豪ドル
鉄鉱石の価格が上昇しています。大連・鉄鉱石先物は今週(1/11- )、2013年10月の取引開始以降の最高値をつけました。中国の2020年の鉄鉱石輸入は11.70億トンと、2019年の10.69億トンから増加し、過去最高を記録。中国の旺盛な需要が鉄鉱石価格を押し上げています。
鉄鉱石は豪州の主力輸出品。鉄鉱石価格の上昇は豪ドルにとってプラス材料です。鉄鉱石価格は引き続き堅調に推移するとみられ、豪ドルは底堅い展開になりそうです。
21日、豪州の昨年12月の雇用統計が発表されます。その結果も豪ドル相場に影響を与える可能性があります。
RBA(豪中銀)は金融政策運営において雇用情勢を重視する姿勢。昨年12月の会合では、政策金利を0.10%に据え置くとともに、「少なくとも今後3年間(=2023年末まで)は利上げしないと予想している」と表明しました。
豪州の失業率は昨年7月に7.5%まで上昇したものの、11月には6.8%へと改善しました。RBAは11月の金融政策報告で失業率は12月時点で8.0%になると予想したものの、雇用の先行指標である求人広告件数は12月まで8カ月連続でプラスとなりました。求人広告件数をみると、12月の失業率はRBAの見通しを下回りそうです(=見通しよりも良い)。
失業率が11月の6.8%から改善した場合、RBAは「少なくとも2023年末まで利上げしない」との見通しの修正を検討し始めるかもしれません。その観測が市場で高まれば、豪ドルにとってさらなる支援材料になりそうです。豪ドル/米ドルは0.80000米ドル(心理的節目)、豪ドル/円は200カ月移動平均線(昨年12月時点で84.591円)に向けて上がる可能性があります。
NZドル
昨年10-12月期のNZIER(NZ経済研究所)企業信頼感指数が19日、同CPI(消費者物価指数)が22日に発表されます。それらの結果がRBNZ(NZ中銀)の金融政策に対する市場の見方に影響を与え、NZドルが反応する可能性があります。
市場では政策金利は当面据え置かれるとの見方が有力ですが、利下げするとの見方も根強くあります。NZIER企業信頼感指数が昨年7-9月期のマイナス40から改善し、またCPIが市場予想(本稿執筆時点で前年比1.3%)を上回れば、利下げ観測は後退するとみられます。その場合、NZドルは堅調に推移しそうです。NZドル/米ドルは0.73900米ドル(2018/4高値)、NZドル/円は76.730円(2019/3高値)が上値メドになりそうです。
カナダドル
カナダドルは15日、対米ドルで2018年4月以来、対円で2020年2月以来の高値をつけました。原油価格が上昇しており、それが資源国通貨であるカナダドルを押し上げています。
原油価格の代表的な指標である米WTI原油先物は13日に一時1バレル53.93ドルへと上昇し、2020年2月以来の高値を記録。サウジアラビアが2月と3月に自主的に日量100万バレルの減産を実施するとしており、それが足もとの原油高の要因です。
WTI原油先物が一段と上昇すれば、カナダドルは堅調に推移する可能性があります。
一方で、市場ではBOC(カナダ中銀)が20日の会合で利下げするとの観測が浮上しています。カナダの2020年12月雇用統計の弱い結果、オンタリオ州がロックダウン(都市封鎖)を強化したこと、それらが利下げ観測の背景にあります。
BOCが利下げすれば、カナダドルは原油価格が上昇したとしても上値が重くなる可能性があります。一方、政策金利が据え置かれた場合、カナダドルは上値を試す展開になりそうです。
BOCの政策金利は現在0.25%。BOCはマイナス金利の導入に否定的なため、利下げするとすれば幅は0.15%(政策金利を0.25%から0.10%にする)の可能性が高いとみられます。
トルコリラ
TCMB(トルコ中銀)が21日に政策金利を発表します。その結果がトルコリラ相場に影響を与えそうです。
政策金利(1週間物レポ金利)は今回、現行の17.00%に据え置かれそうです。
トルコの昨年12月CPI(消費者物価指数)は前年比14.60%と、11月の14.03%から上昇率が加速し、2019年8月以来の強い伸びを記録しました。ただ、TCMBは昨年11月と12月に大幅な利上げ(合計6.75%)を実施しており、また実質金利(政策金利からCPI上昇率を引いたもの)はなお2.4%あります。これまでの利上げの効果を見極めるとみられます。
政策金利と同時に発表される声明で、インフレを警戒する姿勢が示され、また必要なら利上げするとの方針が改めて表明されれば、トルコリラは堅調に推移する可能性があります。リラ/円の目先の上値メドとして、200日移動平均線(14日時点で14.445円)が挙げられます。
南アフリカランド
SARB(南アフリカ中銀)が19-21日に政策会合を開きます。金融政策の発表は21日です。
SARBは昨年7月に利下げを行った後、9月と11月の2会合連続で政策金利を3.50%に据え置きました。南アフリカの実質金利(政策金利からCPI上昇率を引いたもの)は0.3%と低く、利下げすれば実質金利は今後マイナスになる可能性もあります。そのため、SARBは利下げに慎重とみられ、政策金利は今回据え置かれそうです。
ただ、南アフリカではコロナの感染者が急増しており、それに伴う行動制限によって景気は今後落ち込むと考えられます。景気を下支えするため利下げするとの見方も市場ではあります。
政策金利が据え置かれれば、南アフリカランドにとってプラス材料になりそうです。ランド/円は、米ドル/円の影響も受けるものの、7円台に定着するかもしれません。
メキシコペソ
メキシコペソは、原油価格の動向に影響を受けやすいという特徴があります。サウジアラビアが自主減産を行うと表明したことを受けて原油価格が上昇しており、米WTI原油先物は13日に一時1バレル53.93ドルへと上昇し、2020年2月以来の高値を記録。
来週(1/18- )はメキシコの昨年12月の失業率が発表されるものの、材料としては力不足かもしれません。
メキシコペソは引き続きWTI原油先物が材料になりそうです。WTI原油先物が一段と上昇すれば、ペソは堅調に推移するとみられ、ペソ/円は米ドル/円の影響も受けるものの、5.279円(2020/12/9高値)より上の水準で推移し始める可能性があります。
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