S&P500月例レポート(21年11月配信)<中編>

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最新投稿日時:2021/11/12 13:31 - 「S&P500月例レポート(21年11月配信)<中編>」(みんかぶ株式コラム)

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S&P500月例レポート(21年11月配信)<中編>

<前編>の続き

バイデン大統領と政府高官

 ○議会は2021年12月3日までの債務上限の一時的な引き上げと、同日を期限とするつなぎ予算を可決しました。これにより土壇場での交渉が再び行われ、ボラティリティが上昇することはほぼ確実です。

 ○バイデン大統領と中国の習近平国家主席は、年内にオンライン形式での米中首脳会談を開催することで合意しました。最重要議題は貿易と競争、続いて政治問題が主な議題になるとみられます。

 ○バイデン大統領の要請を受け、米国内で最大規模を誇るロサンゼルス港は、貨物のボトルネック(とそれによる国内の供給問題)を解消するため、無休(24時間・週7日)の稼働を開始しました。

 ○米国の2021会計年度(9月末まで)の財政赤字は2.9兆ドルとなり、過去最大となった2020年度の3.1兆ドルに次いで過去2番目の赤字幅となりました。最後に財政黒字を記録したのは2001年度で、1270億ドルの黒字でした。

 ○バイデン大統領は3.5兆ドル規模の法案を1.85兆ドルに修正しました。

新型コロナウイルス関連

 ○医薬品大手のメルクは、新型コロナウイルスに対する経口治療薬について緊急使用許可を申請する意向を明らかにしました。

 ○医薬品大手のジョンソン・エンド・ジョンソンは米食品医薬品局(FDA)に対し、新型コロナウイルスワクチンのブースター接種(追加接種)について承認申請しました。ファイザーは、5~11歳の子供を対象とした1回目のワクチン接種がFDAに承認されました。モデルナは、自社のワクチンで子供に有効性が確認されたとするデータを公表しました。

  ⇒中国では子供の感染者数が拡大し続けていることから、3歳以上の子供を対象としたワクチン接種を開始しました。

  ⇒FDAはファイザー製ワクチンの5~11歳の子供への接種を承認しました。残るは米疾病対策センター(CDC)が子供へのワクチン接種を推奨するかどうか判断するのを待つだけとなり、CDCは来週にも協議する予定です。

 ○米国では3種類の主要ワクチン(ファイザー、ジョンソン・エンド・ジョンソン、モデルナ)でブースター接種が承認され、さらにブースター接種では異なる種類のワクチンを接種することも認められました。

 ○メルボルンでは、ワクチン接種が進んでいることを受けて、ロックダウンが解除される予定です。

 ○ロシアは新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、大半の労働者を対象に1週間の休業を命じました。

 ○英国では新型コロナウイルスの新規感染者数が急増しており、デルタ変異株から派生した新たな変異株「デルタプラス」だと指摘する見方もあります。

 ○米政府が連邦政府の契約業者に2021年12月8日までのワクチン接種を義務付けたことを受け、ゼネラル・エレクトリックやユニオン・パシフィックなど、複数の米国企業が相次いで従業員のワクチン接種の義務化を表明しています。サウスウエスト・エアラインズは、パイロットの不足により2000便以上が欠航となったことを受け、ワクチンを接種していない従業員を出勤停止とする案を撤回しました。

 ○新型コロナウイルスの治療薬と治療法、そして夢の万能薬:

  ⇒世界全体で69億6000万人が少なくとも1回のワクチン接種を受けました(9月末時点では62億5000万人)。

   →米国では、現時点で4億1800万人が1回以上のワクチン接種を受けました(同3億9200万人)。

    ・人口の66.7%(同64.5%)が少なくとも1回は接種したことになり、人口の57.6%(同55.9%)が2回の接種を終えました。

   →米国の1日当たり接種回数の7日平均は109万回に増加しましたが(9月末は70万7000回、8月末は90万回)、ブースター接種が開始された影響と思われます。

各国中央銀行の動き(および関連ニュース)

 ○国際通貨基金(IMF)は、サプライチェーンの混乱やパンデミックによる圧力を理由に世界経済の成長見通しを引き下げました。2021年の成長予測は世界全体が5.9%(7月予想は6.0%)に、先進国は5.2%(同5.6%)にそれぞれ引き下げられた一方で、新興国の成長予測は6.4%(同6.3%)に引き上げられました。2022年の世界全体の成長予測は4.9%に据え置かれました。

 ○米連邦準備制度理事会(FRB)は、直近の取引開示以降、当局者が個別証券を購入することを禁止する意向を表明しました。この問題をめぐっては、地区連銀総裁2名が上場銘柄の取引に関与していたことが明らかになり、辞任しました。

 ○2021年9月のFOMC議事録が公開され、インフレ懸念が高まる中、年内に景気対策の縮小を開始する可能性が示唆されました。

 ○ベージュブック(地区連銀経済報告)によると、経済成長が鈍化し、物価上昇や供給をめぐる問題が増大しています。

 ○FRBのパウエル議長はコメントを通じて、インフレや供給をめぐる問題への懸念が高まっていることを明らかにしました。

 ○カナダ中央銀行は予想外にも、量的緩和(QE)を終了し、バランスシートの再投資期間に移行することを決定し、さらに「従来の予想よりも早い段階で利上げを行う可能性がある」ことを示唆しました。

 ○ブラジル中央銀行は、政策金利を6会合連続で引き上げて6.25%から7.75%とし(2020年末時点では2.0%)、12月の会合でさらに利上げを行う可能性を示唆しました。

IPOおよび「空箱」SPAC

 ○シェアオフィス大手ウィーワークが特別買収目的会社(SPAC)経由で上場しました。初値は11.28ドル、一時14.97ドルまで上場しましたが、10.21ドルで月末を迎えました。時価総額は80億ドルです。同社は2019年に上場を試みて断念していますが、当時の評価額は470億ドルでした。

 ○今後も活発なIPOが見込まれます。

  ⇒地域SNSを運営するネクストドアはSPACのKhosla Venturesとの合併を通じて上場を計画しており、企業評価額を43億ドルと見込んでいます。

  ⇒デジタル貯蓄・投資アプリを運営するエイコーンズはSPAC経由での上場を計画しており、企業評価額を22億ドルと見込んでいます。

  ⇒イスラエルのデジタル取引プラットフォームのイートロはSPAC(FinTech)経由で上場すると発表しました。時価総額100億ドルを見込んでいます。

  ⇒東南アジアでライドシェア、フードデリバリー、送金のアプリを運営しているグラブはSPAC経由で上場することを発表し、企業評価額を400億ドルと予想しています。

企業業績

 ○2021年第3四半期決算も予想が上振れる傾向が続いており、発表を終えた276銘柄中223銘柄(80.8%)で営業利益が予想を上回り、42銘柄で予想を下回り、11銘柄で予想通りとなりました。また、売上高では273銘柄中209銘柄(76.6%)が予想を上回りました。

  ⇒2021年第3四半期は、過去最高益を記録した第2四半期から1.1%の減益が予想されていますが、S&P500指数の歴史において四半期ベースで利益は2番目に高い水準となる見通しです。

  ⇒2021年通年については過去最高益を更新する見通しで、前年比で65.0%の増益が見込まれ、2021年予想PERは22.8倍となっています(2020年利益は同22.1%減)。

  ⇒2022年の利益は2021年予想からさらに8.7%増と、過去最高益の再度の更新が見込まれ、2022年予想PERは21.0倍となっています。

  ⇒2021年第3四半期中に株式数の減少によってEPSが大幅に押し上げられた発表済みの銘柄の割合は7.8%でした(第2四半期は5.4%、2020年第3四半期は9.6%、2019年第3四半期は22.8%)。

  ⇒2021年第3四半期の営業利益率は13.33%となり、過去最高となった第2四半期の13.54%からは低下しましたが、依然として高水準を維持しています(1993年以降の平均は8.12%)。

個別銘柄

 ○ソーシャルメディア企業のフェイスブック(メタ・プラットフォームズ)の内部告発者がニュースショー「60ミニッツ」に登場し、フェイスブックが公共の利益よりも自社の利益を優先していることを裏付けるとされる内部文書を明らかにしました。翌日にはフェイスブックのサービスのウエブサイトが6時間にわたって停止しましたが、これらは市場が下落する中で起きました。

  ⇒フェイスブックは10月下旬、社名をメタ・プラットフォームズ(2021年10月29日以降)に変更し、フェイスブックの名称はウエブと事業部門で引き続き使用することを発表しました。2015年には、グーグルが社名をアルファベットに変更し、グーグルはウエブと製品の名称として継続されています。

 ○iPhoneメーカーのアップルがiOSの広告追跡サービスを変更(広告主にとって、結果を測定することがより困難になりました)したことを受けて、写真アプリを提供するスナップなどのソーシャルメディア銘柄の株価が下落しました。

 ○レンタカー大手のハーツグローバルHDが電気自動車メーカーテスラに車両10万台を発注したことを受けてテスラの株価が上昇し、同社の時価総額は1兆ドルを超えました(株式総数に基づく)。テスラは2020年に50万台を納車し、2021年に90万台を納車する見通しとなっています。後日、ハーツは5万台をウーバー・テクノロジーズにレンタルする予定であることを明らかにしました。

 ○ソフトウエア企業のマイクロソフトはiPhoneメーカーのアップルを抜いて時価総額が指数構成銘柄中最大となり、世界首位に返り咲きました。

注目点

 ○原油価格は10月も上昇傾向が続き、9月末の75.27ドルから83.22ドルに上昇して月を終えました(2020年末は48.42ドル、2019年末は61.21ドル)。

  ⇒エネルギー銘柄は引き続き上昇しましたが、一部のESGポートフォリオ運用者はこれらの銘柄を依然として回避しています。

 ○債券利回りは上昇した後に低下しました。米国10年国債利回りは一時1.69%を付けた後に低下しましたが、9月末の1.49%から1.56%に上昇して月を終えました(同0.92%、同1.92%)。

 ○ビットコインも引き続き上昇しました(下落と上昇の繰り返しでした)。一時6万6930ドルを付けて最高値を更新した後、9月末の4万3790ドルから6万2039ドルに上昇して月の取引を終えました。

 ○ガソリン価格は上昇を続け、9月末の1ガロン=3.271ドルから、この7年間で最高となる3.476ドルに上昇して月末を迎えました(2020年10月は2.234ドル)。

 ○誰も行ったところのないところに果敢に挑戦する…「スタートレック」シリーズの「カーク船長」こと俳優のウィリアム・シャトナー氏がブルー・オリジンのロケット「ニュー・シェパード」に搭乗し、宇宙飛行を行いました。同氏は90歳で、宇宙飛行の最高歴記録を更新しました(長寿と繁栄を)。

<後編>へ続く
 


配信元: みんかぶ株式コラム

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