を図っている。
※L2H(Leaf to Home):EVから電気を取り出して外部(家屋全体や家電製品など)へ給電するための装置。
一方、新たな販売スタイルと新商品の開発、M&Aによる規模拡大については、コロナ禍でやや停滞している印象を受ける。新たな販売スタイルと新商品の開発では、ビッグデータを活用し、デジタルマーケティングを強化し、自動車のプロモーションに最適と期待されるVR(Virtual Reality)システムを導入するなど、売り方の改革と販売スタイルのDXを推進する計画である。しかし、そのためには既存店舗の「ニッサン・リテール・コンセプト」店舗(2021年5月現在4店舗)への進化が前提となるが、コロナ禍や古くなった店舗環境のため、既存店舗の増床やスクラップ&ビルドなど増強投資に時間がかかっているようだ。また、M&Aによる規模拡大への取り組みについては、自動車関連事業を中心にグループ会社関連事業周辺、エリアとしては東京及び東京周辺をターゲットに1年に1件のM&Aを目標としている。しかし、経営の強い意思の一方、都合の良いタイミングでシナジーのあるM&Aができるかは不明といえる。
中長期的には当初描いた成長トレンドに戻ると予想
3. 中期成長イメージ
中期経営計画はコロナ禍以前に策定されたため、コロナ禍という半導体不足も含めた変動要素によって当初の成長イメージから逸れた。しかし、日産自動車が「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」を背景に、EVやe-POWER搭載の新型車を多数市場投入している上、プロパイロットやe-4ORCEといった先端技術を実用化するなど積極経営を進めている。さらに、ガソリン車廃止の流れなど「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」自体に追い風が吹いている。2023年3月期に売上高1,750億円、営業利益55億円を目指す中期経営計画の目標は修正せざるを得ない状況と思われるが、コロナ禍を一時的要因と考えることができることから、基本的な成長戦略を変更する必要はないと考える。そうであれば、同社が元々描いていた成長トレンドへと中長期的に戻っていくことが予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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