■中長期の成長戦略
2. 商品施策
(1) フレーム
a) 日本のメガネづくり職人の技術を継承
世界中で販売されているメガネの生産国が中国やイタリアへ年々移っていくなかで、高品質な「日本製メガネ」が世界中から注目されている。しかし後継者不足などから日本製メガネを製造する工場や職人が減少傾向にあり、高品質=高価格であるのも事実だ。このような状況下において、三城ホールディングス<7455>はメガネの産地として知られる福井県鯖江市に自社工場を構えることで高品質な日本製メガネを手ごろな価格で顧客へ提供することを目指している。
同社ではこれを“MADE IN JAPAN project”と称し、顧客へ高品質なメガネを提供しながら産地への還元、産地との協業を推進していく計画だ。このプロジェクトの具体的な商品としては「style J」「PARIS MIKI (Authentic Eyewear)」などがあるが、これらのPB商品のブランディングをさらに強化する。この結果、2017年度には39%であった日本製出庫割合は2020年度には46.1%に高まった。
b) 自社工場を活用しオリジナルブランドを強化
同社は福井県鯖江市の自社工場を活用してオリジナルブランド「DIGNA(ディグナ)」「鯖江光器」を強化する。また顧客のニーズを追求することで、提案商品をさらに強化する。フレームの軽さ、しなやかさ、薄さを追求したメガネシリーズのほか、最近ではテンプル(つるの部分)の断面を三角形に設計することでストレスのないフィット感を実現した「トライアングルテンプル」を開発し、特許申請中である。
(2) レンズ
a) レンズの新開発
顧客のライフスタイルや眼の状態によって適したレンズは変わる。顧客に快適な視生活を提供するため、同社はレンズ開発を行っている。たとえば、コロナ禍で長くなった自宅時間においてはスマートフォンの操作やテレワーク、ガーデニングや料理など「中間距離から手元」を見る機会が増えたことから、「ステイホームイージー」を開発した。
また、乱視に特化したレンズ「ランシー」を開発した。一般的な乱視補正は2軸方向のみを補正するため斜め方向やレンズ周辺の見え方に歪み・揺れが残るが、「ランシー」は360°全方向補正することにより、レンズの隅々まで歪みを抑えたクリアな視界が確保できる。
さらに眼の健康維持をサポートする「ルティーナ」(ルテイン保護レンズ)も開発した。現在は効果的な治療法がないとされる加齢黄斑変性などの眼病発生を引き起こす可能性がある眼内のルテインの減少を抑え、さらに有害な光や紫外線などから眼を保護するレンズである。
そのほかには、レンズが紫外線に反応してサングラスになるレンズや、乱反射するまぶしい光を低減する偏光機能レンズなどがあり、スポーツやドライブなどで有効である。レンズの開発によって、生活シーンや眼の状態に合わせたメガネを複数で使い分けるといった新たなニーズの掘り起こしも行っていく。
b) レンズ提供新サービス展開
遠近両用レンズを最速で翌日に提供できる「24G(トゥエンティーフォー・ジー)」を2020年3月期に関東圏よりスタートし、2021年3月期より全国へ拡大している。一般的には特殊なレンズとしてメガネの出来上がりに時間がかかるものであったが、イスラエルの世界的なレンズの大手メーカーであるSHAMIRと技術提携したことで最短で24時間の出来上がりが可能となった。日本にレンズを加工するレンズラボを設立し、完全受注かつMade in Japanで提供できるようになった。特殊な形状のメガネやサングラスでも最速納品が可能となり、メガネが急に必要になった顧客にも対応できるようになった。
(3) 補聴器
a) 補聴器販売:OEM商品により手ごろな価格での提供を実現
三城のオリジナル補聴器である「らくみみシリーズMK」を中心に、三城の補聴器販売は2012年3月期の約49億円から2020年3月期には約59億円と着実に増加した。しかし、2021年3月期はコロナ禍の影響により高齢の顧客が来店を控えたことなどから販売金額は約51億円へ低下した。しかし補聴器は生活必需品であるため、今後ワクチン接種が進むにつれリバウンド需要が期待できそうだ。
b) 補聴器レンタルサービス「らくみみサービス」
同サービスは、高額な補聴器を「まずは補聴器を使ってみたい」「両親に試してほしい」という顧客の声に応えて誕生した。月額貸し出し方式(サブスクリプション)を採用している。最初の2ヶ月間は調整期間として固定契約となるが、2ヶ月目以降はいつでも解約が可能で、最長で3年間利用することができる。これにより顧客は自分に合う補聴器を探しやすくなるメリットがある。
3. プロモーション施策
(1) CMなどによる積極的・効果的な広告
引き続き女優の波瑠、お笑い芸人のミキを起用し、TVCMを推進していく計画である。これにより顧客の想起を促していく。また、お笑い芸人のミキとはコラボレーションし、メガネを作成した。
(2) ビジュアルライフケア
最大のテーマを「顧客一人ひとりの視るライフケアサポート」と位置付け、生活改善提案型アイケアサポートサービス「ビジュアルライフケア」を提供している。「カウンセリング」「スクリーニング」「サポート視力チェック」と最大59段階の検査項目を上級視力測定技術者が行う。顧客ライフスタイルによって適したレンズも異なるため、同社が開発した多数のレンズのなかから選定・提案し、顧客が抱えている普段の生活で発生する視え方などの問題解決を目指す。
(3) ECの充実化:実店舗を最大限に活用
今までの同社の販売促進は、どちらかと言うとリアル店舗向けが中心であったが、今後はアナログとデジタルを融合させた「アナログ+デジタルアプローチ」を推進する。ECサイト(PARIS MIKI ONLINE SHOP)をリニューアルし、度付き対応の強化をしていくほか、ECでの会員情報を店舗で確認、EC商品の店頭在庫確認、店舗で測定した度数情報をEC上で確認し購入、試着(来店)予約サービスなどが可能となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<EY>
2. 商品施策
(1) フレーム
a) 日本のメガネづくり職人の技術を継承
世界中で販売されているメガネの生産国が中国やイタリアへ年々移っていくなかで、高品質な「日本製メガネ」が世界中から注目されている。しかし後継者不足などから日本製メガネを製造する工場や職人が減少傾向にあり、高品質=高価格であるのも事実だ。このような状況下において、三城ホールディングス<7455>はメガネの産地として知られる福井県鯖江市に自社工場を構えることで高品質な日本製メガネを手ごろな価格で顧客へ提供することを目指している。
同社ではこれを“MADE IN JAPAN project”と称し、顧客へ高品質なメガネを提供しながら産地への還元、産地との協業を推進していく計画だ。このプロジェクトの具体的な商品としては「style J」「PARIS MIKI (Authentic Eyewear)」などがあるが、これらのPB商品のブランディングをさらに強化する。この結果、2017年度には39%であった日本製出庫割合は2020年度には46.1%に高まった。
b) 自社工場を活用しオリジナルブランドを強化
同社は福井県鯖江市の自社工場を活用してオリジナルブランド「DIGNA(ディグナ)」「鯖江光器」を強化する。また顧客のニーズを追求することで、提案商品をさらに強化する。フレームの軽さ、しなやかさ、薄さを追求したメガネシリーズのほか、最近ではテンプル(つるの部分)の断面を三角形に設計することでストレスのないフィット感を実現した「トライアングルテンプル」を開発し、特許申請中である。
(2) レンズ
a) レンズの新開発
顧客のライフスタイルや眼の状態によって適したレンズは変わる。顧客に快適な視生活を提供するため、同社はレンズ開発を行っている。たとえば、コロナ禍で長くなった自宅時間においてはスマートフォンの操作やテレワーク、ガーデニングや料理など「中間距離から手元」を見る機会が増えたことから、「ステイホームイージー」を開発した。
また、乱視に特化したレンズ「ランシー」を開発した。一般的な乱視補正は2軸方向のみを補正するため斜め方向やレンズ周辺の見え方に歪み・揺れが残るが、「ランシー」は360°全方向補正することにより、レンズの隅々まで歪みを抑えたクリアな視界が確保できる。
さらに眼の健康維持をサポートする「ルティーナ」(ルテイン保護レンズ)も開発した。現在は効果的な治療法がないとされる加齢黄斑変性などの眼病発生を引き起こす可能性がある眼内のルテインの減少を抑え、さらに有害な光や紫外線などから眼を保護するレンズである。
そのほかには、レンズが紫外線に反応してサングラスになるレンズや、乱反射するまぶしい光を低減する偏光機能レンズなどがあり、スポーツやドライブなどで有効である。レンズの開発によって、生活シーンや眼の状態に合わせたメガネを複数で使い分けるといった新たなニーズの掘り起こしも行っていく。
b) レンズ提供新サービス展開
遠近両用レンズを最速で翌日に提供できる「24G(トゥエンティーフォー・ジー)」を2020年3月期に関東圏よりスタートし、2021年3月期より全国へ拡大している。一般的には特殊なレンズとしてメガネの出来上がりに時間がかかるものであったが、イスラエルの世界的なレンズの大手メーカーであるSHAMIRと技術提携したことで最短で24時間の出来上がりが可能となった。日本にレンズを加工するレンズラボを設立し、完全受注かつMade in Japanで提供できるようになった。特殊な形状のメガネやサングラスでも最速納品が可能となり、メガネが急に必要になった顧客にも対応できるようになった。
(3) 補聴器
a) 補聴器販売:OEM商品により手ごろな価格での提供を実現
三城のオリジナル補聴器である「らくみみシリーズMK」を中心に、三城の補聴器販売は2012年3月期の約49億円から2020年3月期には約59億円と着実に増加した。しかし、2021年3月期はコロナ禍の影響により高齢の顧客が来店を控えたことなどから販売金額は約51億円へ低下した。しかし補聴器は生活必需品であるため、今後ワクチン接種が進むにつれリバウンド需要が期待できそうだ。
b) 補聴器レンタルサービス「らくみみサービス」
同サービスは、高額な補聴器を「まずは補聴器を使ってみたい」「両親に試してほしい」という顧客の声に応えて誕生した。月額貸し出し方式(サブスクリプション)を採用している。最初の2ヶ月間は調整期間として固定契約となるが、2ヶ月目以降はいつでも解約が可能で、最長で3年間利用することができる。これにより顧客は自分に合う補聴器を探しやすくなるメリットがある。
3. プロモーション施策
(1) CMなどによる積極的・効果的な広告
引き続き女優の波瑠、お笑い芸人のミキを起用し、TVCMを推進していく計画である。これにより顧客の想起を促していく。また、お笑い芸人のミキとはコラボレーションし、メガネを作成した。
(2) ビジュアルライフケア
最大のテーマを「顧客一人ひとりの視るライフケアサポート」と位置付け、生活改善提案型アイケアサポートサービス「ビジュアルライフケア」を提供している。「カウンセリング」「スクリーニング」「サポート視力チェック」と最大59段階の検査項目を上級視力測定技術者が行う。顧客ライフスタイルによって適したレンズも異なるため、同社が開発した多数のレンズのなかから選定・提案し、顧客が抱えている普段の生活で発生する視え方などの問題解決を目指す。
(3) ECの充実化:実店舗を最大限に活用
今までの同社の販売促進は、どちらかと言うとリアル店舗向けが中心であったが、今後はアナログとデジタルを融合させた「アナログ+デジタルアプローチ」を推進する。ECサイト(PARIS MIKI ONLINE SHOP)をリニューアルし、度付き対応の強化をしていくほか、ECでの会員情報を店舗で確認、EC商品の店頭在庫確認、店舗で測定した度数情報をEC上で確認し購入、試着(来店)予約サービスなどが可能となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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