ポエック Research Memo(9):大商圏への橋頭堡を得て、エリア拡大により成熟市場を成長分野に

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最新投稿日時:2021/12/01 16:09 - 「ポエック Research Memo(9):大商圏への橋頭堡を得て、エリア拡大により成熟市場を成長分野に」(フィスコ)

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ポエック Research Memo(9):大商圏への橋頭堡を得て、エリア拡大により成熟市場を成長分野に

配信元:フィスコ
投稿:2021/12/01 16:09
ポエック<9264>の中長期の成長戦略

同社グループは、創業以来、M&Aによる子会社化や営業権取得等を通して事業を拡大してきた。今後もM&Aを経営戦略のトッププライオリティに置き、グループ基盤の強化と高成長を目指す。2019年1月に発行した第3回新株予約権は、2020年10月までにすべて行使され11億円の資金を調達したことから、M&Aの原資を確保した。グループの規模と事業基盤を広げることにより事業サイクルや市況の変化から受ける影響を和らげ、短期的に打撃を受ける事業を他の事業で支えることでグループ経営基盤の安定性を高める。同社グループに加入する企業は、上場企業のグループ企業となるため社会的な信用度が向上するというメリットがあり、不測の事態に陥った場合にグループの支援を受けることができるため成長分野に思い切った積極投資をすることができる。

以下にM&A戦略、市場浸透戦略、新市場開拓戦略並びに新製品開発戦略について述べ、同社グループの潜在成長力について言及する。

1. M&A戦略
同社のM&A戦略は、規模の拡大を追求するのではなく、既存事業との関連性を重視している。グループの既存事業の規模を拡大することによりスケールメリットを得ること、協働により事業機会の獲得と収益性の向上を図るというねらいがある。買収方針は、適正な買収価格であること、独自技術などの成長の種を有すること、事業は堅調に推移しているがM&Aによって後継者難など事業承継問題の解決が図れること、などである。


成熟市場の水処理機の卸売もエリア拡大で成長事業に
2. 市場浸透戦略
(1) 水処理機卸売の商圏拡大(協立電機工業の子会社化)
協立電機工業は、後継者難に陥っていた。1936年に創業し、1952年に法人改組され、長い業歴を有している。従業員が19人おり、20代から40代の若手従業員が多く在籍している。長年の業歴に裏付けされた技術力を継承していることから、同社グループへの加入によりさらに成長する可能性を持っていた。買収前の2018年12月期の業績は、売上高が261百万円、経常利益が71百万円、売上高経常利益率が27.3%と高収益企業であった。総資産額は315百万円、純資産額が213百万円と総資産に対する比率は67.5%と財務体質も良好だ。

ポンプなどの水処理機の卸売市場規模は約3,000億円、メンテナンスはその10分の1の約300億円と同社は見ており、同社グループの環境・エネルギー事業の売上高は35億円のうち水処理機の卸売が25億円程度としている。また、市場の地域別割合は東京を含む関東が約40%、中部が15~20%、関西が15~20%、中国5県で5%、四国が2~3%、九州が10%程度であると想定している。中国地方で大きなプレゼンスを持つ同社グループだが、そのほかの地域では未だ市場開拓が十分でない。市場全体は成熟しているものの、同社グループは商圏を拡大することで中長期的に市場シェアの10%、年商300億円の獲得を目指す。同社は、シェア拡大には保守メンテナンスが重要な役割を果たすと考えており、メンテナンスで開拓した顧客から買い替え需要を取り込む一方、新規販売及び買い替えの顧客からメンテナンスを受注することで好循環を生み、メンテナンスというストック型ビジネスを積み上げていく方針だ。同業他社は、従業員が4~5人の小規模な家族経営の企業が多いが、同社グループにはポンプメーカー出身者などを含む豊富な経験を有する技術者を多く抱えており、メーカーの機種を問わず修理ができる体制を築いている。

同社グループは、神奈川県茅ヶ崎市に本社を置く協立電機工業の買収により関東圏への足掛かりを得た。グループ企業同士で協働することにより、まず関東から機器の修理事業を展開し、その後、中部、関西へと順次エリアを拡大する計画としている。今後も「時間を買う」という観点から、同社が手薄なエリアの企業を買収することを検討していくとしている。

(2) 防潮壁「SEAWALL」を河川用途に拡販
景観配慮型防潮壁「SEAWALL」は当初港湾で採用されたが、今後は河川に設置される需要が増加することが見込まれる。2011年の東日本大震災による津波被害の発生後、防潮堤に求められる必要天端高の見直しがなされている。難点は、景観を損なうこと、コンクリートの壁によって視界が遮られることで津波の危険が迫っていることや海側に取り残された人がいても気がつくことができないことである。「SEAWALL」は、そうした解決手段の1つとなる。

豪雨災害は、近年増加傾向にある。気象庁の観測データによると、1日の降水量が200ミリ以上の大雨を観測した日数は、統計を開始した1901年からの30年間と直近の30年間を比べると約1.6倍に増加した。2021年8月には九州北部地方で線状降水帯が発生し、24時間降水量が多いところで400ミリを超える大雨となった。佐賀県嬉野市では、24時間の降水量が555.5ミリと観測史上1位の値を更新した。佐賀など6県にある計14河川で氾濫が確認された。「SEAWALL」は、岡山県津山市の河川に使用された実績があり、今後は見える防潮壁の河川における設置の増加が見込まれる。

シーウォール推進協議会は、「SEAWALL」がSDGsの5つのゴールとして、4番(質の高い教育をみんなに)、9番(産業と技術革新の基盤をつくろう)、11番(住み続けられるまちづくりを)、13番(気候変動に具体的な対策を)、そして14番(海の豊かさを守ろう)に貢献するとしている。協議会の代表企業は、住友化学<4005>、住化アクリル販売(株)(住友化学の100%子会社)、日プラ(株)(住友化学グループ企業)、神商鉄鋼販売(株)(神鋼商事<8075>のグループ企業)、景観技術(株)と同社である。住友化学は、「SEAWALL」に使用される特殊アクリル加工板の開発・製造会社となる。販売面においては、同社がトップの実績を有する。国の公共工事の場合は、実績が競争上の重要な要因となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

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配信元: フィスコ

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