■要約
はてな<3930>は、2001年設立のインターネットサービス企業である。Webサイト上にユーザーがコンテンツを作成・投稿し、他のユーザーが閲覧するUGC(User Generated Content)サービスで市場をリードしてきた。国内最大級のソーシャルブックマークサービス「はてなブックマーク」やブログサービス「はてなブログ」などのコンテンツプラットフォームサービスをベースに、その技術・ノウハウを生かして、コンテンツマーケティングサービスやテクノロジーソリューションサービス等の法人向けサービスへと展開している。
1. 2021年7月期第2四半期累計業績の概要
2021年7月期第2四半期累計(2020年8月~2021年1月)の売上高は前年同期比4.8%減の1,188百万円、営業利益は同59.8%減の58百万円と減収減益となった。SaaS型サーバー監視サービス「Mackerel(マカレル)」の顧客数増加(前期末比9.9%増)や、マンガビューワ「GigaViewer(ギガビューワ)」※の採用メディア増加(前期末比2件増加の13メディア)により、テクノロジーソリューションサービスが好調に推移したものの、コンテンツマーケティングサービス(企業向けオウンドメディア構築・運用支援・コンテンツ制作等)が前年同期比30.5%減と大きく落ち込んだことが減収要因となった。利益面では、減収要因に加えて、今後の成長に向けた人材投資の実施による人件費の増加が減益要因となった。ただ、当初の想定よりもデータセンター(以下、DC)利用料を低く抑えることができたため、利益面では会社計画を上回る格好となった。
※GigaViewer:Webサイトでマンガを閲覧するためのソフトウェアで、ユーザーが快適に作品を楽しめるための各種機能を備え、また広告を掲載することでサービス提供者の運用コストを削減できるようになっている。
2. 2021年7月期業績見通し
2021年7月期の売上高は前期比2.3%増の2,600百万円、営業利益は同61.7%減の106百万円を見込んでおり、期初計画(売上高2,657百万円、営業利益17百万円)からの修正を発表している。売上高については、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が長引いている影響もあり、コンテンツマーケティングサービスの回復が遅れ気味となっていることから、期初計画から若干下方修正した。しかしながら利益面では、DC利用料やその他費用が当初計画から減少する見込みとなったことから、期初計画を大幅に上方修正した。ただ、下期についても費用面では保守的に計画に織り込んでいるもようで、計画を上振れする可能性は高いと弊社では見ている。なお、人員体制については前期末比18名増の178名を計画しているが、第2四半期末時点で159名にとどまっており、ハードルとしてはやや高くなっている。
3. 中期成長見通し
同社は2022年7月期以降の中期目標として、売上高で年率15%程度の成長路線に乗せていくことを見込んでいる。コロナ禍が落ち着いたときに弾みをつけるべく、3つのサービスでシナジー効果を最大限活用しつつ、それぞれ成長していくことを計画している。コンテンツプラットフォームサービスでは、「はてなブログ」の機能開発と他社提携等による会員数増・読者増の循環を図ることで広告収入を伸ばしていくほか、課金モデルの育成にも注力していく。コンテンツマーケティングサービスでは、「はてなブログMedia」の運用メディア数拡大とメディア当たり売上高の向上に取り組んでいく方針だ。また、テクノロジーソリューションサービスのうち、「Mackerel」では顧客数増加と顧客当たり売上単価の上昇を、「GigaViewer」では搭載数増加による開発料・運用料の増加とレベニューシェアモデルの拡大による高成長を目指す。売上高が2ケタ成長路線に復帰すれば、営業利益率も中期的に20%近い水準まで戻るものと弊社では予想している。
■Key Points
・2021年7月期第2四半期累計業績は減収減益となるも、費用圧縮効果により利益は計画を上回る
・2021年7月期業績見通しは保守的な印象、利益は上振れ余地あり
・BtoBビジネスの強化により2022年7月期以降は年率15%程度の売上成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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はてな<3930>は、2001年設立のインターネットサービス企業である。Webサイト上にユーザーがコンテンツを作成・投稿し、他のユーザーが閲覧するUGC(User Generated Content)サービスで市場をリードしてきた。国内最大級のソーシャルブックマークサービス「はてなブックマーク」やブログサービス「はてなブログ」などのコンテンツプラットフォームサービスをベースに、その技術・ノウハウを生かして、コンテンツマーケティングサービスやテクノロジーソリューションサービス等の法人向けサービスへと展開している。
1. 2021年7月期第2四半期累計業績の概要
2021年7月期第2四半期累計(2020年8月~2021年1月)の売上高は前年同期比4.8%減の1,188百万円、営業利益は同59.8%減の58百万円と減収減益となった。SaaS型サーバー監視サービス「Mackerel(マカレル)」の顧客数増加(前期末比9.9%増)や、マンガビューワ「GigaViewer(ギガビューワ)」※の採用メディア増加(前期末比2件増加の13メディア)により、テクノロジーソリューションサービスが好調に推移したものの、コンテンツマーケティングサービス(企業向けオウンドメディア構築・運用支援・コンテンツ制作等)が前年同期比30.5%減と大きく落ち込んだことが減収要因となった。利益面では、減収要因に加えて、今後の成長に向けた人材投資の実施による人件費の増加が減益要因となった。ただ、当初の想定よりもデータセンター(以下、DC)利用料を低く抑えることができたため、利益面では会社計画を上回る格好となった。
※GigaViewer:Webサイトでマンガを閲覧するためのソフトウェアで、ユーザーが快適に作品を楽しめるための各種機能を備え、また広告を掲載することでサービス提供者の運用コストを削減できるようになっている。
2. 2021年7月期業績見通し
2021年7月期の売上高は前期比2.3%増の2,600百万円、営業利益は同61.7%減の106百万円を見込んでおり、期初計画(売上高2,657百万円、営業利益17百万円)からの修正を発表している。売上高については、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が長引いている影響もあり、コンテンツマーケティングサービスの回復が遅れ気味となっていることから、期初計画から若干下方修正した。しかしながら利益面では、DC利用料やその他費用が当初計画から減少する見込みとなったことから、期初計画を大幅に上方修正した。ただ、下期についても費用面では保守的に計画に織り込んでいるもようで、計画を上振れする可能性は高いと弊社では見ている。なお、人員体制については前期末比18名増の178名を計画しているが、第2四半期末時点で159名にとどまっており、ハードルとしてはやや高くなっている。
3. 中期成長見通し
同社は2022年7月期以降の中期目標として、売上高で年率15%程度の成長路線に乗せていくことを見込んでいる。コロナ禍が落ち着いたときに弾みをつけるべく、3つのサービスでシナジー効果を最大限活用しつつ、それぞれ成長していくことを計画している。コンテンツプラットフォームサービスでは、「はてなブログ」の機能開発と他社提携等による会員数増・読者増の循環を図ることで広告収入を伸ばしていくほか、課金モデルの育成にも注力していく。コンテンツマーケティングサービスでは、「はてなブログMedia」の運用メディア数拡大とメディア当たり売上高の向上に取り組んでいく方針だ。また、テクノロジーソリューションサービスのうち、「Mackerel」では顧客数増加と顧客当たり売上単価の上昇を、「GigaViewer」では搭載数増加による開発料・運用料の増加とレベニューシェアモデルの拡大による高成長を目指す。売上高が2ケタ成長路線に復帰すれば、営業利益率も中期的に20%近い水準まで戻るものと弊社では予想している。
■Key Points
・2021年7月期第2四半期累計業績は減収減益となるも、費用圧縮効果により利益は計画を上回る
・2021年7月期業績見通しは保守的な印象、利益は上振れ余地あり
・BtoBビジネスの強化により2022年7月期以降は年率15%程度の売上成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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