ピアラ Research Memo(3):業界特化型マーケティング支援企業で、成果にコミットするKPI保証が特徴(2)

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最新投稿日時:2020/05/21 15:03 - 「ピアラ Research Memo(3):業界特化型マーケティング支援企業で、成果にコミットするKPI保証が特徴(2)」(フィスコ)

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ピアラ Research Memo(3):業界特化型マーケティング支援企業で、成果にコミットするKPI保証が特徴(2)

配信元:フィスコ
投稿:2020/05/21 15:03
ピアラ<7044>の会社概要

(2) 事業内容
同社グループは「全てがWINの世界を創る」という経営理念の下、「Smart Marketing for Your Life(あなたの生活をマーケティングでより素敵に便利に)」をビジョンとし、すべての顧客と関連する企業に「ECトランスフォーメーション」※を推進し、顧客がより良い商品に出会い、購買自体を楽しんでもらうことに価値を見出し、顧客満足を最大化することをミッションとしている。市場領域はB&H及び食品市場にフォーカスし、ECを運営するクライアントに対して新規顧客獲得から顧客育成までの各種マーケティング支援を行っている。

※「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念である「デジタルトランスフォーメーション」を同社グループの事業基盤に当てはめて再定義した造語。ここ数年で、ECを取り巻く環境は劇的に進化しており、スマートフォンの普及による購買行動やコミュニケーションの変化、SNSの活用、アドテクノロジーの進化、大手ショッピングモールのIDが自社ECでも利用可能になるなど、ECを取り巻く環境変化に対応するにはそれ相応のコストと知見が必要になる。

サービス別では、ECマーケティングテック※及び広告マーケティングに分けており、2019年12月期の売上構成比ではECマーケティングテックが73.9%を占める主力サービスとなっている。また、その他に海外向けのB&H及び食品領域の卸運用代行サービスの売上げが含まれている。

※マーケティングとテクノロジーの融合を表した造語。テクノロジーによってマーケティングを最適化すること、またテクノロジーそのものを指し、MAツールやECカートシステムなどの各種ソリューションやDMP、AIなどが含まれる。

対象領域として、B&Hや食品業界に特化して事業展開している理由は、国内の総人口が減少傾向にある一方でシニア層は今後も当面、増加傾向が続くため、アンチエイジングや予防医薬などの健康・美容関連商品については安定成長が見込まれるためだ。また、これらの市場はデジタルマーケティングとの親和性が高いことも要因となっている。具体的には、同社がこれまで蓄積してきた消費者の「悩みや購買状況」などのビッグデータ(悩み特化型DMP※)をAI技術も活用しながら分析することで、ヒット商品を生み出すための再現性の高いマーケティング施策をプランニングすることが可能になると考えており、このノウハウが競合他社との差別化要因となり、同社が成長を続けている要因ともなっている。

※DMP(Data Management Platform):オンライン上に蓄積された様々な情報データを管理するためのプラットフォーム。DMPを活用することで各種情報をセグメント化でき、個々のユーザーに合わせたOne to Oneのマーケティング施策が可能となる。

a) ECマーケティングテック
ECマーケティングテックは、B&H及び食品領域の通販企業向けに、独自開発の「RESULTシリーズ」を利用したKPI保証型サービスを提供している。800社以上のマーケティング支援におけるノウハウや独自のデータ蓄積をもとに、B&H及び食品領域における「悩み別特化型のDMP」とAI機能を搭載した「RESULT MASTER」を中心に、「RESULTシリーズ」をクライアントまたは同社、もしくは両社で利用しながらマーケティング施策を行っている。ユーザーの悩み別にデータを蓄積している強みは、ソーシャルメディアから収集するデータの中からヒットした商品の条件をリアルタイムに取り込みデータ管理するだけでなく、たとえば“しみ”や“しわ”などユーザーの悩み別にタグ付けすることで、AIにより顧客の商品1つ1つに最適化したマーケティング施策を導き出すことができる点にある。なお、新規クライアントに関しては、クライアント、広告代理店、問い合わせ、パートナー紹介などが8割になっている。

また、マーケティング支援サービスの対価としては、成果コミット型の「KPI保証サービス」で提供している。具体的には、クライアント企業の商品を新規顧客が購入するためにかかる「新規顧客獲得単価」を同社が保証することを言う。たとえば、最初にクライアント企業と「新規顧客獲得単価」を決定したうえで、同社が「RESULT MASTER」からの情報と独自で蓄積してきたノウハウ(人による判断を含む)をもとに、最適化したマーケティング予算配分に基づき、広告出稿する媒体(各種ポータルサイト、ソーシャルメディア、YouTube 等の動画メディア等)やアフィリエイト、ディスプレイ広告等の広告手法を決定し出稿を行う。なお、広告手法のうち、1~2割は新技術や新手法なども取り入れている。すべての広告手法によって悩み別データを蓄積していくことが重要と考えているためだ(最近では、VTuberがリアル映像を交えながら商品を紹介する動画広告の反響が大きい)。これらマーケティング施策の結果として、新規顧客がクライアントの商品を購入した場合に、「購入した新規顧客数×新規顧客獲得単価」が成果報酬となり、同社の売上高として計上されることになる。なお、料金プランは1案件当たり最低50万円からとしている。KPIには新規顧客獲得のほか、定期購入への入会、休眠顧客による再度購入、既存顧客の育成など様々な設定がある。大半は新規顧客獲得をKPIとしているが、最近では顧客育成KPIについても増加傾向にある。同社の対象領域としているビューティ&ヘルス、食品業界では新規顧客の獲得と同様、顧客育成も重要であり、同社のマーケティングノウハウを生かすことで既存顧客の育成を進めていることになる。

クライアント側から見れば、新規顧客1人を獲得するための費用が固定化されるため、費用対効果が事前に確定していることになる。マーケティング支援サービスでは、最初にプロモーションの予算が決められ、その枠内で各種広告運用を行うことが一般的であるが、マーケティング施策の効果が出なかった場合は費用負担だけがかかることになる。KPI保証サービスでは、結果(新規顧客獲得数)に応じて対価が発生するため、そうしたリスクはなく、結果、クライアントも利用しやすいサービスとなっている。

なお、同社における費用の大半は各種媒体への広告掲載料で占められ、売上原価の外注費として計上される。主要な媒体はGoogle、Yahoo!、LINE、Facebookなどで、2018年12月期まではYahoo!が全体の約4割を占めていたが、それ以降はB&H領域の広告規制を実施した影響で構成比率は大きく低下したものと見られる。また、売上高が成果報酬型であるのに対してかかる費用は変動するため、プロモーション案件ごとに利益率も変動する(売上総利益率で3~30%レンジ)。同社は事業リスクの軽減を図るため、KPI保証で顧客獲得件数の保証はしていない。また、当初見込んでいたマーケティングの成果が出なかった場合のロスカットルール(一定期間トレーディングの実績がない場合、累積損失額が一定水準を超えた場合等)を社内で設けており、その基準を超えた場合は自動的に運用をストップするようにしている。仮にロスカットルールに抵触した場合でも、当該クライアントとの信頼関係は変わらず、他の商品に切り替えて再度プロモーションに取り組むケースが多い。

b) 広告マーケティング
広告マーケティングは、「RESULTシリーズ」を利用しないマーケティング支援サービスとなる。通販企業の会報誌や商品などにチラシやパンフレットを同梱し、特定ユーザーに発送する同封コンシェルジュサービスや、DM広告サービスなどが大半を占める。そのほか、テレマーケティングやリアルイベントによるプロモーション、インフルエンサーを活用したバズマーケティングなどのサービスを提供している。

マーケティング支援サービスの成果に関係なく、一定額の報酬(手数料)を得るビジネスモデルが大半だが、直近ではクライアントの課題や予算をもとに設定したKPIの成果に応じた報酬を請求するKPI保証型サービスへのシフトを進めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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配信元: フィスコ

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