豪ドル
RBA(豪中銀)は2日、金融政策の現状維持を決定。政策金利と3年物豪国債利回りの目標をいずれも0.10%に据え置きました。
声明は、「3年物国債利回りを目標水準に維持することに引き続きコミットしており、これを支えるため必要に応じて国債の買い入れを行う」と表明。豪ドルについては、「ここ数年のレンジ上限で推移している」とし、2月の前回会合とほぼ同じ文言でした。
声明が足もとの豪国債利回りの上昇や豪ドル高を明確にけん制しなかったことは、豪ドルにとってプラス材料と考えられます。また、堅調に推移する鉄鉱石や原油など資源価格も豪ドルにとって追い風となりそうです。
主要国株価の下落などによるリスクオフ、米長期金利の上昇には注意が必要なものの、豪ドルは底堅い展開が想定されます。目先の上値メドとして、豪ドル/米ドルが0.80047米ドル(2/25高値)、豪ドル/円は84.925円(2/25高値)が挙げられます。
NZドル
乳製品価格が上昇しています。乳製品の国際的な指標であるGDT価格指数は、2日の電子オークションで2014年3月以来の高水準となりました。NZは乳製品を主力輸出品としているため、その価格上昇はNZドルにとってプラス材料です。
また、市場ではRBNZ(NZ中銀)が2022年にも利上げするとの観測があり、それもNZドルを下支えしそうです。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、本稿執筆時点で市場が織り込む利上げ(幅は0.25%と仮定)の確率は2022年4月に5割を超えます(約55%)。
独自材料でみれば、NZドルは上昇する可能性があります。
ただし、米長期金利や主要国株価が足もとで不安定な状況となっていることもあり、市場の関心はそれらの動向に向きがちです。米長期金利が上昇を続ける、あるいは主要国株価が下落する場合(両方の場合も)、NZドルは上値が重い展開になるかもしれません。
カナダドル
OPEC(石油輸出国機構)加盟国と非加盟主要産油国で構成する「OPECプラス」は4日に会合を開き、協調減産について協議しました。ロシアに日量13万バレル、カザフスタンに同2万バレルの増産を認めつつも、その他の国は現行規模を維持することを決定。これにより4月のOPECプラス全体の協調減産の規模は、日量690万バレル(現在は705万バレル)となります。
また、サウジアラビアは2月と3月に自主的に行っている日量100万バレルの減産を4月も継続すると表明しました。
協調減産の規模がほぼ維持され、またサウジアラビアも自主減産を続けることで、原油価格(米WTI原油先物など)は堅調に推移しそうです。原油価格の上昇はカナダドルにとってプラス材料です。
10日のBOC(カナダ中銀)会合では、政策金利の0.25%への据え置きが決定されるとみられます。声明でカナダ景気の先行きについて楽観的な見方が示されれば、カナダドルのサポート要因になりそうです。
カナダドル/円の目先の上値メドとして、86.190円(2018/12高値)が挙げられます。
トルコリラ
トルコの2月CPI(消費者物価指数)は前年比15.61%と、前月の14.97%から上昇率が加速。2019年7月以来の強い伸びを記録しました。
TCMBは昨年11月と12月の合計6.75%の利上げを実施し、その後は今年1月と2月の会合では政策金利を17.00%に維持。一方でCPI上昇率は今回(2月)まで5カ月連続で加速しました。
アーバルTCMB総裁は3日、「長期にわたって金融政策の引き締めスタンスを断固維持し、必要なら追加の金融引き締めを行う」と改めて表明しました。
市場ではTCMBが3月18日の次回会合で利上げするとの観測が浮上しており、それがトルコリラを下支えするとみられます。
ただ、米国の長期金利の動向に注意が必要でしょう。米長期金利が上昇を続ければ、トルコリラに対して下押し圧力が加わる可能性があります。
南アフリカランド
来週(3/8- )は、南アフリカの昨年10-12月期GDP(9日)、1月の鉱業生産(11日)、1月製造業生産(11日)が発表されます。それらの結果を受けて、同国景気の先行きについて楽観的な見方が広がれば、ランドのサポート要因になりそうです。
一方で米国の長期金利の上昇を背景に、新興国通貨全般に対して下押し圧力が加わりやすい地合いです。長期金利の上昇が続けば、ランドは下押しするかもしれません。
メキシコペソ
メキシコ上院は2日、電力産業法改正法案を可決しました。下院はすでに2月24日に可決しており、ロペスオブラドール大統領の署名を経て近く公布される予定です。
改正案には、国家エネルギー管理センターが管理する電力について、発電コストが低いものから採用するという現在のルールを修正してCFE(国営電力公社)の電力を優先的に採用することが盛り込まれています。法改正によって電力コストが増大するだけでなく、自由な競争が損なわれるおそれがあると市場は懸念しています。電力産業法改正は、メキシコペソにとってマイナス材料と考えられます。
一方で、OPECプラスは4日の会合で協調減産の規模をほぼ維持すると決定し、またサウジアラビアは自主減産を4月も継続すると表明しました(*詳細は「カナダドル」ご参照)。原油価格(米WTI原油先物など)は堅調に推移する可能性があります。原油価格の上昇はメキシコペソにとってプラス材料です。
メキシコペソ/円は昨年11月以降、5.000~5.300円のレンジ内で上下動を続けています。ペソには強弱いずれの材料も混在していることから、この動きは当面続く可能性があります。
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