ザイマックス Research Memo(5):外部成長による巡航DPUの向上を通じて、投資主価値の向上を目指す(1)

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最新投稿日時:2021/05/24 15:05 - 「ザイマックス Research Memo(5):外部成長による巡航DPUの向上を通じて、投資主価値の向上を目指す(1)」(フィスコ)

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ザイマックス Research Memo(5):外部成長による巡航DPUの向上を通じて、投資主価値の向上を目指す(1)

配信元:フィスコ
投稿:2021/05/24 15:05
■今後の成長戦略

1. 今後の運用成長戦略
ザイマックス・リート投資法人<3488>では、2021年8月期(第7期)、2022年2月期(第8期)の運用成長戦略について、次のように考えている。

すなわち、現在はコロナ禍の影響を受けてDPU(1口当たり分配金)が減少しているが、今後はオフィス物件の収益回復や外部成長(新たな不動産取得による成長)による巡航DPUの向上を通じて、投資主価値の向上を目指している。今までと同様に将来を見据えたオフィス賃料・稼働率のバランスを維持したうえで、今後はリーシング促進によりDPUの回復を目指すだけでなく、外部成長によるDPU向上も検討している。さらに、2022年2月期からは、ホテルの固定賃料復活に伴ってDPUが回復する見通しである。

外部成長戦略としては、スポンサー・サポート契約に基づき、ザイマックスグループの顧客基盤から得られる不動産売却ニーズを捕捉し、同投資法人の物件取得機会につなげることを目指す。同グループは、不動産戦略立案のコンサルティングから、それに基づく実践サービスまでワンストップで対応可能な不動産戦略マネジメントサービスを提供している。同投資法人は、グループの顧客が持つ不動産売買ニーズを捕捉し、投資法人の不動産売買ニーズとマッチングすることで、双方のメリットにつなげることを目指している。引き続き一定の利回り目線を堅持しつつ、物件ポテンシャルを的確に見極めながら、パイプラインを積み上げる方針だ。

内部成長戦略としては、ザイマックスグループから、各種不動産マネジメントに関する知見・ノウハウの提供を受ける。これにより、同投資法人は、グループの不動産マネジメントの知見・ノウハウ、データベース、管理システム及び私募ファンドの運用経験等を生かした安定的かつ効率的な運用を行う。

財務戦略としては、中長期的に安定した収益の確保と運用資産の規模の着実な成長及び運用の安定性を考慮し、安定性及び健全性を重視し、かつ、資金調達の機動性を確保する財務戦略を実行する。低位なLTV水準を背景にした借入余力の戦略的な活用を継続するとともに、スポンサーグループと連携して、レンダーリレーションの深耕を継続する方針だ。

2. オフィスの成長戦略
同投資法人にとって、オフィスはポートフォリオの中で最大を占め、今後も注力する事業である。

オフィスの市場環境について、ザイマックス不動産総合研究所の分析によれば、コロナ禍に伴いリモートワークが増えてきたが、コミュニケーションが難しい、業務・評価などのマネジメントが難しいなどのデメリットが見えてきたなかで、人や機能が集まる場としてのオフィスの機能が再認識されているという。さらに、コロナ禍収束後(ポストコロナ)の出社率として、50%程度とする企業の割合が最も多いものの、中小規模企業では大規模企業と比較して、100%出社を考える割合も多くなっている。

また、東京23区におけるオフィス賃貸の成約件数分布を分析すると、過去から現在の賃貸マーケットにおいて、おおむね1万円~2万円台までに旺盛なテナントニーズが存在し、また、最寄駅から徒歩5分圏内の物件は、5分超の物件に比べて空室率が低い。一方、中小規模のオフィスビルは新規供給が限定的であり、その希少性は今後も高まると考えられる。オフィス規模別の新規成約賃料の推移を見ると、中小規模ビルは大規模ビルに比して賃料のボラティリティが低く、収益の安定性が高いことが示される。

コロナ禍に端を発した経済環境の悪化とオフィスの使われ方の変化によりオフィスニーズが変化しているが、「立地の良さ」と「管理の質の高さ」を強みとする同投資法人の保有オフィスは、ポストコロナにおいて優位性を持つと考えられる。実際、同投資法人が保有するオフィスの平均稼働率推移を見ると、リーマンショック後に他のJ-REIT保有オフィスは稼働率が低下したのに対し、同投資法人の保有オフィスは一貫して高い稼働率を維持していることが注目される。

同投資法人が2021年2月期末に保有するオフィスは7物件、テナント数は70件であり、賃料収入ベースではポートフォリオ全体の50.95%を占める。附置住宅(一定規模以上のオフィスビル等の建設・開発を行う事業者に対し、開発に合わせて義務付けられた一定戸数以上の集合住宅など)を除くオフィステナント60件の分散状況を見ると、テナントは業種の偏りが少なく、また、賃貸面積上位10社の入居期間は16年7ヶ月に達し、同投資法人の保有オフィスの全テナント平均の11年8ヶ月や、ザイマックス不動産総合研究所が「東京23区オフィステナントの入居期間分析(2018年)」にて公表した東京23区オフィスビルの平均入居期間9.6年を上回り、高い粘着性を持ち、同投資法人の管理の質に対する満足度が高いことが示されている。

現下の新型コロナウイルス感染症対策として、同投資法人はスポンサーグループの管理運営ノウハウを集約し、「安心・安全」なオフィスに向けた取り組みを進めている。すなわち、ウイルス不活性化コーティングを全オフィスに実施し、共用部にアルコール消毒足踏式スタンドを設置するなど、感染症対策を実施している。また、スポンサーグループにおいても各ビルオーナーに対して、アルコールスタンド、抗ウイルス壁紙、抗菌フィルターなど、「Withコロナオフィス」に向けた提案を実施している。

3. 商業施設の成長戦略
ザイマックス不動産総合研究所の分析によれば、商業施設のマーケットでは、コロナ禍により、飲食業では出店意欲が大きく減少し、退潮が鮮明になっている。一方、小売業(食品)や娯楽業をはじめ、その他の業種は変化が小さく、商業セクター全般への影響は限定的となっている。また、消費者行動や価値観が変化しており、巣ごもり消費の増加傾向が続く、テレワーク(在宅勤務など)が今後も拡大する、都市部郊外の店舗利用が増えるなどの項目が高い割合を占めている。このように消費者ニーズの変化が見られ、郊外に所在する商業施設は堅調であると見込まれる。

こうした環境下、同投資法人が所有する4物件の商業施設では感染症の影響は極めて軽微であり、ほぼすべてのテナントとの契約は固定賃料型であることから安定的な賃料収入を獲得している。また、保有するすべての商業施設が、堅調なテナント業況が見込まれる大都市圏の近郊に立地している。1棟貸し店舗やマスターリース事業者に賃貸するシングルテナントタイプの物件が賃料収入ベースで64.7%を占める。また、賃料収入ベースで35.3%を占めるマルチテナント型商業施設のミューザには飲食テナントが含まれるが、近隣居住のファミリー向け店舗が多く、売上は回復傾向にある。ミューザの賃料シェア30%を占める目的来店型業種は、後背の住宅地のニーズを獲得している。ただ、同投資法人では、引き続きテナントの業況把握のため、売上動向を注視する方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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配信元: フィスコ

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