ベルシス24 Research Memo(4):2021年2月期は、コロナ禍関連のスポット業務が大きく貢献

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最新投稿日時:2021/05/31 15:04 - 「ベルシス24 Research Memo(4):2021年2月期は、コロナ禍関連のスポット業務が大きく貢献」(フィスコ)

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ベルシス24 Research Memo(4):2021年2月期は、コロナ禍関連のスポット業務が大きく貢献

配信元:フィスコ
投稿:2021/05/31 15:04
■ベルシステム24ホールディングス<6183>の業績動向

1. 2021年2月期連結決算
2021年2月期における日本経済は、コロナ禍の影響により厳しい状況が続き、特に観光業、飲食業への影響は甚大であった。一方で、在宅勤務や巣ごもり需要により、今までとは異なる生活様式から新たなコンタクトセンター需要が出てきている。また、雇用・所得環境においては、事業環境の厳しさから完全失業率は緩やかに悪化が続いており、上昇を続けてきた賃金水準も横ばい圏内での推移となっている。

同社グループが属する情報サービス業界は、アウトソーシング需要の高まりを受け、市場規模は堅調に推移している。また、コミュニケーション手段の急速な技術革新に伴い、消費者との対話においてもAI(人工知能)等の導入による自動化が始まる等、カスタマーサービス分野において、なお一層のサービスの高度化が求められている。一方で、同社グループの主力事業であるCRM事業においては、同一労働同一賃金への対応により賃金の上昇が続いている。

このような経営環境下、同社グループでは2021年2月期からスタートした中期経営計画に基づき、「社員3万人の戦力最大化」、「音声データ活用によるDX推進」、「信頼と共創のパートナー成長」の実現に取り組んでおり、着実に成果をあげている(後述の「中期経営計画」のセクションを参照)。

こうした取り組みの結果、同社の2021年2月期の連結業績は、売上収益135,735百万円(前期比7.2%増)、営業利益11,799百万円(同6.3%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益7,252百万円(同3.5%増)の増収増益決算となった。業績予想に比べて、売上収益は2.8%、営業利益は2.6%、親会社株主に帰属する当期利益は0.7%上回る、順調な決算であった。新型コロナ対策としての政府による家賃給付や10万円給付関連の書類への問い合わせ対応業務など、大型スポット業務の受注による売上収益増と、自宅待機した社員にも十分な給与を保証したことで、退職率の低下に伴うコスト抑制などが増益をもたらした。こうした好決算は、コロナ禍という非常事態にあっても、同社が社会インフラとしての役割を十分に果たした証左と評価できるだろう。

以上から、2021年2月期の同社の売上収益営業利益率は8.7%で、前期比0.1pt低下したものの、2020年3月期の東証1部上場会社サービス業平均の4.5%を大きく上回る。同様に、ROEも14.2%で高水準を維持し、東証1部上場社サービス業平均の5.6%を大きく上回っている。同社が属するサービス業には様々なビジネスモデルの会社を含むため、同社と業界平均の単純比較は難しい面があるが、同社の収益性は極めて高いと言えるだろう。

(1) セグメント別の状況
セグメント別では、主力のCRM事業の売上収益が134,559百万円(前期比7.5%増)で、売上収益全体の99.1%を占めた。一方、その他事業は1,176百万円(同22.7%減)で、売上収益全体の0.9%にとどまった。

CRM事業のうち、主力の継続業務は、コロナ禍の影響で営業活動に制約があり、新規業務が遅れたことで、117,106百万円(前期比2.2%増)にとどまった。ただ、スポット業務では、政府の新型コロナ対策の一環としての家賃給付や10万円給付の提出書類に関する問い合わせ対応業務が急増した結果、売上収益は17,453百万円(同65.5%増)となり、CRM事業の増収に大きく貢献した。一方、その他事業は、医療関連事業の再編に伴い、医薬・ヘルスケア分野のコンタクトセンター事業等をCRM事業に含めて開示することに変更したこともあり、前期比では減収となった。

営業利益段階では、CRM事業が12,367百万円(前期比12.7%増)であった。一方、その他事業は568百万円の損失(前期は127百万円の利益)に終わった。その他事業では、医薬・ヘルスケア関連の不採算事業を2020年2月期に売却した効果があったものの、2021年2月期は子会社ポッケに係る減損損失854百万円の計上が響いた。ただ、減損損失の計上も、不採算案件については早めに手を打つという同社の経営姿勢を示す一例と言えるだろう。以上の結果、コア事業であるCRM事業の営業利益率は9.2%と前期比0.4ポイント上昇した。

売上収益における伊藤忠シナジー拡大については、同社の筆頭株主である伊藤忠商事のネットワークを活用し伊藤忠グループ関連の案件をはじめとする新規案件獲得の継続・拡大を図った。同社が定義する伊藤忠シナジーとは、伊藤忠商事の子会社や関連会社だけでなく、その取引先も含むため、対象とする開拓先は広大である。これらの伊藤忠グループ案件による売上収益は、2018年2月期の97.6億円から、2021年2月期は144.5億円へと、年々順調に増加している。2021年2月期はコロナ禍の影響を受けて伸びが一時的に鈍化しているものの、今後も新技術活用における連携(出資、提携など)、海外事業展開における連携などによって、伊藤忠シナジーはさらに増加し続ける見通しだ。

(2) 財務及びキャッシュ・フローの状況
2021年2月期末の資産合計は172,888百万円(前期末比4,380百万円増)であった。うち、流動資産は26,381百万円(同576百万円減)となったが、これは営業債権が1,677百万円増加した一方、現金及び現金同等物が2,249百万円、未収還付法人所得税が274百万円減少したことなどによる。また、非流動資産は146,507百万円(同4,956百万円増)で、これはのれんが854百万円、無形資産が613百万円減少したが、有形固定資産が4,610百万円増加したこと等による。

一方、負債合計は119,378百万円(前期末比407百万円増)となった。うち、流動負債は48,952百万円(同10,994百万円増)となったが、これは主に借入金が9,799百万円増加したことなどによる。また、非流動負債は、70,426百万円(同10,587百万円減)であったが、これは長期借入金が14,835百万円減少したことなどによるものだ。資本合計は53,510百万円(同3,973百万円増)となった。これは主に親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により、配当支払い後の利益剰余金が4,164百万円増加したことによる。

以上の結果、自己資本比率は前期末比1.5ポイント上昇して30.7%となった。前期末は、リースの会計処理変更に伴い一時的に低下したが、今後は利益の蓄積により再び上昇を続けると見られる。現状でも、同社の自己資本比率は、2020年3月期の市場第1部サービス業平均の6.7%を大きく上回る高水準である。また、同社のネットD/Eレシオは1.09倍と同0.14改善し、高い安全性を維持している。加えて、同社ではメガバンクとの間でコミットメントライン契約を結んでおり、不測の事態に対しても十分に備えていると言える。

キャッシュ・フローの状況としては、同社の2021年2月期末時点の現金及び現金同等物の残高は5,518百万円(前期末比2,249百万円減)、また同社が自由に使える現金を示すフリー・キャッシュ・フローは11,709百万円(前期比1,795百万円減)であった。営業活動の結果得られた資金は14,886百万円で、これは主に、税引前利益11,305百万円、減価償却費及び償却費7,786百万円、法人所得税の支払額が5,056百万円によるものである。投資活動の結果使用した資金は3,177百万円で、これは主に有形固定資産の取得による支出1,695百万円、敷金及び保証金の差入による支出が789百万円などによる。財務活動の結果使用した資金は13,955百万円となり、これはリース負債の返済による支出5,583百万円、配当金の支払額3,088百万円、長短借入金の返済による支出5,136百万円などによるものであった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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