2. 事業内容
レアジョブ<6096>は、高い英語力を持つフィリピン在住のフィリピン人講師とユーザーをインターネットでつなぎ、安価で高品質なオンライン英会話サービスを提供している。現在の主力サービスは「レアジョブ英会話」となる。日常英会話コースやビジネス英会話コース等があり、個人は9割以上が日常英会話コースを利用し、法人はビジネス英会話コースが多い。日常英会話コースで最も利用されているのは月額6,380円(税込み)の毎日25分プランとなる。毎日1レッスンの受講が可能で、毎日受講すれば1レッスン当たり206円(税込み)となり、割安感があるためだ。ユーザーはビジネスマンが中心で20~40代が約7割を占めるが、10代から70代まで幅広い年齢層で利用されている。また、男女別では約6:4の比率となっている。
収益構造としては、ユーザーは上記のとおり月額料金を固定で支払う一方、講師への支払いは大部分が実施したレッスン数に応じた支払いとなっている。このため、ユーザーのレッスン受講率が上昇すれば利益率の低下要因となる。ただ、実際のレッスン受講率は、前期のようにコロナ禍で学校が休校となったり外出自粛の動きが強まったりしない限りは、一定の季節性はあるものの前年同期との比較においては大きな変化は見られないという。
(1) 個人向けサービス
個人向けサービスとしては「レアジョブ英会話」のほか、子ども専用オンライン英会話サービスの「リップルキッズパーク」、成果保証型英会話サービスである「スマートメソッド(R)コース」があり、売上の大半は「レアジョブ英会話」となる。
「レアジョブ英会話」を例にビジネスの流れを見ると、顧客獲得についてはWebマーケティング(リスティング広告、アフィリエイト広告、CMS、SNS等)で、「レアジョブ英会話」サイトに集客することで獲得している。有料会員を獲得するまでの流れは、まず「レアジョブ英会話」のサイトを見たユーザーが、無料会員登録を行い(無料レッスンを2回受講できる)、実際に受講してみて有料サービスに申し込むかどうかを決定する。このため、Webサイトへの集客施策と無料会員の登録数、無料会員から有料会員への移行率(コンバージョン率)、有料会員継続率等が売上拡大のKPIとなり、これらを向上させていくことが売上高の拡大につながっていく。このうち、累積の無料会員数については2021年3月期末時点で累計94万人を突破し、年間10万人前後のペースで新規登録が続いている。有料会員継続率については地道なレッスン品質の向上や教材のリニューアル、利便性の高い機能の追加などを行うことで改善に取り組んでいるが、一定レベル以上に英会話スキルが身に付けば退会するため、平均受講期間としては1年前後となっている。
また、「スマートメソッド(R)コース」は、法人向けサービスとして展開していたが、2020年10月より、個人向けにも展開を開始し、短期間で英会話力を向上させたいというニーズに応える商品として拡販している。
(2) 法人向けサービス
法人向けサービスについては、2021年3月に新設した(株)プロゴスで展開している。アセスメントサービスとなる英語スピーキングテスト「PROGOS」のほか、ビジネス英語研修プログラムとして「レアジョブ英会話(ビジネス英会話コース)」、成果保証型英会話サービスとなる「スマートメソッド(R)コース」、グローバルリーダー研修など、各種プログラムを顧客ニーズに合わせて提供しており、導入実績は累計で3,200社となっている。
このうち、新サービスとなる「PROGOS」は、ビジネスシーンを想定した設問(ミーティング、面談、プレゼンテーション等)を約20分間実施し、AI技術を活用して最短数分で結果が確認できるだけでなく、今後のスキル向上に向けた学習法も採点結果と併せてフィードバックすることが特徴となっている(一部手動採点の場合有り)。判定基準は、国際基準であるCEFR※1に準拠しており、単語や文法知識の量ではなく「何ができるのか」「どの程度できるのか」でスキルを判断している。「PROGOS」は世界最大級の教育コンテストである「Reimagine Education Award 2020」※2の学習アセスメントカテゴリーにおいて銀賞を受賞し、同アワードで日本の団体として初の受賞となるなど、国際的にも高く評価を受けたサービスとして注目されている。同社では「PROGOS」を組織の英会話スキルを見える化する手段として導入してもらい、語学研修プログラムなどそのほかのサービスを併せて提供していくことで収益を拡大していくことを目指している。
※1 CEFR(セファール:Common European Framework of Reference for Languagesの略)は、ヨーロッパで、「外国語学習者の習得状況・言語運用能力」を示す共通の基準として設けられた。文部科学省が新学習指導要領における英語の評価指標として使用している等、学術界・ビジネス界で幅広く活用されている。
※2 「Reimagine Education Award」は、革新的な教育への取り組みに対して与えられる世界最大級の賞で、教育界のオスカー賞とも言われている。2020年度は全世界72カ国から約1,400件以上の応募があり、世界中の260人の審査委員による厳正な審査を経て受賞団体が選考された。
「スマートメソッド(R)コース」は、同コース専用のトレーニングを受けた認定講師と専用教材によるレッスンと、専任の日本人コンサルタントによるサポートで、短期間で確実に英会話力のレベルアップを保証したサービスとなる。約16週間(月~金:50分レッスン/日、週末は20分テストによる進捗確認、2時間の自己学習)のコースで、料金は49.5万円(税込)と通常の「レアジョブ英会話」よりも高くなるが、CEFR-J※による10段階区分の英会話力レベル判定で、受講前から少なくとも1段階のレベルアップに相当する、同社基準のレベルアップを保証している。サービス開始以降、顧客からの評価は高く、売上は順調に拡大している。
※CEFR-Jとは、語学のコミュニケーション能力別のレベルを示す国際標準規格となっているCEFR(Common European Framework of Reference for Languages)をベースに、日本の英語教育での利用を目的に構築された英語能力の到達度指標。
(3) 教育機関向けサービス
教育機関向けサービスについては子会社の(株)エンビジョンや、提携先となるZ会、NTT西日本を通じて営業活動を行っている。主に学校の授業で導入するオンライン英会話サービス、課外向けのオンライン英会話サービス、ALT派遣サービスの3つのサービスを提供している。学校向けのうち、公立学校については各自治体の教育委員会で採用される必要があるため、教育委員会向けの営業提案を行っている。また、私立の進学校については、ネットワークを持つZ会を中心に営業提案を進めている。
ALT派遣サービスについては、2020年3月期の下期からスタートしている。子会社のENVIZION PHILIPPINES,INC.で200名弱の講師が在籍しており、その中から選抜することで優秀なフィリピン人ALTの確保・派遣を行っているが、まだ実績としては少ないようだ。
(4) 講師について
同社の成長基盤となっているフィリピン人講師の状況について見ると、創業当初はフィリピン大学の学生及び卒業生を中心に採用していたが、現在は既存講師の紹介やFacebook広告を通じてフィリピン全土で採用活動を行い、英語力や講師としての適性などを選考した上で採用している。採用後はトレーニングを実施し、レッスン品質を確保した上で講師として活動することになる。また、同社の6,000人のフィリピン人講師は業務委託契約を結んだ講師がほとんどであるが、一部、正社員講師とパートナー企業の講師が存在する。業務委託型の講師はフィリピン全土から採用され、自宅からレッスンを行っており、報酬は実施したレッスン数に応じて現地通貨(フィリピンペソ)で支払われる。正社員講師はフィリピンにある2ヶ所のレッスン供給センターで、教育機関向け、リップルキッズパーク向け、レアジョブ英会話向けのレッスンを提供している。予備回線を含め安定的な通信設備を確保したセンターから提供しているため、通信回線が安定し、また対面でのトレーニングなど講師教育・管理も徹底されているため、高品質であることが特徴となっている。固定費となるため稼働率が低いと高コストになるが、現状は稼働率も改善傾向となっている。なお、コロナ禍により一部の講師は在宅でのサービス提供となっているが、事業運営上は支障ない状況のようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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レアジョブ<6096>は、高い英語力を持つフィリピン在住のフィリピン人講師とユーザーをインターネットでつなぎ、安価で高品質なオンライン英会話サービスを提供している。現在の主力サービスは「レアジョブ英会話」となる。日常英会話コースやビジネス英会話コース等があり、個人は9割以上が日常英会話コースを利用し、法人はビジネス英会話コースが多い。日常英会話コースで最も利用されているのは月額6,380円(税込み)の毎日25分プランとなる。毎日1レッスンの受講が可能で、毎日受講すれば1レッスン当たり206円(税込み)となり、割安感があるためだ。ユーザーはビジネスマンが中心で20~40代が約7割を占めるが、10代から70代まで幅広い年齢層で利用されている。また、男女別では約6:4の比率となっている。
収益構造としては、ユーザーは上記のとおり月額料金を固定で支払う一方、講師への支払いは大部分が実施したレッスン数に応じた支払いとなっている。このため、ユーザーのレッスン受講率が上昇すれば利益率の低下要因となる。ただ、実際のレッスン受講率は、前期のようにコロナ禍で学校が休校となったり外出自粛の動きが強まったりしない限りは、一定の季節性はあるものの前年同期との比較においては大きな変化は見られないという。
(1) 個人向けサービス
個人向けサービスとしては「レアジョブ英会話」のほか、子ども専用オンライン英会話サービスの「リップルキッズパーク」、成果保証型英会話サービスである「スマートメソッド(R)コース」があり、売上の大半は「レアジョブ英会話」となる。
「レアジョブ英会話」を例にビジネスの流れを見ると、顧客獲得についてはWebマーケティング(リスティング広告、アフィリエイト広告、CMS、SNS等)で、「レアジョブ英会話」サイトに集客することで獲得している。有料会員を獲得するまでの流れは、まず「レアジョブ英会話」のサイトを見たユーザーが、無料会員登録を行い(無料レッスンを2回受講できる)、実際に受講してみて有料サービスに申し込むかどうかを決定する。このため、Webサイトへの集客施策と無料会員の登録数、無料会員から有料会員への移行率(コンバージョン率)、有料会員継続率等が売上拡大のKPIとなり、これらを向上させていくことが売上高の拡大につながっていく。このうち、累積の無料会員数については2021年3月期末時点で累計94万人を突破し、年間10万人前後のペースで新規登録が続いている。有料会員継続率については地道なレッスン品質の向上や教材のリニューアル、利便性の高い機能の追加などを行うことで改善に取り組んでいるが、一定レベル以上に英会話スキルが身に付けば退会するため、平均受講期間としては1年前後となっている。
また、「スマートメソッド(R)コース」は、法人向けサービスとして展開していたが、2020年10月より、個人向けにも展開を開始し、短期間で英会話力を向上させたいというニーズに応える商品として拡販している。
(2) 法人向けサービス
法人向けサービスについては、2021年3月に新設した(株)プロゴスで展開している。アセスメントサービスとなる英語スピーキングテスト「PROGOS」のほか、ビジネス英語研修プログラムとして「レアジョブ英会話(ビジネス英会話コース)」、成果保証型英会話サービスとなる「スマートメソッド(R)コース」、グローバルリーダー研修など、各種プログラムを顧客ニーズに合わせて提供しており、導入実績は累計で3,200社となっている。
このうち、新サービスとなる「PROGOS」は、ビジネスシーンを想定した設問(ミーティング、面談、プレゼンテーション等)を約20分間実施し、AI技術を活用して最短数分で結果が確認できるだけでなく、今後のスキル向上に向けた学習法も採点結果と併せてフィードバックすることが特徴となっている(一部手動採点の場合有り)。判定基準は、国際基準であるCEFR※1に準拠しており、単語や文法知識の量ではなく「何ができるのか」「どの程度できるのか」でスキルを判断している。「PROGOS」は世界最大級の教育コンテストである「Reimagine Education Award 2020」※2の学習アセスメントカテゴリーにおいて銀賞を受賞し、同アワードで日本の団体として初の受賞となるなど、国際的にも高く評価を受けたサービスとして注目されている。同社では「PROGOS」を組織の英会話スキルを見える化する手段として導入してもらい、語学研修プログラムなどそのほかのサービスを併せて提供していくことで収益を拡大していくことを目指している。
※1 CEFR(セファール:Common European Framework of Reference for Languagesの略)は、ヨーロッパで、「外国語学習者の習得状況・言語運用能力」を示す共通の基準として設けられた。文部科学省が新学習指導要領における英語の評価指標として使用している等、学術界・ビジネス界で幅広く活用されている。
※2 「Reimagine Education Award」は、革新的な教育への取り組みに対して与えられる世界最大級の賞で、教育界のオスカー賞とも言われている。2020年度は全世界72カ国から約1,400件以上の応募があり、世界中の260人の審査委員による厳正な審査を経て受賞団体が選考された。
「スマートメソッド(R)コース」は、同コース専用のトレーニングを受けた認定講師と専用教材によるレッスンと、専任の日本人コンサルタントによるサポートで、短期間で確実に英会話力のレベルアップを保証したサービスとなる。約16週間(月~金:50分レッスン/日、週末は20分テストによる進捗確認、2時間の自己学習)のコースで、料金は49.5万円(税込)と通常の「レアジョブ英会話」よりも高くなるが、CEFR-J※による10段階区分の英会話力レベル判定で、受講前から少なくとも1段階のレベルアップに相当する、同社基準のレベルアップを保証している。サービス開始以降、顧客からの評価は高く、売上は順調に拡大している。
※CEFR-Jとは、語学のコミュニケーション能力別のレベルを示す国際標準規格となっているCEFR(Common European Framework of Reference for Languages)をベースに、日本の英語教育での利用を目的に構築された英語能力の到達度指標。
(3) 教育機関向けサービス
教育機関向けサービスについては子会社の(株)エンビジョンや、提携先となるZ会、NTT西日本を通じて営業活動を行っている。主に学校の授業で導入するオンライン英会話サービス、課外向けのオンライン英会話サービス、ALT派遣サービスの3つのサービスを提供している。学校向けのうち、公立学校については各自治体の教育委員会で採用される必要があるため、教育委員会向けの営業提案を行っている。また、私立の進学校については、ネットワークを持つZ会を中心に営業提案を進めている。
ALT派遣サービスについては、2020年3月期の下期からスタートしている。子会社のENVIZION PHILIPPINES,INC.で200名弱の講師が在籍しており、その中から選抜することで優秀なフィリピン人ALTの確保・派遣を行っているが、まだ実績としては少ないようだ。
(4) 講師について
同社の成長基盤となっているフィリピン人講師の状況について見ると、創業当初はフィリピン大学の学生及び卒業生を中心に採用していたが、現在は既存講師の紹介やFacebook広告を通じてフィリピン全土で採用活動を行い、英語力や講師としての適性などを選考した上で採用している。採用後はトレーニングを実施し、レッスン品質を確保した上で講師として活動することになる。また、同社の6,000人のフィリピン人講師は業務委託契約を結んだ講師がほとんどであるが、一部、正社員講師とパートナー企業の講師が存在する。業務委託型の講師はフィリピン全土から採用され、自宅からレッスンを行っており、報酬は実施したレッスン数に応じて現地通貨(フィリピンペソ)で支払われる。正社員講師はフィリピンにある2ヶ所のレッスン供給センターで、教育機関向け、リップルキッズパーク向け、レアジョブ英会話向けのレッスンを提供している。予備回線を含め安定的な通信設備を確保したセンターから提供しているため、通信回線が安定し、また対面でのトレーニングなど講師教育・管理も徹底されているため、高品質であることが特徴となっている。固定費となるため稼働率が低いと高コストになるが、現状は稼働率も改善傾向となっている。なお、コロナ禍により一部の講師は在宅でのサービス提供となっているが、事業運営上は支障ない状況のようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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