豪ドル
RBA(豪中銀)議事録が15日に公表されました(9/1会合分)。それによると、政策メンバーは豪ドルについて「下落すれば豪経済の回復を一段と支援する」としつつも、「ファンダメンタル要因におおむね沿っている」と指摘。足もとの豪ドル高に懸念を示しませんでした。議事録はまた、「必要な限り極めて緩和的な(金融政策)環境を維持し、またさらなる政策措置が景気回復をどのように支えることができるかについて引き続き検討する」としたものの、近い将来の追加緩和は示唆しませんでした。これらのことは、豪ドルにとってプラス材料と考えられます。
一方で、豪ドルは、投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)を反映しやすいという特徴があります。主要国株価が下落するなどしてリスクオフの流れになれば、豪ドル/米ドルや豪ドル/円は軟調な展開になりそうです。
NZドル
23日、RBNZ(NZ中銀)が金融政策を発表します。その結果がNZドルの動向に影響を与えそうです。政策金利は現行の0.25%に据え置かれるとみられ、LSAP(大規模資産購入)プログラムの規模も1000億NZドルに維持されそうです。その通りの結果になれば、声明や議事録で金融政策の先行きについて新たな手掛かりが提供されるかに注目です。RBNZは将来的にマイナス金利を導入する可能性を示しています。声明などでマイナス金利の導入にこれまで以上に前向きな姿勢が示された場合にはNZドル/米ドルやNZドル/円に対して下押し圧力が加わる可能性があります。
カナダドル
米WTI原油先物(原油価格の代表的な指標)は18日、前日比0.81ドル高の1バレル=40.97ドルで取引を終了。期近物としては、2週間ぶりの高値を記録しました。米国の原油在庫の減少や、「OPECプラス」が協調減産を順守するとの姿勢を示したことが、WTI原油先物の支援材料となりました。EIA(米エネルギー省エネルギー情報局)の週間統計によると、米国の原油在庫は4月以来の低水準となりました。
カナダは産油国のため、原油価格の上昇はカナダドルにとってプラス材料です。カナダドル/円は、米ドル/円の動向の影響も受けるものの、WTI原油先物が堅調に推移すれば底堅い展開になりそうです。
トルコリラ
トルコリラは今週(9/14- )、対米ドルや対円で過去最安値を更新。リラ安の背景として、以下のことが挙げられます。
・トルコの外貨準備の減少(リラの買い支えが困難に!?)
・トルコの高インフレ
・実質金利の低さ(トルコの実質金利はマイナス3.52%)
・東地中海の海底資源をめぐるトルコとギリシャの関係悪化
・東地中海の問題でEUがトルコに制裁を科すとの懸念
・ムーディーズ(格付け会社)による格下げ(*)
*ムーディーズは11日、トルコの格付けを「B1」から「B2」へと1段階引き下げました。「B2」は投資適格級最低の「Baa3」から5段階下の格付けです。
最近のトルコリラ安に対し、TCMB(トルコ中銀)は政策金利を据え置いたまま、「流動性措置(*)」によって対応。7月16日に7.34%だった銀行の平均資金調達金利は、9月17日に10.41%へと上昇しました。*流動性措置:流動性を絞ることによって市場金利を高めに誘導する措置。
ただ、リラ安に歯止めをかけるためには「流動性措置」では不十分であり、やはり「利上げ(政策金利の引き上げ)」が必要と考えられます。TCMBは24日に定例会合を開きますが、利上げするのは困難かもしれません。エルドアン大統領が利上げに反対の姿勢を示しているためです。
また、24-25日のEU首脳会議で「対トルコ制裁が議題に挙がる」との報道があります。東地中海の海底資源をめぐってトルコとギリシャの関係が悪化。フランスやイタリア、ギリシャなどEU加盟の南欧7カ国は10日、トルコに対して「対話に応じなければ、制裁を検討する」と表明しました。
TCMB会合やEU首脳会議の結果次第では、リラに対する下押し圧力は一段と強まる可能性があります。
南アフリカランド
SARB(南アフリカ中銀)は17日の会合で政策金利を3.50%に据え置くことを決定。7月まで5会合連続で実施した利下げを休止しました。会合では5人の政策メンバーのうち、2人が0.25%の利下げを主張。据え置きの決定は3対2で下されました。
SARBは、経済成長やインフレに対するリスクはいずれも「均衡している」と指摘。クガニャゴ総裁は「将来の政策決定は経済指標次第だ」と強調する一方、「SARBの予測モデルでは近い将来の利下げはなく、2021年後半に2回の利上げが実施されることが示されている」と発言。利下げの打ち止めを示唆しました。そのことは南アフリカランドにとってプラス材料と考えられます。
南アフリカ経済は低迷が続いており、また電力不足の問題(国営電力会社のエスコムは計画停電をたびたび実施)もあるものの、SARBの利下げ終了の可能性が市場で意識され、ランドは堅調に推移しそうです。
メキシコペソ
メキシコペソは今週(9/14- )、対米ドルで約6カ月ぶり、対円で約2カ月ぶりの高値を記録しました。ペソが最近堅調な背景として、米WTI原油先物(原油価格の代表的な指標)の反発のほか、BOM(メキシコ中銀)の政策金利やメキシコの実質金利の高さが挙げられます。
24日、BOMが政策金利を発表します。その結果がペソの動向に影響を与える可能性があります。コロナの影響によってメキシコ景気は大きく落ち込む(4-6月期のGDP成長率は前期比マイナス17.1%)一方、8月CPI(消費者物価指数)は前年比4.05%と、2019年5月以来の高い伸びを記録しました。景気の悪化とインフレ圧力の高まりの中で、BOMは利下げを行うかどうかの難しい政策判断を迫られそうです。「据え置き」と「利下げ(したとしても0.25%?)」のいずれでもおかしくない状況です。
政策金利が据え置かれればペソは上昇するとみられます。一方、利下げが決定されればペソは下落する可能性があります。ただ、その場合でも利下げは今回で打ち止めとの観測が市場で高まる場合、ペソの下落は一時的に終わるかもしれません。
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