■今後の見通し
1. 2021年5月期通期連結業績予想の概要
日本プロセス<9651>の2021年5月期通期の連結業績は期初予想を据え置いて、売上高が前期比4.4%減の7,430百万円、営業利益が同21.7%減の570百万円、経常利益が同15.4%減の665百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同20.3%減の445百万円としている。社会インフラ分野のシステム開発需要は堅調に推移するが、コロナ禍による景気への悪影響が避けられないため、IT投資の一時的停滞、ソフトウェア開発案件の中止・延期などを考慮して売上を保守的に想定している。また働き方改革や人材育成など持続的成長に向けた戦略的投資を継続するため、コスト増加も考慮して減益予想としている。
ただし第2四半期累計が売上高、利益ともに計画超となり、通期予想に対する進捗率は売上高が45.2%、営業利益が55.5%、経常利益が53.2%、親会社株主に帰属する四半期純利益が52.9%と順調だった。制御システムでエネルギー分野の電力システム、交通分野の東京圏輸送管理システム(ATOS)と在来線運行管理システムの検収が下期に集中して、売上高、利益ともに例年よりも下期偏重の見込みであることを考慮すれば、通期業績は上振れの可能性が高いだろう。
2. セグメント別重点取り組み施策
全社ベースの重点取り組みテーマとして、大規模請負案件へのチャレンジ、事業部間の連携強化、グループ会社間の連携強化(同社、IPD大連、アルゴリズム研究所、インドのTrenser)を推進する。セグメント別の重点取り組み施策は以下のとおりである。
(1) 制御システム
エネルギー関連では電力会社との直接取引によって、日立製作所経由以外のビジネス拡大を目指す。また日立製作所が推進している新ビジネス(エネルギーマネジメント、工場自動化など)に参画して新分野開拓を推進する。鉄道関連では、ATOSや新幹線運行管理システムの作業高効率化の維持と担当範囲拡大、在来線運行管理システム機能の一括受注を推進する。
(2) 自動車システム
主力事業化した自動運転・ADAS関連の担当範囲と作業規模の拡大を推進する。車載情報はBSP(Board Support Package=組込Linux)開発の作業規模拡大、CASE(Connected=コネクテッド、Autonomous=自動運転、Shared=カーシェアリング、Electric=電動化)関連への参入を推進する。新規顧客の開拓や、技術教育への投資も継続する。
(3) 特定情報システム
既存の危機管理関連で業務範囲や作業規模の拡大を推進するとともに、危機管理の次期大型請負案件(更新案件)に向けて積極提案を行う。画像認識・識別関連は自動運転・ADAS関連の技術力を活かして、自動車分野以外にも新規顧客開拓を推進する。
(4) 組込システム
半導体関連は新分野の開拓、規模拡大、より付加価値の高い製品への参入を推進する。IoT建設機械関連は顧客への積極提案で請負範囲・規模の拡大を推進する。医療・IoT関連は、医療分野に強みを持つインドのTrenserとの連携もさらに強化して、既存顧客の新規案件、新規顧客の開拓を推進する。また体制強化に向けたマネジャー教育と技術者教育も継続する。
(5) 産業・ICTソリューション
DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、同社の事業領域である社会インフラ分野においても、AI・画像処理・クラウド等の次世代汎用技術が浸透し、システム開発に加えてシステム構築の需要が増えつつある。こうした事業環境の変化を背景に、従来の産業・公共システムのシステム開発力とITサービスのシステム構築・保守・運用力を融合して、ビジネスの拡大を目指す。特にクラウド関連、次世代汎用技術(AI、画像処理、クラウド)関連、ヘルスケア関連での新規案件獲得と新規顧客開拓を推進する。
3. 2022年5月期以降の見通し
2022年5月期以降の見通しとしてはコロナ禍によるリスク要因として、鉄道利用者減少によるシステム開発投資先送り、自動車販売減少による既存分野の開発投資減少があるが、一方では日立AMSとホンダ系部品メーカーの統合によるシステム開発範囲拡大、半導体需要増加に伴う開発案件の増加、DX進展によるクラウド環境構築とシステム開発の拡大が期待されるとしている。
なお2021年6月1日付で完全子会社のアルゴリズム研究所を吸収合併する予定である。さらなる事業拡大に向けて次のM&Aを検討するとしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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1. 2021年5月期通期連結業績予想の概要
日本プロセス<9651>の2021年5月期通期の連結業績は期初予想を据え置いて、売上高が前期比4.4%減の7,430百万円、営業利益が同21.7%減の570百万円、経常利益が同15.4%減の665百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同20.3%減の445百万円としている。社会インフラ分野のシステム開発需要は堅調に推移するが、コロナ禍による景気への悪影響が避けられないため、IT投資の一時的停滞、ソフトウェア開発案件の中止・延期などを考慮して売上を保守的に想定している。また働き方改革や人材育成など持続的成長に向けた戦略的投資を継続するため、コスト増加も考慮して減益予想としている。
ただし第2四半期累計が売上高、利益ともに計画超となり、通期予想に対する進捗率は売上高が45.2%、営業利益が55.5%、経常利益が53.2%、親会社株主に帰属する四半期純利益が52.9%と順調だった。制御システムでエネルギー分野の電力システム、交通分野の東京圏輸送管理システム(ATOS)と在来線運行管理システムの検収が下期に集中して、売上高、利益ともに例年よりも下期偏重の見込みであることを考慮すれば、通期業績は上振れの可能性が高いだろう。
2. セグメント別重点取り組み施策
全社ベースの重点取り組みテーマとして、大規模請負案件へのチャレンジ、事業部間の連携強化、グループ会社間の連携強化(同社、IPD大連、アルゴリズム研究所、インドのTrenser)を推進する。セグメント別の重点取り組み施策は以下のとおりである。
(1) 制御システム
エネルギー関連では電力会社との直接取引によって、日立製作所経由以外のビジネス拡大を目指す。また日立製作所が推進している新ビジネス(エネルギーマネジメント、工場自動化など)に参画して新分野開拓を推進する。鉄道関連では、ATOSや新幹線運行管理システムの作業高効率化の維持と担当範囲拡大、在来線運行管理システム機能の一括受注を推進する。
(2) 自動車システム
主力事業化した自動運転・ADAS関連の担当範囲と作業規模の拡大を推進する。車載情報はBSP(Board Support Package=組込Linux)開発の作業規模拡大、CASE(Connected=コネクテッド、Autonomous=自動運転、Shared=カーシェアリング、Electric=電動化)関連への参入を推進する。新規顧客の開拓や、技術教育への投資も継続する。
(3) 特定情報システム
既存の危機管理関連で業務範囲や作業規模の拡大を推進するとともに、危機管理の次期大型請負案件(更新案件)に向けて積極提案を行う。画像認識・識別関連は自動運転・ADAS関連の技術力を活かして、自動車分野以外にも新規顧客開拓を推進する。
(4) 組込システム
半導体関連は新分野の開拓、規模拡大、より付加価値の高い製品への参入を推進する。IoT建設機械関連は顧客への積極提案で請負範囲・規模の拡大を推進する。医療・IoT関連は、医療分野に強みを持つインドのTrenserとの連携もさらに強化して、既存顧客の新規案件、新規顧客の開拓を推進する。また体制強化に向けたマネジャー教育と技術者教育も継続する。
(5) 産業・ICTソリューション
DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、同社の事業領域である社会インフラ分野においても、AI・画像処理・クラウド等の次世代汎用技術が浸透し、システム開発に加えてシステム構築の需要が増えつつある。こうした事業環境の変化を背景に、従来の産業・公共システムのシステム開発力とITサービスのシステム構築・保守・運用力を融合して、ビジネスの拡大を目指す。特にクラウド関連、次世代汎用技術(AI、画像処理、クラウド)関連、ヘルスケア関連での新規案件獲得と新規顧客開拓を推進する。
3. 2022年5月期以降の見通し
2022年5月期以降の見通しとしてはコロナ禍によるリスク要因として、鉄道利用者減少によるシステム開発投資先送り、自動車販売減少による既存分野の開発投資減少があるが、一方では日立AMSとホンダ系部品メーカーの統合によるシステム開発範囲拡大、半導体需要増加に伴う開発案件の増加、DX進展によるクラウド環境構築とシステム開発の拡大が期待されるとしている。
なお2021年6月1日付で完全子会社のアルゴリズム研究所を吸収合併する予定である。さらなる事業拡大に向けて次のM&Aを検討するとしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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