■要約
サカタインクス<4633>は1896年創業以来、120年以上の歴史を誇る世界3位の大手印刷インキメーカーである。ビジネステーマとして「ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造」を掲げ、インキの開発・生産で培ってきた基盤技術を機能性材料事業にも応用展開している。
1. パッケージ印刷用インキが主力で環境配慮型製品に強み
印刷インキ事業は、日本・アジア・米州及び欧州の各市場向けのパッケージ印刷用インキ(段ボールや紙器など紙パッケージ印刷用、食品・化粧品・トイレタリー製品・日用品などフィルムパッケージ印刷用、飲料缶など金属缶印刷用など)を主力としている。環境配慮型高機能・高付加価値製品の開発力・品ぞろえ・高シェア、さらに製品の高い信頼性・品質力を強みとしている。
2. グローバル展開でアジア及び米州が利益柱
日本及び海外合わせて20の国・地域に印刷用インキ製造・販売拠点をグローバル展開している。グローバル展開の加速、環境配慮型高機能・高付加価値製品の拡販によって、市場拡大・開拓余地の大きいアジア及び米州が利益柱となっている。
3. 2020年12月期は計画超の増益
2020年12月期の連結業績は、売上高が前期比3.4%減の161,507百万円、営業利益が同15.9%増の7,212百万円、経常利益が同6.4%増の7,789百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同28.2%増の5,275百万円だった。新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響などで減収となったが、各利益は従来予想に対して上振れて着地した。インキのコスト改善(原材料コスト削減効果など)や単価上昇(米州における製品MIX改善効果など)が増益要因となり、インキの販売数量減少、機能性材料における在庫評価減などの減益要因を吸収した。なお為替換算影響排除後ベースでは、売上高が前期比1.5%減収、営業利益が同19.2%増益、経常利益が同6.2%増益、親会社株主に帰属する当期純利益が同27.6%増益だった。
4. 2021年12月期は増収増益予想
2021年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比5.3%増の170,000百万円、営業利益が同10.9%増の8,000百万円、経常利益が同18.1%増の9,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同21.3%増の6,400百万円としている。コロナ禍による景況の不透明感が残るが、2021年12月期は販売数量増加により増収を見込んでいる。利益面では、事業拡大に向けて人件費や諸経費が増加するが、増収効果やコスト削減効果により増益を見込むとしている。なお、2021年12月期上期の営業利益は前年同期比横ばいにとどまるが、下期からの本格回復を見込んでいる。需要が回復傾向であり、2021年12月期通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。
5. 長期ビジョンと中期経営計画2023を策定・スタート
同社は、長期ビジョン「SAKATA INX VISION 2030」及び中期経営計画2023 (CCC-I)を策定・スタートさせた。戦略の方向性は「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」「印刷インキ・機能性材料事業の拡大」「新しい事業領域への挑戦」、3つの変革プロジェクト(「グローバル連結経営の更なる強化」「ステークホルダーとの関係強化」「人材育成の強化・組織風土の改革」)の立ち上げとした。さらに長期ビジョンの目指す姿として、2030年12月期には売上高3,000億円規模、営業利益率8%を目指すとしている。中期経営計画2023は、長期ビジョンの達成に向けた基盤構築のステージ(第1ステージ)と位置付けて、2023年12月期には売上高1,950億円、営業利益115億円、経常利益130億円、ROE10%以上とする目標を掲げた。
6. 新たな成長ステージ
地球環境問題やSDGsへの関心の高まりを背景として、印刷用インキ市場でも世界的に環境配慮型製品へシフトする流れを強めている。このため環境配慮型製品の市場拡大・開拓余地は大きい。同社は長期ビジョンにおいて、SDGsに対応した環境配慮型製品の拡販、グローバル展開、新事業領域への展開により新たな成長ステージを目指している。中長期的な収益拡大基調を期待したい。
■Key Points
・パッケージ印刷用インキが主力で環境配慮型製品に強み
・2021年12月期は増収増益を予想
・環境配慮型製品、グローバル展開、新事業領域で新たな成長ステージへ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<EY>
サカタインクス<4633>は1896年創業以来、120年以上の歴史を誇る世界3位の大手印刷インキメーカーである。ビジネステーマとして「ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造」を掲げ、インキの開発・生産で培ってきた基盤技術を機能性材料事業にも応用展開している。
1. パッケージ印刷用インキが主力で環境配慮型製品に強み
印刷インキ事業は、日本・アジア・米州及び欧州の各市場向けのパッケージ印刷用インキ(段ボールや紙器など紙パッケージ印刷用、食品・化粧品・トイレタリー製品・日用品などフィルムパッケージ印刷用、飲料缶など金属缶印刷用など)を主力としている。環境配慮型高機能・高付加価値製品の開発力・品ぞろえ・高シェア、さらに製品の高い信頼性・品質力を強みとしている。
2. グローバル展開でアジア及び米州が利益柱
日本及び海外合わせて20の国・地域に印刷用インキ製造・販売拠点をグローバル展開している。グローバル展開の加速、環境配慮型高機能・高付加価値製品の拡販によって、市場拡大・開拓余地の大きいアジア及び米州が利益柱となっている。
3. 2020年12月期は計画超の増益
2020年12月期の連結業績は、売上高が前期比3.4%減の161,507百万円、営業利益が同15.9%増の7,212百万円、経常利益が同6.4%増の7,789百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同28.2%増の5,275百万円だった。新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響などで減収となったが、各利益は従来予想に対して上振れて着地した。インキのコスト改善(原材料コスト削減効果など)や単価上昇(米州における製品MIX改善効果など)が増益要因となり、インキの販売数量減少、機能性材料における在庫評価減などの減益要因を吸収した。なお為替換算影響排除後ベースでは、売上高が前期比1.5%減収、営業利益が同19.2%増益、経常利益が同6.2%増益、親会社株主に帰属する当期純利益が同27.6%増益だった。
4. 2021年12月期は増収増益予想
2021年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比5.3%増の170,000百万円、営業利益が同10.9%増の8,000百万円、経常利益が同18.1%増の9,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同21.3%増の6,400百万円としている。コロナ禍による景況の不透明感が残るが、2021年12月期は販売数量増加により増収を見込んでいる。利益面では、事業拡大に向けて人件費や諸経費が増加するが、増収効果やコスト削減効果により増益を見込むとしている。なお、2021年12月期上期の営業利益は前年同期比横ばいにとどまるが、下期からの本格回復を見込んでいる。需要が回復傾向であり、2021年12月期通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。
5. 長期ビジョンと中期経営計画2023を策定・スタート
同社は、長期ビジョン「SAKATA INX VISION 2030」及び中期経営計画2023 (CCC-I)を策定・スタートさせた。戦略の方向性は「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」「印刷インキ・機能性材料事業の拡大」「新しい事業領域への挑戦」、3つの変革プロジェクト(「グローバル連結経営の更なる強化」「ステークホルダーとの関係強化」「人材育成の強化・組織風土の改革」)の立ち上げとした。さらに長期ビジョンの目指す姿として、2030年12月期には売上高3,000億円規模、営業利益率8%を目指すとしている。中期経営計画2023は、長期ビジョンの達成に向けた基盤構築のステージ(第1ステージ)と位置付けて、2023年12月期には売上高1,950億円、営業利益115億円、経常利益130億円、ROE10%以上とする目標を掲げた。
6. 新たな成長ステージ
地球環境問題やSDGsへの関心の高まりを背景として、印刷用インキ市場でも世界的に環境配慮型製品へシフトする流れを強めている。このため環境配慮型製品の市場拡大・開拓余地は大きい。同社は長期ビジョンにおいて、SDGsに対応した環境配慮型製品の拡販、グローバル展開、新事業領域への展開により新たな成長ステージを目指している。中長期的な収益拡大基調を期待したい。
■Key Points
・パッケージ印刷用インキが主力で環境配慮型製品に強み
・2021年12月期は増収増益を予想
・環境配慮型製品、グローバル展開、新事業領域で新たな成長ステージへ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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