豪ドル
デベルRBA(豪中銀)副総裁は22日、「インフレ率と雇用の目標達成に向け、為替介入やマイナス金利など様々な金融政策の選択肢を精査している」と発言。追加緩和を示唆しました。RBAは4月以降、政策金利と3年物豪国債の利回り目標をいずれも0.25%に据え置いています。
デベル副総裁の発言を受けて、市場では追加緩和観測が浮上。一部には、10月6日の次回会合で政策金利や3年物豪国債の利回り目標を0.10%に引き下げるとの見方もあります。RBAの追加緩和観測を背景に、豪ドルは上値が重い展開になりそうです。
一方で、豪ドルは投資家のリスク意識を反映しやすいという特徴があります。米国など主要国の株価が堅調に推移するなどしてリスクオフが後退すれば、豪ドル/米ドルは豪ドル/円は底堅い展開になるとみられる一方、リスクオフが強まる場合には、豪ドル/米ドルや豪ドル/円は下押す可能性があります。
NZドル
RBNZ(NZ中銀)は23日、金融政策の現状維持を決定。政策金利(0.25%)と大規模資産購入プログラムの規模(1000億NZドル)のいずれも据え置きました。
声明では、「追加の刺激策を提供する用意がある」と表明。追加刺激策には「貸し出し向けの資金供給プログラム(FLP*)の実施やマイナス金利、外国資産の購入が含まれる」とし、FLPは年内に準備が整うとの見方を示しました。
*RBNZは「FLPの実施によって銀行はRBNZから低金利で資金調達ができるようになる(銀行の借り入れ金利が低下する)」としています。
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NZの4-6月期GDP(国内総生産)成長率は前期比マイナス12.2%と、過去最大の落ち込みを記録。市場では、RBNZはいずれマイナス金利を導入するとの観測があり、時期は2021年4-6月期との見方が有力です。今回の声明では「失業や企業の閉鎖が今後増加するだろう」との見通しが示されており、マイナス金利導入観測は一段と高まる可能性があります。RBNZの金融政策面からみれば、NZドル/米ドルやNZドル/円は下押ししやすいかもしれません。
カナダドル
カナダドルは今週(9/21- )、対米ドルで8月上旬以来、対円で7月31日以来の安値を記録。米国の追加経済対策をめぐる不透明感や欧州でのコロナの感染拡大を受けてリスクオフが強まり、米ドルや円が全般的に堅調に推移したためとみられます。
米WTI原油先物(原油価格の代表的な指標)が安定した値動きになれば、カナダドルは引き続き投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)に影響を受けやすいとみられます。リスクオフ局面では米ドルや円が全般的に上昇しやすいことから、相対的にカナダドルは弱含みそうです。
一方で、トルドー・カナダ首相は23日、新規の大型投資などの追加の経済対策を実施する方針を表明しました。そのことはカナダドルにとってプラス材料と考えられます。
トルコリラ
TCMB(トルコ中銀)は24日、2.00%の利上げを決定。主要政策金利である1週間物レポ金利を8.25%から10.25%へと引き上げました。利上げは2018年9月以来、2年ぶりです。
声明では、「急速な景気回復と金融市場の動向(=トルコリラ安)の結果、インフレが想定以上に上昇した」と指摘。利上げの理由を「インフレ期待やインフレ見通しへのリスクを抑制し、ディスインフレのプロセスに再び戻すため」と説明しました。
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エルドアン大統領の圧力によって利上げは困難だとみられたなかでTCMBが利上げしたことは、リラにとってプラス材料と考えられます。インフレ抑制やリラの防衛に向けたTCMBの決意を示したほか、TCMBの独立性をめぐる懸念が市場で後退する可能性があるからです。リラはいったん下げ止まるかもしれません。
来週(9/28- )、EU首脳会議が開かれます(10/1-2。9/24-25から延期)。その結果がリラの動向に影響を与えるかもしれません。首脳会議では東地中海の海底資源問題でトルコに対して制裁を科すことが検討されるとみられます。一方で、トルコとギリシャは9月22日に協議を再開することで合意したことで、首脳会議で対トルコ制裁が決定される可能性は低下したと考えられます。ただ、対トルコ制裁まで踏み切らなくても、制裁の枠組みが決定されるとの見方もあります。EU首脳会議を受けて対トルコ制裁が一段と現実味を帯びれば、リラに対する下押し圧力となる可能性があります。
南アフリカランド
南アフリカランドは今週(9/21- )、対米ドルで約2カ月ぶり、対円で約1カ月ぶりの安値をつけました。米国の追加経済対策をめぐる懸念や欧州でのコロナの感染拡大を受け、リスクオフが強まったことが主な要因とみられます。リスクオフは米ドルや円の支援材料となる一方、新興国通貨であるランドにとってマイナス材料です。
ランドは引き続き、投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)に影響を受けやすい展開が想定されます。南アフリカの経済指標では、30日の8月CPI(消費者物価指数)に注目です。市場は「SARB(南アフリカ中銀)は政策金利を当面据え置く」と予想しており、CPIがその見方を一段と高める結果になれば、ランドを下支え材料になりそうです。
メキシコペソ
BOM(メキシコ中銀)は24日、0.25%の利上げを決定。政策金利を4.50%から4.25%へ引き下げました。利下げは2019年8月以降、11会合連続。5人の政策メンバー全員一致で0.25%の利下げが決定されました。
声明では、「6月と7月に景気は回復し始めたが、不確実性や下振れリスクがある」と利下げの理由を説明。0.25%利下げするとの決定は、「政策を動かす余地(=利下げ余地)が狭いとのインフレ見通しに基づいたもの」としました。
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BOMは8月の前回会合まで5回連続で0.50%の利下げを行ってきたものの、利下げ幅は今回0.25%へと縮小。0.25%利下げするという決定は全会一致で下されました。また、メキシコの8月CPI(消費者物価指数)は前年比4.05%と、BOMのインフレ目標(3%。その上下1%が許容レンジ)を上回っています。新型コロナウイルスがメキシコ景気に与える影響にもよりますが、利下げは今回で休止される可能性があり、市場では利下げ休止観測が高まるかもしれません。利下げ休止観測の高まりは、ペソにとってプラス材料です。
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