■事業概要
1. 事業セグメント
サイバーリンクス<3683>の事業セグメントはITクラウド事業とモバイルネットワーク事業の2つに分けられている。2020年12月期のセグメント別売上高は、ITクラウド事業が10,015百万円(売上高比率78.4%)、モバイルネットワーク事業が2,762百万円(同21.6%)、セグメント別利益は、ITクラウド事業が869百万円(調整前比率71.4%)、モバイルネットワーク事業が349百万円(同28.6%)となっている。なお、2021年12月期からは、これまで流通クラウド事業に属していたトラスト分野を分離し、流通クラウド事業、官公庁クラウド事業、トラスト事業、モバイルネットワーク事業の4セグメントとする。
2. ITクラウド事業
ITクラウド事業は、さらに流通クラウド分野と官公庁クラウド分野の2つに分類される。流通クラウド分野は、主に食品関連の小売業、卸売業、専門店等にクラウドサービスを提供し、官公庁クラウド分野では、自治体、小中学校、医療機関、民間企業等を対象にシステムやクラウドサービス、カスタマサポートサービスを提供している。2020年12月期のITクラウド事業における分野別売上高構成比は流通クラウド分野が37.7%、官公庁クラウド分野が62.3%となっている。なお、官公庁クラウド分野は、年度ごとの案件の有無や受注状況によって売上高や利益が変動する傾向がある。
また後述するように、同社の提供するクラウドサービスは「シェアクラウド」であり、高品質のサービスを低価格で提供できることが特色となっている。
(1) 流通クラウド分野
この分野に含まれる主な製品やサービスは、食品小売業(主に売上高300億円以下のスーパー等)向けの基幹業務システム(製品名:@rms)やインターネットEDIシステム(同:BACREX-R/Rexmart)、大手卸売業向けのクラウドEDIサービス(同:クラウドEDI-Platform/iMart)、小売業・卸売業・メーカー向けの商品画像データベース(同:Mdb)及び棚割マネジメントシステム(同:棚POWER/棚SCAN-AI)、専門店向け販売在庫管理システム(同:Retailpro(リテイルプロ))となっている。
流通クラウド分野の主力製品は、流通食品小売業向け業務クラウドサービスの「@rms」シリーズである。この「@rms」シリーズには、基幹システムだけでなく生鮮発注システム、ネットスーパーシステム、小売業向け棚割システム、単品情報分析システム等の周辺サービスも含まれている。顧客は、基幹システムだけでなく周辺システムだけを単数あるいは複数契約することも可能である。2020年12月期末時点の「@rms」シリーズの導入店舗数は1,205店にのぼり、市場全体(21,000店:同社推定)におけるクラウド小売基幹系システム導入実績としてはトップと推定されている。
次に大きな構成比を占める「クラウドEDI-Platform」は、流通食品卸売業向けクラウドサービスで、小売業者からの様々な通信手段による発注・入荷・受領・返品・請求・支払いなどの商取引に関する情報データを、一括整理して卸売会社側に提供するシステムで、開発当初は業界初の仕組み(システム)であった。同社の推定によれば、2020年12月期末時点で「クラウドEDI-Platform」を使った商流額(卸売側)は8.7兆円にのぼり、市場全体36兆円(同社推定)の24.2%となっている。加工食品卸売上高上位10社のうち7社が「クラウドEDI-Platform」のユーザーであることからも、同社のクラウドサービスがいかに高く支持されているかがうかがえる。現在は、「C2Platform」の新機能「C2PF小売商談プラットフォーム」という小売業、卸売業及びメーカー間での商談プラットフォームを開発中で、2021年6月のリリースを目指しているが、これが商用化されれば小~大規模の卸売業からメーカーまで幅広い顧客をカバーできることになる。
(2) 官公庁クラウド分野
官公庁クラウド分野の主な事業は、地方自治体(主に地元の和歌山県の他、同県、大阪府南部、奈良県内の市町村)向けの基幹系・情報系の行政情報システム、防災無線等の地域防災システム、小中学校向けの「Clarinet」という校務クラウドサービス、医療機関向けの医療連携プラットフォームである「青洲リンク」、民間企業向けPC保守等のカスタマサポートサービスである。和歌山県における地域防災システムへの同社の評価・認知度は高く、県内シェアは群を抜いている。2020年12月期の官公庁クラウド分野の売上高6,237百万円の内訳は、行政情報53.7%、地域防災36.3%、校務クラウド・地域医療連携7.9%、カスタマサポート2.1%となっている。この分野は、顧客が官公庁であることから比較的安定した売上高が期待できる反面、大きなプロジェクト(案件)の有無や納品のずれ込みなどによって売上高や利益が変動する可能性もある。
3. モバイルネットワーク事業
NTTドコモの1次代理店であるコネクシオ<9422>と「代理店契約」を締結し、2次代理店として和歌山県内で7店のドコモショップを運営している。県内の運営代理店シェアは34.8%とトップであり、県内最大のNTTドコモ代理店となっている。同社が運営しているドコモショップは全体的に高評価を得ており、同社のこの事業部門も利益を確保している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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1. 事業セグメント
サイバーリンクス<3683>の事業セグメントはITクラウド事業とモバイルネットワーク事業の2つに分けられている。2020年12月期のセグメント別売上高は、ITクラウド事業が10,015百万円(売上高比率78.4%)、モバイルネットワーク事業が2,762百万円(同21.6%)、セグメント別利益は、ITクラウド事業が869百万円(調整前比率71.4%)、モバイルネットワーク事業が349百万円(同28.6%)となっている。なお、2021年12月期からは、これまで流通クラウド事業に属していたトラスト分野を分離し、流通クラウド事業、官公庁クラウド事業、トラスト事業、モバイルネットワーク事業の4セグメントとする。
2. ITクラウド事業
ITクラウド事業は、さらに流通クラウド分野と官公庁クラウド分野の2つに分類される。流通クラウド分野は、主に食品関連の小売業、卸売業、専門店等にクラウドサービスを提供し、官公庁クラウド分野では、自治体、小中学校、医療機関、民間企業等を対象にシステムやクラウドサービス、カスタマサポートサービスを提供している。2020年12月期のITクラウド事業における分野別売上高構成比は流通クラウド分野が37.7%、官公庁クラウド分野が62.3%となっている。なお、官公庁クラウド分野は、年度ごとの案件の有無や受注状況によって売上高や利益が変動する傾向がある。
また後述するように、同社の提供するクラウドサービスは「シェアクラウド」であり、高品質のサービスを低価格で提供できることが特色となっている。
(1) 流通クラウド分野
この分野に含まれる主な製品やサービスは、食品小売業(主に売上高300億円以下のスーパー等)向けの基幹業務システム(製品名:@rms)やインターネットEDIシステム(同:BACREX-R/Rexmart)、大手卸売業向けのクラウドEDIサービス(同:クラウドEDI-Platform/iMart)、小売業・卸売業・メーカー向けの商品画像データベース(同:Mdb)及び棚割マネジメントシステム(同:棚POWER/棚SCAN-AI)、専門店向け販売在庫管理システム(同:Retailpro(リテイルプロ))となっている。
流通クラウド分野の主力製品は、流通食品小売業向け業務クラウドサービスの「@rms」シリーズである。この「@rms」シリーズには、基幹システムだけでなく生鮮発注システム、ネットスーパーシステム、小売業向け棚割システム、単品情報分析システム等の周辺サービスも含まれている。顧客は、基幹システムだけでなく周辺システムだけを単数あるいは複数契約することも可能である。2020年12月期末時点の「@rms」シリーズの導入店舗数は1,205店にのぼり、市場全体(21,000店:同社推定)におけるクラウド小売基幹系システム導入実績としてはトップと推定されている。
次に大きな構成比を占める「クラウドEDI-Platform」は、流通食品卸売業向けクラウドサービスで、小売業者からの様々な通信手段による発注・入荷・受領・返品・請求・支払いなどの商取引に関する情報データを、一括整理して卸売会社側に提供するシステムで、開発当初は業界初の仕組み(システム)であった。同社の推定によれば、2020年12月期末時点で「クラウドEDI-Platform」を使った商流額(卸売側)は8.7兆円にのぼり、市場全体36兆円(同社推定)の24.2%となっている。加工食品卸売上高上位10社のうち7社が「クラウドEDI-Platform」のユーザーであることからも、同社のクラウドサービスがいかに高く支持されているかがうかがえる。現在は、「C2Platform」の新機能「C2PF小売商談プラットフォーム」という小売業、卸売業及びメーカー間での商談プラットフォームを開発中で、2021年6月のリリースを目指しているが、これが商用化されれば小~大規模の卸売業からメーカーまで幅広い顧客をカバーできることになる。
(2) 官公庁クラウド分野
官公庁クラウド分野の主な事業は、地方自治体(主に地元の和歌山県の他、同県、大阪府南部、奈良県内の市町村)向けの基幹系・情報系の行政情報システム、防災無線等の地域防災システム、小中学校向けの「Clarinet」という校務クラウドサービス、医療機関向けの医療連携プラットフォームである「青洲リンク」、民間企業向けPC保守等のカスタマサポートサービスである。和歌山県における地域防災システムへの同社の評価・認知度は高く、県内シェアは群を抜いている。2020年12月期の官公庁クラウド分野の売上高6,237百万円の内訳は、行政情報53.7%、地域防災36.3%、校務クラウド・地域医療連携7.9%、カスタマサポート2.1%となっている。この分野は、顧客が官公庁であることから比較的安定した売上高が期待できる反面、大きなプロジェクト(案件)の有無や納品のずれ込みなどによって売上高や利益が変動する可能性もある。
3. モバイルネットワーク事業
NTTドコモの1次代理店であるコネクシオ<9422>と「代理店契約」を締結し、2次代理店として和歌山県内で7店のドコモショップを運営している。県内の運営代理店シェアは34.8%とトップであり、県内最大のNTTドコモ代理店となっている。同社が運営しているドコモショップは全体的に高評価を得ており、同社のこの事業部門も利益を確保している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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